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「サマソニ劣勢」とするのは早計? フジ&サマソニ第1弾出演者に寄せる期待

Real Sound のロゴ Real Sound 2017/02/20 株式会社サイゾー
© Real Sound 提供

 新潟・湯沢町苗場スキー場で7月28日から30日にかけて開催されるロックフェスティバル『FUJI ROCK FESTIVAL '17』の第1弾出演者が発表された。出演アーティストにはAphex Twin、ビョーク、The xxといった豪華なラインナップが並んでいる。一方、フジロックと肩を並べるロックフェスティバル『SUMMER SONIC 2017』では、第1弾出演者としてカルヴィン・ハリスや5 Seconds of Summerがアナウンスされている。 (参考:アデルは“無敗伝説”更新し、ビヨンセは“ディーバ”の実力見せたーーグラミー賞授賞式を観て)  ファンの声を拾ってみると、フジロックが優勢という意見も多いが、両フェスのブッキングにはどんな狙いがあるのか。日本のフェスティバル事情に詳しく、当サイトではフェスを巡る様々な状況をルポタージュしてきた「フェス文化論」も連載する音楽ジャーナリストの柴 那典氏は、次のように分析する。 「サマソニのラインナップについて、昨年のヘッドライナーがRadioheadだったということもあり、カルヴィン・ハリスがヘッドライナーでいいの? という声も散見されます。しかし、2015年に出演したゼッドが、その年のヘッドライナーだったThe Chemical Brothersとファレル・ウィリアムスを上回る1番の盛り上がりを見せたという事実を無視するわけにはいかない。カルヴィンはここ数年でトップクラスのDJで、数万人を盛り上げる世界的なヒット曲も数多く持っているし、昨年の『Coachella Valley Music and Arts Festival』でもヘッドライナーを務めたりと、その実力は十分です。そういう現在のポップ・ミュージックのメインストリームでトレンドであるアーティストをヘッドライナーとして呼ぶというのが、現在のサマソニのフェスのコンセプトでもあり、そことの親和性も高い。現在は他のDJ・ダンス系のアクトが少ないため不自然に映るかもしれませんが、サマソニは毎年ヘッドライナーの音楽性に連なるラインナップを並べてくるため、今後はもっとDJ・ダンス系のアクトが追加されるでしょう。個人的には今年のコーチェラでもかなりいい位置でラインナップされているPORTER ROBINSON & MADEONの出演に期待しています。そして大きなトピックはピコ太郎。プロデューサーの古坂大魔王は去年のサマソニで僕と『WOWOWぷらすと』会場生中継番組の司会をつとめていました。その経緯もあって彼のプロフィールにはデビュー時から『目指せ紅白歌合戦とサマソニ』と書かれていたわけです(参考:http://realsound.jp/2016/10/post-9677.html)。その2つの夢を実現させたことについては、心からおめでとうございますという気持ちです」  また、柴氏は、ここ数年のサマーソニックのブッキングに関して一つの課題を指摘する。 「メインアクトには文句ないのですが、現時点では、その脇を固めるアーティストの期待感がそこまで高くない。実はこれ、過去の新人フックアップがあまり効果的に機能していなかったことの蓄積が今に至っていると言えると思います。ただ、これはサマソニ側の責任というより、フェスが力を入れて新人発掘をしていたUKやUSのロックシーン自体に力がなくなってしまったことが大きい。オフィシャルHPで『イチ早く世界のニューアクトをお届けするフェス』と謳っていながらも、ここ5年ほどはMARINE STAGEで1番手を担ってきた新人ロックバンドが、その後世界的なブレイクまで繋がっていないのが象徴的です。その一方、ここ数年で世界の音楽シーンの潮流を担うようになったブラック・ミュージック勢を『いち早くお届けする』ことは出来ていなかった。具体的に言えばケンドリック・ラマーやフランク・オーシャン、ザ・ウィークエンドを5、6年前に招聘することができていたら状況は違っていたかもしれません。過去にはSigur RósやColdplay、Arctic Monkeysなどを早めに抜擢し、昨年のMOUNTAIN STAGEでは、CASHMERE CATやMØといったポップ・アクトを出演させていたので、サマソニの大きな魅力が新人勢のブッキングにあることは間違いない。だからこそもう少し手腕を発揮していただきたいし、そこには大きな期待をしています」  続いて、フジロックの今後のラインナップに影響を与えるであろう、あるイベントの存在についても言及する。 「フジロックの出演アーティストは、よくこれだけのメンツを揃えられたなというくらいバランスがいいですね。Aphex Twinとビョークという日本でも人気の高いオルタナティブ・ミュージックのベテラン勢をヘッドライナーに据え、エレクトロニック・ミュージックの現行シーンの趨勢を担う面々を並べた。良いと思います。もともとフジロックが参考にしている『Glastonbury Festival』がRadioheadやFoo Fightersをヘッドライナーに据えるなど『ロックバンド回帰』の傾向にあるのとは対照的ですが、それでも順当なラインナップといえます。一部でAphex Twinがヘッドライナーを務めることに否定的な意見も見られますし、彼はトリックスター的なアーティストなので、数万人を満足させるようなパフォーマンスをするかどうかは蓋を開けてみないとわからないのですが、そもそも彼自身あまりライブを行なっていないため、貴重な機会とみていいのではないでしょうか。そしてもう一つ大事なポイントがあります。それは昨年から開催され、フジと同日の3日間にアメリカのニューヨークで行なわれる『Panorama Music Festival』です。同フェスは、フランク・オーシャン、A Tribe Called Quest、ソランジュなど、まさに今のUSシーンを代表するような強力なアクトが並んでいる。おそらくフジロックは今年からブッキングのハードルが相当上がったんじゃないかと見ています」  さらに柴氏は、フジロックにおけるアーティストのフックアップ力についても以下のように評価した。 「フジロックに関して、最大の強みはヘッドライナーの次でしょう。The xx、LCD Soundsystem、Major Lazerは他フェスではヘッドライナーに匹敵するアクトです。前述した『Panorama Music Festival』などの存在を考えると、彼らのようなアクトが他のフェスではなくフジロックを選んだということに大きな意味がある。その背景には、フジロック自体がThe xxやLORDEを早くからフックアップし、フェスとそのオーディエンスとアーティストが関係を結んできたという実績が大きい。今年のラインナップで言えば、サンファやThe Lemon Twigsもまさに旬といえるアーティストですし、その力はまだ健在であることを思い知らされましたね」  毎年、オルタナティブミュージックとメインストリームの音楽といった、その年ならではのラインナップで彩ってきた両フェス。今年の両フェスがフックアップするアーティストや、それぞれ残り1つのヘッドライナー枠への期待は膨らむばかりだ。 (リアルサウンド編集部)

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