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「ローチケ騒動」が教えてくれたもの 炎上の“火付け役”は誰か

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2017/09/20
「ローチケ騒動」が教えてくれたもの 炎上の“火付け役”は誰か: ローチケのリリース © ITmedia NEWS 提供 ローチケのリリース

 先日、「ローチケHMV」(以下、ローチケ)を巡って騒動が起きました。Twitterでの「チケットが勝手にキャンセルされた」というつぶやきがネット内を駆け巡り、領収書やメールのスクリーンショットなど、いくつかの“証拠”が公開されました。

 ローチケは、早い段階でかなり強めの否定リリースを出しました。各種報道が過熱する中、結果としてローチケ側は「キャンセルの事実はない」と発表し、当初Twitterで「チケットがキャンセルされた」と主張していた方も「先方様とお話し合いの末、見解の相違がありました」と投稿し、玉虫色ながら解決へと向かいました。

 この事件そのものに関してはコメントを控えますが、「この件は無関係の第三者(つまり、私たち)がそこまで騒ぐべきものだったのか」という疑問は浮かびます。もちろん、うそは良くないですし、本件は企業に対する偽計業務妨害に相当する事件だったかもしれません。

 しかし、それはローチケと当事者の問題であり、それ以外の人があえてSNSという「メディア」を使い、大きな声で言及すべきものだったのかは分かりません。特に、事件が一段落したあとの個人攻撃に近いリプライの応酬は、見ていてつらいものがあります。

●本来、「批判」は難しい

 今回の事件に対する反応は、当初ローチケ側への非難が多かったような気がします。個人的にもローチケで「ご用意できませんでした」というメールを多数いただいており、ローチケを攻めたくなる気持ちも分からなくはありませんが、領収書やメールが「公開された」という事実だけを見ると、これはローチケ側に非があると考えていまいがちです。

 ローチケ側は、メールの文面がおかしい上に「メールの画像も拝見しましたが、弊社のメールの体裁とは違うように思います」とコメント。その後は手のひらを返したように、矛先は個人へと向かいます。

 本来、ある出来事に対する批判はとても難しいものだと思います。批判するためには、前提となる情報を広くおさえ、客観的な判断をした上で、淡々と事実のみを指摘するということが必要だと私は思っています。今回の内容は批判というより「攻撃」になっており、あやふやな前提条件の上で、声が大きそうな側に乗っかっているだけに見えました。あえて言えば、自分の達成感のために「正義感を振りかざす」という行為です。

 SNSとは、第三者が上から目線で石を投げることもできてしまいます。正義感を振りかざすには大変いい道具であるため、何か事件が起きると、このような行為が見受けられることが多くなってしまいました。

●何気ないひと言が「世論」に

 そして、その振りかざした正義感が、“誰か”に勝手に使われることも増えたと思います。

 最近、TogetterなどのSNSまとめツールを見ると、まとめ記事タイトルに「誰かが書いたある事実」+「Twitterの反応1」+「Twitterの反応2」というテンプレートが、とても多くなったと思いませんか。

 例えば、「新型iPhoneにひっそりと搭載された驚きの機能 『これは意外』『便利すぎる』」といったものです。情報は最初の1ツイートだけで、あとは単なるひと言反応だけ。情報源であるツイートは、大体すでにリツイートで回ってきているものだけで、それ以上の有用な情報がないことがほとんどです。

 タイトルの後半にあるひと言反応は、Twitterを検索して見つけた、まとめ主に都合のいい反応をピックアップしています。iPhoneの話程度ならばいいですが、これが政治的な話や、センシティブなお話だったとしたらどうでしょうか。

 あなたがSNSで正義感を振りかざすとき、特にマイナス方向の「批判」であれば、書く側は正義を振りかざせるのでスカッとします。でも、それが誰かの「お金」になっているとしたら、どうでしょうか。

 アフィリエイトの種として、あなたの正義感が世論として都合よく使われる。そのまとめ記事を見た人が、あなたを攻撃してきたら……。後々のトラブルを考えると、SNSに投稿し、誰かに恣意的にピックアップされることは、もはやほとんどプラスになりません。

 はるか昔、PCのウイルスは「こんなこともできるんだ、すごいだろ?」という「自己顕示欲」を満たすものでした。しかし今では、ランサムウェアなどのように、明確に「金銭目的」になりました。まとめサイトも広告収入という「金銭目的」で動いているものが多いです。振りかざした正義感が、誰かの収入のためにいいように使われるのはあまり面白くないですよね。

●「炎上に加担しない」という選択

 利用者が増えるにつれて、SNSの使い方も変わってきました。もはや、SNSにおける会話は「誰もが聞くことができ、簡単に拡散できる世間話」。こうなると、私たちは「日々感じたこと」を記録するのではなく、その中でも「SNSに投稿できるもの」だけを投稿すべきです。

 例えば、美術館や博物館などは、写真撮影もOKというレギュレーションが増えてきました。しかし、撮影していいということと「SNSでシェアしていい」ことは同義ではありません。その間には、ルールやマナーの問題があるはずです。

 おそらく、皆さんの中にある正義感も一緒で、正義感を覚えた瞬間に投稿するのではなく、どこかで線引きをすべきなのではないかと思います。これは多分、ビジネス会話では「宗教・政治・野球の話題は避けろ」というようなものに近いと思っています。

 炎上しそうなニオイを感じたら、そこには加担しないという選択もできるはず。SNS世界の寛容さが失われつつある今、「そこに正義を感じたら、投稿をやめる」ということを私は心掛けています。もしかしたら、“誰も傷つけない”という前提で、もっとどうでもいいことにSNSを使ってもいいのではないでしょうか。どうしても記録したいなら、プロテクトした「鍵アカ」、もっと言うなら「自分しか見えないアカウント」を作るのもアリでしょう。

 そして私は最近、こう考えています――楽しかったSNSにおいて、あなたの正義感をくすぐり拡散させ、ネット上の世論をコントロールしようと、あなたにキラーパスならぬ「キラートス」を送って来るのは、一体“誰”なのか。いま一度確認してみてください。そろそろSNSの炎上事件における「そっとしておいても問題にならない問題発言を最初に見つけ、火を付けた張本人」にも注目すべきときかと思っています。

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