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「五日物語-3つの王国と3人の女-」【今週末見るべき映画】

エキサイトイズム のロゴ エキサイトイズム 2016/11/23

雑誌「暮しの手帖」の元副編集長で、映画ジャーナリストの二井康雄さんが、多くの映画の中から「今週末見るべき映画」をレビューします

 おとぎ話には、残酷な話もあるが、人間の本質を見事に言い当てていたり、人間の限りない想像力がふくらんだ、おもしろい話が多い。

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 艶笑に満ちたボッカチョの「デカメロン」などが、読み継がれているのも当然だろう。「デカメロン」は、14世紀なかばのペスト流行の折り、男性3人、女性7人の10人が、10話ずつの全100話の艶笑話を語ることから「十日物語」といわれている。1600年初頭、「ペンタローネ 五日物語」もまた、昔話を好んだ王妃のために、タッデオ太公が10人の女性に、読み聞かせるよう命じた物語である。1日に、それぞれ10話。5日間で全50話である。

 この「五日物語」の50の話のなかから、3つの話を基にした映画が、「五日物語-3つの王国と3人の女-」(東北新社配給)だ。今年の東京国際映画祭で特別上映されたので、ご覧になった方も多いと思うが、これがコクがあり、おどろおどろしさたっぷり、見事な出来映えである。3つの話に共通するテーマは、女性。世に、いろんな女性が存在するが、映画では、不妊の女王、大人の世界にあこがれる王女、老婆の姉妹が登場する。サブタイトルは「3人の女」とあるが、これはまあ、3つの話の舞台となる3つの王国とのからみでの命名と思う。

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 不妊の女王は、怪物の心臓を食べる。もとの話は「魔法の牝鹿」。大人の世界にあこがれる王女は、王の判断でオーガ(鬼)と結ばれる。もとの話は「ノミ」。老婆の姉妹は、好色な王に美しい声を聞かれ、若さと美貌を取り戻す。もとの話は「生皮をはがれた老婆」。映画では、この3つの話が、入れ替わり立ち替わり、出てくる。ときには、シンクロしながら。

 ファンタジーである。だから、肩の力を抜いて、楽しめる。人間の限りない想像力の産物である物語に身を委ね、「ほほう」とうなずけばいいのである。

 映画は、絢爛たる絵巻物を見るよう。いささか残酷な描写もあるけれど、ことごとく美しい映像が連続する。計算された背景、色彩、構図、衣装。

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 いまどき、このような映画が作られるとは。うれしい限り。製作、監督、共同脚本は、イタリアのマッテオ・ガローネ。画家を志したことがある。すでに「ゴモラ」や「リアリティー」といった傑作を撮っている。この作風からみると、マッテオ・ガローネが「ペンタローネ」を撮るのは必然のように思う。

 個性豊かな俳優が集まる。「フリーダ」のサルマ・ハエック、最近では「ジェイソン・ボーン」に出ていたヴァンサン・カッセル、脇役ながら主役を食うほどのトビー・ジョーンズ、ジョン・C・ライリー。俳優たちは、時代がかった大げさな衣装で、さも楽しそうにおとぎ話を演じて、役者冥利に尽きるようだ。ことに3つの国の国王を演じるヴァンサン・カッセル、トビー・ジョーンズ、ジョン・C・ライリーのそれぞれの「王様ぶり」は、見ものである

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 人間の欲望は限りない。悪への道は歩きやすい。男も女も、老いも若きも、栄光を夢見る。しかし、世界は因果応報である。映画版「五日物語」は、物語そのものをを楽しみながら、一種の人生訓を得ることでもあるだろう。

●Story(あらすじ)

 ロングトレリス王国の女王(サルマ・ハエック)は、不妊に悩んでいる。魔法使いのお告げが出る。王様(ジョン・C・ライリー)の命と引き替えになるが、竜のような怪物の心臓を蒸して食べると、子どもが出来るとのこと。女王は、男の子を生む。美男子である。王女は、成長した王子をいずれ国王にと思っている。ところが、おなじ怪物の心臓料理を料理した下女もまた、男の子を産む。王子と下女の息子は、仲良しになり、成長する。王女は、はやく王子を王様にしたいようで、ふたりが仲良くするのが気にいらない。そこで……。

 ハイヒルズ国の若い王女は、おとなの世界にあこがれている。ノミを大きく育てることに執念を燃やす国王(トビー・ジョーンズ)は、王女を可愛がるあまり、お城の外に出してくれない。それでも、王女の外の世界へのあこがれは募るばかり。国王が王女の結婚相手を選ぶことになる。なんと、サーガと呼ばれる鬼である。鬼の住処は、今までのお城の生活とは大違い。王女は、なんとか鬼の住処を抜け出そうとするのだが……。

 ストロングクリフ王国の国王(ヴァンサン・カッセル)は、好色である。人目を避けて、暮らす老婆の姉妹がいる。姉の声が、とてつもなく美しい。ある日、国王が老婆の姉の声を聞き、美しいのは声だけでないと思ってしまう。そこに奇蹟が起こる。姉は、すっかり若くて美しい女性に変身する。姉は国王に気に入られ、妃となる。すっかり見捨てられた形の妹もだまってはいない。姉のように、若さと美貌を手に入れようとするが……。(文・二井康雄)

<作品情報>

『五日物語—3つの王国と3人の女—』

(C)2015 ARCHIMEDE S.R.L.-LE PACTE SAS

2016年11月25日(土)、TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国ロードショー

公式サイト

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