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「利益よりもユーザーを最優先」 Tencent・QQ事業のトップに聞く

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2014/06/18 ITMedia
「利益よりもユーザーを最優先」 Tencent・QQ事業のトップに聞く: Tencentでシニアエグゼクティブ・バイスプレジデントを務める湯道生氏 © ITMedia 提供 Tencentでシニアエグゼクティブ・バイスプレジデントを務める湯道生氏

 メッセージングツールである「QQ」や「WeChat」などでユーザーの高い支持を集め、今や中国インターネット企業の最大手と呼ばれるまでになったTencent。前回の記事では、深セン本社への取材などから同社の素顔を紹介した。

 今回は、QQ事業の統括責任者である湯道生(Dowson Tong)シニアエグゼクティブ・バイスプレジデントへのインタビューをお届けする。Dowson氏は、ミシガン大学およびスタンフォード大学での留学を経て、米Sendmail、米OracleといったエンタープライズIT企業で長らく勤務した経験を持つ。

●積極的な先行投資

――2005年にTencentに入社してから、これまで取り組んできたことを簡単に教えてください。

 Tencentには、主に製品プラットフォームや技術開発の面で責任を持つ立場として入社しました。当時の課題として、ネットワークの遅延などによるユーザーからの不満がありました。この問題を技術的にどう解決するかが最初に取り組んだことです。また、サービス面では、ソーシャルネットワーキングサービス「QZone」をゼロから立ち上げました。

 その後、ソーシャルネットワーキングプラットフォームおよびオープンプラットフォームの責任者となり、現在に至ります。

――社員の半分がエンジニアだと聞いています。Tencentの技術的な強みは何ですか。

 端的に言うと、アイデアを実現できる技術力でしょうか。たとえ優れたサービスのアイデアがあったとしても、それを実現できないと意味がありません。実現する上で必要なのが技術です。Tencentは、そのために技術者を数多く採用するとともに、技術力を高める努力を惜しみません。例えば、社員教育機関である「Tencent Academy」でも技術力を高めるトレーニングや、技術のノウハウ伝承のための講義などを用意して、技術者の育成に力を入れています。

 Tencentのサービスは、インターネットだけでなく、さまざまな領域の知識や技術が求められます。こうした技術があるからこそソリューションを生み出せるわけですし、ユーザーが抱えるさまざまな問題を解決できるのです。

――サービスを支えるシステムへの投資はどのくらい行っているのでしょうか。

 年間で数十億元を投資し、その額も増え続けています。投資に対する考え方としては、既に起きている問題を解決するためでなく、新たな技術に先行投資することで、一歩先を見据えたソリューションをあらかじめ構築しておくという具合です。

 具体的には、ネットワークなどインフラへの投資を積極的に行っています。QQをはじめとするTencentのサービスの強みの1つは、データ転送に関する技術だと考えています。音声や写真、映像など大容量データのファイルをスピーディーに送信できる点をユーザーに高く評価されており、その結果、コンシューマーユースだけでなく、企業でのビジネスコミュニケーションツールとしても活用されています。

●不変的な「ユーザー志向」

――直近の決算発表(2014年第1四半期)で、売上高は184億元(約2944億円)、純利益が前年同期比で60%増の64億6000万元(約1033億6000万円)と、大幅な伸び率となりました。この要因は何でしょうか。

 まずは、中国のインターネット市場全体の成長が大きいです。特に、スマートフォンやタブレット端末などモバイルデバイスの需要が急速に高まっています。いまやインターネットは中国人の生活の深い部分にまで入り込んでいます。

 そうした中、Tencentのビジネス領域では、スマートフォン向けゲーム事業が大きく伸びていて、売り上げ全体の大半を占めています。また、今後は、O2O(Online to Offline)や第三者決済サービス「財付通」(テンペイ)に力を入れていくことで、これらの事業を伸ばしていきます。

 O2Oに関しては、すべてを自社でやるのではなく、パートナー開拓を進めていき、連携することを検討しています。Tencentにはプラットフォームやユーザーが存在するので、その上でビジネスを拡大できるようなパートナーと組む方が賢明だと考えています。また、パートナーシップは中国企業に限らず、海外企業も想定しています。

――QQは、月間のアクティブアカウント数が8億4800万人、同時オンライン数が2億人以上と、巨大なサービスです。これほどまでに成長できた理由は何ですか。

 QQは、中国のインターネットがまだ発達していない1998年にスタートしました。従って、QQの発展は中国のインターネットの発展と言ってもいいでしょう。その過程において、QQの責任者は何人も入れ替わりましたが、1つだけ変わらなかったことがあります。それは、ユーザー体験を最優先にするということです。QQが成功した大きな理由は、中国のユーザーの声に耳を傾け、ユーザーの体験を大事にしてきたからです。

 ユーザーニーズは常に変わり続けています。それに応じてどのようなサービスを提供するかが重要であり、そのためにはユーザーが何を求めているかを理解しなければなりません。現在のQQのユーザー数や売上高といった数字はあくまでそうした取り組みの結果に過ぎません。ただ逆に言えば、ユーザーが満足する成果を出せば数字は伸びるのです。そうした意味で、Tencentは利益よりもユーザーを志向していると言えるでしょう。

 これまでQQはPCでの利用がメインでした。今後はモバイルにステージが移ります。実は、QQでは、SMS(ショートメッセージサービス)とIM(インスタントメッセージ)の連携など、10年以上前からモバイルにもサービス対応しています。創業以来、QQが大切にしてきたのは「人と人とのつながり」です。そのために、PCやモバイルなどマルチデバイスにいち早く対応し、自宅でもオフィスでも街中を歩きながらでもQQを利用できる環境を作っているのです。

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