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「夜は短し歩けよ乙女」の重要な舞台となった納涼下鴨古本市って? 黒髪の乙女はいるの??

エキサイト Bit のロゴ エキサイト Bit 2017/05/13 まめこ
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星野源が「先輩」役の声をつとめていることでも話題のアニメーション映画、『夜は短し歩けよ乙女』。夜の鴨川や木屋町界隈、『月面歩行(ムーンウォーク)』というバー、『料理旅館鶴清』などなど、 実在の場所や店が舞台となっているのが京都好きにはたまらない魅力となっている。

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なかでも、重要な舞台となっているのが、毎年8月11~16日に世界遺産・下鴨神社境内に広がる糺の森(ただすのもり)で開催される「下鴨納涼古本まつり」だ。なんと今年で30回目を迎える京の夏の風物詩ともなっている催しで、「五山の送り火」と時期がかぶることもあり、帰省した人や観光客のひそかな楽しみともなっている。

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屋外ということもありいわゆる稀覯本は少ないものの、とはいえ、その数は約80万冊以上!! 本好きにとってはまさに夏の野外フェス!!ともいえるこのイベント、いつ頃から始まったのだろう?

「京都古書研究会」代表の津田書店さんに歴史や、京都人と本との関係などお話をうかがってみた。

30年前は意外とマイナーだった下鴨神社

「京都古書研究会は今年で40周年を迎えるのですが、この市の開催は当会の発足後、10年目からです。当時から上賀茂神社は有名でしたが、下鴨神社はいまほど一般的に知られていなかったんです。糺の森でも、鏑流馬(やぶさめ)などの神社主催の行事以外は行われていませんでした。そこで、話を持っていったところ実現したと聞いています。神社としても賑わいがある方が良いということで、古本市だけでなく、10年ほど前からは手づくり市も開かれるようになったんですよ」

なるほど、そういうきっかけがあると足を運びやすくなりますもんね! 宗教への関心が希薄な人が増えた現代、神社仏閣を身近に感じてもらえるという意味でも有意義なイベントなのかもしれない。

古い寺社が残る京都は希少な本が出やすい土地柄

それにしても、30年も続いているのはすごいですね。京都人は他より本好きとか、そういう県民性のようなものはあるのでしょうか? 

「一般的な京都人が、他の地域より本好きということは特にないと思います。ただ、京都には大学が多く、本を必要とする学生が多い土地柄ということは背景にあると思いますね。あとは、京都は良い本が出てくる土地柄なんですよ。戦災を逃れていますし、お寺さんも多いので、たとえば江戸時代等の貴重な本が出てくることも他より多いということはあるかもしれませんね」

無心に本を探す「黒髪の乙女」の姿も!

なお、京都古書研究会では春と秋に屋内での即売会も開催しているのだが、そちらに比べると下鴨は古本マニアというよりは、もうすこしライトな本好きといったお客さんが多いそうだ。ということは、映画に登場したような若い女子=「黒髪の乙女」的な人もけっこういるのだろうか?

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昨年の模様を撮影した写真には、乙女の皆さんもちらほら(去年の様子から)。古本好き=年配の男性が多いイメージがあるが、夏らしい浴衣姿の乙女もいたりして、森を背景に絵になります。

「森の中なので、街中より体感温度が2~3度低いんですよ」と津田さん。

私も実は何度か訪れたことがあるのだが、木陰はそこら中にあるし、小川も流れているので時折吹く風が心地いい。かき氷やビール、冷やしカレーうどんなどのフードもあるのでお祭り気分で楽しめる。

児童書コーナーや街頭紙芝居で童心に返ってみる

なお、特におすすめのコーナーなどはあるのでしょうか?

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「毎年、各店が力を入れているのは児童書のコーナーですね。『子供の頃から本好きに』という願いを込めて、各書店が1年かけて集めた在庫を大放出しています。幼稚園や小学校の関係者に、前年秋のチャリティーで集まった資金を10万円の金券として還元するようにしているのですが、それ以上にまとめ買いしてくださることも多いんですよ」

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ほか、昔懐かしい「街頭紙芝居」や「絵本読み語りライブ」など、子どもたちが喜びそうな催しも!夏休みの貴重な1ページになりそうですね。

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映画中で、黒髪の乙女が探していたのは、こちらの実在の絵本で『ラ・タ・タ・タム―ちいさな機関車のふしぎな物語』(岩波書店)ペーター・ニクル(著)、ビネッテ・シュレーダー(絵)。

単に「同じ本」というのではなく、自分の名前が入った「大好きだったのに、手放してしまった本」にもう一度出合うというところがストーリーを盛り上げるポイントとなっている。観賞後に探して読んでみるのもおすすめ!

右は映画を観賞するともらえる、原作者・森見登美彦氏によるスピンオフ短編小説「『乙女』から『先輩』への手紙」。

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こちらは昨年のチラシと、来場するともらえるうちわ。

30回目を迎える今年夏は記念すべき節目

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ポスターやチラシ、パンフレットといった紙ものも充実しているので、タイムスリップしたような気分で夢中になってしまうはず!

今年も8月11日~16日に開催されるが、記念すべき節目の年ということもあって新たな試みも企画中だそう。

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なお、帰りに本を抱えてぜひ寄りたいのが糺の森からもほど近い、映画中にも出てきた大正2年(1913)創業のブーランジュリー&カフェ「進々堂 京大北門前」店。入口のフランス語、「BIENVENUE」は英語のwelcomeの意味で、京都にあってパリの香りが漂う。

パンのショーケースの台座に「学問は自己を超越する」という意味のフランス語がタイルでつづられていたりと、まさに京大の教授や学生の憩いの場にふさわしいアカデミックな雰囲気。

と、そんなわけで知る人ぞ知る、「納涼下鴨古本市」の世界をご紹介した。作中では少年のような姿をした「古本の神様」が登場し、 本と人の出合いを助けるために活躍する様子が描かれていたが、神秘的な森の中ならそんな奇跡も起こりそうな予感。皆さんも、思いがけない出合いをうっすら期待しつつ足を運んでみてほしい。

(まめこ)

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