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「山崎」も300円で飲める!「宅飲み酒場」の原価率は50%超え

エキサイト Bit のロゴ エキサイト Bit 2017/01/12 寺西ジャジューカ

『サザエさん』で、波平とマスオって仕事帰りに毎日のように飲みに行ってるじゃないですか? あれを観て思うのは「この人たち、どんだけ金持ってるんだ?」という羨望の気持ちでした。だって、飲み代ってメチャメチャ馬鹿にならないから!

レアなお酒が揃い、すべて300円で提供

昨年11月にオープンした宅飲み酒場「アヤノヤ」(東京都品川区)は、なんと「フードメニューなし」「持ち込み自由」「飲みもの全品300円」を謳っているそうです。

これは気になる! というわけで実際にこのお店へ行って、そのシステムを実体験してみました。

こちらは、店主の西田彩乃さん。まず、手元に資金として40万円を用意し、クラウドファンディングで100万円を得て、公庫からの融資等を含め440万円ほどでこのお店のオープンに漕ぎ着けたそうです。

まず、注目したいのは「飲みもの全品300円」というポイントでしょうか。

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ところで、このお店ってどんな飲みものがあるんでしょう?

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いきなり目につくのは、やはり「山崎」。これが、300円で飲めるんですか……。

「普通、300円で『山崎』は出さないですよ! あと、芋焼酎で女子にオススメするとしたら『くじら』と『海』があります。私の一番好きな焼酎『赤兎馬』もだし、長崎県の『泥龜』もあります。『富乃宝山』は黄こうじなんで、フルーティで女の子も飲みやすいです」(西田さん)

ところで、やっぱりビールはよく出ますか?

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「もちろんビールも出るんですが、このお店はビール以外にもおいしいお酒がいっぱいあります。結局、おいしいお酒がビールしかないからビールを飲む人が多いわけじゃないですか? 普段飲めないお酒が、ウチには必ずあるんですよ」(西田さん)

そんないいお酒が、この店では300円。同店、メニューは原価率50%を超えているそうです。

「FL(食材費と人件費)にこそお金をかけるべきで、お金をかけたくないのが固定費だと私は思ってるので、この価格設定でもやっていけます。ちなみにFは27%、Lを34%に抑えるのが普通です。でもウチの店は、他に余計なお金を使っていません」(西田さん)

広告費ゼロ! SNSで飲食業界人が拡散してくれる

西田さんが“余計なコスト”だと考えているのは、求人費、広告費、クリーニング代といったもの。では、この辺りをどうやって節約しているのか?

「例えばこの店はワンオペで、私一人でやります」(西田さん)

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なるほど。ならば、求人費が発生することは無さそうだ。

じゃあ、広告費はどうやって節約している?

「『私はこんな飲食店をやりたいんだ!』ってSNSに毎日書いてたら、飲食店経営者やフードライターの人たちの目に留まって、その人達が拡散してくれているんです。その方々は友達が1000~5000人いる人ばかりなので、一気に広がっていきます」(西田さん)

あと、実はクラウドファンディングで出資を募った際、10万円以上の出資者へは「5年間飲み放題」というリターンを設けたそうです。

「その人達は5年間この店が続かないと10万円分損するじゃないですか? だから、無償で必死にSNSでシェアしてくれます(笑)。ウチの店はワンオペレーションですけど、サポーターはいっぱいいるんです」(西田さん)

また、お店に来た人が店内の様子を拡散したくなるよう、意識して内装を整えたとのこと。

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「リビングみたいなお店にしたかったんです。リビングって家族が集まる場所であり、みんなが好き勝手にできる空間ですよね。勉強してる人がいれば、ごはん作ってる人もいて、気付いたらみんなリビングに集まってる。そんな場所にしたいなあと思って」(西田さん)

内装は、クロス以外のほぼ全てを家族の協力のもとDIYで完成させたとのこと。そして、まだまだ他にも工夫があります。

「店内の照度は、SNSの拡散を意識して決めました。店の中が明るい方が、撮影する時にピントが合うじゃないですか? 綺麗な写真を撮れたから拡散したくなるんですよ」(西田さん)

商店街を“専属シェフ”と呼んでいる

気になることが、もう一つあります。どうして、「フードメニューなし」を高らかに宣言しているのだろう?

「私は自分のごはんを作る程度の料理の腕はあるんですが、お客さまにお出しするほどのものは作れないので(笑)。『私が適当なごはんを作るくらいなら、近くの商店街においしいものいっぱいある』と考えました。あと、『この店ができて商店街が潤ったね』って地元の人に言われたいじゃないですか?」(西田さん)

このお店が居を構えるのは、中延駅近くの「なかのぶスキップロード商店街」。ここには、たしかにおいしそうな飲食店がたくさんあります。

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「私はインターネットで宣伝活動をしているから、よそから来るお客さんには『チャージ料はないけど、代わりに電車賃がチャージ料だよ』って言ってるんです。中延以外の場所から来た人がここで何か買ったら、商店街に新しい客層ができますもんね」(西田さん)

お店へは特に串焼き、から揚げを持ち込むお客さんが多く、時には商店街で買ったお弁当を持ってくるお客さんもいるとのこと。

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「商店街を、ウチの“専属シェフ”って言ってるんです。和洋中、何でもいけますよ!」(西田さん)

一日3品頼む常連さんがいてくれればやっていける

なるほど、だいたいわかりました。削れる費用はとことん削り、提供するメニューの価格をできるだけ良心的にした結果が同店のシステムのようです。

「1人のお客さまが一日3品頼んで900円。それで週4で来てくれる常連さんがいてくれれば、お店はやっていけると考えています」(西田さん)

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このお店をオープンする前、西田さんは「ダイヤモンドダイニング」という飲食業の会社に所属していたのだそう。当時は入社一年目で社内の敢闘賞とMVPを受賞し、22歳で店長にまで上り詰めた実績を持っています。その経験を踏まえ、「飲みもの全品300円」で回せていく算段は付いている模様。事実、記者がお店に行った日に「山崎」を2杯飲んだお客さんは600円ぽっちを払って帰っていきました。「山崎」をゴクゴク飲んで、それだけ!? 驚愕ですよ!

「『求人費』と『広告宣伝費』が高すぎる。それをお客様還元すれば原価率など気にせずとも利益は出るはず」

長年飲食業に携わってきた中で西田さんが抱えていた疑問を工夫で乗り越え、結果的にお店のシステムはこうなりました。それにしても、「山崎」が300円で飲めるとは……。

(寺西ジャジューカ)

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