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「数」よりも「価値」――中国Huaweiが考えるPC事業の可能性

ITmedia PC USER のロゴ ITmedia PC USER 2017/08/25
「数」よりも「価値」――中国Huaweiが考えるPC事業の可能性: HuaweiのPC事業について熱く語る万彪(ワン・ビャオ)コンシューマービジネス担当COO © ITmedia PC USER 提供 HuaweiのPC事業について熱く語る万彪(ワン・ビャオ)コンシューマービジネス担当COO

 中国Huawei(華為技術)といえば、モバイルデータ通信機器やスマートフォンの分野で高い知名度をほこっている。同社は2016年2月、2in1タブレット「MateBook」でモバイルPC事業に本格参入を果たした。2017年5月にはクラムシェル型ノートPC「MateBook X」「MateBook D(日本未発売)」も投入し、そのラインアップを確実に広げている。

 スマホやタブレットの普及とPCそのもののコモディティ化(日用品化)によって、PC市場の競争環境は厳しさを増す傾向にある。そんな中、Huaweiはスマホやタブレットの世界からあえてPCの世界に参入した。そこにはどのような狙いがあるのだろうか。そして、これからどのような事業戦略を描いていくのだろうか。

 コンシューマービジネス事業担当COO(最高執行責任者)を務める万彪(ワン・ビャオ)氏が、日本メディアとのグループインタビューでPC事業の戦略を語った。

●PC事業に参入したのは「オールシーンのスマートライフ」を提供するため

―― HuaweiがPC事業に参入した理由を改めて聞かせてください。また、目標があればそれも教えてください。

万氏 非常によく聞かれる質問です。

 理由の1つとしては、PCは現代の人々にとって欠かせないツールとなっていることが挙げられます。特にビジネスシーンにおいては、オフィスでPCなくして仕事を進めることはできません。また、AI(人工知能)などの新技術がPC業界に新たな活力を注ぐとも考えています。

 現在のPC市場に元気がないのは、長らく(PCそのものにおける)イノベーションが少なく、消費者側でも購入意欲の減退が発生したからであると考えています。購買意欲を刺激するような製品が出てきていないことが大きいのです。

 弊社は「オールシーンのスマートライフ」を提供することを目標に掲げています。(その目標に基づいて)まずはスマホがあって、ビジネスシーンではPC、エンタテイメント(娯楽)ではタブレットがあり、家の中にはスマートホームシステム、自動車には車載システムを用意しています。

 私達はまだ(PC業界では)新参者です。ですから「業界○位になる」といった目標は掲げていません。今やるべきことは、しっかりとした製品を作り、ユーザーエクスペリエンス(UX)を向上させて、継続的にイノベーションを起こし続けることです。一歩一歩、着実に歩みを進めていきたいと思っています。

●MateBookのLTEモデルは「予定あり」

―― MateBookについて、SIMカードの入る「LTE(モバイル通信対応)モデル」を期待しているユーザーも少なくないと思います。リリースの予定はないのですか。

万氏 (LTEモデルを用意する)予定はあります。現在、社内では計画を立てているところです。

 PC製品については、ユーザーに“極上の体験”を与える革新的なものを提供することを目標としています。今後も、数を出すこと(出荷台数)を追い求めるのではなく、あくまでプレミアム(高付加価値)路線にフォーカスして、1つ1つの製品を「極めた」とものとして世に送り出したいと考えています。

―― Microsoftの「Always Connected PC(常時接続PC)」構想(参考記事1/2)において、最初に製品を作るメーカーとして名乗りを挙げていました。2017年秋から順次製品が出てくると思うのですが、情報にアップデートがあれば教えてください。

万氏 PC製品では、Microsoft Windowsを切り離すことはできません。MicrosoftがWindowsに新機能を追加した場合、弊社の製品もその新機能に対応することになります。Always Connected PCについても、導入する予定があるのは間違いありません。

●バッテリー品質は「生命線」 PCは「ビジネス向け」に注力

―― 日本のPCメーカーでは、ノートPCのバッテリー持ちの測定にJEITA(電子情報技術産業協会)の定めた「JEITA 2.0(JEITAバッテリ動作時間測定法 Ver.2.0)」というものを採用しています。Huaweiでもこの測定法を採用してカタログに明記すれば、他社とのバッテリー持ちを比較しやすくなると思うのですが、いかがでしょうか。

万氏 PCのバッテリー品質は、弊社にとっての「生命線」と捉えていて、非常に重視している部分です。各国に出荷する際には、ローカルの標準規格に合わせて試験もしています。弊社でも、JEITA 2.0をベンチマークとして取り入れたいと考えています。

 MateBook Xはファンレス構造を採用しながら、(最上位モデルでは)Intel Core i7プロセッサを搭載しており、消費電力面や放熱面でも非常に工夫が施されています。

―― 先ほどVRやARの話がありましたが、現状のHuaweiのPCの中心はモバイルタイプのPCです。VR・ARを使うにはこれらのPCでは力不足で、「ゲーミングPC」のようなハイエンドPCが必要となりますが、将来的にゲーミングノートPCやデスクトップPCにも進出するのでしょうか。

万氏 確かに「ゲーム」はPC業界にとって大きな成長のきっかけになり得ます。しかし、先ほども触れた通り、私達はまだ(PC業界においては)「基礎固め」の段階で、そのことに専念したいと考えている。今のところは、ビジネス向けのノートPCをしっかりと作り上げていきたいと考えています。

●「コンセプト」実現のためタッチ非対応となったMateBook X

―― 2017年の新製品のうち、MateBook Xがタッチ操作に非対応であることに(個人的に)ガッカリしました。ビジネスパーソン向けのノートPCにはタッチ操作のニーズはあまりないのでしょうか。

万氏 (タッチ操作のできる)スマホやタブレットが普及する中で、タッチ操作に対する強いニーズはあります。2017年の新製品では(初代MateBookの後継に相当する)「MateBook E」ではタッチ操作に対応した一方、MateBook Xではタッチパネルを搭載しましせんでした。MateBook Xは商品企画の段階でコンセプトとして「軽量型」とすることを決めていたため、タッチパネルを諦めたのです。

 しかし、おっしゃる通り(タッチ操作に対する)ニーズはあるので(後継機では)対応する予定です。

●充電器の互換性は「取り組みを進めている」

―― USB Type-C対応のHuaweiの製品は、PCでは「USB Power Delivery(USB PD)」準拠、スマホでは独自の「SuperCharge(スーパーチャージ)」と、対応する急速充電の規格が異なります。統一すれば利便性が高まると思うのですが、いかがでしょうか。

万氏 貴重なご意見に感謝します。

 弊社は充電器(ACアダプター)の互換性に関して取り組みを進めています。現時点では、純正PC用充電器であれば、(USB Type-Cを備える)弊社のスマホでそのまま使えるようにしています。

●購入意欲を高めるPCには3つの要素がある

―― 冒頭で「購買意欲を刺激するような製品が出てきていない」という話がありました。万さん個人の意見で良いので、どのようなものなら購入意欲を刺激すると思いますか。

万氏 人によって、どのようなものを買いたいかは変わってくると思う。

 弊社の製品でいえば、MateBook E/Xはビジネスパーソン向けの製品です。私が思うに、そのようなユーザー群であれば、ビジネスシーンでの使用に耐えうる、PowerPointが問題なく使えるような「高性能」。IT製品という側面だけではなく、高いファッション性を持つ「見た目」、移動中でもしっかり使える「バッテリー持ちと経済性の高さ」の3点が重要でしょう。

 MateBook Xは、まさにこのようなコンセプトを満たした製品で、後継機にもこの特徴を引き継いでいきます。

●Windows PCはあくまでも「Intelプロセッサ」 ARM版は「様子見」

―― Windows 10の次の大型アップデートでは、ARMプロセッサ版(以下「ARM版Windows 10」)が追加される予定です。HuaweiはARM版Windows 10を搭載するデバイスのメーカーとして名を連ねていませんでしたが、ARM版Windows 10には興味ありますか。

万氏 (PC製品にプロセッサを供給している)Intelは、弊社にとって非常に重要なパートナーです。Windows PCについては、引き続きIntelプロセッサを使っていきます。

―― 現状、ARM版Windows 10はQualcommの「Snapdragon 835」しかサポートしていませんが、HiSilicon(Huaweiの子会社)の「Kirin」プロセッサにも対応させる予定はありますか。

万氏 Kirinプロセッサについては、今までと同様にAndroidベースのスマホやタブレットで用います。

 ただ、(Kirinと同じく)ARMベースのプロセッサであるSnapdragonがWindowsでどのように使われるのかについては、非常に注目しています。

―― 場合によっては、Snapdragonを採用してWindows PCを作る可能性もあるのでしょうか(筆者注:「Nexus 6P」や「P9 lite PREMIUM」など、HuaweiにはSnapdragon搭載スマホを開発した実績もある)。

万氏 現在のところ、明確な計画はありません。まずは業界の推移やユーザーのニーズを見守りたいと思います。

―― 万さん自身は、ARM版Windows 10は成功すると思っていますか。

万氏 個人的には、この業界にはイノベーションが必要だと思っています。その観点でARM版Windows 10を非常に歓迎しています。

 また、ARM版Windows 10がユーザーの選択肢を広げて、業界全体の進歩を促すものになるとも思っています。昨今ではARMプロセッサも処理能力が向上していますしね。

●イノベーションは「多角的」であるべき

―― イノベーションという観点では、例えば日本のPCメーカーでは「世界最軽量」にこだわるメーカーが複数あります。Huaweiではそのような方向性に興味がありますか。それとも、あくまでも実用性重視で行くのでしょうか。

万氏 イノベーションは総合的な概念です。あえて言うのであれば、弊社では「極上のUX」を目指していますが、バッテリーの持ち時間、放熱処理、画面サイズ、本体の薄さや重量といったさまざまな要素を犠牲にすることなく優れたものにすることがそれに当たります。

 このことは、ハードウェアにとどまらずソフトウェアにおいても同様です。例えば、クラウドサービスをスマホ、タブレット、PCとの間でワンアカウントで相互に問題なく快適にやりとりできる環境作りは重要です。

 弊社ではタッチパッドスマホの使用感をノートPCでそのまま再現することを重視しています。

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