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「日本語対応してますか?」「もちろんです!」の落とし穴

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2016/11/06
「日本語対応してますか?」「もちろんです!」の落とし穴: 営業の言葉に乗せられて大失敗、という経験はありませんか? © ITmedia エンタープライズ 提供 営業の言葉に乗せられて大失敗、という経験はありませんか?

 「このソフトは日本語に対応していますか?」「はい、もちろんです!」

 営業からのこんな言葉に乗せられてしまって、外資系ベンダーのパッケージソフトウェアを導入したものの大失敗――。皆さんはそんな経験はありませんか?

 この連載では、外資系パッケージソフトを上手く導入するためのコツを紹介しています。今回からはいよいよ、よくある失敗事例をもとに情報システム部門が何に気を付ければよいのかを解説していきます。まずは、製品選定の際に陥りやすい誤解や誤った選択をしがちなポイントを見ていきましょう。

●失敗事例1:「日本語対応しています!」のワナ

 こちらはよく聞く失敗例です。「日本語に対応しているか」という質問に対し、先方の営業が自信満々に「もちろんです」と答えたとしましょう。しかし、ここでその言葉をうのみにするのは危険です。営業は何をもって“日本語対応している”と答えたと思いますか? この場合、少なくとも次に挙げる5つの可能性があるのです。

1. 製品の設定入力画面で、マルチバイト文字(日本語)が使用できる

2. 製品のユーザーインタフェースが日本語で表示される

3. 製品のオンラインヘルプ、マニュアルが日本語でも提供されている

4. 製品のユーザーインタフェースの言語を利用中に選択(変更)できる

5. 上記の全てを実現している

 ユーザー側としては、5の全てに対応しているパターンを期待したいところでしょう。この状態を「多言語化」と言います。営業の方の中には、マルチバイト文字が使用できる「国際化」のみに対応している状態で「日本語に対応している」と話す人もいるので注意が必要です。こうなると、日本語入力ができても、ユーザーインタフェースやヘルプ、マニュアルは全て英語、というような状況に気付かず、購入後に「そんなはずでは……」ということになってしまうわけです。

 ソフトの購入後に気付いた場合、買った側が確認不足だったという面もありますし、売った側が説明不足だったとも言えますが、どちらに責任があるかを突き詰めても、水掛け論になるだけです。買った側は返品しようかと考えることもあるかもしれませんが、現実的には難しいと考えた方がいいでしょう。

 外資系パッケージソフトウェアの場合、その販売を担当する営業担当者の給料は、大なり小なり歩合(インセンティブ)があるのが一般的です。取引が巨額であればあるほど、インセンティブも大きくなるため、すんなりと返品に応じることはないでしょう。その方の生活に関わる問題になるためです。

 また、売買時の契約書に「購入後に顧客事由による返品不可」といった趣旨の条文がある場合は返品は難しいですし、返品となれば、ベンダー側としては売上として計上したものを取り消すことになり、会計上の問題に発展する可能性もあります。会計年度をまたがっているとさらにやっかいな状況に陥ります。

●「日本語対応」の落とし穴にハマらないために

 記事冒頭に紹介したような例はまれかとは思いますが、大なり小なり認識の相違は起こりがちです。そうならないためにも、以下の点に気を付けるといいでしょう。

1. 日本語の対応状況を“具体的に”確認する

2. 評価版やPoCで実際に使ってみる

3. 営業担当者と信頼関係を築く

 最初に挙げた「日本語の対応状況」については、設定入力画面でマルチバイト文字が使用できる「国際化(Internationalization/I18N)」で十分なのか、ユーザーインタフェースやマニュアルが日本語で提供されている「地域化(Localization/L10N)」の必要があるのか、ユーザーインタフェースの言語を利用中に変更できる「多言語化(Multilingualization/M17N)」が必要なのかという判断が正しく行う必要があります。

 その上で、製品を実際に使ってみるといいでしょう。最近のソフトウェアは期間限定の「評価版」や、機能を限定した「無償版」をほぼ提供しています。製品を使うのが難しくても、メーカーによってはPoC(Proof of Concept:コンセプト検証)をサービスとして用意しているので(有償の場合が多いです)、それに申し込むのもよいでしょう。買った後で後悔するよりも少ない出費でリスクを回避できるのです。

 そして、メーカーと信頼関係を築くことも悲劇を避けるポイントになります。一般的には売り手側が買い手に信頼されるよう努力するものですが、営業担当者も人間です。継続的に商品を買っているなど、良好な関係を築きやすい状況であれば、さまざまな情報を引き出せるようになるはずです。

 最初のポイント以外は、言語に限った話ではありませんが、いずれも外資系パッケージソフトを導入する際には大切なことです。特に2点目について、購入前にPoCを実施した場合と書面だけで購入を判断した場合では、その後のプロジェクトの成功率に大きく差が出ます。

 次回は、国産のパッケージソフトウェアでもよく起こる、製品の機能にまつわる失敗例とその回避策をご紹介します。お楽しみに。

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