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「相談しているはずが、いつの間にか説教されてた……」という恐怖のパターン

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2014/05/22 10:00 ITMedia
「相談しているはずが、いつの間にか説教されてた……」という恐怖のパターン: 画像:ITmedia © ITMedia 提供 画像:ITmedia

 前回の記事では「五月病」疑惑の若手社員や新人を、立ち直らせるきっかけについてお話ししました。今回は、そういった悩みを持った部下や若手社員から相談されたときに、気をつける点について紹介します。

 皆さんは、部下や後輩から相談された経験はありますか? 人は誰かに相談するとき、何かしらの助けを求めているもの。こうした相談には、きちんと対応しておきたいところです。しかし、相談を持ちかけた相手が何を期待しているのかということを“読み”違えると、逆効果になりかねません。

 例えばこんなシーンを見たことはありませんか?

若手社員:実は最近、あんまりこの仕事に向いていないような気がしていて……

先輩:え、そんな事ないでしょ。だって担当業務も増えたし、頑張ってんじゃん! 俺も若手だったころは、そんなことで悩んだりもしたけどさ……(と、自分の昔話を始める)。たぶんここ超えたら楽になるから、ね?

若手社員:……はい(結局15分近く、私が話聞いた感じ? もういいや。この人に相談するのはやめておこう……)。

先輩:それじゃ、がんばっていこう!(忙しかったけど、後輩だから仕方ないよね。いい先輩だと思われているかなー)

●相談に乗るときに「問題解決型思考」はNG

 この例では、先輩が自分の話ばかりをしてしまっています。若手社員からみれば、「相談したはずなのに、いつの間にか説教くさい話を聞かされていた……」と思われても仕方がない状況です。もちろん、この先輩に悪気はありません。先輩からすれば、

・忙しいなかでも

・向いてないことは無い根拠を説明し

・自分の経験談を腹を割って話し

・後輩を励ます

 ということをやってのけました。しかしこれでは、相手は心を閉ざしてしまい、本音を話してもらえず、中途半端な対応に終わってしまうでしょう。「相手が悩んでる。何か役に立ってあげたい!」という想いの強い、がんばり屋さんの人がこういうパターンに陥ることが多いです。

 またオフィスの中では、無意識のうちに頭の中が仕事モード――つまり、問題解決型の発想になっており、悩みに答えを出そうとしてしまいがちです。今回の例では、先輩が一気に自分なりの対応策まで出してしまったわけです。結果、若手社員は15分も先輩の聞き役になってしまいました。これでは若手社員は本音を出す暇もありません。

 若手社員の悩みやグチを聞くときには「すぐ、その場で問題を解決する必要はない」ということを意識しておきましょう。本音を引き出しつつ、十分に話を聞いてあげるだけで、相手がスッキリして解決したり、自分の発言や考えを整理できて自己解決できたりするケースが、現実には多くあります。

 このような苦痛の解消法を、精神分析の用語で「カタルシス効果」といいます。日本語で言うと「浄化」という意味です。同僚同士や女子会といった場で、しゃべったり泣いたりしてスッキリした経験を思い出していただければ、伝わるのではないかと思います。

●相手の本音を聞き出すテクニック

 相談を持ちかけられたときは、相手に本音で話してもらう必要がある――。

 それでは、どうすれば本音をしっかりと聞き出せるのでしょうか。ポイントは「相手の話に理解を示すこと」です。共感という言葉がよく使われますが、これが意外と難しい。共感を得ようとして、相手の意見に無条件に賛成してしまう「同感」になってしまっている人もよく見られます。例を見てみましょう。

ケースA:同感を使って失敗してしまう例

若手社員: 来週、役員の前でプレゼンがあって……。気が重いんですよね……。

先輩: (何言ってんだよチャンスじゃん、バカじゃないの?)そうだよねー、気も重くなるよね。俺もそんなの言われたら、やっぱ気が重くなるし、断っちゃえば?

若手社員: (何この人。こんな無責任だっけ?)。

 自分と相手はそもそも別の人間ですし、考え方やキャリアも違うので、変に同感するとかえって嘘くさいコミュニケーションになってしまいます。また、自分の意見と真逆のことを口にするのは、心中穏やかではありません。ここでいう「共感」とは、相手の感情に理解を示すことを指します。

ケースB:共感を使ってコミュニケーションを取る例

若手社員: 来週役員の前でプレゼンがあって……。気が重いんですよね……。

先輩: なるほどね。役員プレゼン、気が重いのかぁ。

若手社員: そうなんです。まぁ、チャンスなんでしょうけどね……。

 たったこれだけのことで、相手の考えを聞き出せることがあります。まずは相手の思いを肯定すること。これが大前提となります。少しでも否定される可能性があると感じさせれば、相手は心を閉ざしてしまうでしょう。その上で、相手の感情が見えた部分について「こういう気持ちなんだね」と感情を理解したことを伝えるのです。

 ちなみに、共感と似たテクニックとして「要約」というものあります。これは相手の話の内容をまとめ、そのまま返すという手法です。上記の例では、このようになります。

ケースC:要約というテクニック

若手社員: 来週役員の前でプレゼンがあって……。気が重いんですよね……。

先輩: なるほどね、来週役員プレゼンがあるのかぁ。

若手社員: えぇ、そうなんです。

 要約は話を聞き出したり、信頼関係を築くのに有効です。話の内容をまとめるので、特に正しく内容を聞き出したい時に使うとよいでしょう。

 しかし一方で、話が進んでも、話し手の安心感を得るまでには至りにくく、本音を引き出すには力不足な面も否めません。しっかり話を聞いているけど、本音が聞き出せない……と思ったら、話し手の感情面に意識を向けてみてください。本音を引き出すポイントをまとめると、

・相談に乗りやすい環境や時間を意識的に作る(今回は触れていませんが)

・基本はうなずき、相づちや要約で聞き役に徹する

・相手の感情が見えた部分について「こういう気持ちなんだね」と理解したことを示す

 このときに「役員プレゼン、気が重いんだね」と言葉だけで伝えるのではなく、表情やしぐさ、口調といった行動も整えて伝えてください(詳細は「相談しない部下も悪いが、相談されない上司も悪い」に書いてあります)。

 「そんなのこうしたらいいじゃないか」という解決策も、「大変だったね〜」という思ってもいない嘘も要りません。まずは、相手の話に耳を傾けて感情に理解を示し、本音を引き出すことに注力しましょう。解決策は本音に対して提案した方が的確ですから、“二の次”で十分なのです。

●今回のまとめ

Q:若手社員の相談を聞いているのですが、うまく相手の考えを聞き出しきれていないように思います。何かいい方法はあるのでしょうか。

A:いきなり解決策を提示しないようにしましょう。相手の話にしっかり理解を示し、特に感情に理解を示す「共感」を活用するのが第一歩です。

[岩淺こまき,Business Media 誠]

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