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「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『MERU/メルー』

Real Sound のロゴ Real Sound 2016/12/30 株式会社サイゾー
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 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週金曜日にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週の担当者は、横浜DeNAベイスターズファン歴21年・石井達也。 参考:来年1月スタートのTBSドラマ、 坂元裕二脚本『カルテット』に寄せる絶大な期待 ■『MERU/メルー』  今はなき、新宿高島屋の中にあった映画館・テアトルタイムズスクエアでアルバイトをしていた頃、『アラビアのロレンス デジタルリマスター版』を上映したことがありました。上映中、劇場から飲食売店に訪れたご婦人。「砂漠ばっかり観ていたら喉が乾いちゃったので、お水下さる?」の一言。購入したペットボトルの水を美味しそうにその場で飲んでいた光景が、今でも脳裏に焼き付いています。これも映画の世界に入り込める映画館ならではの醍醐味だよなあと、当時は思ったものでしたが、映画『MERU/メルー』を試写で観た際に、このエピソードが蘇りました。  本作は恐いぐらいの美しい雪景色と荘厳な山々がスクリーンいっぱいに拡がります。映画に登場するクライマーたちの凍えるような寒さが画面越しに伝わり、あの時のご婦人さながらに私も温かい飲み物を思わず欲してしまうほどでした。メイン写真を観ていただいても分かるように、切り取られる自然の美しさに息を呑みます。  昨年公開の実話を基に製作された『エレベスト3D』も、役者たちが実際に山に登り命がけで撮影された“嘘”のない映画でしたが、あくまで脚本があり、演出がある“フィクション”でした。しかし、本作は実際の登山家たちによる正真正銘“本当”の登山映画です。そして、ヒマラヤ山脈メルー最難関ルート“シャークスフィン”に挑むジミー・チン、コンラッド・アンカー、レナン・オズターク(ジミーは監督・撮影、レナンは撮影も手がけている!)、3人の生き様を記録した映画でもあります。あと数ミリずれていたら、あと数分遅かったら……、いくつもの生命に関わる危機に陥りながらも、彼らは絶対に諦めません。その姿はもはや格好いいを通り越し、“狂気”と感じるほどです。  彼らのあくなき行動は必ずしも美しいものではありません。自分の欲求と他者への責任、どこで妥協をするべきなのか、あるいはしないべきなのか。登山家ではなくとも、それらは誰もが抱える問題でもあると思います。  常に迫られる「選択」と「決断」。その結果として生まれる生と死。クライマーたちの証言と登山風景、圧倒的な大自然、人間の意志を越えた崇高なシーンの数々に、自分自身の人生を振り返ってしまう方も多いのではないでしょうか。  登山に興味がない方も、ドキュメンタリー映画を普段観ない方も、1年を振り返る絶好のタイミングのいま、映画館で観てほしいヒューマンドキュメンタリー映画です。 ■『甲鉄城のカバネリ 総集編 前編 集う光』  『君の名は。』『聲のかたち』『この世界の片隅に』など、長編アニメ作品が大きく話題を呼んだ2016年。その最後を締めくくるのが、2016年4月に深夜アニメ枠「ノイタミナ」で放送された『甲鉄城のカバネリ』の総集編『甲鉄城のカバネリ 総集編 前編 集う光』です。  ウィルス感染によって生まれた不死の怪物「カバネ」が蔓延する世界。極東の島国・日ノ本(ひのもと)を舞台に、装甲蒸気機関車・甲鉄城に乗り込んだ人類とカバネの決死の戦いが描かれる本作は、「時代劇」×「ゾンビもの」がミックスしたアクション活劇が見どころの作品。  刀や銃を手にした主人公らが、数百体規模で襲ってくるカバネの軍団を颯爽と斬り伏せていく無双っぷりを、立体的なカメラワークと躍動感のある演出によって表現。カバネに取り囲まれた市街地戦をはじめ、走行する機関車の車内や屋根の上での戦い、さらには超巨大なカバネ(黒煙り)との戦いなど、様々なシチュエーションにあわせ、画面全体を縦横無尽に動き回るキャラクターたちの姿には、息を飲みました。すでにテレビ放送された内容+劇場版オリジナルの追加カットで構成される総集編ですが、アニメ版『進撃の巨人』を製作した荒木哲郎監督×WIT STUDIO(制作会社)によるダイナミックなアクションシーンは、劇場の大きなスクリーンで観る価値があります。  また、『コードギアス 反逆のルルーシュ』の大河内一楼(シリーズ構成・脚本)が手掛ける、苦境に立たされた主人公が逆転劇を見せていく王道のストーリーも爽快です。戦いの中でカバネに噛まれ、人間とカバネの中間である「カバネリ」になってしまった主人公の生駒が、周囲の人間に忌み嫌われながらもがむしゃらに戦い続け、勝利と信頼を手にいれていく姿には胸が熱くなります。  テレビシリーズの見どころを丁寧に描きつつ、過不足なく作品の世界観の説明もまとめられているので、テレビシリーズを未聴の方でも十分に楽しめると思います。(リアルサウンド編集部)

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