古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

「18:9ディスプレイ」「デュアルカメラ」「AI対応チップ」 IFA 2017で見えたトレンド

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2017/09/09
「18:9ディスプレイ」「デュアルカメラ」「AI対応チップ」 IFA 2017で見えたトレンド: 独ベルリンで、6日間に渡ってIFAが開催された © ITmedia Mobile 提供 独ベルリンで、6日間に渡ってIFAが開催された

 9月1日から6日(現地時間)の6日間に渡り、独ベルリンで、世界最大の家電関連見本であるIFAが開催された。IFAのオープニングカンファレンスで、会場となるメッセ・ベルリンのCEO、クリスチャン・ゲーケ氏が語っていたように、IFAの展示は、「Ready to market」(市場に出る直前のもの)で構成される。「ここで見て、クリスマス商戦で買える」(同)というように、市場と直結しているのが最大の特徴だ。

 もともとは放送機器の展示会だったIFAだが、近年は家電やITを取り込み、AndroidやiPhoneが登場して以降は、クリスマス商戦に向け、グローバルメーカーが最新モデルを発表する重要な場になっている。例えば、ソニーモバイルはXperiaの最新モデルである「Xperia XZ1」「Xperia XZ1 Compact」などを発表。今は独自イベントに切り替えてしまっているが、サムスン電子のGalaxy Noteシリーズは、以前はIFAでお披露目されていた。

 日本への影響という意味では、年末商戦から春商戦までを占ううえで、欠かせない展示会になっているというわけだ。このIFAで見えてきた、スマートフォンの最新トレンドをここにまとめた。日本市場への影響も、合わせて考察していこう。

●18:9のディスプレイはミッドレンジへ拡大、iPhoneも採用か

 2月にスペイン・バルセロナで開催されたMobile World Congressで、LGエレクトロニクスが18:9のディスプレイを搭載した「G6」を発表したのを皮切りに、スマートフォンが“縦長”になろうとしている。同様のコンセプトは、Samsung Electronicsも採用。日本でも発売された「Galaxy S8」「Galaxy S8+」には、それよりももう少し縦に長い、18.5:9のInfinityディスプレイが売りとなっている。このInfinityディスプレイは、8月に米ニューヨークで発表された「Galaxy Note8」でも踏襲されている。

 LG、Samsungともに、この比率のディスプレイはスマートフォンのスタンダードになると考えており、フラグシップモデルへの採用を続けていくようだ。IFAでは、まず、LGがクリスマス商戦向けに「LG V30」を発表した。LG V30は、Snapdragon 835を搭載したハイエンドモデル。18:9という比率はG6と同じだが、有機ELという点が大きな違いだ。

 有機ELの持つ応答性の高さを生かし、G6では非対応だったGoogleのVRプラットフォーム「Daydream」も利用できるようになる。LG V30の発表会には、GoogleのVR/AR担当もゲストとして登壇。「LGとのパートナーシップにより、日韓でDaydreamを推進していく」と語っていたため、このモデルは、日本でも発売されることになりそうだ。一方で、同社はミッドレンジモデルにも18:9のディスプレイを搭載し始めている。LGのブースには、欧州で発売になったばかりの「LG Q6」を展示。同端末のプロモーションを会場内で行うなど、アピールにも余念がない。

 同様に、IFAではローエンドやミッドレンジを得意とするメーカーが、続々と18:9のディスプレイを採用しているのが印象的だった。中でもインパクトがあったのが、日本でSIMロックフリースマートフォンとして「Tommy」を発売したフランスメーカーのWiko。同社は「VIEW」シリーズとして、一挙に3機種のミッドレンジスマートフォンをIFAに合わせて発表した。

 価格は最上位モデルとなる「VIEW PRIME」でも、269ユーロ(9月8日時点のレートで約3万4924円)。もっとも安価な「VIEW」に至っては、179ユーロ(約2万3239円)だ。欧州の一部に端末を展開する中国メーカーのZopoも、18:9のディスプレイを搭載した「P5000」などをIFAに出展。さらには、中国の家電メーカーであるHisenseも、18:9のディスプレイが特徴となる「Infinity H11」をIFAに合わせて発表している。

 いずれも日本での発売は未定だが、これらの発表からは、安価な端末を作る中国メーカーにも、18:9の液晶パネルが供給され始めたことが分かる。フラグシップモデルのように有機ELを搭載し、コントラストや応答性を高めるというわけにはいかないが、普及台数を拡大するうえで、手ごろな価格の端末にこのアスペクト比が広がるインパクトは大きい。Wikoのように、日本に参入しているメーカーも含まれているため、SIMロックフリースマートフォンとして導入される可能性は高い。

 また、主にiPhone、iPad向けの周辺機器を展示するiZoneでは、次期iPhone向けのケースやディスプレイ保護ガラスが、Appleの発表に先駆け出展されていた。ここでは、「iPhone 8」や「iPhone X」などとウワサされる製品向けの周辺機器が中心だったが、複数メーカーの話を総合すると、このiPhone 8もしくはiPhone Xも、ディスプレイは18:9に近い比率になるという。Androidに続き、iPhoneへの採用も決まれば、トレンドが大きく動く。スマートフォン全体の縦長化がさらに加速し、近い将来、今の16:9のように、18:9のディスプレイがスタンダードになる可能性もありそうだ。

●各社模索の続くデュアルカメラも、ミッドレンジへの搭載が進む

 18:9のディスプレイと並び、もう1つのトレンドになっているのが「デュアルカメラ」だ。デュアルカメラはHuaweiが早くから搭載してきたが、ライカと共同開発を行った「P9」が高く評価され、その後継機である「P10」「P10 Plus」や、大画面モデルである「Mate 9」にもこれが採用されている。Huaweiのデュアルカメラは、モノクロセンサーで精細な画像を撮りつつ、そこにカラーセンサーで色づけしていくというのが技術的な特徴だ。2つのカメラで深度を記録し、一眼レフのように背景をボカした写真が撮れるのも、デュアルカメラのメリットといえる。

 一方で、AppleもiPhone 7 Plusでデュアルカメラを採用した。Huaweiとはアプローチが異なり、広角と望遠のカメラを切り替え、疑似的に光学ズームを実現するというのが、iPhone 7 Plusのデュアルカメラだ。同様の手法はASUSも採用しており、「ZenFone Zoom S」や、8月に発表されたフラグシップモデルの「ZenFone 4」シリーズにもデュアルカメラが搭載された。

 Snapdragonなどのプロセッサがデュアルカメラを標準でサポートしていることもあり、IFAでもデュアルカメラを搭載したスマートフォンは、数多く発表された。LGは2016年、ドコモやauから発売された「V20 PRO」と同様、LG V30も広角撮影が可能なデュアルカメラに対応。先に挙げたWikoのVIEW PRIMEもその1つで、同モデルはインカメラがデュアルカメラになっており、セルフィー利用時に背景をボカしたポートレートを撮影できる。ALCATELとBlackBerry、2つのブランドの端末を手掛ける中国のTCL Communicationも、片側がモノクロセンサー(200万画素)の「alcatel A7 XL」を発表、IFAのブースに端末を展示した。

 さらに、LenovoもMotorolaブランドでデュアルカメラ搭載モデルを発表している。同社は「Moto X4」を、IFAに先立って開催されたプレスカンファレンスで公開。Moto X4は、ミッドレンジ上位のMoto Xシリーズに属するモデル。通常のカメラに加え、120度の広角撮影が可能なカメラを搭載し、2つを切り替えて使うことが可能だ。他のデュアルカメラを採用したスマートフォンと同様、深度を測定して、背景をボカしたり、被写体の一部にだけ色を付けたりできる機能を用意した。

 18:9のディスプレイと同様、デュアルカメラもハイエンドモデルの独壇場ではなくなってきたというのが、IFAの展示を見渡したときの印象だ。ミッドレンジモデルの中でも、特にカメラをアピールしたい機種では、今後はデュアルカメラ搭載が当たり前になっていくだろう。ただ、メーカーや機種ごとに、そのアプローチは異なる。ズームのように使う機種もあれば、広角撮影用に使う機種もあり、どれが主流になるかは定まっていない。Wikoのように、セルフィー用のインカメラをデュアルカメラ化するメーカーもあり、各社とも、まだその使い方を模索している印象を受けた。

●HuaweiはAI対応チップをアピール、Mate 10も発表予定

 IFAでは新製品の発表がなかったHuaweiだが、同社のコンシューマー・ビジネス・グループCEO、リチャード・ユー氏が基調講演に登壇。「スマートフォンはもっとインテリジェントになる必要がある」と語り、AIの処理に特化したNPU(Neural-network Processing Unite)を搭載した、「Kirin 970」を発表した。AIや機械学習は、IT業界全体でトレンドになっている技術。Kirin 970は、これをクラウド側ではなく、端末側で高速に処理できるのが特徴だ。

 ユー氏によると、そのメリットは「高速化」「低消費電力化」「高セキュリティ」の3つにあるという。ネットワークを介さず端末内で処理を行うことで、結果を迅速に得られることに加え、消費電力も抑えられ、しかもデータをクラウド側に送る必要がないため、プライバシーの観点からも安心できるというわけだ。

 基調講演では、CPUとNPUで画像認識を行った際のスピードの違いや、消費電力量の差をユー氏がアピール。AIを用いた結果、カメラが自動でシーンを認識する速度や精度も上がるといい、撮影性能の向上にも期待ができる。

 Kirin 970は統合チップで、CPU、GPU、NPUのほかに、LTEモデムも内蔵されている。このモデムは、カテゴリー18のLTEに対応。LTE Advanced Proとして、下り最大1.2Gbpsの速度を実現する。1.2Gbpsは、4×4 MIMO、256QAM、3波のキャリアアグリゲーションを組み合わせることで達成される。基調講演では、このプロセッサを搭載したMate 10が、10月16日(現地時間)に独ミュンヘンで発表されることも明かされた。

 Huaweiが先駆けて発表したAI対応をうたうプロセッサだが、業界全体を見ると、これに取り組んでいるのは同社だけはないことが分かる。QualcommもSnapdragon 835発表時に、DSP(Digital Signal Processor)が(ディープラーニングのフレームワーク)「Caffe」や「TensorFlow」の処理に対応していることを明かしており、同プロセッサのキックオフイベントでは、実際に画像処理を行うデモを公開している。

 Appleが、AI処理に優れたチップを開発しているというウワサも絶えない。iPhoneでは、画像の人物認識などを端末内で行っており、次期iPhoneで、この機能が強化される可能性もある。うがった見方をすると、Mate 10の発表がIFAや次期iPhoneの登場に間に合わないため、Appleへの対抗策として、先にプロセッサだけを披露してしまったと受け取ることもできる。

 いずれにせよ、スマートフォンの端末側でAIをいかに素早く、効率的に処理するかは、スマートフォン全体のトレンドになりつつある。Bixbyを搭載するGalaxy Note8や、ユーザーの利用動向を学習するXperia XZ1、XZ1 Compactなど一部を除けば、IFAではこの機能に焦点を当てたスマートフォンは少なかったが、Huaweiの基調講演で業界全体の方向性を示せた格好だ。ユー氏が「スマートフォンのスマートさはまだ十分ではない」と語っていた通り、スマートフォンは成熟期を迎えつつあるといわれる一方で、進化の余地は、まだ大きく残されているようにも感じた。

ITmedia Mobileの関連記事

image beaconimage beaconimage beacon