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「2017年はOpenStack普及元年」は本当か 今、注目を集めている理由

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/05/22
「2017年はOpenStack普及元年」は本当か 今、注目を集めている理由: 会見に臨む日本OpenStackユーザー会の水野伸太郎会長 © ITmedia エンタープライズ 提供 会見に臨む日本OpenStackユーザー会の水野伸太郎会長

 オープンソースのクラウド基盤構築ソフトウェアである「OpenStack」について、先週、IDC Japanがユーザー調査結果を発表した一方、日本OpenStackユーザー会が現状について記者説明会を開いた。今回はこれらの最新情報から、OpenStackの現状と今後の行方を探ってみたい。

 OpenStackで最も注目されるのは、もともとクラウド基盤サービスで先行していたAmazon Web Services(AWS)に対抗するために開発された背景があるだけに、果たしてAWSを追撃するほどの存在感を示すことができているかだ。

 さらにいえば、AWS対抗にとどまらず、同じオープンソースとして今やサーバOSに広く使われているLinuxのような存在になり得るかどうかである。そんな視点を持ちながら、最新情報を見てみよう。

 IDC Japanが5月18日に発表した国内企業におけるOpenStackの導入状況に関する調査結果では、「本番環境で使用している」という企業が10.6%となり、2016年調査の7.0%から3.6ポイント上昇。また、「開発/テスト/検証段階」との企業も14.4%となり、2016年調査の8.3%から6.1ポイント上昇した。この2つの回答を合わせると、全体の4分の1がOpenStackの実装を進めていることになる。(図1)

 これについては、「使用する計画/検討がある」と回答した企業の割合が2017年調査では減少していることからも、計画/検討段階から具体的な実装段階に入った企業が増加したことがうかがえる。

 なお、同調査は、サーバ仮想化を実施している企業および組織を対象としたアンケート調査を2017年3月に実施し、464社から有効回答を得たという。

 IDC Japanはこの調査結果について、「これまでOpenStackに対する注目度は非常に高かったが、実際にはサービスプロバイダーをはじめとする一部の先進的な企業の導入にとどまっていた。しかし、2017年は2016年までの傾向とは明らかに異なっており、具体的な実装段階に入る企業が増えていくとみられる。2017年はOpenStackにとって普及元年になる可能性が高い」との見解を示した。

●きめ細かな分散型サービスでAWSなどと差別化へ

 IDCの見解と同様、「OpenStackは成熟しつつあり、普及期に入っている」と話すのは、日本OpenStackユーザー会の会長を務めるNTTソフトウェアイノベーションセンター主幹研究員の水野伸太郎氏だ。同会が5月17日に開いた記者説明会でのひとコマである。

 水野氏はその会見で、米マサチューセッツ州ボストンで5月8日から11日にかけて開かれた「OpenStack Summit Boston 2017」で注目された話題について次のように説明した。

 まず、OpenStackの現状については、大手ベンダーをはじめ世界185カ国の企業や団体が開発および普及活動を支援。7万3000人を超えるエンジニアがオープンソースを通じて開発に携わっており、既に500万を超えるコンピューティングコアで利用されているという。水野氏は特に「2016年から2017年にかけての導入数が44%増加し、フォーチュン100企業の半数に利用されるようになった」と強調した。

 また、OpenStackの利用形態については「当初は大手ネットサービスベンダーが大規模なプライベートクラウドに適用する形でスタートしたが、最近では規模に関係なく容易に多様なユースケースに適用できるプライベートクラウド基盤として利用されるようになってきた。その中で新しいサービスも出現してきた」と説明した。

 その新しいサービスというのが「Remotely-Managed Private Cloud」である。外部からマネージするプライベートクラウドで、つまりは「Private Cloud as a Service」のことだ。ここだけは英語の方が分かりやすいと考えたのでそう表記した。ちなみに、OpenStackのマーケットプレイスサイトでは、このサービスに関する情報が提供されている。(図2)

 水野氏によると、「このPrivate Cloud as a Serviceを多様なユースケースに応じてきめ細かく利用できるようにしていきたい」という。同氏はあくまでもユーザー会の立場なので「個人的な見解」と前置きしたが、どうやらPrivate Cloud as a Serviceの展開が今後のOpenStack普及の大きなカギを握っているといえそうだ。

 では、Private Cloud as a ServiceがAWSなどのメガクラウドベンダーとの差別化戦略になり得るのか。会見の質疑応答でAWSなどとの対抗戦略について聞いたところ、水野氏は次のように答えた。

 「多様なユースケースにきめ細かく対応するクラウドサービスは、メガパブリッククラウドではなかなか難しいはずだ。イメージでいえば、AWSなどのパブリッククラウドは中央にドンと構えて標準サービスを提供するのに対し、OpenStackはユーザーの手元に分散してそれぞれのニーズに対応したサービスを提供するような図式だ。そのきめ細かな対応と、特定のベンダーにロックインされないというオープン性が、OpenStackの大きな差別化ポイントになる」

 実際に、OpenStack陣営の有力ベンダー各社はPrivate Cloud as a Serviceに注力している。果たして、IDC Japanが言うように、2017年が「OpenStack普及元年」となるか。Linuxのような存在になるかどうかはまだ未知数だ。ただ、少なくともクラウドが「システム構築」ではなく「サービス」へと着実にシフトしていくことだけは間違いなさそうだ。

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