古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

「2017年春頃から製品ラッシュが始まります」――増田社長が語る、FREETELの逆襲

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2016/12/26
「2017年春頃から製品ラッシュが始まります」――増田社長が語る、FREETELの逆襲: スマートフォン本体、データ通信料、5分かけ放題を組み合わせた「スマートコミコミ」 © ITmedia Mobile 提供 スマートフォン本体、データ通信料、5分かけ放題を組み合わせた「スマートコミコミ」

 大手MVNOで、セットプランの導入が進んでいる。これは、端末やデータ通信料に加え、音声定額プランなどをパッケージ化したもので、総額がいくらになるのかが分かりやすいのがポイント。それぞれを個別に購入、契約するより節約になることもあり、各社で利用者が増えているという。どちらかというとこれまでの大手キャリアに近い販売方法で、MVNOの利用者層の変化がうかがえる。

 SIMロックフリー端末メーカーとして、FREETELブランドの端末を企画、販売するプラスワン・マーケティングもその1社だ。同社はMVNO事業も展開しており、これらをセットにした「かえホーダイ」を10月に発表した。その料金プランを11月に「スマートコミコミ」にリニューアル。端末を半年に1回機種変更できる特徴はそのままに、組み合わせ可能な料金プランの幅を広げ、通話も無料通話から音声定額にアップグレードした。端末に関してはFREETELブランドのものだけでなく、ASUSやHuaweiのスマートフォンも取りそろえていくという。

 また、端末はフラグシップモデルの「KIWAMI2」を発表。5000mAhのバッテリーを搭載した「RAIJIN」の発売も予定しており、フルラインアップ戦略は継続する。一方で、端末に関しては、2015年よりラインアップが減少している。「REI」のような売れ筋になりそうなモデルを中心に据え、“無駄打ち”をなくそうとしているようにも見える。

 スマートコミコミに代表される料金プランやスマートフォンのラインアップからは、FREETELの戦略に変化の兆しが表れているような印象も受ける。そこでプラスワン・マーケティングの増田薫社長に、スマートコミコミの狙いや、最新の端末戦略を聞いた。

●「かえホーダイ」を「スマートコミコミ」に変更した理由

――(聞き手、石野純也) 最初に、スマートコミコミを開始した狙いを教えてください。かえホーダイから1カ月で料金を変えてきたのは、少々驚きでした。

増田氏 (かえホーダイからスマートコミコミに変えたのは)より分かりやすくしたいと思ったからです。もともとのかえホーダイも、要は割賦の料金プランで、その中の1つに端末を半年間で取り換えられる特典がありました。ただ、売りの1つである割賦をプラン名の代名詞にするのは、ちょっと分かりにくい。であれば、込々でいろいろなものが入っていることを、分かりやすくメインのタイトルにした方がいいとなりました。

―― 名前だけでなく、中身もよくなってますね。

増田氏 その中で大きいのが、従量制の料金プラン(使った分だけ安心プラン)が入ったことです。従量制の方がいいという方はやっぱりいますからね。もちろん、定額制(容量別の料金プラン)でこれだけ使うということを宣言してくれる人に対しては、より魅力的にすべきで、Instagramの無料化も始めています。

 また、通話に関しても、5分間の音声定額を入れています。お客さまからも定額が欲しいという声があり、それを反映しています。

―― なるほど。確かにデータ通信の容量ごとに無料通話の時間が変わるのは、ちょっと分かりにくいと感じていました。

増田氏 そうなんです。好きな四字熟語は食べ放題なので(笑)、それに合わせました。

―― それは、あんまり関係ないのでは(笑)。端末に関しては、画面割れも交換の対象にしています。

増田氏 これも、分かりやすくです。

●他社端末はどのモデルを提供する?

―― かえホーダイのときは、自社で修理して中古のような形で流通させるとおっしゃっていました。スマートコミコミでは他社端末も入りますが、この点はきちんとペイするのでしょうか。

増田氏 回ると思っています。自社内で修理する体制も整っていますからね。

―― 他社端末をスマートコミコミの対象に加えた理由を教えてください。

増田氏 一切縛りを入れたくなかったというのが、ベースにあります。FREETELの中で自由に変えられるというと、ユーザーからは「FREETELを使い続けなきゃいけないのか」と思われてしまいます。エンドユーザー目線だと、他のものが選べた方がいいですからね。

―― その分、自社の端末が売れなくなってしまう心配もあると思います。

増田氏 そこはエンドユーザーの選択だと思っています。うちも、モノ作りの体制はかなりよくなりました。資本金も集まりましたが、何をやったかというと、営業マンは1人も増やしていません。増やしているのは開発チームで、深センの工場に行くと、電波や音声など、それぞれをチェックする機械もあります。

 こういった機械は、どんどんうちで買っています。ODMビジネスがありますが、あれをやめたい。設計から何まで自社で全てやる。工場では、単純に作ってもらうだけという形に持っていき、人も設備も徹底的に高めていきます。ソフトウェアの開発陣もいるので、FREETELボタンやFREETEL UIなどの使い勝手にも、磨きをかけてきました。

 何を言いたいのかというと、うちの製品を触ってみて、「FREETELっていいじゃん」と思っていただけるようになってきたということです。ここでFREETELを積極的にいいと思っていただける体制しないと、あと8年9カ月での世界一が見えてきません。

―― 他社端末を入れても自社端末が選ばれるよう、今まで以上に開発に力を入れるということですね。スマートコミコミ導入後の選択率はいかがでしょうか。

増田氏 スマートコミコミにしてから、割賦を選ぶ方が圧倒的に増えました。比率は上がっていますし、これによって女性のお客さんへの広がりも見えています。

―― ちなみに、提供はいつごろからになるのでしょうか。

増田氏 いつから、何をやるのかは、まだ発表していません。(旧かえホーダイのユーザーが端末を実際に変えるのは)半年後なので、2月か3月ぐらいに発表しようと思っていました。彼ら(海外メーカー)の売っている製品はどこからでも仕入れられるので、そのときの売れ筋を、そのときに決めればいいと思っています。

 もっと言ってしまうと、どうせやるなら、本当は日本で出ていないモデルを出したいんですけどね。

―― 例えば、中国で伸びているOPPOなどを扱ったり……ということもあるのでしょうか。

増田氏 そうですね。FREETELのお店に来れば面白いものがあるとなれば、それだけ(FREETELが選ばれる)チャンスも増えます。そこでいいと思っていただけないと、やはりメーカーとしてはヤバいですからね。

●2016年は準備期間、2017年に一気に新製品を出す

―― この1年で、選ばれる端末は変わりましたか。

増田氏 REIは特徴的でした。(発表後の記事でも)マス向けと言われましたが、実際、GfKのデータでも単品で1位になっています。私は外資系のメーカーにいましたが、普通の製品だと発売日にポンと伸びて、その後に落ちますが、うちの商品は定期的に売れています。特にPrioriやMIYABI、REIは安定的です。実際、ヨドバシさんでは11月に1位になりましたし、それぞれのユーザーのニーズに合っているのだと思います。

―― ボリューム的に、一番大きかったのはやはりREIでしょうか。

増田氏 今年(2016年)はダントツでREIでしたね。去年(2015年)はMIYABIがよく売れましたが、REIはいい形になりました。MIYABIが1万9800円なのに対し、REIは2万9800円ですからね。少しずつ「FREETEL、いいじゃん」となっているのだと思います。

―― 単価が高い商品が売れるのは、メーカーとしてもうれしいですよね。

増田氏 単価が高い製品でも選ばれるようになってきた、というのがうれしいですね。そうなると、フルラインアップ戦略も効いてきて、逆に1万円台、2万円台の商品がある意味が出てきます。

―― 2016年は、全体でラインアップ数も減ったような印象を受けていますが、実際はどうですか。

増田氏 減っていますね。下半期でいえば、KIWAMI2と「ARIA2」を出したぐらいですからね。ASSUやHuaweiが新製品を出し、じゃあFREETELはどうするんだ? というのは、あると思います。上半期は増資をして、先ほど申し上げたように開発陣も整えてきました。それを生かしたモノ作りをしたかった。RAIJINシリーズもできましたし、来年(2017年)春ぐらいから、また製品ラッシュが始まります。

―― つまり、準備期間だったということでしょうか。

増田氏 そうです。

―― そうなると、変態的な端末も期待できそうですね。

増田氏 変態ということは、通常のモノ作りとは違うケースが出てきます。一発目の「Simple」は法人ために作った製品で、OSもLinuxベースの独自のものでした。そうすると、やはり簡単にできないところがある。変態端末は、どうしてもそういう宿命を抱えています。

―― 変態ほど難しい、と。

増田氏 変態(へんたい)は逆さにすると大変(たいへん)ですからね(笑)。

●一連の「中止」「誤案内」「延期」について

―― 一方で、REIのレッドが発売中止になってしまいました。

増田氏 何があったのかというと、安定的にあの色を出すのが難しく、歩留まりに問題がありました。どうしてもムラが出てしまうんです。アルミのボディーは繊細で、色を出すために塗り方を変えると、今度は電波(アンテナ)に影響が出てしまう。レッドの発売を中止したのは本当に申し訳ないのですが、変なものは出したくない。そのまま出せるかといえば、やはり出せませんでした。

―― ARIA2に関しては、WiMAX 2+のSIMカード(UQコミュニケーションズのWiMAX 2+対応ルーター用SIMカード)で使えるような案内があり、混乱しているような印象も受けました。

増田氏 まじめにお話すると、ああいうことは本当に会社としてよくない。徹底的に体制を改善しました。利用される比率はさておき、メーカーが正しい情報を出すのは、最低限で、当たり前のことです。SIMフリー端末を売る以上、いろいろなSIMカードを挿すのは想定してしかるべきことです。しっかりやっていくのは当たり前のことではありますが、体制を立て直していきます。

―― とはいえ、UQコミュニケーションズさんで使えると、やはりいいですよね。(UQが掛けている)IMEI制限はデメリットも多いですし。

増田氏 そこはキャリアさんのご意向があると思いますが、一般論として、縛りがない方がエンドユーザーにとってはプラスになると思っています。

―― KIWAMIのOSアップデートも遅れています。

増田氏 あれは、たった1つの項目にうちがこだわったからで、もう解決しています。このままなら、今月中(12月中)にはいけるのではないでしょうか(※12月22日に開始した)。

 うちのモノ作りには特徴があります。QA(クオリティー・アシュアランス=品質保証)チーム、QC(クオリティー・コントロール=品質管理)チームがあり、普通だとこれでOKが出たら製品を出せますが、それだけでは足りないということで、UE(ユーザー・エクスペリエンス=顧客体験)チームを設けていて、しかもQA、QCと同等の権限を持たせています。

 クオリティーは数値になりますが、それだけでOKにするのは違う。UEチームにはエンジニアではない素人もいて、ユーザー目線で「ここは、もっとこうした方がいい」ということをやっています。KIWAMI2に関しては、ユーザーにも先にβ版をお渡しして、触っていただくこともしました。そういうモノ作りにかじを切っているので、OSアップデートもUEチームに触らせ、ユーザー目線でちゃんとしたものを出すと決めています。OSバージョンアップは不具合も出やすいところなので、ズラすことにしました。

―― 「だれでもカケホ」の提供も延期になりました。

増田氏 あれに関しては……正直、そんなに響かず、それよりもスマートコミコミの方がニーズにかなっていたというのがあります。思った以上に、「あれ?」という感じで……。開発リソースや工数もかかり、優先順位的な問題もありました。ただ、当然出さないわけではなく、より改良して使い勝手はよくしていきます。

●マーケットを作るのは端末

―― スマートコミコミを始めて、他社端末の提供も開始するというお話を聞き、キャリア色、MVNO色が強くなったという印象を受けました。実際、MVNOとメーカーでは、どちらの意識が強いですか。

増田氏 もともとケータイ事業は、面白い製品を出したいと日本で始めています。軸足という意味だとウェイトは同じぐらいかけていますが、やっぱりマーケットを作るのは、端末だと思っています。2025年までに世界一になる、日本のモノ作りを復活させるという使命感は強く持っていて、ハードウェアに対する思いもあります。

―― MVNO寄りになったというわけではないということですね。

増田氏 「縛らない」というのがポリシーで、そこから考えると、ニーズがあれば他社の製品でも取り扱うのは当然です。ただ、繰り返しになりますが、彼らには負けないモノ作りをしていきたい。そのためには、うちがいい製品を作らなければなりません。(他社製品が売れるのが)楽しいかと言われれば、それは楽しくないですからね。

 KIWAMI2も4万9800円ですが、AnTuTu Benchmarkのスコアは9万7000を超えました。いいモノ作りをして、きちんとチューニングしなければ、あの数値は出ません。

―― MVNOについては、契約者数などの状況はいかがでしょうか。

増田氏 フローでは多いですが、本格的に始めたのが2015年7月なので、ストックベースではまだまだです。野球で例えると、「1回裏」ですね。製品や売り場もなんとなくでき、知る人ぞ知る存在から、少しずつ広がってきたところです。ただ1回裏というのは、(個人ユーザーシェア1位の)IIJさんにしても150万回線で、まだまだ全然少ない。世の中には、1億5000万回線ありますからね。

 その中で、販売チャネルであったり、製品やサービスであったりを整えることに、力を入れていきます。よくドコモのミニ版みたいなことを言うMVNOもいますが、それだったらこのビジネスに顔を出さないでほしい。それよりも、5年後、10年後の日本の携帯電話を見つめ直したい。今はそのいいタイミングですし、われわれはそこで価値を出していきたいですね。

―― フリーテルショップに関しては、最終的に、どの程度まで広げるご予定でしょうか(1年後の目標は200店舗)。

増田氏 僕は1000店舗ぐらいまでいきたいと考えています。エンドユーザーのことを考えると、生活圏にあることが大切です。大手キャリアさんのショップを見ると1000店舗以上を構えていますが、やはりそれもそういうことで、エンドユーザーの利便性を考えると1000は必要になってくるのだと思います。自分がケータイを落としたときのことを考えても、やはりすぐ近くにショップがあるのは安心ですからね。

●最終的に目指すのは世界一?

―― なるほど。最後に、海外事業の成果を教えてください。

増田氏 スタートしてちょうど1年ぐらいで、15を超える国で製品も出せました。ただ出すだけではなく、チリでは瞬間風速でしたが、2週間連続で1位も取れました。それも、発売週ではなく、発売してから3、4週たってからで、日本のブランド、日本のメーカーに対する思いが消えていないことを実感しました。

 これを世界中でやれば、世界一になれる(笑)。追加発注もいただいていますし、ラインアップも増えました。

―― 難しいことは、何かありますか。

増田氏 言葉が分からないことです(笑)。でも、難しいことよりも、楽しいことの方が多いですね。北米、中南米はキャリアビジネスをメインにしていますが、オープンマーケットよりも技術に対する要求が厳しい。そこを乗り越えたときは、うれしいですね。

―― そこで技術力を培って製品もよくなる、と。

増田氏 はい。アメリカ(中南米)では、America Movilをやっているのが大きいですね。

●取材を終えて:2017年春以降の発表に期待

 「知る人ぞ知る存在から、少しずつ広がってきている」というFREETELだが、スマートコミコミは、その拡大に合わせた戦略的な料金プランだ。もくろみ通り、ユーザーの選択比率も高いといい、MVNOの裾野が広がっていることがうかがえる。

 一方で、FREETELのもう片方の車輪である端末については、水面下で体制を整える準備しているようだ。競合他社がハイエンドモデルを複数展開する中、ややおとなしい印象があったことは否めない。特に2016年の下期は、新機種がKIWAMI2とARIAだけで、RAIJINやPriori 4の発売も年明けに持ち越されている。

 その準備の成果が現れるのは、2017年の春以降になりそうだ。端末の品質は徐々に上がってきているだけに、FREETELらしい、普通のスマホの枠に収まらない端末も期待したい。

ITmedia Mobileの関連記事

image beaconimage beaconimage beacon