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「3人の社員が5人分働いて4人分の給料をもらう」 Huawei躍進の背景にある思想

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2017/09/25
「3人の社員が5人分働いて4人分の給料をもらう」 Huawei躍進の背景にある思想: Huawei コンシューマービジネスグループ セールス&サービス部門ヘッドのJim Xu氏 © ITmedia Mobile 提供 Huawei コンシューマービジネスグループ セールス&サービス部門ヘッドのJim Xu氏

 ほんの数年前までは大手キャリアのODM製品が中心で、日本でもほとんどその名を知られていなかった中国メーカー、Huawei。ここ数年の間に、コンシューマー向けの製品で目覚ましい躍進を遂げ、スマートフォンのグローバルシェアがSamsung、Appleに続く世界第3位にまで上り詰めた。その躍進の背景にどのような取り組みがあったのか、また今後さらに上を目指すための戦略とは? コンシューマービジネス部門でマーケティングとグローバルセールスを統括するJim Xu氏に話を聞いた。

●ネットワークとデバイス両方の手掛けているのが強み

―― ここ数年、目覚ましい躍進ぶりですが、ずばりその要因な何だと思いますか?

Xu氏 5年前、それまでODMを中心に手掛けていたのを、Huaweiのブランドでスマートフォンを作ることにしたのですが、そのときに2つのことに注力しました。1つ目はしっかりとした品質保証体系を構築すること。2つ目は各国におけるアフターサービスを強化することです。スマートフォンの業界からみれば弊社は新参者ですので、これからオープンマーケットで消費者に選んでもらうためには、この2つが何より重要だと考えたからです。

 また他社と差別化するために、カメラ、DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)、長時間バッテリーなど、基本性能の向上にも取り組みました。さらに他社のようなブランド力がない代わりに、ライカとの協業によるカメラ品質の向上や、AI対応のチップセットをいち早く開発するなど、高い技術力で競合他社に追い付き、追い越すことに目標を置いてきました。

 またオープンマーケットでは、製品が優れていることはもちろん、消費者が負担できる価格であることも重要です。高い技術と性能、品質を備えながら、かつ手頃な価格で届けることができれば、おのずとグローバル市場でHuaweiの価値を出すことができると考え、取り組んできた成果だと思います。

―― Huaweiが他社に比べて秀でているのはどういったところだと思いますか?

Xu氏 弊社は数あるスマートフォンメーカーの中でも、かなりユニークな存在だと思います。というのも、ネットワークインフラとデバイスの両方を同時に手掛けているからです。

 今から10年前、弊社で4Gのネットワークインフラを構築する際に大きな課題だったのが、消費者にいかにこの高速なネットワークを活用してもらうかでした。そこでその解決策として弊社では、USB接続のデータ通信カードを開発しました。これは日本を含む多くの多くの通信キャリアから発売され、大ヒットしました。

 あともう少しで5Gの世界がやってきますが、ここでも同様に、弊社が蓄積してきた通信技術とデバイスとのシナジーを発揮できると考えています。デバイス側で音声、データ通信、動画やゲーム、ビッグデータ、クラウドストレージといったものを十分に活用していただくには、ネットワークインフラをきちんと作らなければいけない。逆にネットワークインフラに最適化されたデバイスを作れば、非常に良いユーザー体験が実現できます。

 実はチップセットの分野においても、CPU、GPU、画像処理、それからバッテリーといった材料化学に至るまで、その研究開発は、ネットワークインフラを手掛ける部門ときちんと連携を取っています。ですので、より相乗効果が発揮しやすく、ネットワークの成果を端末の方で生かせるようになっています。これがまさに弊社独特の強みであり、他メーカーとの一番の違いではないかと思います。

●日米のキャリアマーケットにもスマートフォンを投入か?

―― グローバルで特に今注力している市場はありますか? またその理由も教えてください。

Xu氏 今グローバルで販売されているスマートフォンの台数は、13億とも14億とも言われていますが、その大部分を占めるのが、中国、アメリカ、日本、そしてヨーロッパの一部の国です。中でも500ドル以上の価格帯のスマートフォンは特に、これらの国々に集中しています。インドやインドネシアといった国も人口は多いですが、そのほとんどがローエンドモデルですので、やはり優先順位としてはハイエンドモデルが売れているこれらの国々になってくると思います。

 特に中国はほんの4年前までSamsungがシェア30%でトップを走っており、弊社のシェアは低かったので生き残りをかけて取り組んできました。その結果、今ではSamsungのシェアが2%まで落ち込み、弊社は35%でシェアトップというところまで来ました。

 また同様に、この4年間はヨーロッパにも継続的に投資を行ってきました。おかけで今ではイタリア、スペイン、フィンランド、ポーランド、オーストリアといった国で弊社の市場シェアが20%を超え、1位になっています。ヨーロッパでのスマートフォンの売り上げは、50億ドルを超えるのではないかと見込まれています。

 もちろん日本も、戦略的にとても重要な市場の1つです。日本ではSIMフリーマーケットに主戦場を置いてスマートフォンを販売していますが、良い業績を上げられていると思います。口コミでも高い評価をいただいて、本当に励みになっています。弊社としても自信をつけることができたので、今後は日本の最大の市場であるキャリアマーケットでも諦めずに、取り組みを続けていきたいと考えていますし、近いうちにその成果を見ていただけるのではないかと思います。

―― より大きなシェアをとるために、北米市場にはどのような戦略を持っていますか?

Xu氏 米国はグローバルで見ても、よりPRが重要だと認識しています。当然重要なマーケットですし、継続的に努力しています。実はアメリカの量販店では、既に弊社のPCやウォッチ、スマートフォンなどの一部が販売されています。その業績は悪くないと思いますが、日本と同じようにアメリカでもキャリア市場が一番ボリュームの大きい。この件に関してはNDAもあり、今はお話できませんが、来年(2018年)以降はアメリカのキャリア市場でも、ある程度の成果を出せるのではないかと思っています。

●さらに上を目指すために必要な今後の戦略とは?

―― 世界第3位ということろまで来ましたが、さらに上を狙うつもりはありますか? あるとしたら、そのために必要なことは何ですか?

Xu氏 弊社はグローバルで事業を展開していますが、市場のオポチュニティがはるかにわれわれの能力を上回っている。われわれが思っている以上に、市場がわれわれに対して期待しているのだと思います。

 この先の弊社の戦略的な方向性としては、まず1つ目はやはり品質です。2つ目はチップセットの技術ですね。通信メーカーとして、これからもチップセットに対する投資や研究開発を強化することで、他社との差別化を図りたい。これはひいては将来、われわれにとって大きなアドバンテージになると信じています。

 そして3つ目ソフトウェアのユーザー体験。実はAndroidには、使用期間が長くなればなるほどと遅くなるという問題点があるんです。12カ月後には効率が20〜30%も下がるとも言われていますが、弊社ではMate9以降、ソフトウェアを最適化することで、スムーズに使える機関を12カ月から18カ月に伸ばしました。この点はさらに技術革新を進めて、来年には、Android陣営の中で弊社のスマートフォンが一番使いやすいものになると信じています。

 また4つ目として、世界の一流企業とパートナーシップを組むことで機能強化を図っていきたいと思います。これまで弊社では、ライカとの業務提携によって、業界の中で一番良いカメラ機能を実現したり、タブレット製品ではハーマンカードンと協力することでオーディオの効果を最大限に引き出しました。またPCではドルビーとの業務提携によって音響に関しても工夫しています。このようなオープンな姿勢を持って、各業界の優秀なパートナーを見つけることはとても大切です。

 最後に5つ目として、エコシステムを構築することも目標にしています。スマートフォン、PC、ウェアラブルと、さらにこれからはスマートホームのソリューションも提供していきますが、これらでエコシステムを作っていくことで、ユーザーにより良い体験をお届けできるようになると思っています。

 これら5つの分野に注力しながら、引き続き努力を続けていきますが、いつ競合他社を超えるかという目標は特に設定していません。そうした順位よりも、まず自身の能力を高めること。そして価値を作り出すこと。支払った代金分だけの価値を感じ取ってもらうことや、製品を楽しんで使ってもらうことが、何より大切だと思っています。

―― 今の話の中にあったスマートホームのソリューションとは、どのようなものでしょうか?

Xu氏 中国では今、異なるメーカーの電灯や冷蔵庫、カーテン、レンジをどうつないで、スマートホームを構築していくかということが注目されています。弊社では家電製品は取り扱っていませんが、標準的なプロトコルを提供することでこの課題解決に取り組んでいます。具体的には、中国の家電業界からサポートを受け、プロトコルに最適化したチップセットを作っています。これが実現すれば弊社のスマートフォンから異なるメーカーの家電を操作できるようになります。これについては来年以降、海外向けに展開していきたいと考えています。

●3人の社員が5人分働いて4人分の給料をもらう

―― Huaweiは2017年で30周年とのことですが、ここまでの成長を支えてきたものは何でしょうか?

Xu氏 技術ももちろん大切ですが、より大切なのはマネジメントと文化です。今年72歳になる創設者のRen Zhengfeiが常に掲げてきた理念は、カスタマーファーストであること、そして一生懸命頑張る人に報いるということです。

 今ではグローバルに18万人の社員がいますが、その文化はとてもシンプルで、求められているのはただ1つ、目の前の仕事をしっかりやるということだけです。例えば本部のトップが各国の拠点を訪問する際、もし現地の幹部が就業時間中、目の前の仕事を置いて空港に迎えに来るようなことをすれば、その幹部はすぐクビになるでしょう。

 勤務中は100%カスタマーのやめに働かなければならないからです。Huaweiには「3人の社員が5人分働いて4人分の給料をもらう」という言葉があり、それくらいわれわれは皆、自らも楽しみながらそれくらい一生懸命に仕事に取り組んでいます。

 Huaweiの本社は中国ですが、われわれはグローバル企業です。世界中の一流企業とパートナーシップを組み、そこから多くを学んでいますし、また20年前からIBMのマネジメント手法を導入してきました。特に品質管理については、日本を含む世界中のキャリアから多くを学び、品質に対する意識は今ではわれわれの中に深く根ざしています。

 Huaweiは上場していませんので、資本関係で影響を受けることがなく、一度決めた長期戦略の方向性は簡単に揺らぎません。これからもお客さまを第一に据えて、できるだけ長くこの業界で生き残っていきたい。今日の成功は偶然ではなく、そのことに自信を持って、今後も一歩一歩、歩みを進めていきたいと考えています。

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