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「iPhone 8」発売が中古携帯業界に与える影響

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2017/09/29
「iPhone 8」発売が中古携帯業界に与える影響: 「iPhone 8/8 Plus」 © ITmedia Mobile 提供 「iPhone 8/8 Plus」

 9月22日に発売された「iPhone 8/8 Plus」。今モデルから総務省の新指針対象となり、6s/6s Plusの下取り金額やSIMロック解除のルール緩和などによって、さまざまなところに影響を及ぼしそうです。これらは中古携帯業界にとって大きな転換点となるのでしょうか?

 最初に前回のコラムで取り上げた、総務省の新指針(iPhone 8/8 Plusに関連する部分だけ)のガイドラインを振り返ります。

 まずは、スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドラインから見ていきましょう。ここでは「端末購入者に求める合理的な額の負担を明確にすること。具体的には、2年前の同型機種の下取り価格以上」と定められています。

 iPhone 8/8 Plusの2年前の同型機種は「iPhone 6s/6s Plus」なので、発売日の9月22日からは「8/8 Plusの実質価格>「6s/6s Plusのキャリア下取り金額」にする必要があります。そのためか、ドコモとKDDIは9月22日、ソフトバンクは19日に6s/6s Plusを含めたiPhoneの下取り価格を改定しています。

iPhone 6sから機種変更する場合(税込、以下同)

・ドコモ:2万7000円→2万6568円

・KDDI:2万9160円→1万7280円

・ソフトバンク:2万8800円→1万2480円

 と下がっています。ソフトバンクの下落幅が一番大きくなっています。

iPhone 6s Plusから機種変更する場合

・ドコモ:3万円→2万6568円

・KDDI:3万1320円→2万3760円

・ソフトバンク:3万1200円→2万4240円

 こちらはauが一番低い下取り金額になりました。

 8/8 Plusの実質価格は以下の通りです。

iPhone 8の実質価格(機種変更)

64GB

・ドコモ:3万1752円

・KDDI:2万7360円

・ソフトバンク:2万6880円

256GB

・ドコモ:5万112円

・KDDI:4万5120円

・ソフトバンク:4万5120円

iPhone 8 Plusの実質価格(機種変更)

64GB

・ドコモ:4万3632円

・KDDI:3万9120円

・ソフトバンク:3万8640円

256GB

・ドコモ:6万1992円

・KDDI:5万7600円

・ソフトバンク:5万7120円

 6s/6s Plusの下取り価格と8/8 Plusの実質価格を見比べると、「8/8 Plusの実質価格」>「6s/6s Plusのキャリア下取り金額」がしっかりと守られていることが分かります。

 続いて、SIMロック解除の円滑な実施に関するガイドラインを見ていきましょう。主な内容は以下の通りです。

・端末購入からSIMロック解除が可能になるまでの期間の短縮。割賦払いの場合は100日程度以下(※これまでは180日のため、80日程度短くなった)

・端末購入からSIMロック解除が可能となるまでの期間の短縮。ドコモは、一括購入でその日にSIMロック解除できる。このルールはauとソフトバンクも12月1日から運用する

・解約時に、原則としてSIMロック解除を可能にする

・MVNO向けSIMロックの廃止

 MVNO業界にとってはかなりの追い風になりそうです。これらを踏まえて、iPhone 8/8 Plus発売は中古携帯業界にどのような影響を与えるのかを考えてみます。

(1)iPhone 6s/6s Plusが中古市場にこれまで以上に出回る

 これまで中古相場よりもiPhone 6s/6s Plusの下取り金額が高かったため、中古買取店に販売するよりもキャリアショップへ下取りに出す方がお得でした。

 しかし、新iPhoneが発売されてiPhone 6s/6s Plusの下取り価格が下がった結果、中古買取店の方がキャリアの下取り価格よりも高く買い取るケースが増えています。さらに下取りの場合、液晶割れ以外は状態を問わず一律価格のため、本体の状態がいい機種は、中古で売った方がさらにお得になります。

 また、auやソフトバンクでは、6s/6s Plus以外の機種でもこれまでよりも下取り金額が下がったため、ドコモと同じく中古買取店の方がキャリアの下取り価格よりも高く買い取る店舗が多くなっています。

(2)iPhone 8/8 Plusの中古市場への流入が購入から13カ月目以降に減る可能性がある

 今回の新iPhone発売に伴い、各キャリアは、実質下取り保証のようなサービスを提供し始めました。

 ドコモは13カ月目に機種変更すると、最大2万7000ポイントを還元する「機種変更応援プログラム」、auは13カ月目に機種変更してiPhoneの端末代が半額になる「アップグレードプログラムEX(a)」、ソフトバンクは24カ月間同じ機種を使い続けて25カ月目に機種変更すると、残りの割賦代金(48回払いの半分)を免除する「半額サポート for iPhone」を提供しています。

 これらは新iPhoneの囲い込み戦略といえます。いずれのサービスも、機種変更時に旧機種を回収すること、つまりキャリアの下取りに出すことを条件に定めているため、これらのサービスを利用するユーザーのiPhoneは中古市場へは流通しなくなってしまいます。

(3)SIMロック解除済みiPhoneの取り扱い台数が増える

 現在、ドコモから一括購入した端末は当日にSIMロックを解除できるほか、ドコモの分割払いやauとソフトバンクの場合は、端末購入日からロック解除までに必要な日数が100日程度に短縮されたことで、SIMロック解除済みのiPhoneがこれまでよりも急増するでしょう。

 そのため、SIMロック解除済みの中古iPhoneの販売も増えると推測できます。これはユーザーにとってもいいニュースではないでしょうか。ちなみに、店頭で販売している中古端末がSIMロック解除されている場合、その旨を記載している事業者が多いので、ユーザーは端末がロック解除済みかどうかを購入前に把握できます。

 格安SIMとのセット販売もしやすくなるでしょう。ただ、キャリアが買い取った(回収した)iPhoneは、国内の中古市場に流通する前に海外市場に出回る懸念もあります。

(4)auユーザーが格安SIMに乗り換えやすくなる

 iPhone 8/8 Plusから、MVNO向けのSIMロックがなくなります。au VoLTEの回線を使ったMVNOのSIMカードを使用するには、端末のSIMロックを解除する必要がありましたが、新iPhoneならSIMロック解除は要りません。MVNO向けSIMロックのない8/8 Plusは、auユーザーのニーズが高まるため、au iPhone 8/8 Plusの買い取り価格が上がる可能性があります。また、UQ mobileなどのau系の格安SIMとのセットとして新iPhoneの需要が上がるでしょう。

 もう1つの新iPhoneの「iPhone X」の発売は、11月3日。iPhone Xも8/8Plusと同じように新指針の対象となります。Xが発売されたとき、8/8 Plusの販売状況、中古市場はどうなっているのでしょうか。楽しみに取っておきましょう。

●著者プロフィール

粟津浜一

株式会社携帯市場 代表取締役

 1979年岐阜県生まれ。2004年筑波大学大学院理工学研究科修士課程修了。その後ブラザー工業にて、さまざまな研究開発業務に従事。2009年株式会社アワーズ設立、社長に就任。2017年株式会社携帯市場に社名変更。中古携帯を日本中に文化として広めることをビジョンとして、中古携帯市場動向セミナー、事業説明セミナーを行い、これまでに1000以上の店舗に中古携帯事業を展開、コンサルティングを行っている。

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