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「Office 2019」は2018年後半に提供 Microsoftのビジネスツールはどう進化する?

ITmedia PC USER のロゴ ITmedia PC USER 2017/10/01
「Office 2019」は2018年後半に提供 Microsoftのビジネスツールはどう進化する?: Microsoft Ignite 2017の公式ページ © ITmedia PC USER 提供 Microsoft Ignite 2017の公式ページ

 ITプロフェッショナルや開発者らを対象にしたMicrosoftの年次カンファレンス「Microsoft Ignite 2017」が9月25日〜29日に米フロリダ州オーランドで開催された。

 かつてのTechEdなど各種イベントを1つに集約して2015年からIgniteの名称で開催してきたイベントだが、2017年もMicrosoft Officeをはじめとする同社のビジネス向け最新製品を発表した。幾つかをピックアップして紹介する。

●「Office 2019」は2018年後半リリース

 話題の1つ目はOfficeだ。Office Perpetualの次期版にあたる「Office 2019」が2018年後半にもリリースされる。プレビュー版の提供は2018年半ばに開始するという。

 Office 2019には、Word、Excel、PowerPoint、Outlookといったおなじみのオフィスアプリケーションと、Exchange、SharePoint、Skype for Businessなどのサーバアプリケーションおよびサービスが含まれる。

 Office Perpetualとはパッケージやバンドル販売などの形態で提供される製品のことで、特定のデバイスに対してライセンスが「Perpetual(永続的)」に付与される点に由来する。ライセンス利用のために1年単位など一定期間ごとに更新が必要となる「Office 365」とは対の存在だ。

 ただMicrosoftとしては、製品をOffice 365などのクラウドへとシフトしている段階にある。特に中小企業を主なターゲットとしたWindows OSを含む管理スイート「Microsoft 365」のリリースにみられるように、ユーザーには極力クラウド利用を推奨している。

 これは最近になり改訂された製品サポートポリシーにも現れており、Office 365系サービスの利用には「サポート期間内にある製品のライセンスが必要」という条件を付与するなど、実質的なクラウド誘導策を敷いている。

 Office Perpetualは永続的なライセンスが与えられている一方で、ソフトウェア製品である以上はサポート期間が設定されており、リリースから一定期間が経過するとメインストリームサポートが終了する。

 Office 365で提供されるサービスにはOutlook、OneDrive for Business、Skype for Businessなどが含まれるため、サポートが終了すると、主にコミュニケーション系ツールでの利用に制限が加わる。例えば、Office 2016は2020年10月13日にメインストリームサポートが終了するため、これら機能を利用するユーザーはOffice 2019へと乗り換えるか、あるいはOffice 365のサブスクリプションを契約するしかない。

 つまり、現状におけるOffice Perpetualは「クラウド移行の準備が整っていない」というユーザーのための中間ソリューションのようなものであり、「次のタイミングではクラウドを検討してほしい」というMicrosoftのメッセージが隠されているのではないかと筆者はみている。

 Office 2019の詳細はまだ不明だが、幾つかの新機能が説明されている。例えばWindows 10の「Anniversary Update(1607)」以降に加えられた「Windows Ink」との親和性がさらに高まり、筆圧検知や傾き効果、筆跡再現といった機能をサポートする。また、Excelでの新しい数式やグラフを使ったデータ解析、PowerPointでの変形やズームといった新しいアニメーション効果が加わる。

 特に安定性や継続性が重視される業務用途では、新機能があっても使わないというケースは少なくないが、Windows InkのようにWindows 10の新機能との連携強化もみられ、それなりに利便性を感じるアップデートになると予想する。

●大幅に強化される「OneDrive」

 Ignite 2017で発表された話題のうち、最もホットで内容が盛りだくさんだったものの1つが「OneDrive」に関するアップデートだ。新機能のうち、幾つかを紹介する。

 Windows 10の次期大型アップデート「Fall Creators Update(1709)」は10月17日に一般ユーザー向けの提供が開始されるが、目玉機能の1つとして「Files On-Demand」が挙げられる。OneDriveのクラウドに保存したファイルを必要に応じてダウンロードして利用できる機能で、ローカルストレージの容量を抑えられる利点がある。

 これに伴い、Windows 10単体で追加のアプリケーションを導入することなく270種類以上のファイルをプレビュー可能になるのも大きなポイントだ。例えば、Adobe IllustratorのAIファイルなども、同アプリケーションのインストールなしにプレビューでき、アイコンサイズを拡大して整理するのに役立つだろう。この機能はもともとOneDriveのWebアプリケーション上で提供されていたものだが、これがデスクトップOSにも展開される。

 OneDriveはWeb版のUIも大幅に変更される。外見上の変化はもちろんだが、新規ファイルやフォルダがハイライトされて区別しやすくなっている他、どのコンテンツが誰と共有され、さらに誰によってアクセスされているかといった情報が、新実装のPeople CardやInfo Paneを通じてクリック1回で確認可能だ。

 また地味な変更だが、OneDrive Web UI上での共有操作とWindowsおよびMacでの共有操作が共通化され、非常にシンプルな方式となっている。Office 2016向けには今後数カ月以内に共通方式の実装が行われるという。

 個人的にうれしい変更点としては、Web UI上でZIPファイルをダウンロードすることなく中身をプレビュー可能になったことと、外部ユーザーにファイルを公開する際にワンタイムパスワードを生成可能になったことが挙げられる。

 特に後者について、これまではMicrosoftアカウント(MSA)を通じてアクセス制御を行うか、永続的なアクセス権を与えるURLを生成して相手に渡すという手段の2種類しかなかった。サンプル画像によれば、15分間のみ有効な8桁数字のパスワードを生成しており、少しセキュリティレベルの高い形でのファイルの外部公開が可能になっている。

 この他、以前にも触れた履歴機能による過去のファイルの復活機能が追加されている。Microsoft 365を絡めた管理ツール連携など、ITプロフェッショナル向けの管理機能も大幅に拡充されており、特に企業ユーザーの利用で重宝するはずだ。

●TeamsにSkype for Businessの機能を統合

 Microsoftがエンタープライズ向けサービスやソフトウェアの名称を頻繁に変更するのは今に始まった話ではないが、次は「Skype for Business」が対象になるようだ。クラウドサービスのOffice 365をベースとしたグループチャットツールの「Teams」にSkype for Businessの機能を統合し、最終的にはTeamsの名称でリブランディングするという。

 Skype for Businessはもともと「Office Communicator」の名称でクライアントソフトウェアが提供されており、2011年にクライアントとサーバ製品ともに「Lync」の名称でリブランディングが行われた。2014年にMicrosoftによるSkype買収を経て名称がSkype for Businessとなっている。

 Lync以前の製品は企業向けのコミュニケーション製品であり、チャットや音声通話の他、リモートデスクトップや遠隔ミーティング機能などが実装されている点が特徴で、専用のビデオカンファレンス機器の実装なしにPCだけで手軽に遠隔地とのやりとりが可能な点で人気がある製品だ。

 コンシューマー向けではSkypeのブランドが比較的知られていることもあり、著名なブランドに寄せる形で名称を変更したのがSkype for Businessで、機能的にはLync時代から大きな変化はない。

 Skype for BusinessがTeamsの名称でリブランディングされるという話は9月初旬ごろから話題に上っており、実際にMicrosoftが誤って名称変更の宣伝メッセージを一般ユーザーに公開してしまう事件があった。

 その後、実際にSkype for Businessを利用するユーザー企業に向け、2018年9月7日までにTeamsへの移行を完了するよう通達があったことが分かり、どのような形で移行が行われるのかに注目が集まっていた。

 米ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏は、TeamsとSkype for Businessには機能的な差異もあり、一気に移行を促すと混乱が生じるため、準備ができたユーザーから段階的に移行を行っていくのではないかと予想していた。

 現在のところ、まず移行の第1ステップとしてPSTNを使った音声電話での送受信を可能にする機能がTeams側に実装され、このような形でTeamsの機能をアドイン形式で拡張していくことで順次移行を促していく戦略のようだ。

 移行を促す意図はリブランディングというだけでなく、Skype for Business自体が旧式のLyncプラットフォームで動作していることを受け、よりモダンなTeamsのインフラに置き換えていく狙いもあるという。

●コミュニケーションツール多すぎ問題をどう整理する?

 筆者も気になる部分だが、「Microsoftにはざっと挙げただけで、Skype、Skype for Business(Lync)、SharePoint、Outlook、Yammer、Teamsといった具合に多くのコミュニケーション製品があって相関が分かりにくい」と思っている方は少なくないだろう。

 Igniteのセッションではこのコミュニケーション製品の位置付けについて整理した情報が公開されており、個々の役割が明確となっている。コンシューマー向けのSkypeを除けば、SharePointを中核のリポジトリとして、Outlookが電子メール、Yammerが外部向けコミュニケーション、Teamsが内部向けコミュニケーションという形で区分けされ、Skype for BusinessはこのうちのTeamsへと包含されていくことになる。

 これがOffice 365を中心としたMicrosoftのコミュニケーション戦略であり、当面はビジネス向けにこの4製品が展開されていく。

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

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