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「Siri」と「AI」の関係を整理する

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2017/06/03
「Siri」と「AI」の関係を整理する: Appleの音声アシスタント「Siri」 © ITmedia Mobile 提供 Appleの音声アシスタント「Siri」

 Appleが自社製品に搭載するAIチップ「Apple Neural Engine」(仮)を開発中であるというウワサを米Bloombergが報じました。Appleは6月5日(米国時間)に世界開発者会議「WWDC 2017」の開催を控えており、そこでAIに関する何かしらの発表があるのか、注目を集めています。

 AppleのAI技術といえば、音声アシスタントの「Siri」を思い浮かべる人も多いでしょう。そこで今回は、WWDC 2017を前に、AppleとSiri、AIの関係を整理していきます。

●そもそもAI(人工知能)ってなに?

 AI(人工知能)は専門家によりさまざまな定義がありますが、総合すると「人間と同じような知能を人工的にコンピュータで実現しようとする技術」を指します。その歴史は意外と古く、「AI(人工知能)」という言葉が初めて登場したのは、1956年に開催されたダートマス会議でした。

 1964年には、コンピュータと人がテキストベースであたかも会話しているように見せる対話システム「ELIZA(イライザ)」が開発され人気を博しました。Siriにイライザについて尋ねると「彼女は私の最初の先生だったんですよ!」と答えるのは、イライザが対話システムの原型だったことに由来します。

 現在「AI(人工知能)」と呼ばれる分野には、自然言語処理、音声/画像認識、データマイニングなどさまざまな情報処理技術が含まれていますが、AI技術の核となるのが「機械学習」です。

 機械学習の説明がまたややこしいのですが、ざっくり言うと、人間が自然に行っている学習と同じように、AIプログラム自身が学習する仕組みです。大量のデータを処理、解析し、未来の予測を行うため、使うほどにデータが蓄積され、学習していき賢くなります。

●SiriはAIなのか?

 この機械学習を取り入れているのがSiriです。Appleの公式サイトでは、Siriについて「Appleが開発した機械学習テクノロジーが組み込まれている」と明言されています。Siri本人は認めようとしませんが。

 また、テックメディア「BACKCHANNEL」に掲載されたApple幹部陣のインタビューによると、Siriは「音声認識」「自然言語理解」「命令の実行」「返答」の4つから構成されており、機械学習はそれら全てに大きな影響を与えているとのこと。機械学習を使い、人間が知能によって行うことを機械(Siri)にさせようとする点においては、SiriはAIといえるでしょう。

●iOS 10のSiriでできること

 Siriを呼び出すにはホームボタンを長押しするか、「Hey, Siri」と呼びかけます(一部未対応機種あり)が、同インタビュー記事によると、バッテリーを消耗させずに「Hey, Siri」の呼びかけに反応できるのも機械学習のおかげだそうです。

 Siriの声は音声センターで収集された録音データベースから来ており、語句のつぎはぎによって返答の文章が作られています。iOS 10からはその音声がさらに滑らかになりましたが、これも機械学習によって、実際の人のようにスムーズな話し方を実現しました。

 ちなみに「○○さんに電話をかけて」「今日の天気は?」「今一番はやっている曲を聴かせて」といった命令には、iOSの標準アプリを使って対応しますが、iOS 10からは他社製アプリも使えるようになりました。Siriに呼びかけてLINEやSkypeからメッセージを送る、Twitterにつぶやく、Uberを配車する、Facebookで画像検索するといったことが可能です。

 Siriは会話画面だけでなく、コントロールセンターやSpotlight検索画面にもひっそり表示されていることにお気付きでしょうか。ここでは居場所と時刻にもとづいて、ユーザーが使いそうなアプリを予測してSiriが先回りして提案します。

 このユーザーの意向を先回りして情報を通知する「プロアクティブアシスタント」機能は、iOS 9で初登場しました。Siri以外では、連絡先に登録されていない発信者からの電話でも相手の名前を予測して表示したり、ユーザーのカレンダー上にある次のミーティングが、経路の提案とともに自動的に表示されたりします。これらも機械学習によって実現もしくは大幅に強化された機能です。

 ユーモアのある返しや都市伝説など雑学的なネタで話題になりがちなSiriですが、日々の学習によりできることが増えているのです。

●Siriはスピーカーを通して操作するようになる?

 Siriの先読み提案は、データが蓄積されることにより、さらに先読みの精度向上や提案のバリエーション増加が期待されます。例えば「金曜夜は銀座で打ち合わせですが、その後、近くのこのお店で食事するのはいかがでしょう」など、ユーザーの行動パターンを学習した先読み提案ができるようになる可能性があります。

 Appleに期待したいのは、よりSiriが能動的に情報を提供できるようになることです。Siriは現在、ユーザー側からの指示を受動的にこなす場合がほとんどです。使いこなせる人には便利ですが、使い方が分からない人によっては「Siriを呼び出して問題を解決する」という発想すら生まれません。

 もっとSiriが適切な情報を能動的に提供するようになれば、Siriを活用する人も、利用シーンも増えて、あらゆる人の毎日をサポートできるバーチャルアシスタントとなるはずです。

 また、Siriは現在、iPhoneやiPad、Apple Watch、Macで使うことができますが、英語圏ではスマートスピーカーの存在感が日に日に増してきています。Amazonの音声認識AI「Axela」を搭載するスマートスピーカー「Amazon Echo」は、米で大ヒットを記録。

 Googleの開発者会議「Google I/O 2017」では、米・英で販売中のスマートスピーカー「Google Home」を、今夏から日本など5カ国でも発売すると発表しました。Appleでも「Siriが気軽に使える製品」として、今後スマートスピーカーが発売されても不思議ではありません。

 機械学習によるSiri自体の進化はもちろん、Siriを呼び出す方法がどのように変化し、毎日の暮らしがどう豊かになっていくのか、注目しておく必要がありそうです。

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