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「Surfaceはおすすめしない」 Consumer Reportsの格付けに思うこと

ITmedia PC USER のロゴ ITmedia PC USER 2017/08/18
「Surfaceはおすすめしない」 Consumer Reportsの格付けに思うこと: Consumer ReportsがSurfaceを非推奨としたレポート © ITmedia PC USER 提供 Consumer ReportsがSurfaceを非推奨としたレポート

 米Consumer Reports誌がMicrosoftの「Surface」製品群を購入推奨リストから外したことが話題になっている。同誌によれば、Surfaceユーザーを対象としたアンケート調査で利用から2年以内に何らかの故障に遭遇する率が25%に達しており、他の競合製品と比較しても極めて高いというのがその理由だ。

 Microsoftは当然ながらこのレポートに反論しており、自社のデータとの乖離(かいり)を指摘している。

●Consumer ReportsがSurfaceを「非推奨」とした理由

 今回話題となったのは、Consumer Reportsが8月10日(米国時間)に公表した「Microsoft Surface Laptops and Tablets Not Recommended by Consumer Reports」というレポートだ。

 日本ではConsumer Reportsになじみがない方がほとんどと思われるが、米国では「広告なしでバイアスのかからない製品評価」をモットーに、Consumers Unionという非営利消費者団体が戦前から80年以上にわたって発行している歴史ある月刊誌だ。家電からPCまでコンシューマー向け製品全般を扱っており、業界への影響力も大きい。

 最近の例では、Appleが2016年末に発売した新型「MacBook Pro」について、バッテリー駆動時間が公称値より著しく短いことを理由に推奨リストから外しており、後にAppleが問題に対応するソフトウェアを配布したことでリストに復帰させた件が注目され、存在感を示した。

 Consumer Reportsによれば、今回の調査は2014年から2017年初頭までに同誌購読者が新規購入した9万741台のタブレットとノートPCを対象として、Consumer Reports National Research Centerが実施したものだ。Surfaceの購入から2年以内に何らかのトラブルが発生した比率が25%ということで、これが競合他社の製品と比較しても高いために「非推奨」との評価を下している。

 Consumer Reportsが今回非推奨としたのはSurfaceシリーズのノートPCならびにタブレット全製品だ、「Surface Laptop」(128GB、256GB)と「Surface Book」(128GB、512GB)の4製品については、現時点で発売から「2年」という今回の評価期間を満たしていないことから、同誌の推奨リストから外した形となっている。

 Microsoftは同社初のPC本体製品となる「Surface RT」を2012月10月に米国で投入し、その90日後には「Surface Pro」を発売した。世界各地への展開にはさらに時間がかかっている状態で、PC本体メーカーとしてはかなり若い部類に入る。そのため、Consumer Reportsが「十分なデータが集まった」としてMicrosoftのPC製品を公式に評価するのは初のケースだという。

 今回の25%という故障率は「信頼性」に関わる部分だが、それ以外については高い評価を受けている項目もある。例えば、Consumer Reports内のラボのテストでは新型「Surface Pro」について、複数の項目で「Very Good」や「Excellent」の評価を受けており、さらにキーボードを本体に組み合わせて利用した場合の評価は非常に高い。

 しかし、一般コンシューマーは「(期待される)信頼性」に重きを置く傾向があり、今回の決定につながったと同誌では説明する。

●MicrosoftのSurface担当者が反論

 これに対し、MicrosoftでSurfaceなどハードウェア製品開発を指揮するパノス・パネイ氏は、Windows公式ブログで自ら反論している。同氏によれば、Microsoft社内の「Surface Pro 4」ならびに「Surface Book」の1〜2年間の故障率ならびに返品率は、Consumer Reportsが提示する25%より大幅に低く、デバイスあたりの事故率は年々改善されて現在は1%未満だという。

 また調査会社のIPSOSが米国、英国、ドイツ、フランス、中国、日本、オーストラリアで2017年1〜6月にコンシューマーを対象に実施したアンケートでは、両デバイスにおける顧客満足度は98%に達したと強調している。

 Consumer ReportsとMicrosoftの意見は食い違っている。ただ、どちらのデータも事実という前提に立てば、(アンケート対象となった)一部のユーザーはSurfaceに満足しているが、一部では故障率の高さに不満を抱いているということであり、この両極端の意見もまたSurfaceの現状だということだ。

 前述のようにPC本体メーカーとしては若いMicrosoftだが、今後もユーザーのニーズをくみ取りつつ製品改良を続け、OEMメーカー各社のような評価を確立していってほしいところだ。

●PCのサポートに求められるもの

 Consumer Reportsは「信頼性」に重きを置いて評価していたが、これは製品購入者が評価で最も気にする部分の1つであることが理由だという。

 一方でこれは個人的な意見だが、筆者は製品選択の基準として「アフターサポート」を重視する傾向が強い。事故率は低いに限るが、毎日のように持ち運んで利用するノートPCやタブレットにおいて、何らかの故障やトラブルはつきものだ。実際、国内外の移動中や出張での滞在先でPCが突然故障したことは一度や二度ではないし、強盗やひったくりにPCが入ったカバンを丸ごと強奪されたことも何度かある。

 一時期は故障対策として補修部品を個人でも購入しやすい「ThinkPad」を選んでいた。現在はPCを2台以上持ち歩けない状況での海外出張において、現地でアクセサリーやPC本体を入手しやすい「MacBook」を選んでいる。保証期間中であれば、状況次第だが現地での無償修理や交換対応も可能なわけで、「継続して作業が行える」ことを最優先にするのが海外出張が多い筆者のPC選びの基準だ。

●「Surface Plus」と「Surface as a Service」の価値

 その意味で興味深いと感じたのが、米Microsoftが提供している「Surface Plus」ならびに「Surface as a Service」という仕組みだ。

 コンシューマーにおけるSurface Plusは「デバイス購入補助プログラム」だ。米Microsoftが2017年8月に始めたもので、Surfaceシリーズのデバイスを年利(APR)0%の24カ月分割払いで購入できる。支払い額はSurface Proが月額34ドル(Core m3選択時)から、Surface Laptopが月額42ドルから、Surface Bookが月額63ドルから。

 さらに支払いが18カ月に達した時点で、使用中のSurfaceが完全に動作する状態であるなどの条件を満たしていれば、最新のSurfaceデバイスへアップグレードできるのも特徴だ(元のデバイスは返却)。

 ビジネス向けのSurface Plus(Surface Plus for Business)は中小企業を対象とした購入補助ならびにOffice 365(およびMicrosoft 365)の販促ツールとなっている。

 規模の大きい組織を対象としたエンタープライズ向けには「Surface as a Service」のプログラムが提供されており、より手厚いサポートが期待できる。もともとは2015年9月に米Dellとの協業でスタートした「Surface Enterprise Initiative」に端を発するもので、企業ユーザーでいかにSurfaceを使って業務改革(「デジタルトランスフォーメーション」という表現が使われている)を実現していくかという目的がある。

 Surface Enterprise Initiativeは、サードパーティーであるOEMメーカーにファーストパーティーであるMicrosoftのSurfaceを販売してもらう単なる再販プログラムのようにも考えられているが、実際にはPC単体ではなくエンタープライズ市場で求められるサポート込みでのサービス体制を整えていくことが主眼であり、パートナーネットワークでビジネスを拡大してきたMicrosoftらしい仕組みだ。

 つまり、SurfaceはOSなどのソフトウェア製品と同様の商材の1つでしかなく、本当の商品はパートナーによってSurfaceとともに提供されるサービスということになる。

 このDellとの協業の過程で学んだエンタープライズ向けのサービスを次のステップに昇華させたのがSurface as a Serviceとなる。2016年9月に発表された同プログラムは、もともとALSOという欧州のCloud Solution Providers(CSP)との提携によりドイツで展開されていたものを世界向けに拡大したものだ。

 Surface as a Serviceでは、SurfaceをWindows 10やOffice 365といった各種ソフトウェアの他、マネージドサービスという管理ソリューション込みで提供していく。エンドユーザーには必要なアプリケーションや管理サービスがそろった状態でSurfaceが提供されるため、セットアップ等に時間を要することなく、すぐに業務を開始できるというメリットがある。

 またSurface as a Serviceの特徴として、顧客のニーズに応じてさまざまなPCの配送オプションを選択できる他、故障時に当日または1〜2日でオンサイトでの代替PCへの交換が可能なリプレイスサービスもメニューとして用意されており、「ダウンタイムを減らしてエンドユーザーには可能な限り業務に集中してもらう」環境が得られる。

 言うまでもなく、企業において重要なのはPCそのものではなく、PCで実現される作業環境の方であり、これをサポート体制で高めようというのがプログラムの狙いだ。

 コンシューマーとエンタープライズでは求めるものへのニーズは当然異なっているが、少なくともPCの評価において重要なのは「PC単体ではなく周辺サービスやユーザー体験全体」であり、仮に故障率が他製品と比較して多少高くても、アフターサポートを通じて満足のゆく体験を得られるのであれば、そのハードウェアとメーカーに対する評価はかなり良好になると考えられる。

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

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