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「VAIO Duo 11」徹底検証(中編)――11.6型フルHDのIPS液晶と筆圧検知ペンを味わう

2014/09/20 01:38

 

VAIO Duo 11の強みはユニークな変形機構だけにあらず

 指で触れるか、ペンで描くか、キーボードと光学式ポインターを使うか、それが問題だ――。

 ソニーの「VAIO Duo 11」は、タブレットモードとキーボードモードを素早く切り替えながら利用できるハイブリッド型の11.6型モバイルノートPCだ。同社はこれを「スライダーハイブリッドPC」と名付けており、Windows 8に最適化した新しいスタイルのPCであることをアピールしている。

「VAIO Duo 11」は、タブレットモード(写真=左)とキーボードモード(写真=中央/右)をワンアクションで素早く切り替えながら利用できるのが特徴だ


 状況に応じて2つのモードを自在に使い分けるコンセプトのため、VAIO Duo 11の入力環境はモバイルPCで他に類を見ない充実ぶりだ。広視野角の11.6型フルHD液晶をベースとして、10点マルチタッチ対応のタッチパネル、筆圧検知が可能なデジタイザスタイラス(ペン)、そしてキーボードと小型の光学式ポインターと、薄型軽量ボディに多彩な入力装置が詰め込まれていることに感心させられる。

 今回のレビュー中編では、前編で簡単に紹介した液晶ディスプレイの表示品質や、複数用意された入力装置の使い勝手を改めてじっくり調べていこう。

 なお、先に掲載したレビュー前編では、同社が「Surf Slider」デザインと呼ぶ独特の変形機構をはじめ、ボディデザインや各部の仕様について一通りチェックしているので、併せてご覧いただきたい。

液晶ディスプレイは高精細かつ広視野角が自慢

11.6型ワイド液晶ディスプレイは、1920×1080ドット表示のフルHDに対応。高精細な表示が可能だ

まずは、液晶ディスプレイから見ていこう。VAIO Duo 11は、11.6型ワイド液晶ディスプレイを採用する。ノートPCでは小さめの画面サイズだが、これはモバイルノートとしての持ち運びやすさに加えて、タブレットモードでの使いやすさ、ペン入力のための領域確保、高解像度の実現など、全体のバランスを考慮した結果という。
 

 特筆すべきは、この11.6型ワイド液晶が1920×1080ドット表示のフルHDに対応していることだ。画素密度は約190ppi(pixel per inch:1インチあたりのピクセル数)に達しており、「MacBook Pro Retinaディスプレイモデル」の220ppiには届かないものの、現行のVAIOノートでは最高の画素密度で、Windows搭載ノートPC全体を見ても非常に高精細な表示となる。

 もっとも、表示が細かすぎて、かえって見づらいといったことはない。初期状態ではWindows 8のスケーリング設定が「中(125%)」に設定されており、標準的な「小(100%)」設定に比べて、デスクトップの文字サイズなどが25%拡大表示されるようになっているのだ。これにより、精細な表示と視認性を両立している。もちろん、Windows 8スタイル(Modern UI)のスタート画面やWindowsストアアプリでは、タイルや各メニューが大きく表示されるので問題ない。

 とはいえ、13.1型フルHD液晶を採用したかつての最上位モバイルノート「VAIO Z」(約168ppi)の「中(125%)」設定と比較して、デスクトップの文字サイズが一回り小さく表示されるので、細かい表示を好まない向きは注意が必要だ。

 また、デスクトップの高ppi環境を想定していないアプリではウィンドウのレイアウトが崩れたり、アプリ内で画像として埋め込まれている文字が大きく表示されないなど、不都合が生じることは覚えておきたい。スケーリングの設定などを変更すれば、フォントやアイコンのサイズをより大きく見やすく調整することも可能だが、こうした表示崩れの問題はつきまとう。

 このようにVAIO Duo 11の画面サイズは、解像度に対して11.6型ワイドと小さいため、スケーリングでの拡大表示が基本だ。よって、フルHDの高解像度によって作業領域を大きく広げることより、ドットのつぶつぶを意識させない精細な表示を味わえることのほうがメリットとなる。実際の見た目も実にきめが細かく、高画素の写真やフルHD動画が緻密に表現できるのはもちろん、Windows 8スタイルのスタート画面や全画面アプリの表示も美しい。この点はiPadやiPhoneのRetinaディスプレイと同じような効果といえる。

表示が細かすぎないよう、初期状態ではWindows 8のスケーリング設定が「中(125%)」に設定されている(画面=左)。デスクトップ(写真=中央)も、Windows 8スタイルのスタート画面(写真=右)も、文字やアイコンが小さくなりすぎずに表示できている。ドットを意識させない高密度な表示が魅力だ

 

 

視野角が広いIPS方式の液晶パネルは、タブレットモードでの視認性確保に大きな役割を果たす

 画質面では、視野角が広いIPS方式の液晶パネルを搭載していることも貢献している。横位置と縦位置の表示を使い分けられるタブレットモードにおいて、画面の向きによってコントラストや色度が変化しにくい広視野角パネルは重要だ。

 またVAIO Duo 11では、キーボードモードで液晶ディスプレイを立ち上げた場合、画面のチルド角度が約130度(実測値)に固定されるため、膝の上やローテーブルに本体を載せると画面を少し斜め上から見ることになるが、広視野角パネルなので多少上からのぞき込むような格好でも、表示内容や色をしっかり判別できる。VAIO Duo 11独特のボディデザインと視認性を両立するには、IPSパネル以外の選択肢はなかっただろう。

 実際の見た目も非常によい。モバイルノートPCの液晶ディスプレイとしては高輝度かつ高コントラストで、色味も自然だ。画面下端に輝度落ちは少し見られるが、IPSパネルの採用もあって、全体の表示はかなり均一に保たれている。LEDバックライトの輝度は11段階に調整でき、最低輝度では十分暗く設定可能だ。内蔵の照度センサーにより、周囲の明るさに応じてリアルタイムで画面輝度を自動調整する機能も持つ。

 この高コントラストの表示には、ソニーの液晶テレビ「BRAVIA」やAndroidタブレット「Xperia Tablet S」で使われている「オプティコントラストパネル」の採用も効いている。これは通常、空気層となっている液晶パネルとガラスの間に透明な樹脂を流し込んで埋めることで、外光の反射を抑えつつ、黒浮きのない深く締まった黒を表現できるというものだ。

 VAIO Duo 11の液晶ディスプレイは表面が強化ガラスなので、それでも外光の反射や映り込みはかなりあるのだが、確かに黒色の深みは感じられる。映り込みが気になる場合は、純正アクセサリの液晶保護シート「VGP-FLS10」(実売2000円前後)を貼り付けるのも手だ。コントラストや発色のよさは少し損なわれるが、外光の反射や映り込みを抑えつつ、画面に傷や汚れがつくことから保護できる。

IPS方式の液晶パネルを採用したため、キーボードモードにおける液晶ディスプレイの角度が固定でも視認性に問題はない(写真=左)。液晶保護シートを付けていない状態(写真=中央)と、装着した状態(写真=右)。液晶保護シートを付けると、外光の反射や映り込みが低減される一方、輝度や発色も少し抑えられる

キーボードモードでは、液晶ディスプレイの角度が約130度(実測値)に固定される(写真=左)。液晶ディスプレイの輝度は、照度センサーと連動した自動調整が行える(画面=中央)。用途別に最適と思われる画質モードを自動もしくは手動で適用できる「色モード」の設定にも対応する(画面=右)

 

 

 

液晶ディスプレイの表示を実測(液晶保護シートの有無もチェック)

 今回は、エックスライトのカラーキャリブレーションセンサー「i1Pro」を用いて、VAIO Duo 11の液晶ディスプレイ表示を計測してみた。試しに、純正アクセサリの液晶保護シートを貼り付けた状態でも計測している。結果は以下の通りだ。

輝度は最大値に設定、自動輝度調整機能はオフ、色モードはオン(標準)の状態。液晶ディスプレイの表示を安定させるため、全画面に白を表示して1時間程度待ってから計測した結果
i1Proで計測したVAIO Duo 11の液晶ディスプレイ表示
製品名 SVD11219CJB SVD11219CJB+保護シート
液晶パネル 11.6型フル 11.6型フルHD
駆動方式 IPS IPS
分類 液晶保護シートなし 液晶保護シートあり
輝度(最大) 406カンデラ/平方メートル 364カンデラ/平方メートル
コントラスト比率 952:1 865:1
色温度 6697K 6717K
白色点 x 0.310、y 0.322 x 0.309、y 0.325

 液晶保護シートを貼り付けない素の状態では、最大輝度が406カンデラ/平方メートル、コントラスト比が952:1と非常に高かった。色温度は6697Kと出ており、PCで標準的な色規格であるsRGBの6500Kにかなり近い。目視での高輝度、高コントラスト、自然な色味という印象が計測結果から裏付けられた形だ。

 液晶保護シートを装着すると、色温度はほとんど変わらない一方、最大輝度は364カンデラ/平方メートルまで、コントラスト比は865:1まで下がった。最大輝度は10%ほど落ちたが、この状態でも輝度とコントラストは十分高いといえる。ただし、非装着の状態と見比べると輝度や発色はやはり見劣りしてしまう。ここは液晶保護と映り込み低減のトレードオフとして許容したい。

 計測結果に示されるRGBガンマカーブの補正状況は、以下の通りだ。

i1Proの計測結果から抜き出したRGBガンマカーブの補正状況。液晶保護シートを付けていない状態(写真=左)と付けた状態(写真=右)のグラフ。傾向はほとんど変わらない

 

よく見ると、青の線がわずかにずれているものの、赤と緑と青の3本線が暗部から明部までそろっており、色かぶりの少ないかなりニュートラルなグレーバランスを保持しているのが分かる。

 ガンマカーブ自体は入力と出力が1:1の直線ではなく、暗部が持ち上がっているが、これはi1Proの測定によって、暗部でRGBの入力に対して出力が弱いのを強める補正がなされていることを意味する。つまり、黒が浮かないよう、S字に近いガンマカーブにあらかじめセットしてあり、映像コンテンツの見栄えを意識した画作りといえる。

 実際にモノクロのグラデーションパターンを表示してみると、入出力が1:1のリニアな階調表示ではないこともあり、バンディングが散見されるが、普段利用するぶんには気にならないレベルだ。モバイルノートPCの液晶ディスプレイで、高度な階調表現力まで求めるのは酷だろう。

 次にi1Proで作成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで表示し、それぞれの色域を比べてみた。結果は以下の通りだ。

 

作成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで表示したグラフ。液晶保護シート非装着の状態とsRGB色域の比較。sRGBの色域は薄いグレーの領域だ

液晶保護シートを装着した状態とsRGB色域の比較。sRGBの色域は薄いグレーの領域だ

液晶保護シートを装着していない状態と、液晶保護シートを装着した状態の比較。薄いグレーの領域が装着していない状態で、色域がわずかに広い


 色域はsRGBと比較してかなり狭く、下位モデルの「VAIO T」と同程度だった。液晶保護シートを装着した状態では、ごくわずかに色域が狭まっている。いずれも青から紫にかけての色域がsRGBより大きく不足しているが、モバイルノートPC用の液晶パネルでは、この程度の色域で標準クラスだ。

 sRGBプロファイルの画像を正確な色で再現したり、鮮やかな赤や緑、深い青などを表現するには力不足ではある。ただし、ディスプレイの発色に人間の目はかなり順応するので、高彩度の別のディスプレイと見比べない限り、写真や動画を表示して、特に彩度が低いとは感じないだろう。

 なお、VAIO Duo 11の液晶ディスプレイは、VAIO独自のグレード分けでミドルレンジとなる「VAIOディスプレイプラス」に位置付けられる。かつての最上位モバイルノートであるVAIO Zは、広色域パネル(sRGBを超えるAdobe RGBの色域を96%カバー)を選択でき、ハイエンドの「VAIOディスプレイプレミアム」とされていた。

 確かに色域については、VAIO Zに見劣りするが、IPS方式による広視野角はVAIO Z(TN方式)に大きく勝っており、オプティコントラストパネルが後押しするコントラストの高さや、画素密度が詰まった高精細な表示も加味され、総合的な表示品質はVAIOディスプレイプレミアムに匹敵するといえる。つまり、モバイルノートPCとしては非常に優れた表示環境と思って間違いない。

Windows 8+マルチタッチのフィーリングは良好

キーボードを収納したタブレットモードでWindows 8スタイルのUIを操作。重量が約1.3キロあるので、写真のように片手で本体を持ちながらタッチ操作を続けるのは困難だが、タッチ操作自体は軽快に行える

 この高品位な液晶ディスプレイの魅力をさらに高めているのが、タッチパネルとペン入力への対応だ。10点同時のマルチタッチに対応した静電容量式タッチパネルを内蔵していることに加えて、256段階の筆圧検知が可能な電磁誘導式デジタイザスタイラスによるペン入力も行える。

 指でのタッチ操作とペン入力の使い勝手を両立するため、液晶ディスプレイの強化ガラス表面にはコーティングが施されている。例えば、指の滑りやすさを重視し過ぎると、ペンも滑りすぎて書き味が悪くなることから、どちらも使いやすいような触感のバランスに仕上げたという。

 実際に手で画面に触れてみると、しっとりとした触感ながら指がつかえる印象がなく、かなりスムーズに滑られることができる。1本指での上下/左右スクロールや、2本指を開いたりつまんだりすることでの拡大/縮小といった、タブレットデバイスではおなじみのタッチ操作もWindows 8スタイルで快適にこなせる。

 指の操作と画面の追従性は良好で違和感がなく、画面の右端から内側に向かって指を滑らせるチャームなど、Windows 8独特の操作もやりやすい。Windowsストアアプリ版のIE10でWebブラウズした際の慣性スクロールもイメージに近い動きだ。もちろん、デスクトップのUIでもタッチ操作は可能だが、特にWindows 8スタイルでのマルチタッチ操作は軽快に行え、キーボードを収納したタブレットモードの利用価値を高めている。

 さらに純正アクセサリの液晶保護シートを貼り付けると、表面がサラサラとした触感に変わり、指をより心地よく滑らせることができるのに加えて、ペン入力での抵抗が高まるため、ペンが滑りにくくなり、より紙に近い書き味が得られる。輝度や発色の面では不利な液晶保護シートだが、外光の反射や映り込みを抑えつつ、画面を傷や汚れから守り、しかもタッチ操作やペン入力がしやすくなるため、メリットは大きい。

 

 

2種類のペン先で書き心地まで追求したデジタイザスタイラス

 ペン入力の使い勝手も満足できるレベルにある。付属の電磁誘導式デジタイザスタイラスを画面から約5ミリの距離まで近づけると、画面上にペン入力用の小さいポインタが表示され、指でのマルチタッチモードからペンモードに入力が自動で切り替わる。

 この状態では手の入力を受け付けないため、手のひらを画面に載せてペンで文字や図形を書いても、手が触れている部分にも線が描かれるような誤動作は発生しない(ペン先を近づけるより先に手のひらを画面に載せてしまうと、当然反応してしまうが)。再びペンを画面上から離せば、即座に指でのマルチタッチ操作が可能になり、ユーザーが指でのマルチタッチとペン入力の切り替えを意識することなく、自然に併用できるのは便利だ。

デジタイザスタイラスによるペン入力は、タブレットモード(写真=左)でも、キーボードモード(写真=右)でも行える

 デジタイザスタイラスは長さが117ミリ、直径が9.5ミリ、重量が電池込みで約15グラム(キャップをつけた状態での実測値は、長さが127ミリ、重量が約18グラム)と、コンパクトながら金属製でしっかりした存在感があり、本体のデザインとよくなじむ。

 チープな質感のペンでは常用する気もそがれるが、指紋のつきにくいマット調のメタルボディはなかなかの高級感で、ちょっといいボールペンのような感覚で愛用できそうだ。ペン入力は256段階の筆圧検知に対応しており、電源として、日本ではあまり使われない単6形電池1本を採用している。単6形アルカリ乾電池を使用した場合、公称の電池寿命は約18カ月だ(1日4時間で週7日使用した目安)。

 難点は本体側にデジタイザスタイラスを収納したり、ストラップを付けて装着するような機構がないことだが、レビューの前編で紹介した通り、純正アクセサリのシートバッテリーやキャリングケースには専用の収納機構が設けられているため、ペン入力を多用するユーザーはそれらも検討するといいだろう。

 デジタイザスタイラスには硬さが異なるペン先が2種類付属しており、ブラックが硬め、グレーが柔らかめになっている。ペン先は手でつまんで簡単に着脱できる仕組みだ。ちなみに純正アクセサリとして付属品と同じデジタイザスタイラス「VGP-STD1/B」を購入することもできるが、こちらにはペン先が合計4本(各色2本ずつ)添付される。実売想定価格は5000円前後だ。

 どちらのペン先も画面上での滑りはよいが、滑りすぎて困るようなことはない。ペン先が細く、高精度で遅延の少ないペン入力が可能なため、VAIO Duo 11ならではの高精細な表示を生かして、かなり細い線も正確に素早く引くことができ、細かい文字も書き込める。軽く画面をなぞる程度ではペン先の違いが分かりにくいが、少し力を入れて書いてみると、硬さの違いが感じられるはずだ。

 デジタイザスタイラスは、デスクトップでのタッチ操作にも意外に役立つ。ウィンドウの小さなボタンやメニューなど、狭いエリアを狙って正確にタッチできるため、指では隣接するボタンをミスタッチしてしまいそうな場合でも、ペンなら押しやすいのだ。もちろん、タブレットモードでの手書き文字入力にも重宝する。

デジタイザスタイラスは直線的なシンプルなデザインで、長さが117ミリ、直径が9.5ミリ、重量が電池込みで約15グラムだ(写真=左)。硬さが異なるペン先が2種類付属しており、ブラックが硬め、グレーが柔らかめになっている(写真=中央)。電源は単6形電池1本を採用し、アルカリ乾電池を使用した場合、公称の電池寿命は約18カ月(1日4時間で週7日使用した目安)とされている(写真=右)

本体にデジタイザスタイラスは収納できないが、純正アクセサリのシートバッテリー(写真=左)やキャリングケース(写真=右)には専用の収納機構が設けられている

 こうした高精度なペン操作を実現する工夫の1つに、前述のオプティコントラストパネルが挙げられる。液晶パネルとガラス面(タッチパネル)の間にある空気層を省き、樹脂で満たすことで、液晶パネルとガラス面の間の距離を縮めつつ、ペンで触れた場所と実際に点が描かれる場所の見た目のズレ(視差)を抑えているのだ。これにより、ペンで触れた場所にかなり近い位置に点が描かれるため、直感的かつ細かなペン入力が行える。

 タッチパネルとデジタイザスタイラスのベースとなる技術は、イスラエルのN-trig(エヌトリッグ)によるものだ。ソニーは公表していないが、デジタイザスタイラスにN-trigのロゴが刻まれていることからも、そのことが分かる。N-trigは静電容量式タッチパネルと筆圧検知対応のアクティブペンを組み合わせたユーザーインタフェースの「DuoSense」をOEM供給するメーカーとして知られている。

 VAIO Duo 11ではこのDuoSenseを採用しているようだが、そのうえで、液晶ディスプレイやタッチパネル、デジタイザスタイラスの各部において、ハードウェアとソフトウェアの両面で独自の作り込みを行うことにより、指でのマルチタッチとペン入力の高レベルでの両立を図っているのはさすがだ。

 

デジタイザスタイラスを活用するためのソフトウェア環境は?

デジタイザスタイラスには2つのボタンがあり、Active Clipの起動と消しゴム機能に割り当てられている

 

 デジタイザスタイラスには2つのボタンがあり、ペン先に近いほうのボタンを押すと付属アプリのActive Clipが起動し、遠いほうのボタンを押しながら書くと消しゴム機能となる。Active Clipとは、ペン操作で画像を囲むだけで輪郭を自動検出して切り抜ける画像合成アプリだ。カメラで撮影した写真の一部を切り出し、ほかの画像やプレゼン資料に貼り付けるといった作業が簡単に行える。

 そのほか、デジタイザスタイラスを活用できるソフトとしては、手書き文字入力用のWindows 8標準IMEとMetaMoJiのmazec-T for Windows、オフィススイートを構成するOneNote 2010とPowerPoint 2010を用意している。標準IMEやOneNote 2010、PowerPoint 2010では筆圧検知による強弱を付けた描画が可能だ。

 また、発売後には手書きノートを作成・管理するNote Anytime for VAIOや、PowerPointでプレゼン中のスライドに手書きでメモを加えられるSlide Show add-inも提供される予定だ。Note AnytimeはiPad版がすでに提供されているMetaMoJi製アプリで、既存のPDFや画像を読み込んで手書きの情報を追記することも簡単できる。Note Anytime for VAIOではVAIO Duo 11のデジタイザスタイラスにソフト側が最適化されており、軽快かつ高精度な手書き入力が可能という(筆圧検知には非対応とのこと)。

 ただし、N-trigのペン入力は付属のフォトレタッチソフトであるPhotoshop Elements 10の筆圧検知には対応していない。筆圧検知のソフト対応状況がワコムなどのペンタブレット製品と異なる点は、イラスト用途を考えているユーザーにとって注意が必要だ。筆圧検知のレベルが256段階となっていることも含め、単体の液晶ペンタブレットと同じような環境で精緻なイラストが描けるような仕様にはなっていない点を覚えておきたい。

 とはいえ、仕事と遊びの両方において、メモ書きや資料作り、簡単なイラスト作成、操作の補助など、多方面でペン入力は活躍してくれるに違いない。

Active Clipでは、ペン操作で画像を囲むだけで輪郭を自動検出して切り抜ける(画面=左)。手書き文字入力機能は、MetaMoJiのmazec-T for Windowsも備えている(画面=中央)。PowerPoint 2010でも筆圧検知によるペン入力が可能だ(画面=右)

 

 

 なお、マルチタッチ操作とペン入力はキーボードを収納したタブレットモードでも、液晶を立ち上げたキーボードモードでも利用できるが、キーボードモードで液晶ディスプレイの角度が固定される仕様の理由が、ペンを使ってみるとよく分かる。普通の液晶ディスプレイのようにチルト角度の調整ができる機構では、ペンで強めに書いたときに画面が後ろに倒れてしまい、使いにくくなってしまうのだ。

 また、Surf Sliderデザインと名付けられたVAIO Duo 11のスライド式ボディは、画面とキーボードの距離が通常のクラムシェル型ノートPCよりグッと近づくため、キーボードを使いながら、画面に指でタッチしたり、ペンで書き込むといった操作がしやすい。使い込むほどに、マルチタッチとペン入力、キーボードの同時利用を考えたうえで、実に合理的なデザインであることを納得させられた。

 

見た目よりも剛性感があり打ちやすいキーボード

 VAIO Duo 11は、タッチ操作を重視しながら、キーボードでの文字入力環境にも妥協していない。

 キーボードは標準的な6列仕様を採用し、店頭モデルは「日本語配列カナあり」だが、ソニーストア直販のVAIOオーナーメードモデルでは「日本語配列カナなし」、もしくは「英字配列」を選択できる。いずれもキートップの間隔を広げて配置し、隣接するキーを誤ってタイプしにくいようにデザインした、VAIOおなじみのアイソレーションキーボードだ。

 主要キーのキーピッチは横方向が約18ミリ、縦方向が約15.5ミリ、キーストロークは約1.2ミリを確保する。主要キーのサイズは横が約13.5ミリ、縦が約11.5ミリだ。各キーのサイズは下表にまとめた。

6列仕様のアイソレーションキーボードを採用。店頭モデルは「日本語配列カナあり」タイプだ(写真=左)。直販モデルは「日本語配列カナなし」タイプなども選べる(写真=右)

VAIO Duo 11のキーボードサイズ(日本語配列の場合)
計測した場所 計測値
主要キーのキーピッチ 約18ミリ(横)×15.5ミリ(縦)ミリ
キーストローク 約1.2ミリ
主要アルファベットキーのサイズ 約13.5(横)×11.5(縦)ミリ
ファンクションキーのサイズ 約11(横)×9(縦)ミリ
スペースバーのサイズ 約42.5(横)×11.5(縦)ミリ
Enterキーのサイズ 約18~22.5(横)×27(縦)ミリ
Backspaceキーのサイズ 約13.5(横)×11.5(縦)ミリ
Deleteキーのサイズ 約11(横)×9(縦)ミリ
半角/全角キーのサイズ 約13.5(横)×11.5(縦)ミリ
カーソルキーのサイズ 約11(横)×11.5(縦)ミリ
パームレストの長さ 13.5ミリ(キーボード手前の段差まで)

 縦方向のキーピッチが少し短いため、使い始めのうちは上下に指を伸ばすと少々狭く感じるかもしれない。しかし、極端に縦方向が狭いわけではなく、アイソレーションデザインでキー間隔を離してあるので、すぐに慣れる。

 画面サイズが11.6型ワイドと小さめなことから、キーボードは全体的に少しコンパクトなサイズになっており、右下のカーソルキーも下げて配置していないが、右下のエリアを除いて変則的なキー配列はなく、キーの並びに無理な詰め込みもない自然なレイアウトだ。ある程度使い込めば、無理なくタッチタイプも行えるだろう。

 

本体の薄型化を追求した結果、キーストロークは約1.2ミリと浅くなっている

 キーストロークは約1.2ミリと浅く、軽い力で入力できるが、適度な反発があり、押した感触は悪くない。キーの入力音は小さいほうなので、周囲が静かな場所でも使いやすいと思われる。

 液晶ディスプレイのスライド機構をキーボードの後方に配置したデザインのため、パームレストはなく、手のひらを設置面に置いて使うことになるが、本体側の厚さが約10.5ミリと薄いこともあり、手首への負担は特に感じなかった。ただし、スペースバーを押すときに、手前の段差に親指の側面が当たりがちになるのは、長文入力時に少し気になる。

 このキーボードで好印象なのは、キーボードユニットがしっかり固定されていることだ。操作に慣れてきて、かなり早くキーをたたいても、中央がたわんだり、ぐらつくようなことがない。キーボードの直下には平らなバッテリーが配置されており、これが下に敷かれることでキーボードの剛性感が増しているのだ。

 また、照度センサーと連動して、周囲が暗いと自動的に点灯するキーボードバックライトを内蔵しているのも見逃せない。キーボードバックライトの設定は、ACアダプタ接続時とバッテリー駆動時でそれぞれ3段階(常に点灯、周囲が暗い場合に点灯、店頭しない)に設定できるほか、キーボードを最後に押してから自動消灯させるまでの時間も調整可能だ。

 

 

パームレストがないため、手のひらを設置面に置いて使うことになる(写真=左)。キーボードバックライトも内蔵している(写真=中央)。キーボードバックライトの設定は、ACアダプタ接続時とバッテリー駆動時でそれぞれ設定可能だ(画面=右)

 

 なお、タブレットモードではWindows 8標準のソフトウェアキーボードによる文字入力も行える。前述したWindows 8標準IMEとMetaMoJiのmazec-T for Windowsにより、手書きした文字をテキストデータに変換して入力することも可能だ。

 とはいえ、VAIO Duo 11にはしっかりしたキーボードが搭載されており、タブレットモードからワンアクションで素早くキーボードモードに変形できる機構も備わっている。したがって、少し長めの文章を書くならば、迷わずハードウェアキーボードを使ったほうが快適に違いない。

 

光学式の小型ポインター「Optical TrackPad」は操作にコツが必要

 

 さらに、キーボードのG、H、Bキーの間には、光学式の小型ポインティングデバイス「Optical TrackPad」も設けられている。これにより、キーボードのホームポジションに両手を置いたまま、ポインタの細かい操作が行えるため、文章の入力に集中しているときにカーソルをちょっと移動したいシーンなどで役立つ。

 このOptical TrackPadは、小さく丸い形状から、従来型の感圧式スティックの操作感を思い浮かべるかもしれないが、まったく違うものなので注意してほしい。タッチパッドをそのまま小型化したような操作感で、黒くて丸いセンサー部の上に指を載せて軽く滑らせることでポインタを動かす仕組みだ。感圧式スティックのように力を込めて指で押しても反応しないので、操作には慣れが必要となる。

 また、センサー部をタップすることで左クリック動作が行える「タッピング」機能が初期設定でオンになっているが、これは急にポインタを動かす場合などに誤動作しやすいので、操作に慣れないうちはオフにしたほうが無難だ。

 キーボードの手前には、Optical TrackPadと組み合わせて利用できる横長のクリックボタンも用意している。ボタンのストロークは浅いが、硬すぎず、軽い反発もあって押しやすい。押下時はコツコツと音がなるが、小さな音なので気になるほどではない。押しながらOptical TrackPadを上下に操作することで、上下スクロールが可能なセンターボタンまで搭載しているのは気が利いている。

 正直にいって、Optical TrackPadの操作感は従来型の完成度が高い感圧式スティックに見劣りするが、タッチパネルを補完するポインティングデバイスという位置付けでは上出来だろう。文章をじっくり書きながら、画面に何度もタッチするのは手の移動量が多く、あまり気持ちのいい作業ではないからだ。これがあることで、キーボードモードの実用度は大きく高まっているといえる。

 

 以上、VAIO Duo 11が搭載する液晶ディスプレイの品質をはじめ、タッチパネルやデジタイザスタイラス、キーボード、ポインティングデバイスの使い勝手を確認した。続くレビュー後編では、標準仕様モデルとハイスペックな直販モデルの2台でパフォーマンスやバッテリー駆動時間を比較していく予定だ。

 

 

 

 

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