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「VAIO Duo 11」徹底検証(前編)――“スライダーハイブリッドPC”は新時代を告げる

2014/09/19

VAIO Zに遅れてやってきた“もう1つの本命”か

独特のボディデザインを採用した11.6型モバイルノートPC「VAIO Duo 11」

 「ついに出たか」――ソニーが2012年PC秋冬モデルのフラッグシップ機に位置付ける新型モバイルノートPC「VAIO Duo 11」を初めて見て、熱心なVAIOファンはそう思ったことだろう。

 話は約1年半前にさかのぼる。2011年4月にソニーは「Sony IT Mobile Meeting」と称する発表会を開催。その主役はSony Tabletだったが、プレゼンでは「PCにもこれまで以上に注力する」と意志表明がなされ、2011年内に投入予定のVAIO新モデルとして2枚のイメージ画像が公開された。それが「Ultimate Mobile PC」と「Freestyle Hybrid PC」だ。

 その後、Ultimate Mobile PCのほうは2011年7月に最上位モバイルノートPC「VAIO Z」の第3世代モデルとして登場したが、もう1つの本命と思われたFreestyle Hybrid PCのほうは、待てど暮らせど続報がなく、結局2011年内に発表されることはなかった。

 2012年に入っても状況は変わらず、このまま幻のモデルで終わるかに見えたが、8月になり急転直下。ドイツで8月29日(現地時間)に開かれた家電見本市のIFA 2012において、新スタイルのハイブリッドPCをうたうVAIO Duo 11が発表されたのだ。そう、これこそがFreestyle Hybrid PCを製品化したものにほかならない。そして10月1日、ようやく国内向けモデルも正式発表を迎えたこととなる。

2011年4月に公開された「Ultimate Mobile PC」(写真=左)と「Freestyle Hybrid PC」(写真=右)。左はまさしく同年7月にモデルチェンジしたVAIO Zだ。右はVAIO Duo 11として、2012年10月26日にようやく発売される

 Freestyle Hybrid PCの製品イメージが披露された際、そのコンセプトは「タッチパネルでの快適な操作と、PCとしての高い生産性を高次元で両立すること」と語られた。

 

 完成したVAIO Duo 11の仕様を見てみると、タッチ操作に向いたWindows 8を快適に使えるよう、ハードウェアもソフトウェアも最適化され、タブレット/ノートPCスタイルの素早い切り替え機構や、10点マルチタッチとデジタイザスタイラス(ペン)による手書き入力への対応、IPS方式で広視野角な11.6型フルHD液晶の搭載、そしてUltrabookの仕様にも準拠するなど、「待ったかいがあった」と思わせるに十分な作り込みがなされている。

 とはいえ、これまでにないスタイルのVAIOだけに、実際の使い勝手はどうなのか、当初に掲げたコンセプトは果たして結実しているといえるのか、気になるところは少なくない。今回は10月26日の発売を前に試作機が入手できたので、じっくり検証していこう。

 テストしたのは店頭向けの標準仕様モデル「SVD11219CJB」と、ソニーストア直販のVAIOオーナーメードモデル「SVD1121AJ」の2台だ。いずれも最終に近い試作機だが、実際の製品とは仕様が一部異なる可能性もある。

店頭向けの標準仕様モデル「SVD11219CJB」(左)と、ソニーストア直販のVAIOオーナーメードモデル「SVD1121AJ」(右)。外観のデザインは共通だ

 詳細は後ほど説明するが、入手した2台の基本スペックは下表の通りだ。直販モデルは購入時に仕様をカスタマイズできるが、テストした構成は最高クラスとなっている。

今回テストした「VAIO Duo 11」の主な仕様
製品名 SVD11219CJB SVD1121AJ
分類 店頭向け標準仕様モデル VAIOオーナーメードモデル
CPU Core i5-3317U (1.7GHz/最大2.6GHz) Core i7-3667U (2.0GHz/最大3.2GHz)
チップセット Intel HM76 Express
グラフィックス Intel HD Graphics 4000
液晶(サイズ、解像度) 11.6型ワイド(1920×1080ドット)、静電容量式タッチパネル、電磁誘導式デジタイザスタイラス対応(筆圧検知256段階)
メモリ 4Gバイト(2Gバイトオンボード+2Gバイト×1) 専用スロット(交換不可) DDR3L-1600 SDRAM 8Gバイト(4Gバイトオンボード+4Gバイト×1) 専用スロット(交換不可) DDR3L-1600 SDRAM
データストレージ 128GバイトSSD mSATA/MLC 256GバイトSSD mSATA/MLC
光学ドライブ
公称値の本体サイズ 319.9(幅)×199(奥行き)×17.85(高さ)ミリ
公称値の本体重量 約1.305キロ 約1.29キロ以上(構成によって異なる)
実測での本体重量 1.286キロ 1.295キロ
公称値のバッテリー駆動時間 約7時間 メーカー計測中(構成によって異なる)
OS 64ビット版Windows 8 64ビット版Windows 8 Pro
オフィススイート Microsoft Office Home and Business 2010
標準価格 オープン 未定
実売価格 15万円前後 未定

軽快にモードチェンジが可能なハイブリッドボディ

 最大の見どころは、タブレットデバイスとしても、通常のノートPCとしても利用できる液晶スライド式の新型ボディだ。ソニーはVAIO Duo 11を「スライダーハイブリッドPC」と名付けており、既存のクラムシェル型ノートPCとの違いを強調している。

 具体的には、17.85ミリ厚の薄型ボディに独自の「Surf Slider」デザインを採用し、キーボード収納時はタブレットデバイスのようなスタイルでマルチタッチ操作に対応した「タブレットモード」として扱える。液晶ディスプレイをスライドさせながら立ち上げることでキーボードが現れ、通常のノートPCのように操作できる「キーボードモード」に切り替えることが可能だ。

 液晶ディスプレイ部の上端に指を引っかけて軽い力で立ち上げれば、ワンアクションで素早くキーボードモードへ切り替えられる。タブレットモードに戻るときも面倒はなく、液晶ディスプレイ部の上面を軽い力で押し下げれば、簡単にパタンと閉じる仕組みだ。ヒンジの機構はよくできており、適度なバネの反動で小気味よく開閉するため、モードの切り替えは軽快に行える。切り替え動作は片手でもできるが、液晶ディスプレイ部の左右に約6ミリずつ張り出した本体部を片手で軽く押さえると、より安定しやすい。

 

 

 

タブレットモードからキーボードモードに切り替わる様子。液晶ディスプレイ部がスライドしながら立ち上がり、キーボードが現れる

キーボードモードの状態では、液晶ディスプレイ部のチルト角度が約130度(実測値)に固定される(写真=左)。液晶ディスプレイ部のヒンジとスタンドの機構は複雑に作り込まれており、適度なバネの反動で小気味よく開閉できる(写真=中央)。ヒンジの奥のユーザーが通常手を触れない部分には、フレキシブルケーブルや吸気口も見られる。この部分は影になって見えにくいが、表面に比べて少しゴチャゴチャしている印象だ。キーボードモードの状態で背面から見た様子(写真=右)。液晶ディスプレイ部を支えるスタンドにはVAIOのルミナスロゴがあしらわれている

液晶ディスプレイ部の上端には、指を引っかけやすいよう1ミリ程度の縁が設けられており、本体側はわずかにくぼませてある(写真=左)。液晶ディスプレイ部の側面にも、指がひっかかりやすいよう上のほうに突起がある(写真=中央)。左右に約6ミリずつ張り出した本体部を片手で軽く押さえると、液晶ディスプレイ部を開閉しやすい(写真=右)


 なお、これまでにもタブレットとノートPCのスタイルを切り替えながら利用できるコンバーチブル型のWindowsタブレットは複数存在したが、OSがWindows 8ほどタッチ操作に最適化されていなかったため、Windowsの基本操作の段階でユーザー体験の質が低かったといわざるを得ない。また、Core iシリーズのようにパワフルなCPUを搭載した機種では、タッチパネルの増設により、分厚く、重くなる製品も多かった。

 しかしVAIO Duo 11は、スマートデバイスの台頭を背景に、タッチインタフェースを大胆に採り入れた最新OSであるWindows 8を搭載したうえで、同社の得意とする薄型化・軽量化の技術をつぎ込んでおり、Ultrabookの要件を満たす薄型ボディのモバイルノートにタッチ操作しやすい機構をうまく融合できている印象だ。

 ソフトウェアとハードウェアの進化によって、タッチ操作とキーボードの併用によるユーザー体験の質は、明らかにこれまでのWindows PCとは別次元に到達したといえる。

 

横長のボディは約1.3キロ、高機能な割に軽量

 凝った開閉機構を採用したボディは、本体サイズが319.9(幅)×199(奥行き)×17.85(高さ)ミリとなっている。

 厚さを実測してみたところ、本体部は10.5ミリと薄く、液晶ディスプレイ部は7ミリあった。VAIOのモバイルノートPCでは、液晶ディスプレイ部が非常に薄い製品も見られるが、VAIO Duo 11はタッチパネルの強度を確保するためのガラスが表面に貼り付けてあるため、やや厚めの作りだ。それでも全体の厚さは17.85ミリと、18ミリを切っており、Ultrabookの要件(14型未満は厚さ18ミリ以下)をきちんとクリアしている。

 フットプリントは、11型クラスのUltrabookとしてはやや横に長いが、奥行きは短い。タブレットモードにおいて、液晶ディスプレイのフレーム部を握ることを想定し、左右のフレーム部は厚めにスペースを取っており、そこからさらに約6ミリずつ左右に本体が張り出しているため、やや横に長いサイズとなっている。

 

 重量は店頭モデルで約1.305キロ、直販モデルで約1.29キロ以上(構成によって異なる)だ。実測したところ、店頭モデルは1.286キロ、ほぼ最上位構成となる直販モデルは1.295キロと、公称値よりわずかに軽かった。

 11型クラスのUltrabookでは特別軽いほうではないが、タッチパネル関連の仕様を考慮すると、かなりの軽量に仕上がったといえる。さすがに、タブレットモードの状態で片手持ちして使うのには無理があるが、モバイルノートPCとして持ち運びが苦にならないサイズと重量だ。

天面のサイズ比較。左がVAIO Duo 11、右が同じ画面サイズを採用したUltrabookであるVAIO Tの11.6型モデルだ。本体サイズはVAIO Duo 11が319.9(幅)×199(奥行き)×17.85(高さ)ミリ、VAIO Tの11.6型モデルが297(幅)×214.5(奥行き)×17.8(高さ)ミリとなっており、VAIO Duo 11は横が長く、奥行きが短い

 

 

側面のサイズ比較。左がVAIO Duo 11、右がVAIO Tの11.6型モデルだ。いずれも18ミリを切る厚さにおさまっており、Ultrabook仕様に準拠している

 

 

キーボードモードにおける正面からのサイズ比較。左がVAIO Duo 11、右がVAIO Tの11.6型モデルだ。VAIO Duoのほうが本体部が薄く、液晶ディスプレイ部は傾斜した状態で固定される

 

 

キーボードモードにおける正面からのサイズ比較。左がVAIO Duo 11、右がVAIO Tの11.6型モデルだ。VAIO Duoのほうが本体部が薄く、液晶ディスプレイ部は傾斜した状態で固定される

 

適材適所の素材を採用し、質感や剛性感に配慮

 ボディの素材についても確認しておこう。薄さと軽さ、堅牢性、質感など、モバイルノートPCに求められる多数の要素を考慮し、適材適所の素材を用いている。

 液晶ディスプレイ部の表面は強化ガラスだ。その上にタッチやペンの操作感がよくなるコーティングを施している。液晶ディスプレイのフレーム部は樹脂で、側面のヘアラインが入っている部分はアルミニウム、ディスプレイ部の背面はマグネシウム合金を用いた。PC本体部のキーボード面から側面はヘアライン加工のアルミニウム、底面はガラス繊維入りの強化ナイロン樹脂だ。液晶ディスプレイのヒンジ部はマグネシウム合金を多用し、一部にアルミニウムも使っている。

 ちなみにVAIOの高級モバイルノートといえば、軽くて強度が高いカーボンファイバー素材の天面や底面が思い浮かぶが、今回はどこにも採用していない。VAIO Duo 11の場合、天面は液晶ディスプレイ表面となるため、強化ガラスが用いられ、底面にはNFCを内蔵したことから、電波を通しやすい強化樹脂が適している。今回に限っては、カーボンを使うべき最適な場所がないというわけだ。

 底面が樹脂ということで、質感が気になるかもしれないが、まったく問題ない。底面はサラッとした感触のマットな塗装で指紋が付きにくく、マグネシウム合金と思ってしまうほど。液晶ディスプレイの表面はガラスのため、指紋がやや付着しやすいものの、平滑で硬質な表面が上品な印象を与える。また、キーボード面と側面をヘアライン加工のアルミニウムで固めているため、全体の高級感はなかなかのものだ。

液晶ディスプレイ部の表面は強化ガラスだ(写真=左)。PC本体部のキーボード面から側面はヘアライン加工のアルミニウムで高級感がある(写真=中央)。底面はサラッとした感触のマットな塗装で指紋が付きにくく、樹脂製ながらチープさはない(写真=右)

 

 ボディの剛性感も高い。キーボードモードで本体の端を片手で握って持ち上げてみても、ボトムカバーがたわんだり、へこんだりすることはなく、薄型の本体ながらガッチリ作られている。

 なお、新しいボディデザインの採用に伴い、ソニーはVAIO Duo 11用の品質試験装置を用意し、独特な機構を採用した液晶ディスプレイ部の開閉試験、液晶ディスプレイ部に鉄球を落下させる耐衝撃試験、本体をさまざまな角度で高い位置から落とす落下試験など、多くの試験を重ねて堅牢性が保たれていることを確認したという。

 

開発時には新デザインのボディに対応したさまざまな品質試験を実施したという。液晶ディスプレイ部の開閉試験(写真=左)。液晶ディスプレイ部に鉄球を落下させる耐衝撃試験(写真=中央)。本体を高い位置から落とす落下試験(写真=右)

移動中に画面を保護できる純正アクセサリ

 しかし、VAIO Duo 11は画面を下にして液晶ディスプレイを閉じられず、常に画面がむき出しになるため、表面が強化ガラスとはいえ、持ち運びにはキャリングケースなどに収納したほうが無難だろう。

 本体と同時発売される純正アクセサリには、ポリウレタンとポリエステル製のキャリングケース「VGP-CK1」(実売4000円前後)が用意されている。衝撃を吸収するクッションなどは備えていないが、本体を傷や汚れから守ることができるほか、薄型軽量なのでバッグの中に収まりやすい。実測での重量も266グラムと軽かった。

 このケースはVAIO Duo 11用に作られただけあって、後述するシートバッテリーを装着したまま収納できるほか、デジタイザスタイラスの収納ポケットまで備えている。VAIO Duo 11の本体にはデジタイザスタイラスの収納機構がないため、ケースの収納ポケットは重宝するに違いない。

 

キャリングケースの「VGP-CK1」は、本体と同じガンメタリックのカラーを採用し、表面に細かなディンプルも付けている(写真=左)。キャリングケースのカバーは薄い面ファスナーで固定する仕組みで、シートバッテリーを装着したまま収納できる(写真=中央)。デジタイザスタイラスの収納ポケットも備える(写真=右)

 

 また、画面を傷や汚れから守る目的では、純正アクセサリの液晶保護シート「VGP-FLS10」(実売2000円前後)も有用だ。外光の反射や画面への映り込みを抑える低反射処理を施していることに加えて、タッチ操作の指滑りをよくする効果もある。また、VAIO Duo 11専用のデジタイザペンに最適な表面加工を施してあり、未装着のガラス面に手書きするより、適度な摩擦があって書きやすい。

 

専用設計の液晶保護シートも用意(写真=左)。液晶保護シートを付けていない状態(写真=中央)と、装着した状態(写真=右)。液晶保護シートを付けると、外光の反射や映り込みが低減されるのが分かる。ただし、発色の鮮やかさも少し抑えられる

底面に装着するシートバッテリーで長時間駆動をサポート

内蔵バッテリーは着脱できない仕様。付属のACアダプタはコンパクトにまとまっている

 バッテリーは本体に内蔵され、ユーザーが交換できない仕様だ。内蔵のリチウムイオンバッテリーは4セルで、公称容量(平均容量)が39.22ワットアワー/5300ミリアンペアアワーとされている。バッテリー駆動時間の公称値は約7時間(直販モデルは構成によって異なる)と、このサイズのUltrabookでは及第点だろう。バッテリー駆動時間のテストは次回以降で実施する予定だ。

 さらにVAIO Duo 11は拡張バッテリーの純正アクセサリとして、本体底面に装着するシートバッテリー「VGP-BPSC31」(1万5000円前後)を用意している。こちらも4セルのリチウムイオンバッテリーを内蔵し、公称容量(平均容量)は38.48ワットアワー/5200ミリアンペアアワーだ。このシートバッテリーを装着することで、バッテリー駆動時間は公称値で約14時間まで延長できる(直販モデルは構成によって異なる)。

 シートバッテリーは実測での重量が324グラムあり、装着時は総重量が1.6キロを若干上回って、実測での最厚部も34ミリまで膨らむが、それでも駆動時間が2倍に延ばせるのはありがたい。このシートバッテリーにはデジタイザスタイラスの収納スロットが設けられているほか、本体付属のACアダプタを直接つないで充電できるなど、使い勝手にも工夫が見られる。

 Ultrabookの大半はユーザーが内蔵バッテリーを交換できず、拡張バッテリーのオプションも提供されないため、外出先で長時間のバッテリー駆動を行いたい場合にはスタミナ不足になりがちだ。その点、VAIO Duo 11は内蔵バッテリーを交換できないとはいえ、状況に応じてシートバッテリーを装着できることから、さまざまなシーンに対応しやすいだろう。

 付属のACアダプタ(出力10.5ボルト/4.3アンペア)は、実測値でのサイズが39(幅)×94(奥行き)×27.3(高さ)ミリ、総重量が225グラム(本体のみ180グラム、電源ケーブル45グラム)とコンパクトにまとまっている。旅行や出張に持っていく場合でも、じゃまになりにくいサイズだ。

面に装着するシートバッテリーをオプションで用意(写真=左)。シートバッテリーはフックとレバー操作で簡単に着脱できる(写真=中央)。シートバッテリーは本体に密着せず、放熱のための空間が設けられているため、装着時の厚さは最厚部で34ミリ(実測値)まで膨らむ。シートバッテリーを装着すると、後方が持ち上がってキーボードがチルトし、液晶ディスプレイ部の角度が約125度(実測値)に固定される(写真=右)

 

シートバッテリーにはデジタイザスタイラスの収納スロットが設けられている(写真=左/中央)。デジタイザスタイラスはキャップを外した状態で、このスロットに差し込む仕様だ。シートバッテリーは、本体付属のACアダプタを直接つないで充電できる(写真=右)。VAIO Zのシートバッテリーは充電に外付けの小型アダプタが必要だったが、今回は直接つなげるように改良された。シートバッテリーの固定方法もVAIO Zが採用した手回しネジではなく、レバー操作で簡単に行えるようになっている

 

Ultrabookに準拠した基本スペック、メモリは独自仕様

 主な仕様はUltrabookに準拠し、インテルの第3世代Coreプロセッサー・ファミリー(開発コード名:Ivy Bridge)をベースとしている。搭載するCPUは、TDP(熱設計電力)の値が17ワットと通常電圧版(35ワットもしくは45ワット)より低い「U」シリーズだ。

 店頭モデルのSVD11219CJBは、CPUに2コア4スレッド対応のCore i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz/3Mバイト3次キャッシュ)、チップセットに1チップ構成のIntel HM76 Express、メモリに4GバイトのDDR3L-1600 SDRAM(2Gバイトオンボード+2Gバイト×1、専用スロット)、ストレージに128GバイトのSSD(Serial ATA 6Gbps、フルサイズのmSATA)、グラフィックス機能にCPU内蔵のIntel HD Graphics 4000を用いる。Ivy Bridge世代のUltrabookとしては不満のないスペックだ。

 なお、メモリスロットは専用タイプを採用しており、ユーザーが交換することはできない。ソニーのモバイルノートPCとしては、VAIO Zも専用のメモリを使っていたが、VAIO Duo 11のメモリはこれと異なる。

CPU-Zの情報表示画面。店頭モデルはCPUにCore i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz/3Mバイト3次キャッシュ)を搭載(画面=左)。メモリはデュアルチャンネル動作の4GバイトDDR3L-1600 SDRAM(画面=中央)、グラフィックス機能はCPU内蔵のIntel HD Graphics 4000だ(画面=右)

 

 

 一方、直販モデルのSVD1121AJは、購入時に基本スペックを選択することが可能だ。VAIO Duo 11は基本的に内部の拡張性がないため、ハイスペックを求める場合は、初から直販モデルで上位のパーツを選んで購入する必要がある。

 直販モデルでは店頭モデルのスペックに加えて、CPUはCore i7-3667U(2.0GHz/最大3.2GHz/4Mバイト3次キャッシュ)、Core i7-3517U(1.9GHz/最大3.0GHz/4Mバイト3次キャッシュ)、Core i3-3217U(1.8GHz/3Mバイト3次キャッシュ)、DDR3L-1600 SDRAMメモリは8Gバイト(オンボード4Gバイト+4Gバイト)、6Gバイト(オンボード2Gバイト+4Gバイト)、2Gバイト(オンボード2Gバイト+空きスロット×1)、SSDは256Gバイト/64Gバイトから選べる。

 今回入手した直販モデルは、2コア4スレッド対応のCore i7-3667U(2.0GHz/最大3.2GHz/4Mバイト3次キャッシュ)、8Gバイトメモリ、256GバイトSSDという最上位の構成だった。

 

CPU-Zの情報表示画面。今回入手した直販モデルのハイスペック構成では、CPUにCore i7-3667U(2.0GHz/最大3.2GHz/4Mバイト3次キャッシュ)を搭載していた(画面=左)。メモリはデュアルチャンネル動作の8GバイトDDR3L-1600 SDRAMを装備(画面=中央)。グラフィックス機能はこちらもCPUに統合されたIntel HD Graphics 4000を用いる(画面=右)

 

 11.6型ワイド液晶ディスプレイは、10点対応の静電容量式タッチパネルを内蔵していることに加えて、256段階の筆圧検知に対応した付属の電磁誘導式デジタイザスタイラスによるペン入力も行える。視野角が広いIPSパネルを採用し、解像度1920×1080ドットのフルHDに対応するなど、ハイスペックな仕上がりだ。

 キーボードモードで利用するアイソレーションキーボードは、照度センサーと連動して周囲が暗いと自動的に点灯するバックライトを内蔵(バックライトの設定は変更可能)。キーピッチは約18ミリ、キーストロークは約1.2ミリを確保する。光学式の小型ポインティングデバイス「Optical TrackPad」が用意されているのはうれしい。

 音声面ではステレオスピーカーを内蔵し、高音質化技術のCLEAR PHASE、xLOUD、Dolby Home Theater v4に対応。デジタルノイズキャンセリングヘッドフォンも付属し、ヘッドフォン使用時は高音質化技術のS-Masterを利用できる。

 なお、液晶ディスプレイやキーボードの詳しい評価は次回に行う予定だ。

11.6型ワイド液晶ディスプレイは、解像度1920×1080ドットのフルHDに対応し、視野角が広いIPSパネルを採用する(写真=左)。10点対応の静電容量式タッチパネルに加えて、256段階の筆圧検知に対応した電磁誘導式のデジタイザスタイラスが付属し、ペン入力も行える(写真=中央)。デジタイザスタイラスは硬さの違うペン先を2種類用意する(写真=右)

 

アイソレーションキーボードは、約18ミリのキーピッチ、約1.2ミリのキーストロークを確保(写真=左)。こちらの写真は、直販モデルで選択できる日本語カナなしキーボードだ。変則的なキー配列はなく、入力時のたわみもないので、なかなか打ちやすい。キーボードバックライトも内蔵している(写真=中央)。デジタルノイズキャンセリングヘッドフォンも付属する(写真=右)

 

インタフェースは妥協なし、新たにNFCも内蔵

底面(タブレットモードでは裏面)にNFCとリアカメラを内蔵している

 店頭モデルは通信機能として、IEEE802.11b/g/nの無線LAN、1000BASE-Tの有線LAN、IEEE802.16e-2005のWiMAX、Bluetooth 4.0を標準搭載。さらに、VAIOノートでは初めてNFC(Near Field Communication)を装備しているのがポイントだ。

 NFCは本体の底面(タブレットモードでは裏面)に内蔵され、対応機器とのワイヤレス接続を簡易化するワンタッチ機能が利用できるようになる。後日提供を予定しているソニーのメディアアプリケーションをダウンロードし、ワンタッチ機能に対応したアップデートを実行することで、NFC搭載のXperiaスマートフォンをVAIO Duo 11にかざすことにより、ワイヤレス接続が行われ、スマートフォンで再生中の音楽や静止画をVAIO Duo 11から楽しめる。

 インタフェース類は、右側面に2基のUSB 3.0(1基は電源オフ時の給電対応)とHDMI 1.4a出力、左側面にアナログRGB出力とメモリースティックデュオ/SDメモリーカード共用スロット、ヘッドフォン出力を備える。有線LANとACアダプタ接続用のDC入力は背面だ。余白のないアナログRGB出力や開閉式の有線LANポートを採用することで、薄型の本体とUltrabookとしての高い拡張性を両立しているのは見逃せない。

 液晶ディスプレイの上部と底面(タブレットモードでは裏面)には、"Exmor for PC" CMOSセンサー採用の有効207万画素フルHD Webカメラを内蔵。GPS、加速度、照度、地磁気、ジャイロといったタブレットには欠かせないセンサー類も内蔵する。

 なお、直販モデルは、WiMAX、TPMセキュリティチップ、ノイズキャンセリングヘッドフォン、GPS、底面カメラの有無も選べる。また、液晶ディスプレイ部の左側面に任意のメッセージを刻印できる「メッセージ刻印サービス」にも対応する。

 

前面の右端にインジケータを配置(写真=左)。背面には有線LAN、ACアダプタ接続用のDC入力、通風口を配置している(写真=右)

 

左側面にメモリカードスロット、アナログRGB出力、ヘッドフォン出力を装備(写真=左)。右側面にはUSB 3.0×2(1基は電源オフ時の給電対応)、HDMI 1.4a出力、電源ボタンが並ぶ(写真=右)

 

有線LANとアナログRGB出力を利用する場合、底面のツメを起こして後部を浮かせることで、ケーブルを設置面と干渉することなく接続できる(写真=左/中央)。底面の左手前には、音量-/+ボタン、画面回転ロックボタン、ASSISTボタン(VAIO Careを起動)を備えている(写真=右)

 

デジタイザスタイラス向けや独自のWindowsストアアプリも用意


 店頭モデルはプリインストールOSに64ビット版Windows 8を採用。オフィススイートのMicrosoft Office Home and Business 2010、フォトレタッチソフトのAdobe Photoshop Elements 10、映像コンテンツ管理・編集ソフトのPlayMemories Home for VAIOなどが付属する。

 直販モデルでは64ビット版のWindows 8 ProやMicrosoft Office 2010のエディション、Adobe Acrobat Standard 10、Adobe Photoshop/Premiere Elements 10、ATOK 2012、ウイルスバスター2013クラウドなどの有無が選択可能だ。

 今回入手した試作機はソフトウェア環境が不十分だったため、評価は差し控えるが、デジタイザスタイラスが活用できるソフトや、Windows 8ならではのModern UI(旧称:Metro UI)に対応し、タッチ操作に最適化したVAIOシリーズ共通の新アプリも提供される。これらをざっと紹介していこう。

Active Clipは、ペン操作で画像を囲むだけで輪郭を自動で検出して切り抜ける独自の画像合成ソフト

 デジタイザスタイラスを活用できるソフトとしては、ペン操作で画像を囲むだけで輪郭を自動検出して切り抜ける独自の画像合成ソフトであるActive Clip、手書き文字入力システムのmazec-T for Windows、OneNote 2010、PowerPointを用意。発売後に手書きノートを作成・管理するNote Anytime for VAIOや、プレゼン中のスライドに手書きでメモを加えられるSlide Show add-inも提供する予定だ。

 Modern UIに対応したタッチ操作向けアプリは、ショートムービー作成アプリの「VAIO Movie Creator」、同社のAndroidタブレット「Xperia Tablet S」で採用されたソーシャルニュースマガジンアプリ「Socialife」、写真や動画の管理・再生アプリ「アルバム」、音楽の管理・再生アプリ「ミュージック」、サポートアプリ「VAIO Care」を用意する。

 この中でVAIO Careはプリインストールされるが、VAIO Movie Creator、Socialife、アルバム、ミュージックの各アプリはダウンロードでの提供となる(Socialife、アルバム、ミュージックはWindowsストアアプリ)。

タッチ操作に最適化したショートムービー作成アプリ「VAIO Movie Creator」(画面=左)。「Socialife」では、FacebookやTwitterなどソーシャルメディア上の投稿、YouTubeの動画、ニュース記事などをタイル状のユーザーインタフェースに並べて閲覧できる(画面=中央)。Xperia Tablet Sと共通の操作画面を採用した「アルバム」アプリでは、PC内の写真や動画を家庭内ネットワークに接続されたテレビへDLNA経由で映し出すThrow機能も使える(画面=右)
 

 このほか、ソニー・コンピュータエンタテインメントから発売中の3波デジタルチューナー内蔵NAS「nasne」との連携機能も搭載。nasne操作アプリ「VAIO TV with nasne」をダウンロードして導入することで、VAIO Duo 11から同一ネットワーク内にあるnasneのテレビ機能がワイヤレスで楽しめる。

 以上、VAIO Duo 11の変形機構をはじめ、各部のスペックを中心にチェックした。次回は液晶ディスプレイの表示品質をはじめ、マルチタッチやデジタイザスタイラス、キーボード、小型ポインティングデバイスなどの使い勝手を検証していく予定だ。

 

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