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「VAIO Duo 11」徹底検証(後編)――変形ボディに秘められた真の実力とは?

2014/09/20 02:14

レビュー後編はDuo 11を徹底的にテストする

 ユニークな変形ボディやフルHDのIPS液晶、ペン入力は魅力だが、モバイルPCとしての基本性能は満足できるのか――。

 ソニーが"スライダーハイブリッドPC"と呼ぶ「VAIO Duo 11」は、ワンアクションでタブレットとノートPCのスタイルを切り替えられる新デザインの11.6型モバイルノートPCだ。タッチUI(ユーザーインタフェース)と従来型のデスクトップUIが両方備わったWindows 8をフル活用できる新スタイルのモバイルPCに仕上がっている。

「VAIO Duo 11」は独自のスライド式ボディを採用(写真=左)。状況に応じて、ワンアクションでタブレットモード(写真=中央)とキーボードモード(写真=右)を素早く切り替えて利用できる


 先に掲載したレビューの前編では、独自のSurf Sliderデザインをはじめ、PCとしての基本スペックや各部の仕様を一通りチェックした。また、レビューの中編では、液晶ディスプレイの表示品質に加えて、10点マルチタッチ対応のタッチパネル、筆圧検知が可能なデジタイザスタイラス(ペン)、キーボード、小型の光学式ポインターと、多彩な入力環境を試した。

 完結編となる今回のレビュー後編では、起動や復帰のレスポンス、SSDの速度を含むパフォーマンス、バッテリー駆動時間、動作中の発熱や騒音といった、モバイルPCに求められる要素をじっくりテストしていこう。

 テストしたのは、店頭販売向けの標準仕様モデル「SVD11219CJB」と、ソニーストア直販のハイスペックなVAIOオーナメードモデル「SVD1121AJ」の2台だ。いずれも最終に近い試作機だが、実際の製品とは仕様が一部異なる可能性もある。

 各テストでは、CPU、メモリ容量、SSD容量の違いがある店頭モデルと直販モデルにおいて、どれだけパフォーマンスやバッテリー駆動時間、さらには発熱や騒音といった部分に差が出るのかに注目したい。

CPUは第3世代CoreのTDP(熱設計電力)が17ワットと低いモデル(下)、チップセットは1チップ構成のIntel HM76 Express(上)を採用する(写真=左)。メモリはDDR3L-1600 SDRAMで専用モジュール(上)、SSDは6Gbps対応のmSATAタイプ(下)を搭載(写真=中央)。直販モデルでメモリ8Gバイトを選択すると、4Gバイトぶんがオンボード実装となり、6Gバイトや4Gバイトを選択すると、2Gバイトぶんがオンボード実装となる(写真=右)。店頭モデルの4Gバイトメモリも2Gバイトぶんはオンボード実装だ。本体部は薄いが、メモリのデュアルチャンネル動作をしっかりサポートしている


今回テストした「VAIO Duo 11」の主な仕様
製品名SVD11219CJBSVD1121AJ
分類店頭向け標準仕様モデルVAIOオーナーメードモデル
CPUCore i5-3317U (1.7GHz/最大2.6GHz)Core i7-3667U (2.0GHz/最大3.2GHz)
チップセットIntel HM76 Express
グラフィックスIntel HD Graphics 4000
液晶(サイズ、解像度)11.6型ワイド(1920×1080ドット)、静電容量式タッチパネル、電磁誘導式デジタイザスタイラス対応(筆圧検知256段階)
メモリ4Gバイト(2Gバイトオンボード+2Gバイト×1) 専用スロット(交換不可) DDR3L-1600 SDRAM8Gバイト(4Gバイトオンボード+4Gバイト×1) 専用スロット(交換不可) DDR3L-1600 SDRAM
データストレージ128GバイトSSD 6Gbps mSATA/MLC256GバイトSSD 6Gbps mSATA/MLC
光学ドライブ
WiMAX+無線LANWiMAX+IEEE802.11b/g/n無線LAN
GPS搭載
TPMセキュリティチップ
HD Webカメラフロント+リア
キーボード日本語配列日本語配列(かな文字なし)
バックライトキーボード搭載
ノイズキャンセリングヘッドフォン+S-Master付属
液晶保護シート
バッテリー内蔵バッテリー
公称値の本体サイズ319.9(幅)×199(奥行き)×17.85(高さ)ミリ
公称値の本体重量約1.305キロ約1.29キロ以上(構成によって異なる)
実測での本体重量1.286キロ1.295キロ
公称値のバッテリー駆動時間約7時間約6.5~7時間(構成によって異なる)
OS64ビット版Windows 864ビット版Windows 8 Pro
オフィススイートMicrosoft Office Home and Business 2010
静止画編集ソフトAdobe Photoshop Elements 10Adobe Photoshop Elements 10(30日体験版)
メーカー保証1年3年ベーシック
標準価格オープン9万9800円~(ソニーストア販売価格)
実売価格15万円前後17万8800円(ソニーストア販売価格・上記の構成)


店頭販売向け標準仕様モデル「SVD11219CJB」のデバイスマネージャ画面。CPUは2コア/4スレッド対応のCore i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz、3次キャッシュ3Mバイト)、メモリはDDR3L-1600 SDRAMで4Gバイト(2Gバイトオンボード+2Gバイト×1)、ストレージは128GバイトSSD(6Gbps mSATA)を採用する。評価機のSSDはSamsung MZMPC128HBFU、IEEE802.11b/g/nの無線LANとWiMAXのアダプタはCentrino Wireless-N + WiMAX 6150、Bluetooth 4.0のアダプタはQualcomm Atheros AR3012だった


直販専売VAIOオーナメードモデル「SVD1121AJ」のデバイスマネージャ画面。CPUは2コア/4スレッド対応のCore i7-3667U(2.0GHz/最大3.2GHz、3次キャッシュ4Mバイト)、メモリはDDR3L-1600 SDRAMで8Gバイト(オンボード4Gバイト+4Gバイト)、ストレージは256GバイトSSD(6Gbps mSATA)を採用する。評価機のSSDはTOSHIBA THNSNS256GMCPだった

独自の高速復帰技術+Windows 8で起動や終了は軽快

「Rapid Wake + Eco」は「VAIOの設定」からオン/オフを切り替えられる。通常はオンのままで問題ないだろう

 まずはVAIO Duo 11の起動や復帰といったレスポンス面を確認していこう。VAIO Duo 11は、2012年の夏モデルから投入されたソニー独自の高速復帰/低消費電力ソリューション「Rapid Wake + Eco」を引き続き搭載している。

 Rapid Wake + Ecoとは、利用中に電源ボタンを押すと、省電力スリープに移行するとともに、作業状態をストレージに書き込むことで、スリープ状態でのバッテリー切れなどに起因するデータ消失リスクを抑えるというものだ。

 Intel Rapid Start Technologyによる省電力なスリープ機能を採用し、スリープ状態で休止状態のようにバッテリーを長時間持続させながら、電源ボタンを再び押すと即座に復帰できる。既存のハイブリッドスリープのように、スリープから一定時間経過後に作業状態のデータをストレージへ書き込むのではなく、スリープへ移行する際に必ずストレージへ記録することにより、データ保護を重視しているのが、VAIO独自の工夫だ。

 今回はこのRapid Wake + Ecoを踏まえ、2台のVAIO Duo 11で起動時間(電源ボタンを押してから、Windows 8のスタート画面が表示されるまで)、スリープへの移行時間(電源ボタンを押してから、スリープへ移行するまで)、スリープからの復帰時間(電源ボタンを押してから、スリープから復帰するまで)、シャットダウンにかかる時間(画面上でシャットダウンを選択し、電源がオフになるまで)をそれぞれ計測した。いずれも「VAIOの設定」でRapid Wake + Ecoをオンにした状態で5回以上計測し、計測値が明らかにおかしい値を除いたうえで平均値を算出している。

起動時間、スリープへの移行時間、スリープからの復帰時間、シャットダウンにかかる時間の計測結果。いずれも5回以上計測し、計測値が明らかにおかしい値を除いたうえでの平均値

 テスト結果は、2台とも非常に高速だった。これにはRapid Wake + Ecoの採用だけでなく、Windows 8自体がWindows 7から起動やシャットダウンを高速化していることに加えて、VAIO Duo 11ではストレージを高速なSSDに統一しており、そのうえでUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)ブートによる起動の高速化を行っていることが効いている。CPUやメモリ容量で勝る直販モデルが全体的に高速な結果となったが、1~2秒程度の違いなので体感差はほとんどない。

 特にWindows 8では、内部的に休止状態を活用して起動を高速化させる「高速スタートアップ」機能が初期設定で有効になっているため、起動時間がすこぶる速い(高速スタートをオフに設定することも可能)。起動時間の平均値は直販モデルで7.3秒、店頭モデルで8.1秒しかかからなかった。シャットダウンも直販モデルで5.7秒、店頭モデルで7.7秒と待たされる感覚がない(アプリを複数起動した状態からのシャットダウンなどでは当然、遅くなるが)。

 日常的に使う頻度が高いと思われるスリープへの移行と復帰の動作もキビキビとしている。スリープへの移行は直販モデルで4.9秒、店頭モデルでも5.9秒だった。スリープからの復帰は直販モデルが2.0秒、店頭モデルが1.9秒と、どちらも直ちに立ち上がるので、モバイル環境でも軽快に利用できる。

 ちなみにRapid Wake + Ecoを採用したVAIO Duo 11では、電源ボタンを押すと、瞬時に画面表示は消えるが、数秒間はディスクアクセスが続く。これはスリープへ移行しつつ、作業状態をストレージに書き込んでいるからだ。

 しかし、VAIO Duo 11はストレージが高速かつ振動に強いSSDなので問題ない。書き込み時間自体が短く、HDDのように回転するディスクやその上で動くヘッドがないことから、電源ボタンを押したらスリープへ完全に移行するまで待たずに持ち上げて運んだり、バッグにしまって移動しても、HDDのように物理障害が発生する危険性は低いのだ。

 以前にレビューしたHDDとキャッシュ用SSDを内蔵する「VAIO T」の店頭モデルでは、Rapid Wake + Ecoによるスリープ時の書き込み時間が気になったものだが、VAIO Duo 11ではスリープ移行時の書き込み時間を意識せずに使えるので、より便利さを実感できた。

 なお、直販モデルで起動、スリープへの移行、スリープからの復帰、シャットダウンを行った様子は以下に動画でも掲載したので、そのスピードをご覧いただきたい。




Ultrabookとしてはハイスペックな基本性能を定番テストで確認する

 ここからは、VAIO Duo 11が第3世代Coreを搭載したUltrabookとして性能面で満足に足るのか、そしてスペックの異なる店頭モデルと直販モデルでどの程度の差が生じるのか、各種パフォーマンステストの結果を追っていこう。Windows 8の電源プランは「高パフォーマンス」、本体の冷却とパフォーマンス設定は「標準」を選択してテストしている。

 テスト結果のグラフには、同じ低電圧の第3世代Coreを採用したUltrabookであるVAIO T(11.6型/2012年夏モデル)のスコアも併記した。ただし、Windows 7搭載モデルのスコアなので、テスト結果の比較は参考程度に見ていただきたい。

 主なスペックは下表の通りだ。

今回テストしたVAIO Duo 11と結果を比較したVAIO Tの主な仕様
シリーズ名VAIO Duo 11VAIO T(11)
製品名SVD11219CJBSVD1121AJSVT11119FJSSVT1111AJ
分類店頭向け標準仕様モデルVAIOオーナーメードモデル店頭向け標準仕様モデルVAIOオーナーメードモデル
CPUCore i5-3317U (1.7GHz/最大2.6GHz)Core i7-3667U (2.0GHz/最大3.2GHz)Core i5-3317U (1.7GHz/最大2.6GHz)Core i7-3517U (1.9GHz/最大3.0GHz)
チップセットIntel HM76 ExpressIntel HM77 Express
グラフィックスIntel HD Graphics 4000
液晶(サイズ、解像度)11.6型ワイド(1920×1080ドット)、静電容量式タッチパネル、デジタイザスタイラス対応(筆圧検知256段階)11.6型ワイド(1366×768ドット)
メモリ4Gバイト(2Gバイトオンボード+2Gバイト×1) DDR3L-1600 SDRAM8Gバイト(4Gバイトオンボード+4Gバイト×1) DDR3L-1600 SDRAM4Gバイト(オンボード) DDR3L-1333 SDRAM8Gバイト(オンボード4Gバイト+4Gバイト×1) DDR3L-1333 SDRAM
データストレージ128GバイトSSD 6Gbps mSATA256GバイトSSD 6Gbps mSATA500GバイトHDD(5400rpm)+32GバイトSSD(ISRT)512GバイトSSD 6Gbps SATA
OS64ビット版Windows 864ビット版Windows 8 Pro64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1)

 

●Windowsエクスペリエンスインデックス

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

 Windowsエクスペリエンスインデックスについては、Windows 8で最高スコアが従来の7.9から9.9にアップしたため、Windows 7を搭載したVAIO Tのスコアは割愛した。

 VAIO Duo 11の2台を見てみると、グラフィックスは5.5、ゲーム用グラフィックスは6.4、プライマリハードディスクは8.1と共通だ。一番高いプライマリハードディスクのスコアは、いずれも高速なSSDの採用により、従来の最高スコアである7.9の壁を突破している点に注目したい。

 そのほかのスコアでは、ハイスペックな直販モデルが店頭モデルを上回った。プロセッサは7.2、メモリは7.5を獲得しており、Ultrabookとしては最高クラスの成績といえる。もっとも、店頭モデルでもプロセッサで6.9、メモリで5.9を確保しているため、Windows 8を軽快に扱うのに十分なスペックだ。

 なお、最もスコアの差が開いたメモリは、オンボード実装と独自モジュールの組み合わせで構成されているため、購入後の換装や増設は行えない。パフォーマンスが求められる用途での導入を検討していて、店頭モデルの4Gバイトメモリが物足りないと感じるならば、直販モデルで最初から8Gバイトにしておく必要がある。

各モデルのスコア。左がVAIO Duo 11の店頭モデル、右が直販モデルだ

 


●PCMark 7、CINEBENCH R11.5

 アプリケーションベースの定番ベンチマークテストであるPCMark 7(Windows 8互換のSystemInfo 4.11を導入済み)を実行し、システム全体のパフォーマンスを確認した。また、OpenGLとCPUの性能を計測するCINEBENCH R11.5も走らせた。

 なお、PC USERのレビューでおなじみのテストであるPCMark Vantage(x64)については、テスト実施時の段階でWindows 8をサポートしておらず、スコアが算出されないため、割愛している。

左がPCMark 7 v1.0.4、右がCINEBENCH R11.5のスコア


 まずはPCMark 7のスコアだが、同テストを作成したFuturemarkによると、第2世代Core(開発コード名:Sandy Bridge)と第3世代Core(開発コード名:Ivy Bridge)を搭載したPCの場合、Windows 8上でのテスト結果は、Windows 7上でのテスト結果よりスコアが下回ることが確認されているという。これは、ハードウェアアクセラレータによる動画エンコードに影響を与えるインテルのグラフィックスドライバに問題があるため、と説明されている。

 さて、実際のテスト結果を見ると、Windows 8環境でスコアが低下しているとは到底思えない優秀なスコアが得られた。テスト結果の傾向はWindowsエクスペリエンスインデックスに似ており、VAIO Duo 11の2台はWindows 8搭載機として高い性能を示した。特に直販モデルのスコアは、総合スコアで5338と頭1つ抜けている。店頭モデルについても、CPUグレードで劣るVAIO Tの直販モデルに総合スコアで上回っているのは見逃せない。

 動画エンコードの性能が関係する総合テストやCreativity、Computationなどのスコアも大きく伸びていることから、Futuremarkが問題を認識したグラフィックスドライバより、新しいバージョンもしくは違うドライバが導入されていると考えられる。

 逆にLightWeightやProductivityのスコアが、Windows 7搭載のVAIO Tに比べて落ち込んでいるが、これはVAIO Duo 11の2台でText Editingテストのスコアが異常に低かったためだ。このテスト結果については、性能を正しく反映していないものとみられる。

 一方、CINEBENCH R11.5のCPUスコアは、スペックを正しく反映した結果が出た。OpenGLのテストについては、Windows 8環境と対応ドライバの関係か、Windows 7搭載のVAIO Tよりスコアが伸びている。

●CrystalDiskMark 3.0

CrystalDiskMark 3.0.1cのスコア

 VAIO Duo 11が搭載するSSDのテストは、ストレージのリード/ライト性能を調べるCrystalDiskMark 3.0.1c(ひよひよ氏作)を実行した。

 結果は256GバイトSSDを装備したVAIO Duo 11の直販モデルが、その強さを見せつけた。512GバイトSSDを内蔵したVAIO Tの直販モデルも高速だが、ほとんどの項目でこれを上回っている。

 テストした4台の中で唯一、シーケンシャルリードで500Mバイト/秒の大台に乗ったことに加えて、シーケンシャルライトもランダムアクセスのリードとライトも高速で隙がない。Ultrabook搭載のSSDとしては、全体にハイレベルでバランスが取れた速さを発揮しており、満足のいく性能だ。

 128GバイトSSDを備えたVAIO Duo 11の店頭モデルは、256GバイトSSD搭載の直販モデルには見劣りするものの、こちらもスコアのバランスがよく、SSDの魅力であるサクサクとした動作が十分味わえる。HDDとキャッシュ用SSDを組み合わせたVAIO Tの店頭モデルでもHDD単体のノートPCより高速なのだが、これとは明らかな差が付いた。

CrystalDiskMark 3.0.1cのスコア。左が店頭モデルの128GバイトSSD、右が直販モデルの256GバイトSSDで実行した結果だ。上のグラフは5回平均の結果なので、こちらの画面とスコアは異なる

3D描画やゲーム系ベンチでCPU統合グラフィックスの性能を調べる

●3DMark 11、3DMark Vantage、3DMark06

 3Dグラフィックスのパフォーマンスをより詳しく調べるため、総合的な3D描画性能を計測する定番ベンチマークテストの3DMark 11、3DMark Vantage、3DMark06も実行した。

左が3DMark 11 v1.0.3、中央が3DMark Vantage v1.2.0、右が3DMark06 v1.2.0のスコア


 テスト結果を並べた4台はすべて、グラフィックス機能にCPU統合のIntel HD Graphics 4000を用いているが、CPUグレードとメモリ容量、ストレージ構成の違いがスコアに影響を与えている。ハイスペックなVAIO Tの直販モデルとVAIO Duo 11の直販モデルがほぼ同レベルのスコアで、それに1歩遅れてVAIO Duo 11の店頭モデル、そしてVAIO Tの店頭モデルが続く格好だ。

 グラフィックスにIntel HD Graphics 3000を用いていた第2世代Core搭載のUltrabookでは、3DMark VantageのEntry設定で7000~8000程度、Performance設定で1500~1800程度のスコアだったため、Ivy Bridge世代としての性能向上は確かに見られる。

●MHFベンチマーク【絆】/【大討伐】、ストリートファイターIV

 ゲーム系ベンチマークテストは、モンスターハンター フロンティア オンライン ベンチマークソフト【絆】および【大討伐】、ストリートファイターIVベンチマークを実行した。

左からMHFベンチマーク【絆】、MHFベンチマーク【大討伐】、ストリートファイターIVベンチマークのテスト結果


 テスト結果は3Dグラフィックス系ベンチマークテストと似た傾向だが、VAIO Duo 11の店頭モデルと直販モデルの差が縮まった。VAIO Tの直販モデルも含め、SSDのみをストレージに採用した3台がほぼ横並びとなっている。

 MHFベンチマークの結果を見ると、上位3台は高解像度でなければ十分プレイできるレベルだが、VAIO Tの店頭モデルは低解像度でも快適にプレイするのが少し厳しいかもしれない。ストリートファイターIVでは、VAIO Duo 11の2台が標準的な設定でランクA(非常に快適にプレイ可能)を獲得しているが、VAIO Tの店頭モデルはランクDにとどまる。

 VAIO Duo 11のグラフィックスはエントリーGPUレベルの3D描画性能といえるが、今回テストしたタイトルや描画負荷の高くないオンラインゲームなど、対応できることも多いだろう。

バッテリー駆動時間はシートバッテリーでどこまで延びる?

 次にバッテリー駆動時間をテストする。レビュー前編のおさらいとなるが、バッテリー駆動時間の公称値は、店頭モデルで約7時間だ。オプションで底面に装着するシート型の拡張バッテリー「VGP-BPSC31」(1万5000円前後)も用意されており、これを装着すれば、公称値で約14時間まで駆動時間を延長できる。

 公称容量(平均容量)は内蔵の標準バッテリーが39.22ワットアワー/5300ミリアンペアアワー、拡張バッテリーが38.48ワットアワー/5200ミリアンペアアワーだ(いずれも4セルのリチウムイオンバッテリー)。

 ちなみに、付属のACアダプタ(出力10.5ボルト/4.3アンペア)はコンパクトにまとまっており、1時間で標準バッテリーを約80%充電できる急速充電にも対応する。

内蔵バッテリーは着脱できない仕様だ。付属のACアダプタは小型軽量にまとまっている(写真=左)。バッテリーの充電量を低く設定(80%もしくは50%)することで、バッテリーの寿命をより長持ちさせる「バッテリーいたわり充電モード」を備える(画面=中央)。ACアダプタ接続時とバッテリー駆動時のそれぞれで、液晶ディスプレイのリフレッシュレートを通常の60Hzから40Hzに下げて、消費電力を抑える機能も持つ(画面=右)


底面に装着するシート型の拡張バッテリーをオプションで用意(写真=左)。シートバッテリーはフックとレバー操作で簡単に着脱できるほか、デジタイザスタイラスの収納スロットが設けられている(写真=中央)。シートバッテリーは、本体付属のACアダプタを直接つないで充電することも可能だ。シートバッテリーは本体に密着せず、放熱のための空間が設けられているため、装着時の厚さは最厚部で34ミリ(実測値)まで膨らむ。シートバッテリーを装着すると、後方が持ち上がってキーボードがチルトし、液晶ディスプレイ部の角度が約125度(実測値)に固定される(写真=右)


 ここでは、実際にWebブラウズにおけるバッテリー駆動時間を計測してみた。計測に用いたソフトはBBench 1.01(海人氏作)だ。BBenchは10秒ごとにキーボード入力、60秒ごとに無線LANによるインターネット巡回(10サイト)を行う設定とした。

 Windows 7の電源プランは、標準の「バランス」(液晶の輝度40%)と「省電力」(液晶の輝度20%)の2パターンでテストを実施。店頭モデルと直販モデルのそれぞれにシートバッテリーを装着した状態でもテストしている。いずれも満充電の状態からテストを開始し、バッテリー残量がなくなり、シャットダウンするまでの時間を計測した。

BBench 1.01で計測したバッテリー駆動時間

 テスト結果は、標準のバランス設定で店頭モデルが4時間33分、直販モデルが4時間12分、省電力設定で店頭モデルが4時間49分、直販モデルが4時間21分動作した。スペックが低い店頭モデルのほうが、バランス設定で21分、省電力設定で28分バッテリーが長持ちしている。いずれもスタミナ不足で困るほどではないが、このサイズのUltrabookとしては少し短めのバッテリー駆動時間ではある。

 VAIO Duo 11は単に11.6型Ultrabookというわけではなく、IPS方式のフルHD液晶ディスプレイをはじめ、タッチパネルやデジタイザスタイラスへの対応、タブレットモードでの利便性に配慮した各種センサー類など、通常のモバイルノートPCより消費電力がかさむパーツ類がギッシリと詰め込まれている。控えめなバッテリー駆動時間については、高性能と多機能のトレードオフとして許容すべきだろう。

 とはいえ、標準バッテリーの駆動時間を補うべく、高機能なシート型の拡張バッテリーが用意されているのは気が利いている。薄型設計を重視するUltrabookでは通常、内蔵バッテリーをユーザーが取り外すことができず、オプションの拡張バッテリーも用意されないため、バッテリーの選択肢があるだけでも高く評価できる。

 拡張バッテリーを装着すると、厚さは最厚部で34ミリ(実測値)まで膨らみ、重量が324グラム増すが、さらに4時間以上バッテリー駆動時間を延ばすことが可能だった。店頭モデルの省電力設定では9時間を超える長時間駆動を達成したことから、厚さや重さが多少増えても、長時間のバッテリー駆動が必須というシーンでは活躍するに違いない。

キーボードモードとタブレットモードで発熱はどう変わるのか?

 スライド式ボディに高性能と多機能を収めつつ、厚さを17.85ミリに抑えたVAIO Duo 11は、動作時にどれくらい発熱があるのかも気になるところだ。2台のVAIO Duo 11を樹脂製のテーブルに離して設置し、ボディ各部で最も高温になる場所の表面温度を放射温度計で計測した。

 計測したのは、キーボードモードでデスクトップのIE10からYouTubeの動画を30分間再生し続けた状態(キーボードモード/低負荷)と、MHFベンチマーク【大討伐】を30分間実行し続けた状態(キーボードモード/高負荷)、タブレットモードでWindowsストアアプリのIE10からYouTubeの動画を30分間再生し続けた状態(タブレットモード/低負荷)の3パターンだ。

 いずれもACアダプタを接続し、Windows 8の電源プランは「バランス」、本体の冷却とパフォーマンス設定は「標準」、液晶ディスプレイの輝度は最大、無線LANはオンに統一した。テスト時の室温は約23~24度だ。

動作時のボディ表面温度。左がキーボードモードでデスクトップのIE10からYouTubeの動画を30分間再生し続けた状態(キーボードモード/低負荷)、中央がMHFベンチマーク【大討伐】を30分間実行し続けた状態(キーボードモード/高負荷)、右がタブレットモードでWindowsストアアプリのIE10からYouTubeの動画を30分間再生し続けた状態(タブレットモード/低負荷)


 テスト結果は、キーボードモードの低負荷時では2台とも表面温度がほとんど変わらず、キーボードモードの高負荷時とタブレットモードではハイスペックな直販モデルほうが、底面が熱くなりやすい傾向にあった。

 キーボードモードでは液晶ディスプレイが立ち上がり、外気に触れる面積が増えることに加えて、液晶ディスプレイ背面とスタンドの間のスペースに隠された吸気口が利用できるため、タブレットモードより温度が下がる。

 しかも、熱源となるCPUなどのパーツは、液晶ディスプレイ背面とスタンドの間のスペースに搭載されており、ここにユーザーが直接手を触れることはない。ユーザーが手を触れるキーボードや、ほんのわずかなパームレスト部分、そして光学式ポインター(Optical TrackPad)は高負荷時でも低温を保っているため、熱さを感じることなく、快適に操作できるのだ。

 また、底面の高温部は、排気口やCPUクーラー内蔵部が中心で、キーボードの下やボディの端は高負荷時でもクールだった。こうして温度を計測してみると、VAIO Duo 11のSurf Sliderデザインは、放熱面でもよく考えられていると感心させられる。

 ただし、本体部の熱源近くに置かれ、基板類が内蔵されている液晶ディスプレイの下部は底面の高温部に近いか、それ以上の熱さになった。キーボードモードで常時画面を指でタッチすることは少ないだろうが、特にWindowsボタン周辺は熱くなりやすいので注意したい。

キーボードモードでは、CPUクーラーの排気口が背面に位置する(写真=左)。キーボードモードでは、液晶ディスプレイ背面とスタンドの間のスペースに隠された吸気口を利用でき、効率的に放熱が行える(写真=中央)。VAIO Duo 11の内部構造を見ると、キーボードの直下はバッテリーで占められており、キーボードモード時に直接触れない液晶ディスプレイ背面とスタンドの間のスペースに、基板類やファン、排気口を配置していることが分かる


 一方のタブレットモードでは、液晶ディスプレイが閉じられ、外気に触れる面積が減ることに加えて、液晶ディスプレイ背面とスタンドの間のスペースにある吸気口も閉じられるため、キーボードモードに比べて発熱しやすかった。キーボードモードと同様に、液晶ディスプレイの下部は温度が上がりやすい。手のひらを画面に置いて、ペン入力を続けるようなケースでは手にじんわりと熱を感じる。

 とはいえ、タブレットモードの状態(横位置表示)でボディの側面を持ってタッチ操作する場合、裏面の高温部や排気口の周辺部はユーザーが触れている場所から離れた上部に位置するため、熱を意識しにくい。ボディを時計回りに90度回転させて縦位置表示で使う場合も、排気口は手が直接触れにくい右側面の上部に来るため、排気の熱はあまり気にならないだろう。

放熱のスペースが減るタブレットモードでは、表面の温度が上がりやすい傾向にあった(写真=左)。タブレットモードにすると、排気口は液晶ディスプレイ中央上部の裏面に来る(写真=中央/右)


負荷を変えながら動作時の騒音も計測

 性能や発熱と密接に関係する動作時のファンノイズによる騒音レベルも調べた。本体を樹脂製のデスクに置き、騒音計のマイクを本体の手前5センチと近い位置に設置。室温は約23~24度、環境騒音は約28デシベル(A)で、周囲の雑音がほとんど聞こえない静粛な室内で計測した。

 計測したのは、キーボードモードでYouTubeの動画を30分間再生し続けた状態と、そこからMHFベンチマーク【大討伐】を30分間実行し続けた状態の2パターンだ。

動作中の騒音レベル

 テスト結果は、YouTube利用時のような低負荷では静かで、ゲーム利用時のような高負荷時では風切り音がかなり大きくなった。WebブラウズやYouTubeの動画再生では、空調や家電の音にかき消される程度のファンノイズなので、気にならないだろう。

 システムの負荷に応じてファンの回転数が上がると、風切り音が大きくなり、高速回転の状態では風切り音にかすかな高音のキーンという音が混じるが、意識して音を聞かなければ、異音が耳障りに感じるほどではなかった。ファンノイズの騒音レベル自体もそれほど高い値ではなく、夜中や静かな場所での利用もこなせるだろう。

 なお、VAIO Duo 11は「VAIOの設定」の「本体の冷却とパフォーマンス」メニューに4つの動作モードを用意しており、状況に応じてユーザーが選択できるようにしている。性能と放熱のバランスを保った「標準」が初期設定だが、騒音は気にせず性能を最大限に高める「パフォーマンス優先」、ファンや性能を調整して本体の冷却に注力する「冷却優先」、ファンや性能を調整して騒音を抑える「静かさ優先」が選択可能だ。

 VAIO Duo 11では第3世代CoreのConfigurable TDPに対応した熱設計がなされており、通常は17ワットのTDPだが、状況に応じて一時的に省電力を重視したTDP Down(14ワット)や、性能を重視したTDP Up(25ワット)に切り替える仕組みも採り入れているという。TDP Upを利用すれば、通常より高いパフォーマンスも期待できる。

 VAIO Duo 11で選べるTDP UpとTDP Downの両方に対応したCPUは、Core i7-3667U(2.0GHz/最大3.2GHz)とCore i7-3517U(1.9GHz/最大3.0GHz)の2つだ。Core i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz)とCore i3-3217U(1.8GHz/3Mバイト3次キャッシュ)はTDP Downのみのサポートとなる。

 前述の発熱テストの結果からも分かるように、VAIO Duo 11ではキーボードモードとタブレットモードで異なる熱設計が求められるため、Configurable TDPに対応しつつ、状況に応じて冷却とパフォーマンスのバランスを調整できる仕様としているわけだ。

 ただし、今回の各種テストは「標準」の設定に統一して実施したが、ボディの発熱や騒音レベルは決して低い値ではなかった。パフォーマンス優先でファンを高速回転させて少しだけ性能を上げるより、標準設定で利用し続けたほうがトータルでの利用感はよいように思える。この辺りは時間の関係で検証できなかったが、用途に応じて最適な設定を探してみるのもいいだろう。

「VAIOの設定」の「本体の冷却とパフォーマンス」メニューには4つの動作モードがあり、状況に応じてユーザーが選択できる(画面=左)。冷却や静かさを優先する設定に加えて、騒音を抑えることなく、パフォーマンスを最優先する「パフォーマンス優先」の設定も設けられている(画面=右)


VAIO Duo 11のConfigurable TDP対応状況
VAIO Duo 11本体の状態本体の冷却とパフォーマンス設定TDP Up対応TDPDown対応その他条件
キーボードモードパフォーマンス優先25ワットCore i7のみ
タブレットモードパフォーマンス優先17~25ワット(具体的な数値は非公開)Core i7のみ
キーボードモード/タブレットモード冷却優先/静かさ優先14ワットCore i3/5/7の全モデル
キーボードモード/タブレットモード標準14ワットCore i3/5/7の全モデル+バッテリー駆動

ソニーでは、TDP Upの状態においてグラフィックス負荷の高い環境で約5%の性能向上が確認できているという。ただし、室内温度などの動作環境によって、性能は左右される(2012年10月23日19時、対応状況の表を追加)

Windows 8に最適化したボディ+αの魅力が光る新世代モバイルPC

 以上、3回に渡りVAIO Duo 11をじっくりとレビューしてきた。VAIO Duo 11最大のウリは、何といってもタブレットモードとキーボードモードをワンアクションで手軽に切り替えられるSurf Sliderデザインだ。

 Windows 8ではタッチ操作を重視した新スタイルのUIと既存のデスクトップUIが共存しており、両方を行き来しながら操作することになるが、VAIO Duo 11はこの2つのUIを素早くチェンジしながら利用するのに最適なデザインに違いない。

 また、10点同時のマルチタッチに対応した静電容量式タッチパネルや、高精度なペン入力が可能な筆圧検知対応のデジタイザスタイラスを利用するうえで、キーボードと画面の距離が近く、ペンでの手書き入力がしやすい角度に画面が固定される設計は、理にかなっている。今回しばらく使ってみて、既存のクラムシェル型ノートPCにタッチパネルやデジタイザを載せた製品とは、明らかに違った快適さを実感できた。

 これまで、タブレットスタイルとノートPCスタイルを切り替えて利用できるさまざまな形のコンバーチブル型PCが世に出てきたが、Windows 8の2つのUIとペン入力を効率よく扱うのに、VAIO Duo 11は非常に完成度の高いデザインを実現したといえる。最初は取っつきにくく感じるかもしれないが、使い込んでいくと、キーボード、タッチ、ペン入力の絶妙な融合にハマっていき、ほかのモバイルPCでは物足りなくなってくるほどだ。

 もちろん、それ以外にも魅力は多い。ざっと挙げるだけでも、広視野角なIPS方式の11.6型フルHD液晶ディスプレイをはじめ、薄型ながら安定して入力できるキーボード、デジタルノイズキャンセリングヘッドフォンと高音質化技術であるS-Masterのサポート、タブレットモードでの利用に配慮した内蔵センサー類と2つのカメラ、そしてUltrabookとして高いパフォーマンスを提供する基本仕様と、薄型ボディに高性能と多機能が凝縮されているのだ。

 これほどのスペックと秀逸なスライド式の変形機構を採用しながら、本体厚が17.85ミリとスリムに仕上がっている点にも、改めて注目したい。液晶ディスプレイにタッチパネルと特殊なヒンジ機構を装備すると、どうしても厚みが出てしまうため、インテルはタッチパネル搭載機において、厚さが2ミリ増えてもUltrabookの要件を満たすことにしているが、VAIO Duo 11はこの要件緩和に甘んじず、タッチパネルがないUltrabookの要件(14型未満は厚さ18ミリ以下)をしっかりクリアしているのは見事だ。

 Windows 8がリリースされた後は、このような新スタイルのPCが増えていき、形も徐々に洗練されていくだろうが、Windows 8発売のタイミングでここまでハイレベルなハイブリッド型モバイルPCを仕上げてきたことは称賛に値する。

 こうした先進的な形状のモバイルPCは、どちらかというと、ガジェット好きな一部のユーザー層向けと思われがちだが、Windows 8の世代ではこうした認識が古くなっていくかもしれない。Windows 8のフル機能を存分に活用するには、もはや既存のデスクトップPCやクラムシェル型ノートPCでは不十分になってしまったのだから。

 やはりVAIO Duo 11は、Windows 8+αの魅力が備わったモバイルPCを検討しているならば、筆頭候補に挙げられる1台だ。店頭モデルで実売15万円前後、ソニーストア直販のVAIOオーナーメードモデルで9万9800円からという価格は、単にUltrabookとして見ると割高に思えるかもしれないが、VAIO Duo 11でしか味わえない体験を考慮すると、決して高くないと断言できる。

「VAIO Duo 11」徹底検証(中編)――11.6型フルHDのIPS液晶と筆圧検知ペンを味わう
「VAIO Duo 11」徹底検証(前編)――"スライダーハイブリッドPC"は新時代を告げる

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