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『べっぴんさん』きみちゃん役でブレイク! 土村芳「この瞬間が私にとっての“べっぴん”です」

Real Sound のロゴ Real Sound 2016/11/27 株式会社サイゾー
© Real Sound 提供

 NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』。子ども服ブランド・ファミリアの創業者である坂野惇子をモデルにした本作は、ひたむきに生きる戦後の人々を描いた群像劇だ。物語の中心となるのは、子供服を作る「キアリス」のメンバー、坂東すみれ(芳根京子)、小野明美(谷村美月)、小澤良子(百田夏菜子)、村田君枝(土村芳)の4人。それぞれが抱える悩み、葛藤、喜びが織りなすドラマは視聴者の涙を誘い、これまでの朝ドラとは一味違う大きな魅力となっている。リアルサウンド映画部では、“きみちゃん”こと村田君枝を演じる土村芳(つちむら・かほ)にインタビューを行った。女優を志した経緯から、『べっぴんさん』出演での転機、そして自身にとって“べっぴん”なものまで、ひとつひとつの言葉を丁寧に選びながら、熱く語ってくれた。 参考:ももクロ百田夏菜子、女優としても開花! 『べっぴんさん』4人娘、それぞれの魅力 ■林海象監督、永瀬正敏との出会い ——俳優の道を選択したきっかけは? 土村芳(以下、土村):高校では新体操でインターハイに出場することはできましたが、大学で新体操を続けたとしても、その先のビジョンがなかなか浮かびづらかったんです。そんなときに、京都造形芸術大学の映画学科、なおかつ俳優コースがあるのを知りました。小さい頃にお芝居を経験させていただいたこともあり、潜在的にまた演技をしたい気持ちがずっとあったんだと思います。京都造形大の受験は、筆記試験はまったくなくて、二日間かけて行うワークショップのような形式で。面白そうだなと思ったのもありました。 ——京都造形大学は学生たちのみで映画を撮るカリキュラムがあるそうですね。 土村:映画製作コース、俳優コースと分かれているんですが、学生で映画を撮る時はその枠組はほとんどないんです。俳優コースの子が録音をやったり、衣装をやったり。私も映画を作る上での役割は一通り経験しました。結果的に、不器用なところもあったりして、演じることが一番作品に貢献できる気がしたんです。一度、俳優と製作部を兼務したんですが、絶対に兼務しちゃいけない組み合わせだと分かりました(笑)。ご飯係も兼務していたんですけど、役者として演技をする前に、何十人分ものおにぎりとお味噌汁を大釜で作って。今思い返してみても大変でしたねえ(笑)。 ——京都造形大学には、青山真治監督、福岡芳穂監督など映画界の第一線で活躍されている方々が多数講師を務めています。特に影響を受けたのは林海象監督でしょうか。 土村:そうですね。海象さんには舞台『花ちりぬ』(2011)、映画『弥勒 MIROKU』(2013)と二作品で主演に抜擢していただいて、海像さんのおかげでいまのお仕事ができていると言っても過言ではないです。本当にお世話になりました。そして、『弥勒』で共演させていただいた永瀬正敏さん! あれだけのキャリアをもつ方なのに、自ら壁を取り払って学生である私たちに接してくれたんです。役者としての姿勢から、映画をみんなで作るということまで、多くのことを学ばさせていただきました。憧れの存在ですね。 ■夏菜子ちゃんは“ひゅっと”懐に入ってくる ——そして、『べっぴんさん』への出演が決まるわけですが、そのときはどんな心境でしたか。 土村:マネージャーさんに「取材がある」とホテルに呼び出されたんです。え、取材? 今は取材していただくような仕事もないのになんでだろうと不思議で。現場に着くと、社長以外にも事務所の方たちが集まっていて一体何が起きているのか全然分かりませんでした。すると、「発表があります……」と切り出されて「ヒロインはダメでした」と。ああ、この前の朝ドラオーディション、ダメだったのか、残念……と思っていたら、「でも、ヒロインの友達役でお話をいただいています」と。私は朝ドラヒロインオーディションを受けて、選ばれるか選ばれないかの二択しかないと思っていたんです。違う役を用意してもらえるなんて思ってもみなかった。だから聞いたときは、本当に、純粋に、嬉しかったですねえ。おお、頑張ろう!って感じで(笑)。 ——まるでドッキリのような報告だったんですね(笑)。一方で、出演することへのプレッシャーや、どんな方と共演するかという不安もあったのでは。 土村:そうなんです! 私は人見知りなので、みなさんと仲良くできるかとても心配でした。約1年間かけて撮影をするわけですから、関係性が築けなかったらどうしようかと……。でも、みなさんとっても素敵な方ばかりでした。 ——『べっぴんさん』の肝は主人公・すみれと苦楽を共にするファミリアの創設メンバー「キアリス」4人の関係性だとも言えます。発表されたメンバーを聞いたときはどうでしたか。 土村:(芳根)京子ちゃんはすでにたくさんドラマに出演していましたし、谷村(美月)さんも昔から大好きな女優だったので、まさかご一緒できるとは思ってもいませんでした。そして、アイドルとしても活躍している(百田)夏菜子ちゃん。もう錚々たる方たちにびっくりで。まず、最初に思ったのは女学校で同級生である2人(芳根、百田)と、同い歳に見てもらえるかなということでした。私は90年生まれで、京子ちゃんが97年生まれで、夏菜子ちゃんが94年生まれ。私が演じる「きみちゃん」は、生まれつき身体が弱くて倒れてしまうこともあるのですが、新体操をやっていた分、骨太な感じに見られないかも心配でした。ちゃんと同級生に見えてますかね? ——視聴者はまったく違和感なく見ていると思いますよ。最初に「キアリス」の皆さんとお会いしたときの印象は? 土村:最初こそ緊張していましたけど、慣れてきたら気を遣う必要のない関係性になりました。印象と一番違ったのは夏菜子ちゃんですね。アイドルということもあって、キラキラした女子力が高い子なのかなと思っていたんです。でも、4人の中で一番さっぱりしているんじゃないのかなあ。ひゅっと懐に入ってきてくれるんですけど、全然嫌な感じがしないんです。気がついたら距離を縮めてくれていました。 ——ドラマを観ていると4人の連帯感が本当にいいなと思います。 土村:こんなに演じることが楽しくて、やりやすいと思えることなんてめったにないと思うんです。本当に恵まれていると感じています。3人にかぎらず、共演者・スタッフ、みなさん素敵な方しかいないんです。 ——『べっぴんさん』はひとりひとりがしっかり生きていて、全員が主役のドラマになっていますよね。 土村:誰一人、死に役がいない、観ている方がいろんなところを観て、いろんなことを感じられるものになっていると思います。多分、繰り返し観ても面白いと思っていただける作品になっているんじゃないでしょうか。 ■きみちゃんの“進化” ——土村さんが「きみちゃん」になるときはどんなスイッチが入っているんですか。 土村:何回もお芝居をするのが上手ではないので、本番一回にかける集中、そこに持っていくのに時間がかかるときもあれば、瞬発でやっているときもあったりで、何とも言えないですねえ。感覚を大事にしなくてはいけないことと、考えながら演じなければいけないところは使いわけているかもしれないです。きみちゃんは完璧過ぎないところが人間らしいですよね。良子ちゃんの夫が(戦地から)帰ってきたときは嫉妬をするのに、自分の夫が帰ってきたときは周りを気にせずに喜んじゃう。自分で“器が小さい”と認められるその人間臭さが、きみちゃんの魅力です。 ——きみちゃんが病院で寝たきりになっていて、すみれと久々の再会をするシーンがとても印象に残っています。 土村:放送されたものは、すみれちゃんが扉をノックしてから病室に入ってくるシーンから始まっています。でも、カメラはすみれちゃんがノックする前からかなり長い時間まわしていたんです。きみちゃんがぼーっと天井を見つめながら、女学校時代の歌をしばらく口ずさんでいて。実際にはその前置きはほとんど使われていなかったんですけど、すみれちゃんたちと会う前の孤独な気持ちをカメラの前で演じさせてくれたからこそ、再会を喜ぶ演技ができたのかなと思います。私の中ではどっぷり演技に身を置くことができたシーンでした。 ——撮影が始まってから約半年が経過しましたが、土村さんにとって、きみちゃんはどんな存在になっていますか。 土村:きみちゃんには何段階かの“進化”があるんです。だから、新しい台本が届く度に、新しいきみちゃんに出会えるんです。それが毎回新鮮ですね。女学校の頃から、きみちゃんが持つまっすぐに物事を見つめる気持ちは根底にあるんですけど、外からの刺激や自分の中の成長で、彼女はどんどん変わっていく。実は、撮影中ではないときも、とっさに出たリアクションで、自分なのか、きみちゃんなのか分からないときもあるんです。この現場にいると、自然とずっときみちゃんになってしまう。共演者のみなさん、スタッフのみなさんのおかげで、なんの抵抗もなく、毎日すっとできるのかなと思います。 ——放映中(〜第9週)のきみちゃんは、現在の土村さんと同世代の設定ですが、これからどんどん歳を重ねたきみちゃんを演じるわけですよね。そのあたり難しいんじゃないでしょうか。 土村:きみちゃん、年齢を重ねるごとに面白くなっていくんですよ。ここから先はまだ言えないですけど(笑)。ただの儚い、弱い女性じゃなくて、どんどん女性としての力強さを身に着けていくんです。だから、観て下さるみなさんに気にいってもらえるように演じなくちゃなと奮闘しているところです(笑)。 ■いま、この瞬間が、かけがえのない“べっぴん”です −−ちょうど折り返し地点ですが、『べっぴんさん』の後半の見どころを教えてくれますか。 土村:4人が揃って、ちょっとずつちょっとずつ成長していきます。純粋に誰かのために何かができる、その喜びを知っていく。人間として成長していく姿とお店が成長していく姿が比例していくんです。その姿が可愛かったり、心配になったり、いろんな気持ちを感じてもらえると思うんですが、誰かしらに当てはまる要素がきっとあると思います。壁を超えたらまた新しい壁があって、それをまた乗り越えていく。彼女たちが成長しいく姿を、最後まで見守ってもらえたら嬉しいです。 −−土村さんにとって今、“べっぴん”だと感じるものは? 土村:この瞬間、撮影している瞬間、自分が置かれている状況でしょうか。『べっぴんさん』に関わることができている、一日一日が私にとって“べっぴん”になっています。これからお仕事をしていくうえで、『べっぴんさん』は絶対に振り返る大事な作品です。撮影が終わる最後の一日まで頑張りたいと思います。 (取材・文=石井達也、撮影=三宅英正)

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