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『コード・ブルー』、瓦礫から起き上がる山Pに失笑…ものすごいご都合主義の円満な結末

サイゾー のロゴ サイゾー 2017/09/19
© Cyzo 提供

 山下智久、新垣結衣が主演を務める連続テレビドラマ『コード・ブルー』(フジテレビ系)の第10話・最終回が9月18 日に放送され、平均視聴率は16.4%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)と、最終回にて自己最高視聴率を記録。全話の期間平均視聴率も14.6%と高い数字となり、今クールのドラマのトップ視聴率となることは間違いないだろう。この波に乗ってか、映画化も発表されたが、シーズン3は恋愛要素の強さやご都合主義の展開に過去シーズンファンからの強い拒絶反応が出たことも真実。映画はどのような路線でストーリーが作られるのか? フジの姿勢が気になるところ。 

【詳細画像はこちら】http://biz-journal.jp/2017/09/post_20645.html

 地下鉄の天井崩落事故の二次崩落が発生する30分前、藤川一男(浅利陽介)は泣きじゃくる一人の少年と出会っていた。緋山美帆子(戸田恵梨香)と名取颯馬(有岡大貴)は意識不明の妊婦の処置に追われ、藍沢耕作(山下)は骨盤骨折患者の処置をしながら天井から落ちてくる水滴に違和感を抱いていた。と、次の瞬間、天井は再び轟音を立てて崩れ、藤川は少年を庇ってコンクリートの下敷きになり、藍沢も瓦礫に飲み込まれる。

 地上で現場の指揮を執っていた白石恵(新垣)は押しつぶされそうな心境で、医師たちの安否確認を進めた。藍沢とナースの雪村双葉(馬場ふみか)は軽傷、緋山と名取も瓦礫で地下に閉じ込められているも無事、しかし藤川とは連絡が取れなかった。夫である藤川の安否を気にしながら地上で患者の処置を進める冴島はるか(比嘉愛未)。緋山と名取も、胎児だけでも救おうと奔走するが、妊婦の夫から「一人で育てる自信がないから子どもは諦める」と言われ、窮地に立たされていた。

 身動きが取れない藤川は最後の力を振り絞って少年に語りかけていた。怖がる少年にペンライトを渡し、「ここを真っすぐ進めば次の駅に着く。1000を2回数えれば着く」と促す。少年は無事に隣駅に辿り着き、横峯あかり(新木優子)、冴島と接触。藤川のペンライトに気づいた冴島が藤川のことを尋ねると「埋まっている」と少年は答える。藤川の元に急行する冴島と横峯。白石も向かおうとするが、藍沢に諫められる。「お前は指揮を執ることで俺たちを守れ」と。

 緋山も必死に妊婦のお腹の中で生きる命を救おうとしていた。強い口調で夫を説得し続ける。その時、名取が口を開いた。「子供の人生ではなく、あなたの人生をあなた自身で決めてください」と伝えると、悩みに悩んだ夫から「子供を助けてやってください」と答えが返ってきた。早急に帝王切開を行う緋山。赤ちゃんの命は助かった。

 その頃、藤川は生死の境を彷徨っていた。冴島に叱咤激励されながら何とか意識を保っていると、そこへ藍沢が駆けつける。横峯とバトンタッチし処置を進めるが、時間との戦いの状況だった。搬送を待っている間に賭けのような処置を行い、藤川の命をつなぐことに成功する。

 横峯も戦っていた。先ほどまで会話ができていた重傷のレスキュー隊員の意識が突然混濁。その場で開胸するか否かで悩んだ横峯は、開胸せずに搬送することを選択。レスキュー隊員から「もしもの時は、レスキューの自分に憧れている甥っ子に肩の腕章を渡して欲しい」と託された直後、「憧れから職業を選ぶのは素晴らしい……」と言葉を残して意識を失う。開胸に踏み切る横峯だったが、命を救うことはできなかった。消えゆく命の横で、藍沢と冴島に伴われて最後の患者となる藤川が搬送されていった。安堵する白石。長く厳しい1日が終わった。

 その2日後の翔陽大学付属北部病院・救命救急センターには、それぞれが自分の問題と向き合う医師とナースたちの姿があった。天野奏(田鍋梨々花)は新海広紀(安藤政信)に藍沢の思いを伝えられ彼を許し、灰谷俊平(成田凌)は白石と話す中で、自分だけが苦しいわけではないことに気づく。冴島のために救命を離れる決意をした藤川は、その冴島の言葉によって再び救命に残ることを選び、名取の父親は緋山の説得によって名取を救命に残すことを承諾。橘啓輔(椎名桔平)と三井環奈(りょう)の息子も移植に成功して歩けるようになり、橘に医師になる夢を語った。緋山も改めて緒方博嗣(丸山智己)に交際を申し込み、めでたく結ばれる。藍沢はトロント留学へ行くことを決意し、白石は誰かの真似をせず、自分なりの救命を作っていくと藍沢に宣言するのだった。

 30分拡大の最終回。前回の予告で「大惨事」を匂わせていた藍沢が無傷で復活するパターンには免疫があったが、瓦礫の中からスローモーションで起き上がる感動的な演出には逆に笑ってしまった。ここまでの9話分でばら撒いた設定を短時間ですべて、円満に解決していくという都合の良い最終回となったが、主要メンバーそれぞれに見せ場があっただけでもホッとしたというのが正直な感想。

 今回のシーズンの中で一番魅力を失ってしまった冴島はるかの「バカ! 気を抜いてどうすんの!」というセリフを発する比嘉愛未の演技はすばらしく、藤川だけはなく、何か大きなものにビンタをしているような迫力を感じた。最終回でいきなり元に戻った冴島だったが、藤川に救命を辞めてほしいと願ってしまう自分に大きな葛藤があれば良かったのに……と今さらながら思う。途中、何の葛藤もなく、ただただ自分の感情に任せて藤川を追い詰める冴島さえなければ……。本当に惜しい。

 藍沢と奏と新海のエピソードは最後までいらないと思ったが、一方で名取と父親とのエピソードはもう少し深堀りするべきだったような気もする。脚本家の筆力や有岡の演技力にもよるが、モンスターな父親の姿をもっと見せれば名取の小生意気さも納得ができたかも知れない。そこに絡ませるのは緋山との恋愛ではなく、主役の藍沢かリーダーの白石の方がウェイトを重くできそうだが。終わったことをああだこうだ言っても仕方ないが、名取の父親のシーンが少な過ぎて、名取が闇を抱える程の悪い父親には見えず、逆にダメ息子を鍛えたい良い父親に見えてしまった。

 その他、緋山と緒方が結ばれたり、橘の息子が元気になったり、藍沢がトロント行きを決意したりと、結末は驚くほど予想通りだったが、それで充分。意外な展開よりも、5人が5人らしくその場にいてくれることのほうが余程貴重で愛おしい。9話までのグタグタは無かったことにして、ここから物語をスタートさせてほしいとさえ思った。

 シーズン2までに作り上げた主要メンバー5人のキャラクターは魅力があり、演じる俳優陣もこの7年でそれぞれが俳優としての実力を磨いてきた。ドクター・ヘリの出動現場を描くというコンセプトもほかにはなく、命の瀬戸際を深く描くことができる貴重なコンテンツだ。ファンとしては、5人がさらに輝く姿を期待するのは当たり前のことで、歯車が狂わなければ実際に過去シーズンを超えることだってできたはずだと思う。映画化が決定したが、このシーズン3で脂肪となった部分をもう一度見つめ直して、作品としての輝きを取り戻してほしいと心から願う。5人と5人を取り巻く人々が織りなす、唯一無二の医療ドラマを見たい。(文=西聡美/ライター)※画像は「いらすとや」より

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