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『フランス女性は太らない』の本当の意味【フランス人すごい本を検証】

エキサイト Bit のロゴ エキサイト Bit 2017/07/11 加藤亨延

近年、フランス人のライフスタイルを紹介する書籍が何冊も刊行されています。タイトルを見ると、「年をとるほど美しい」「太らない」「夜泣きをしない」などなど。暮らしの参考になる点がたくさんあるようですが、SNSなどでは「フランス人に幻想を抱きすぎでは?」という声もあります。そこで、『地球の歩き方』特派員でパリ在住のジャーナリスト・加藤亨延さんに「フランス人すごい本」を検証してもらいました。

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ミレイユ・ジュリアーノ著『フランス女性は太らない』は『フランス人は10着しか服を持たない』(ジェニファー・L・スコット著)と同じく、アメリカ人により書かれたフランス本だ。

アメリカで生まれ育ち、半年間のパリへの交換留学経験を元に著作をまとめたスコット氏と異なり、ジュリアーノ氏はフランス東部の小さな町で生まれ育った。スコット氏は衣食住に大量消費社会であるアメリカからフランスに来て、在仏中、フランス人のシンプルさに目からうろこが落ちた形だが、ジュリアーノ氏は18歳のときに交換留学でアメリカ・マサチューセッツ州へ1年間留学し、体重が一気に10kgも増えてアメリカの生活習慣に驚く。つまり両者は真逆の体験を持つ。

フランスで生まれ育ったジュリアーノ氏が言うように、本当にフランス人の女性は太らないのだろうか? 

統計から見るフランス人の肥満割合

結論から述べると、フランス人はアメリカ人より太っていない。世界保健機関(WHO)が出した国別の女性肥満(肥満度の指標である体格指数BMIが30以上)割合において、アメリカ人の女性は34.9%だがフランス人の女性は21.9%と低かった。経済協力開発機構(OECD)の調査でも、アメリカの女性は33.9%が肥満であるのに対し、フランスは14.5%だった。どちらの調査を取っても、アメリカ人の女性よりフランス人の女性の方が肥満は少ない。『フランス女性は太らない』というタイトルは間違っていないのだ。

ただし、これは著者であるアメリカ人から見た場合だ。日本における肥満の割合は、WHOの調査だと3%、OECDでは3.8%。よって日本人の読者からすれば「アメリカ人もフランス人もどっちも太る」ということになり、日本人の視点では「フランス人は本当に太らないのか?」と疑問は出るだろう。

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著者が提案するフランス流ダイエットとは

しかし本書の内容は「どちらの国の人が太っていて、どちらが太っていないか」を比較する内容ではない。『フランス人は10着しか服を持たない』と同じように、フランスにおける人々の暮らしを一例に、堕落しがちな自分たちアメリカ人の生活習慣を変えるためにどうしたらいいか、その方法を紹介する本だ。同書の場合、その主なテーマを「生活改善とダイエット」にしている。

フランスのシャンパンメーカー、ヴーヴ・クリコ米国現地法人の最高責任者に就いていた著者は、仕事柄、年に300回は外食を求められたが、太りすぎでも不健康でもないという。それは学生時代、一気に10kgも太ってフランスに戻ったときに試した、医者ドクター・マイヤー(ドクター・ミラクル)のフランス流ダイエット方法が効いていたからだ。ドクター・マイヤーが勧めるやり方とは、何か1つのものを食べ続けたり絶ったりする過度なダイエット方法ではなく、生活習慣を変え体質を改善し、増えすぎた体重を適正に戻すというものだ。

アメリカ人のように、常の間食を控え、1日3回の食事を大切にする。食事はきちんと座って食べる。食品は人工化合物が多く含まれているものはなるべく避ける。食材をアメリカ人のように1週間分を大量にまとめ買いすると、添加物が多い保存性の加工食品ばかりになってしまうため、数日に分けて買い、旬のものに目を配る(料理のレシピも本書内に書かれている)。ジュースはやめ、水をたくさん飲み、移動は歩くことを心がけるといった具合だ。

この方法を実践して著者は見事、アメリカ留学前の体重まで戻った。

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アメリカと比較してフランスはすごい

アメリカ人の著者により書かれたフランス本は、当然ながらアメリカ人の目線であり、日本人の目線ではない。同書や『フランス人は10着しか服を持たない』の他に、いくつかアメリカ人の著者によるフランス本を読んでみたが、そこから読み取る限りでは、アメリカ人の食習慣とは、私たち日本人が想像する以上に乱れているということだ。

例えば、アメリカ人の著者によるフランス本の中に「アメリカ人は間食するがフランス人は間食しない」という主張がしばしばある。お菓子を買って間食するフランス人もいるが、どうやらアメリカ人はフランス人の間食の比ではないほど常に間食をしており、そんな彼らからすれば「フランス人は間食しない」となるようだ。

上述した肥満の割合と同様に、これらアメリカ人著者によるフランス本は「著者がアメリカ人」ということに注意して読む必要がある。日本人の目線で考えた際には疑問が生じる事柄も、アメリカ人の視点なら納得できることは多い(もちろん、それらフランスの様子を紹介する中で、日本と比較してもフランスが先進的な取り組みをしていることはある)。これらアメリカ人によるフランス本は、単に「フランスがすごい」というより「アメリカの生活習慣と比較したときにフランスはすごい」のである。

(加藤亨延)

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