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『モアナと伝説の海』監督が明かす、モアナ誕生の秘密 「最初の主人公はマウイだった」

Real Sound のロゴ Real Sound 2017/03/12 株式会社サイゾー
© Real Sound 提供

 ディズニー長編アニメーション最新作『モアナと伝説の海』が3月10日より公開された。本作は、自然に恵まれた南の島“モトゥヌイ”の村長の娘として生まれたモアナと、魔法の釣り針を持つ半神半人の英雄・マウイが、闇の脅威から世界を救うために力をあわせて大冒険を繰り広げるファンタジーアドベンチャー。ディズニーとしては、『ズートピア』次ぐ56番目の長編アニメーション作品になる。  監督を務めたジョン・マスカーとロン・クレメンツは、「最初の主人公はモアナじゃなくてマウイの方だったんだ」と、モアナ誕生の経緯を語ってくれた。(メイン写真:左からロン・クレメンツ、ジョン・マスカー)  マスカーとクレメンツといえば、『アラジン』や『リトル・マーメイド』を監督したゴールデンコンビとして、ディズニー・アニメーション・スタジオを代表する存在だ。ジョンのアイデアがきっかけだったと説明するクレメンツは、「ジョンが太平洋の島々に興味を持っていて、そこから設定を考えていったんだ。でも、最初の構想では、女の子の主人公は考えていなかった。魔法の釣り針を持つマウイが主人公で、彼がスーパーヒーローのように活躍する物語だったんだ。最初考えていたタイトルは『マイティ・マウイ』だったよ(笑)。その企画をジョン・ラセターにプレゼンしたところ、舞台設定やマウイというキャラクターは気にいってもらえた。ただ、当時の文化や暮らしをもっと深堀りしていったらどうか、とアドバイスを受けたんだ」と明かした。当初予定していたのは『ヘラクレス』に近いストーリーだったようで、マウイのタトゥーが動きだすシーンなど、同作をオマージュしたような表現も『モアナ』には見られた。  そこから彼らは当時の文化や航海術を学ぶべく、フィジーやサモア、タヒチなどの島々を訪れ、考古学者や人類学者、漁師、村の村民に取材を行ったという。ジョンは「彼らのライフスタイルやアイデンティティについて学ぶ事ができた。彼らは祖先との関わりをとても大事にしているし、自然や海を生き物として捉えているんだ」と取材での体験を語る。そして取材の旅から戻ったふたりは、マウイだけを残して一度作った物語をすべて書き換えた。  クレメンツは「航海が行われていない時代に生きる少女と半神半人のマウイが出会い、人間が1000年ぶりに大海原へと旅立っていく。若く決意を持った女の子と、擦れてしまった男のコンビが道を切り開いていく物語は絶対に面白くなると思ったんだ。モアナにはハワイ語で“太平洋”という意味があって、その名前からもキャラクターを設計していったよ。映画『トゥルーグリット』のように、凸凹コンビを面白く表現できたと思っている」と、コンビ誕生の瞬間を語ってくれた。  ディズニー映画といえば、ストーリーはもちろん、壮大で感情豊かな音楽も魅力的だ。『モアナ』でも南の島や大海原をイメージさせる音楽が、モアナとマウイの冒険を彩っていく。ディズニー作品の音楽について、クレメンツは「ディズニーの音楽は、ただ娯楽性を追求するだけでなく、色々な意味を込めて作る必要がある。感情の乗ったバラード、コミカルなポップス、『ワンス・アポン・ア・タイム』のようなストーリーテリングの意味を持つ曲、悪役が歌うダークな曲など、バラエティに富んでいることも大切なんだ。音楽が物語を展開してくれることもあれば、登場人物の心情の理解を手助けしてくれることもある。それぞれの楽曲がそれぞれの使命を持っているんだ」と説明する。  『モアナ』のオリジナルソングは、西サモア出身のオペタイア・フォアイと、“ミュージカル界の若き天才”と呼ばれるリン=マニュエル・ミランダが制作している。  太平洋諸島で育まれた音楽の文化を重要視したというジョンは「今回は現地の音楽をたくさん盛り込んでいきたいと思ったので、その島々に住むバンドにも参加してもらっている。向こうの音楽は、何度も繰り返し聴きたくなる不思議な魅力があったから、それにディズニーらしい音楽のイメージを合わせていければと思ったんだ。僕たちはいつも作曲家や作詞家には早めに作業に入ってもらい、密にコミュニケーションを取るようにしている。何度もやり取りを重ねる中で、オペタイアもハミルトンもディズニーの音楽のことをよく理解してくれたよ。以前からハミルトンのミュージカルは大好きだった。彼はストーリーテリングに長けた、キャラクターの感情をすっと届けてくれるような詞を考えてきてくれるから、とても良いものに仕上がっているよ」と語り、続けてクレメンツは「ジャレッド・ブッシュ(脚本)と私たちがストーリーのポイントを彼らに教えて楽曲制作は進めていく。だけど、僕らが制作に行き詰まってしまった時は、彼らが音楽的なアプローチで解決策を提示してくれたんだ」と、脚本と音楽が密接に関係していることを教えてくれた。  すでに30年以上ディズニースタジオで制作を共にしているふたり。彼らにとってのディズニーらしさとはどんなものか聞いてみたところ、「ディズニーの伝統としてあるのは、時代を感じさせないことなんだ。もちろん、世の中の考え方は常に進歩しているから、その時代の流れを受け止めている部分もあるけど、作品そのものはどの年代の人が観ても楽しんでもらえるものを目指している。『モアナ』も2000年前が舞台だけど、今の時代を生きる人々にも通じるテーマを描いているんだ」とジョンは語る。  また、クレメンツは「2005年にラセターが入ってから、どんな作品を作るのかは彼が選んでいるんだけど、彼の中にあるディズニーの定義がすごく幅広いんだ。(『モアナ』と)同じ年に公開された『ズートピア』では偏見や差別といった現代的な難しいテーマを描いていたけれど、一方『モアナ』ではまだ探求されていない地域を深堀していくような物語になっているよね。それは、ラセター自身が体験したことのない場所や、出会ったことのないキャラクターを求めていて、その好奇心が作品として表現されているからなんだ。だからこれからも、誰も観たことのない世界やキャラクターたちが出てくる作品が控えているはずさ」と教えてくれた。  ディズニー最新作『モアナと伝説の海』は全国で公開中だ。(泉夏音)

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