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『ラ・ラ・ランド』は「夫婦で観たらダメな映画」なのか!?

エキサイト Bit のロゴ エキサイト Bit 2017/03/24 07:30 田幸和歌子
© Excite Bit 提供

大ヒット上映中の映画『ラ・ラ・ランド』。

衣装や音楽の素晴らしさ、多数のミュージカルのオマージュなど、見どころは多数あるものの、実はこれ、カップルや夫婦で観に行く人が多いにもかかわらず、「夫婦で観たらダメな映画」という声が多数ある。

予告CMを見る限り楽しく多幸感溢れる映画なのに、いったいなぜなのか。

【注意:以下、ネタバレあり】

観た人が「夫婦で観たら気まずい」と思う理由

Twitter上には、「夫婦で観たら気まずい」という声が多数ある。

「ララランド ちなみに夫婦で観ると気まずいです。ラストで号泣してた私と、それを観た妻。誰を思って泣いてるのかは、何を想って泣いてるのかは、お互い聞けないし言えないのです」

「カップルでララランドみた人達のあの感じに笑った。多分夫婦で見るのとカップルでみるのとはわけが違うw」

「そういえばララランドは夫婦で見ると危険らしいぞ」

「『ララランド』は夫婦、恋人で観に行くには危険な映画! 一人で行くのが勝ち組!」

「ララランド、圧倒的に夫婦デートに向かない映画だった…宣伝の仕方に悪意を感じる…何この気まずさ…予想もしない辛さだ…」

「『好きな仕事をするか、安定した生活を求めるか』みたいな話で険悪になる場面を見て、『うちの夫婦みたいだな』と深く共感したわけですが、見終わってから妻にその話をしたら、『わたしもそう思ってた』と……」

夫婦で観たら気まずい理由として挙げられるのは、いわゆるハッピーエンドではないために、悲しい別れを経験したことがある人や、昔の恋人との思い出がよみがえって感傷的になったりする人が多そうだということ。

さらに、人生の選択に何らかの悔いを残している人も、切なく感じるところがあるだろう。

また、単純に「夢を追う自分の背中を押してくれた男をさっさと忘れ、間で連絡もとらず。別の男と結婚し、子どももいること」に対するショックを訴える男性の声もあった。

実際、再会した際には互いに夢をかなえていているにもかかわらず、スターになり、幸せな家庭も持っているミアに対して、理想とする店を持ったものの、独り身でいるセブのほうは少し寂し気にうつる。

「昔の恋愛を男のほうが引きずり、女はすぐに忘れる」「ある意味、リアル」という声も。

「夢」のあり方にもさまざまな意見

また、Twitterでは「恋愛」についての切なさ、美しさ、後ろめたさ、懐かしさなどで盛り上がる声が多い一方で、ネットの掲示板では別の視点で意見が激しく衝突していた。

それは「夢」のあり方だ。

© Excite Bit 提供

「二人とも夢が叶っているところがリアリティー無さすぎて感情移入できない。恋愛なんかよりも、スターになること、自分のお店を持つこと、こっちの方が数百倍難しいのに」

「本当のロマンティストって恋愛の甘さ関係のことじゃないんだよ。夢ばかり見て現実的じゃない、言い換えればロマンティストとは人生の充実より夢を追いかけることを優先する者のこと」

「セブはミアしか失ってない 念願の店は持てたしジャズは生き延びてる 少し寂しい『だけ』の話」

「ミアもセブしか失っていない この2人の愛と夢を描いているからその喪失感とラストの想像力が正面衝突するんだよね」

「オレはジャズで行く!って熱く語ってたのにバンドが売れてこの道でいく!って言いだしたときは、ヒロインじゃなくても『はあ!!??』ってなった」

「別にバンドが売れりゃ売れたで金も入ってくるし それだけバー開業って夢に近づくだろうに なんであんなにレジェンドのバンド嫌がってるのか疑問」

「夢」については、若い人を中心に「夢をとるか愛をとるかで、結局、夢を追うことを選んだ」「男はロマンチストで、女は現実的」などという意見が多い。

しかし、人生経験を積んだ中高年になると、ことはそうシンプルではない。

そもそも「愛か夢か」のどちらかしかないのか。

漠然とスター女優になるという夢のミアの場合、千載一遇のチャンスをつかむ以外夢は叶えられないだろうが、セブの場合は遅かれ早かれ、夢を叶えていたのではないか(ただし、それを実現させるためには、ミアとの出会いも必要な要素だが)。

昔から抱いていた夢以外は、はたして本当に「生活のための妥協」なのか。バンドに加入した時点ではそうでも、バンド活動をしていく中でその思いは変わらなかったのか。

また、熱く語っていた夢と違う道を進んでいるからといって、それを彼女とはいえ、他人が「妥協」と判断して良いものか。

そもそも自分一人の脳内で完結していた「夢」が、本当に最良のものなのか。

「夢」は美しく、と同時に、恥ずかしく、残酷で、痛いものでもある。

だからこそ、この映画を観ると、置き去りにした思いを掘り起こされたり、恥部を探られたりするような居心地の悪さを感じる人もいるだろう。そして、一緒に観ているのが、自分自身や、これまでの選択を最もよく知る夫婦というパートナーであれば、なおさら気まずさこの上ないと思うのだ。

(田幸和歌子)

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