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『ルパン三世 カリオストロの城』はMX4Dでどう生まれ変わった? アニメと体感型映画の相性を考察

Real Sound のロゴ Real Sound 2017/01/24 株式会社サイゾー
© Real Sound 提供

 『ルパン三世 カリオストロの城』が、MX4Dでリバイバルされるというので公開日に劇場に足を運んだ。TOHOシネマズが展開するMX4Dとは、シートの動き、振動、風、ストロボなどの特殊効果によって映画の臨場感を演出する最新の体感型映画鑑賞システムのこと。最近では『シン・ゴジラ』などがMX4Dで上映されているが、旧作をMX4Dで上映するケースは珍しい。  『カリオストロの城』は1979年に公開された宮崎駿監督が初めて手掛けた長編アニメだ。ルパン三世という器に、クラシックな冒険活劇の面白さを詰め込んだ本作は、興行こそ振るわなかったが、現在では日本映画史上に残る快作として広く知られているのは、改めて書くまでもないだろう。この『カリオストロの城』がMX4Dとしてどう演出されたのか。  まずよく使われた演出は、車の走行や揺れにあわせたシートの振動と動き。スピード感出るところではシートが若干前傾したりもする。前半のカーチェイスでは壮大にシートが動きまくって盛り上げていた。  次によく登場したのが「風」。アバンタイトルの、フィアットの屋根から偽札をばらまくシーンで、風が顔に吹き付けて、車の外に顔を出した感じを演出する。また、銃撃戦のシーンになれば、弾丸が近くをかすめていく感覚を演出するため、顔ではなく首のあたりに鋭い風が吹き抜ける。  意外? というか驚いたのは、「シートの突き上げ」。マッサージ機よろしく、背中をシートの中の突起物が背中を押してくる演出だ。ルパンがマシンガンで撃たれた瞬間に、いっぱつズドンと、結婚式に乱入したルパンが串刺しになるところでズバズバと背中に刺激がきた。  逆に、レーザー光線のところで、ストロボの効果が使われたが、個人的に映画館でスクリーン以外で光の演出が入ると、映画への一体感はかえってそがれると感じた。霧も一部のシーンで使われていたけれど、それほど効果的にはなかった。もっと霧に近いシートで見たら印象は違うのかもしれない。  体験して感じたのは、MX4Dのポテンシャルをちゃんと出すには、MX4Dを見越した演出がある作品のほうが効果的ということだ。もともとアトラクション的な趣向のシステムなので、アトラクション的な趣向に寄り添った内容のほうが、演出の相性がよくなる。当たり前といえば当たり前のことではある。今回、旧作をリバイバルする方法のひとつとして興味をもって足を運んだが、旧作をそのままやるよりも、MX4D用に編集をしたもののほうが満足感は高くなるだろう。  もう少し具体的に書くと、2000年代以降の、画面の情報量が多く、アクションもしくはライブシーンが軸になりうる作品をMX4Dの演出を見越して再編集すれば、MX4Dの魅力がもっと伝わるのではないだろうか。そして幸いにも、これをを満たす要素のある作品は今のアニメにはそれなりの数存在する。そこにこれからの可能性があるはずだ。  2016年は応援上演も含めて、アニメ映画の「ライブ化」がぐっと日常化した年だった。この潮流はしばらく続くだろう。その一翼をMX4Dを含む体感型映画も担うのは間違いない。そうなるためには、演出と作品の相性がもっと吟味される必要はあるだろう。  ちなみに大画面で見た『カリオストロの城』は、MX4Dかどうかにかかわらず、最高におもしろかった。(藤津亮太)

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