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『三匹のおっさん』は現代に甦った勧善懲悪ドラマだ! 変わらぬ魅力と人気の理由

Real Sound のロゴ Real Sound 2017/01/27 株式会社サイゾー
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 人気シリーズ『三匹のおっさん』の待望となる第3弾『三匹のおっさん3~正義の味方、みたび!!~』(テレビ東京系)が、1月20日より放送開始した。2014年に第1シリーズが放送され、テレビ東京のドラマとして異例の平均視聴率10%越えを成し遂げた『三匹のおっさん』。続く2015年の第2シリーズも話題となり、もはや老若男女が楽しめる国民的ドラマとなった。  現時点で第3シリーズは初回の放送のみだが、すでに安定の面白さを見せている。そこで今回、改めて『三匹のおっさん』の魅力と、新シリーズの面白さ、これまでのシリーズとの違いなどを考察してみたい。 ■現代に甦った勧善懲悪もの

 別册文藝春秋で連載された有川浩による同名小説を基にドラマ化した『三匹のおっさん』。子供の頃“三匹の悪ガキ”と呼ばれていた3人が、還暦を期に夜回り自警団“三匹のおっさん”として、夜な夜な町内で起きるトラブルを解決(最後は力づくで成敗)していく話だ。

 剣道の達人・キヨこと清田清一(北大路欣也)は、定年退職後ゲームセンターの委託社員として働きながら自宅敷地内道場で剣道を教えているリーダー的存在。柔道の達人シゲこと立花重雄(泉谷しげる)は、経営していた居酒屋を息子に譲り店の手伝いをしている。口が汚く下町の頑固オヤジタイプだが頼れる武闘派。ノリこと有村則夫(志賀廣太郎)は町工場の有村電業を経営している。ほかの2人のように武道の達人ではないが機械に強く、スタンガンなどの様々な武器で敵を懲らしめる、メカ担当の参謀役だ。  このドラマが人気となった理由は、勧善懲悪をテーマにしたわかりやすい展開だからではないだろうか。いわゆる『水戸黄門』や『遠山の金さん』など、かつてあったヒーロー性のある痛快時代劇ものでよく見られた展開だ。悪役によって町民たちが危機に迫られ、絶対的正義の味方が悪を成敗する。そのベタなルーティーンのわかりやすさがいいのだ。  時代劇ドラマが少なくなってしまった昨今、「待ってましたー!」とテレビの前で叫びたくなるような展開を、現代劇の娯楽作品として甦らせたのが『三匹のおっさん』。実際、タイトルは時代劇『三匹が斬る!』(テレビ朝日系)からインスパイアされたものだ。  また勧善懲悪ものは、老若男女関係なく家族そろって安心して見られるコンテンツ。高齢化社会になっているにも関わらず、ご高齢の方が気楽に楽しめる王道ドラマが少ないように思う。自分よりも遥かに若い世代の恋愛劇や刑事物は、やはりどこか感情移入がしにくいのではないだろうか。  その点『三匹のおっさん』は、60歳以上のおじさんたちが主人公であり、彼らが活躍している。同世代や自分よりも上の世代が頑張っている姿に時に励まされ、時に応援したくなるのではないだろうか。また、おじさんたちのハチャメチャな言動がツッコミどころ満載で、若い世代にとっても楽しめる作品となっているのもポイントだ。  犯罪の内容も、万引き集団やお年寄りを狙った健康食品の悪徳詐欺、ゴミの不法投棄やご当地アイドル詐欺など、身近な事件や時事ネタを混ぜたものが目立つ。特に好感を持てるのが、懲らしめられた犯罪者が後を引かないこと。実際なら、悪者を懲らしめた後は復讐を恐れるものだが、このドラマではおっさんたちの成敗と説教でみんな素直に観念してまう。だから、視聴者も嫌な気持ちは芽生えず、スッキリできる。そこがまた爽快なのだ。  犯罪の解決だけでなく、コメディパートとして、二世帯住宅で暮らす嫁姑のやりとりや、最初は祖父を否定していた孫が、次第に祖父のかっこいい姿に気づき、共感して協力していく様なども描かれている。若者に対する高齢者の意見を一方的に浴びせるわけではなく、若者の見解もしっかり取り入れたWin-Winな関係に持っていく。そういった家庭の暖かい日常風景を面白く物語に溶け込ませているのもまた、同ドラマを家族で楽しめる要因となっているに違いない。  そして、北大路欣也、泉谷しげる、志賀廣太郎の役者としての安心感。北大路欣也と言えば、東映の2世俳優として松方弘樹とライバル関係にあった昭和の時代劇スターの1人である。最近はソフトバンクのCMで面白いことをやっているが、基本は硬派。そんな大スターが「じいさん」や「おっさん」と呼ばれ、ゲームセンターで働く姿などそれだけでも感慨深いものがある。加えて、そんな北大路の姿が『水戸黄門』や『遠山の金さん』と重なるのだ。まるで、身分を隠し庶民に成り済ましているかのように見える。そこもまた時代劇っぽくて面白い。北大路の凛々しさは73歳である今もなお健在で、何をしていても貫禄ある姿は実にかっこいい。  泉谷はいつもの泉谷しげるのままのキャラで面白く、特に良いのが 志賀廣太郎。名バイプレイヤーとして知られる彼だが、同ドラマでは主演の一人として活躍している。ビジュアル的におじさんという役柄がぴったりなのだが、声がとても良いので品がある雰囲気を醸しだす。そんな志賀が良い声で「則夫エレクトリカルアタック!」とスタンガンを振り回す姿だけでも笑いが止まらない。犯罪や戦闘シーンをシリアスにしすぎないように絶妙なバランスで保つ重要なポジションとも言える。そしてこの3人の俳優としての嫌味のなさが、同ドラマの一番の魅力なのかも知れない。 ■新シリーズで変わったこと

 さて、新シリーズ『三匹のおっさん3~正義の味方、みたび!!~』だが、今までのシリーズと基本的に何も変わっていない。しかし、それこそがこのドラマの一番の魅力ではないだろうか。シリーズものとなると、制作者は何か付け加えたがるものだが、このような作品ではできる限りオリジナルメンバーで続けてもらうのがファンにとって嬉しいところ。特にこのドラマのヒロイン的存在であるノリの娘・早苗役の三根梓が、新シリーズでも変わらぬ可愛らしさでドラマに花を添えていて一安心である。しかも相変わらずの清純さだけでなく、女性的な魅力がグッと増している。第1シリーズは高校生役だったのが今回は20歳の大学生となっていて、キヨの孫である祐希(大野拓朗)との恋愛関係がどうなっていくのか気になるところ。

 内容としては、外国人を相手にした民泊詐欺という時事ネタを中心に、『YOUは何しに日本へ?』(テレビ東京系)を取り入れたり、おじさんたちがピコ太郎のPPAPネタをやったりと、今時のベタな内容を盛り込んでくるのも『三匹のおっさん』らしい。また父親を捜しにきたシャーロット・ケイト・フォックスが、父の手がかりとして若い時の写真をみんなに見せるシーンがあるのだが、これがどう見てもこの回に登場している写真館の店主である長谷川初範なのだ。だが、誰も全く気づかず、しかもその写真を何度も視聴者に見せるサービスっぷり。このツッコミどころ満載の分かりやすさもこのドラマの魅力である。  強いて違いを言うなら、まず恒例の後ろからの光でシルエット状態の三匹のおっさんがかっこよく登場するシーン。今までは西部劇のように回転草が転がっていたものが、今回はたくさんの葉っぱが吹いている様子がプラスされ荒野の決闘感が更に増した。また、アクションシーンではワイヤーアクションや、人物の周りを360度回って映すドリー撮影風のものなど、迫力のあるアクションシーンがパワーアップしているところだろう。  90年代以降のドラマ界はベタで王道ものはダサいと嫌っていた傾向にあり、勧善懲悪の時代劇も徐々に廃れていった。ハリウッド映画などでも勧善懲悪より主人公が戦うことに疑問を持ったりして、どんどんダークな方へ移行していき、それがカッコいいと思われている時期が今でも続いている。王道があるからこそ邪道の面白さがあるわけで、王道がどんどん廃れて行き邪道だらけになってしまうと、ベタな王道展開が欲しくなるのも当然だろう。そんな時代にふと現れた『三匹のおっさん』は時代が求めていたドラマの救世主なのかも知れない。(文=本 手)

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