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『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズの神山健治監督が語る、アニメに実在の街が登場するようになった経緯

エキサイト Bit のロゴ エキサイト Bit 2016/11/08 寺西ジャジューカ

六本木ヒルズ展望台 東京シティビューにて11月13日まで開催中のイベント「大都市に迫る 空想脅威展」 。以前、コネタでも展示の内容についてはご紹介しましたが、それ以外にも同展は「空想脅威」を生み出してきた映画・アニメーション映画監督をゲストスピーカーに招いてのトークイベントを開催しています。

第1弾には、『シン・ゴジラ』の監督・特技監督を務めた樋口真嗣氏が登場。そして、10月28日に開催された第2弾には、この方が登壇してくれました。

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『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズや『009 RE:CYBORG』などの代表作を持ち、来年3月には最新作『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』の公開を控える神山健治監督です!

「空想脅威展をやられるという時に『僕はあまり関係ないかな。怪獣やってないし』と思っていたんですが、考えてみたら僕の作品もだいたい街を破壊してたんですよね、ミサイルで(笑)」(神山監督)

ちなみに今回もトークイベントの司会進行は、森ビル株式会社 都市開発本部計画企画部メディア企画部の矢部俊男氏が担当。KADOKAWA 代表取締役専務の井上伸一郎氏がホスト役として、神山監督の話を引き出します。

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『009 RE:CYBORG』で、六本木ヒルズの知られざる特徴を活かしたかったが……

まずは、『009 RE:CYBORG』の知られざる秘話から。会場内では『009 RE:CYBORG』の映像が上映されました。

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同作には六本木ヒルズが登場しており、もちろん神山監督はヒルズへ取材に訪れています。

「ヒルズはステルス機と塗装が同じだそうなんです。ミサイル攻撃を受ける時、それなら『ミサイルをかわせないかな?』というシミュレーションをしました。あとヒルズは地下に発電所があり、もし災害等で東京に大停電が起こったとしても自家発電なのでずっと電気がついてるんです。攻撃の後、作中では東京に大停電が起きるんだけど、ヒルズだけ明かりが灯っていて『ここが希望の光になればいいんだけど』と言ってジョーが飛び立つという脚本でした。ただ、その辺は時間の関係で割愛してしまったんですけどね……」(神山監督)

アニメに実在する街が登場するようになった経緯

続いては、アニメ作品に実在する街が使われていった経緯について。神山監督は、ゼロ年代からアニメに求められる“リアリティ”が変わってきたと話します。

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「実写の世界では随分前からあったんですが、自分たちが生活している空間がそのまま出てくるということがアニメにも確実に求められてきたのがゼロ年代です」(神山監督)

これは裏話ですが、アニメの会社は中央線や西武線沿線に位置することが多いです。結果、演出家が指示しないと杉並や練馬のような町並みが頻繁に登場するようになってしまう。なので、画一的にしないためにも具体的な土地をモデルにし始めた……という話もあるそうです。例えば『セーラームーン』だと麻布十番だし、『幻魔大戦』だと吉祥寺。

「ちょっぴりリアルを入れていくと作品そのものがすごくリアルになっていくという体験を、『幻魔大戦』辺りからし始めました。知っている街が壊れていくということを、アニメの中で初めて観たんです」(神山監督)

しかし、作品にリアルを注入するには障壁が付き物です。

「『東のエデン』でとあるショッピングモールに申請を出した時、結果的にOKが出たのはシネコンだけでした。他の商業施設はテナントごとに許可を取らなければならず、かなりハードルが高くて……。じゃあ、そこを『主人公の滝沢君の家にしてしまえ!』と。彼は映画が好きという設定もあったので、彼の家そのものがシネコンだったら楽しいかもなって。僕自身、もし家がシネコンだったら楽しいと思いますので(笑)。今思うと、よく使わせていただいたなと思います」(神山監督)

新作『ひるね姫』の舞台が岡山になった理由

神山監督の4年ぶりになる新作映画『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』が、来年の3月に公開されます。同作の舞台は、岡山県の児島。高校生の女の子・森川ココネと、自動車の改造ばかりしている元ヤンキー(?)のお父さんによる物語です。

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「瀬戸内海の方に行ったことがなかったので、一人で旅して。倉敷とか尾道まで行ってみようかなぁって。ふと、途中で高速降りたいなあと思ったんですよ。すごい素敵な景色だなと思って、わざと車をそこで停めて街を歩いたんですけど、すごい牧歌的だしね。割りと僕は殺伐としたアニメを作ってきた方なんで、やわらかいものを作りたいと思っていた時期でした。時間もゆっくり流れていて、こういう感じを自分も欲してるなぁというのがあって『ここを舞台にしたら面白いかもしれない』と。自分が育った街ではないので、ついつい東京を舞台にしてしまうんですけど」(神山監督)

「実写を撮ってみたい」という構想はある?

ここからは、お客さんが登壇者に直接質問をぶつけるコーナーに突入です。

●009のファンで映画『009 RE:CYBORG』を観させていただきましたが、やっぱりどうしても008が活躍できないという感覚が昔からあります。なんとか、彼を活躍させてあげることはできないでしょうか?

神山 すごい、うれしい質問ですね。実は「東京国際映画祭」で11月1日にお披露目になるんですが、『ひるね姫』と同時にサイボーグ009の新作『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』という作品を作らせていただきました。1本の映画の中で9人を活躍させるのがいかに難しいかというのをRE:CYBORGの時は痛感しつつ、さらに009ファンの方たちがいかに各キャラクターに思い入れがあるかというのを再認識しまして、CALL OF JUSTICEでは全キャラ活躍できるようにサイボーグたちの勇姿を描き切ろうという思いで作らせていただきました。期待していただければと思います。

●神山監督はアニメ作品を中心に撮られていると思うのですが、押井監督がパトレイバーで実写作品を手がけられたりする中で、今後、実写作品の構想はお持ちでしょうか?

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神山 『シン・ゴジラ』でプロットを作る時に、実は協力をさせていただきました。かなり初期の段階でしたが、鎌倉から移動しつつ上陸するゴジラを横目で見る若い政治家が首相官邸までどうやって移動するか……というプロットを書かせていただいたんです。僕はアニメとか実写とか関係なく映画を撮りたいと思っているので、庵野さんがやられている作業を横目に見ながら「僕がやるとしたらどう撮るだろう」なんて思いながら、実写熱は高まっています。庵野監督はゴジラを撮るにあたって「実写をどうやって撮るか」「どういう人が必要なのか」など、ものすごい勉強されたのではないかと思います。実写とアニメって似て非なるもので、「入口のアプローチはちょっと違うのかもなあ」というのを勉強させていただきました。僕も、もしそういう機会をいただけたらアニメと実写の違う部分と共通する部分をうまくやっていきたいなという希望はあります。

神山監督、今回のトークショーで非常に真摯にお話していただいた印象です。そして、新作の『ひるね姫』。牧歌的な岡山が舞台となりましたが、果たしてこの街にも脅威は訪れるのでしょうか……?

(寺西ジャジューカ)

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