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『SMAP×SMAP』最終回が残したもの 太田省一が番組内容を振り返る

Real Sound のロゴ Real Sound 2016/12/31 株式会社サイゾー
© Real Sound 提供

 12月26日、『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)が20年9カ月の歴史に幕を下ろした。当日は「5人旅」をはじめとした過去映像の振り返りが多数を占め、ラスト十数分で新たに録り下ろされた「世界に一つだけの花」の歌収録映像がオンエアされた。  放送後、そのパフォーマンスや番組の姿勢が様々な憶測を呼び、2017年になったいまも報道・ファンともに熱の冷める様子はない。リアルサウンドで『ジャニーズとテレビ史』を連載し、『SMAPと平成ニッポン 不安の時代のエンターテインメント』(光文社新書)、『ジャニーズの正体 エンターテインメントの戦後史』(双葉社)を近著にもつ太田省一氏は、テレビ史における同番組の意義と、最終回の放送内容についてこう語る。 「『SMAP×SMAP』は、今のテレビにおいて唯一といえる、歌ありダンスありコントありの王道バラエティで、しかもその形を変えずに20年近くも続きました。テレビ史においてもテレビのエンターテインメントの本道を歩んできた貴重な番組だといえるでしょう。しかし、最終回はそんな番組の終わりとしては特異な形になってしまいました。それはSMAPの解散理由がストレートに出ているものでもあったのでしょうが、その分この番組のもうひとつの特徴でもあった、森且行の脱退や稲垣吾郎・草なぎ剛の復帰の回のようなドキュメンタリー的な側面がより目立ったものになりました。しかしそうであれば必要だったはずの生放送での本人たちのコメントもなく、ある種のスッキリしなさを抱える、厳しく言えば中途半端なものになってしまいました」  また、太田氏は「最終回の内容についてフォーカスされがちだが、その前週放送分にも注目してほしい」と続ける。 「前週の12月19日には、タモリさんをゲストに迎えた『BISTRO SMAP』が放送されており、その内容が実質的な最終回としてふさわしいものでした。番組では恒例となっている勝利チームの判定を求められたタモリさんが『判定はしない、人生で判定なんかどうでもいいんだよ』と言い放った。最後はタモリさんが5つ星の入ったバカラグラスをメンバーにプレゼントし、それを掲げた香取慎吾の左手がアップになりました。個人的には、最終回に歌った『世界に一つだけの花』で、中居正広が元々の振り付けにない部分として右手を掲げて5つの指を折り、最後手を広げて振ったアップのシーンと、このシーンがリンクしているように思え、感動しました」  さらに太田氏は、12月21日にファンが団結し、クラウドファンディングで3900万円を集めた結果、朝日新聞の広告欄8面をジャックしてSMAPへの感謝を伝えた出来事について、このように分析する。 「この出来事を含め、SMAPとファンはこれまでのアイドルとファンの枠には収まらない、同志ともいえる関係性を築いてきたからこそ、この非常事態をより鋭敏に受けとめていると思います。だからこそ、ファンも社会貢献や復興支援といった彼らのやってきたことを受け継いで、8面広告では震災への義援金募集にも触れていた。まるでそれは、『世界に一つだけの花』の歌詞ではありませんが、SMAPの蒔いた種がまたひとつ花を咲かせたように私には映りました。このような現象が起こるのも、彼らが自分たちの社会的な役割への自覚をもちながら、なおかつそれをエンターテインメントに昇華していたからこそなんです」  最後に太田氏は、彼らの今後についてこう語った。 「ポジティブにいうと『これで終わりじゃないのかな』という感覚を残してくれたのも、この最終回でした。例えばソフトバンクは最終回だけのために再契約をしてCMを作るというテレビ史にないことをし、番組の構成も歌が終わったあとにエンドロールで「Can't Stop!! -LOVING-」を、最後には初期のタイトルバックを流す、原点に帰るような演出があった。それに、番組終了直後には『アイドルマスターシンデレラガールズ』や『一本満足バー』など、個々人のCMが放送され、その翌々日には何事もなかったかのように『ナカイの窓』(日本テレビ系)がオンエアされている。日常にSMAPのメンバーがいることは変わらないまま続いているので、いつかは誰かが口を開いてくれるかもしれない。私もそうですが、ファンも確信に近い期待を抱きながら心のどこかで待ち続けている、そしてそのための環境をつくろうとしているのだと思います」  今回の最終回について、メンバーの誰かが言及する日が来るのだろうか。今後の活動を見守りながら、静かにその時を待ちたい。(リアルサウンド編集部)

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