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【短期集中! Surface RT】「Type Cover」を本気で使う

2014/09/19

ハードウェアとしてのSurface RTとは?

 Surface with Windows RT(Surface RT)は、Microsoftが、コンシューマー向けで初めてリリースしたARM対応OS「Windows RT」を搭載した、Microsoftが販売するハードウェアだ。これまで、OSをPCメーカー各社に提供し、PCメーカーというパートナーと共同でビジネスを進めてきたMicrosoftが、自分でハードウェアの開発と販売に乗り出してきたという意欲作(ある意味、問題作)でもある。Appleの例を見るように、「ソフトウェアの性能を引き出すためには、ハードウェアの開発が必要」との思いはMicrosoftでも強く、これが、Surface RTと今後3カ月以内にリリースを計画しているWindows 8を搭載する「Surface with Windows 8 Pro」に結実したといえる。

 一方で、既存のPCメーカーは、Microsoftの動きに危機感を募らせている。特に、「Surface RTを低価格で出すと既存のPCメーカーの地位が危うくなる」との意見が多数出ていた。結果として、Surface RT下位モデルの32Gバイト版は499ドルという、iPadで最も安いWi-Fi版16Gバイトモデルと同額になり、事前に多かった予想価格の「200~300ドル台」にはならなかった。タブレット後発製品にしては実売価格が高めで、iPadと直接競合する形となっている。

 もし、Microsoftが本気でSurface RTを売り込もうと考えるなら、iPadやAndroidタブレットテバイスといった既存の製品以上のメリットを訴求しなければならない。はたして、それだけのアドバンテージをこの製品は持っているだろうか?

言語パックを導入して日本語化したSurface with Windows RT(写真=左)。普段ならバッテリーの切れ目が仕事の切れ目になるが、Surface RTを使ったばかりに、外出先でもバッテリー駆動時間を気にせず“延々と”執筆作業が可能になってしまった(写真=右)

 


まずは基本スペックをおさらい

 Surface RTが、Windows RT搭載するMicrosoft製タブレットというのはすでに述べた通りだ。液晶ディスプレイは10.6型ワイドで解像度が1366×768ドットのパネルを採用する。1366×768ドットは、いわゆる「Windows 8スタイル」の環境で「スナップビュー」が利用できる最低限のスペックだ。同時5点タッチまで対応しており、Windows Storeで提供する多くのタッチ対応アプリはそのまま利用できる。

 本体のサイズは、274.6(幅)×172(奥行き)×9.4(厚さ)ミリで、重さは、約680グラムとなっている。参考までに、9.7型の液晶ディスプレイを搭載する第4世代iPadでは、ボディサイズが241.2(幅)×185.7(奥行き)×9.4(厚さ)ミリで、重さは約652グラム(Wi-Fi対応+Cellular版は662グラム)だ。ディスプレイサイズの分だけSurface RTが大きく、厚みと重さはほぼ同じといえる。ディスプレイの解像度が4倍近く違う(第4世代のiPadは2048×1536ドット)ため、一律に比較できないが、タブレットテバイスとしてSurface RTは薄くて軽い部類に入る。

 「VaporMg」(ベイパーマグ)と呼ぶマグネシウム蒸着加工の金属ボディは、作りが比較的しっかりしており剛性も高い。Type Coverを組み合わせるSurface RTの本体カラーは「Dark Titanium」と呼ぶブラック1色のみで、高級感があり質感も悪くない。キーの使い勝手よりカラーバリエーションを優先したいユーザーは、5通りのカラーバリエーションをそろえる「Touch Cover」を選択するといい。

 プロセッサはクアッド+コンパニオンコアのTegra 3(1.3GHz)で、2Gバイトのシステムメモリを搭載する。Windows 8/RTは、バックグラウンドにまわったアプリを次々とサスペンドしてシステムメモリやCPUリソースを解放していくため、よほど重いアプリでない限りシステムメモリを大量に消費したり、CPUがフルパワーで動作することはない。その意味もあって、評価作業中に、2Gバイトでもシステムメモリ不足を感じたケースはなかった。このあたりは、Windows Vista以降からWindows 7までにいたるWindows系列OSと大きく異なる。

 データストレージの容量に応じて32Gバイトモデルと64Gバイトモデルをラインアップにそろえるが、32Gバイトモデルは、起動直後の空き容量が「15.5Gバイト」程度で、残りはOSや最初から導入しているアプリ群、そして、システム予約分で消費している。ただ、32Gバイトモデルでも、SkyDriveのようなクラウド連携、そして、外部記憶装置を組み合わせることで、ユーザーが利用できるストレージ容量は拡大できる。Surface RTは本体にmicroSDカードスロット(SDXC対応)があるので、まずはここからストレージを増強できる。評価作業でも、64GバイトのmicroSDXCカードを認識できることを確認している。

 

Surface with Windows RT(Surface RT)の主要スペック
OSWindows RT/Microsoft Office Home and Student 2013 RT Preview
サイズと重さ274.6(幅)×172(奥行き)×9.4(厚さ)ミリ、約680グラム
ディスプレイ(解像度)10.6インチ ClearType HD Display(1366×768ドット)
タッチ認識5点同時タッチ
ストレージ32Gバイト、または、64Gバイト
プロセッサ(動作クロック)クアッド+コンパニオンコアTegra 3(1.3GHz)
システムメモリ2Gバイト
カメラ正面/背面ともに720p相当(有効約120万画素)
無線接続無線LAN(IEEE 802.11a/b/g/n準拠/Bluetooth v4.0
インタフェースマイク×2、ステレオスピーカー、ヘッドフォン端子、USB 2.0、HD Video Out、microSDカードスロット、Cover端子、24ワット電源コネクタ
搭載センサー光量、加速度、ジャイロスコープ、地磁気
バッテリー31.5ワットアワー


TouchとType、2種類のカバーを組み合わせる

 基本的なハードウェアのスペックだけを見ると、普通のタブレットデバイスとそう変わらないが、Surface RTの独自性として多くのユーザーが注目しているのが2種類のキーボードカバー「Touch Cover」と「Type Cover」だ。

 「Touch Cover」の姿は普通のタブレットディスプレイカバーだが、ディスプレイと合わさる部分にキーボードの刻印を施している。ここをタッチすると文字入力が可能になる感圧式センサーを搭載している。Surface RTとはコネクタで接続しているので、ワイヤレス接続のキーボードとは違い、デバイスのスキャンから接続処理で待つことなく、すぐに文字入力が可能になる。

 Surface RTは、カバーとの接点部分がキックスタンド形式で開くので、テーブルなどに立てかけることでノートPCのように使える。ただ、キー部分に感圧式センサーを仕掛けているだけで、「ボタンを押した」という感覚はなく、キーの境目が触覚で分からないため、高速でタイプするような用途に使うのは難しい。

 「Type Cover」は、Touch Coverのような感圧センサーではなく、キーストロークを持った薄型キーボードとなっている。キーを押すとUltrabookに相当する感覚があるので、長文のタイプも可能だ。実際に、この記事はType CoverをセットしたSurface RTで数時間ほど入力しているが、普段使っているMacBook Proと比べて違和感なく使えている。

 もう1つ、2種類のカバーでともに重要なのが、パームレスト部分にある「タッチパッド」領域だ。タッチスクリーンを持つデバイスでキーボードにタッチパッドを設けるのは無駄という意見もあるが、意外と使い分けが重要になる。例えば、画面のタッチ操作ではおおまかな操作しか行えないため、デスクトップ画面で細かいメニューの選択やサイズの小さいボタンのタッチで誤操作が多くなりがちだ。このような操作や範囲選択などでタッチパッドを使うことで、より細かく正確な指定が可能になる。

 通常、Surface RTをマウスなどの周辺機器なしで使っている場合、画面のデザインはタッチ操作に最適化しているので、マウスカーソルは出現しない。ところが、タッチパッドに触れるとマウスカーソルが出現する。タッチパッド下側はクリックボタンとなっており、いずれかの領域を強く押すことで左クリック、または、右クリックの入力となる。また、2本指スクロール(指を2本置いてスライドさせる)にも対応しており、Webブラウザや長いメニューでの高速操作が可能だ。

 ただし、Mac OS XでもLion以降に「スクロール方向が指の動きと逆」という「リバース」設定になったように、Surface RTもLion以降のそれに準拠しているので注意してほしい(画面を実際にタッチしてスクロールさせるイメージを浮かべればいい)。このあたりの動作は2種類のカバーで大差ないが、Touch Coverではクリック感がないのに対し、Type Coverではクリック感があるため範囲選択でのミスが比較的少ない。

 購入ではどちらを選ぶかで迷うだろう。Touch Coverでは黒、白、赤、青(シアン)、マゼンタの5カラーバリエーションから選べるのに対して、Type Coverは黒の1種類しかない。厚さと重さは、Touch Coverが3.25ミリで約209グラムなのに対し、Type Coverは6ミリで約249グラムと、Coverの厚みは倍ほど異なっている。「本体の厚みが9.4ミリなのに、本体の3分の2近い厚さのカバーをつけるのか? 」という意見もあるが、実際に取り付けてみるとそれほど厚みを感じず、カバンに入れても邪魔にならない。携帯性能は大きく変わらないので、「タイプ中心なのか?」「アクセサリとして使いたいのか?」を重視して選びたい。

Type Coverのキーピッチは、ほぼフルキーボードに近い。ファンクションキーまで用意した5段配列だ(写真=左)パームレスト付近のタッチパッドは、Type Coverの場合、タッチ領域であればどこを押してもクリック感があって、すべてが左クリック扱いになる。分かりづらいが、下部にセパレータを刻印しており、ここを境に左側を押すと左クリック、右側を押すと右クリックになる。2本指を使ったスクロールも可能だ(写真=右)

 


選べるロケールと使えるコンテンツ

 今回評価して気になったのはSurface RTで使えるコンテンツの扱いだ。Surface RTは現在米国市場に投入しているため、「Xbox Live Store」で利用できる音楽や動画コンテンツのラインアップもそれに準じた内容になっている。有料コンテンツへのアクセスは現地で発行したクレジットカード、または、プリペイドカードが必要で、日本のユーザーが利用するのは難しい。評価作業をしていた米国内から、日本語表示設定にしたSurface RTでXbox Live Storeにアクセスしてみたところ、コンテンツを利用できた。ただし、米国滞在中に日本のサーバにVPN接続して、日本のネットワーク回線からアクセスを試みたところ、ストアに表示するコンテンツの内容が大きく変わってしまった。Musicに至ってはユーザーのライブラリ以外はアクセスできず、しかも、再び米国のネットワーク回線に戻ってもそのままの状態だった。

日本語化直後のSurface RTでは、Xbox VideoとMusicともにコンテンツにアクセスできた(写真=左)。しかし、日本の回線へVPNアクセスしてみたところ、Xbox Videoはコンテンツの内容が変わり、Musicはオンラインコンテンツにアクセスできなくなって、ユーザーのライブラリのみアクセス可能になった(写真=右)。一度この状態になると再び米国回線に接続しても戻せない


 日本語化したSurface RTでは、このほかにも利用できるコンテンツやサービスで変化が確認できた。ニュースコンテンツでは、日本語化を行った直後に地域設定が日本に変更し、表示するコンテンツもそれに合わせて変わってしまった。Webブラウザなどの設定でも日本語を優先するようになり、Google検索では日本語のGoogle検索へリダイレクトしてしまう。Windows Storeも、販売しているアプリの数が、日本語化後には2~3割ほど減少した。

 そのほかの機能としてピックアップしたいのが、内蔵カメラと地図だ。内蔵カメラは720p相当(有効120万画素)が前面と背面に用意しており、静止画と動画の撮影が可能だ。ただ、120万画素相当という解像度の低さを差し引いても撮影品質はよろしくない。ビデオチャットや簡易記録などの利用に限るのがいい。地図も、デフォルトのBing Mapsに充実した情報を期待するのは難しい。ただ、無線LANを使った位置情報取得に対応しており、GPSなしでもおおよその場所を把握できる。地図情報は実績のあるほかの地図アプリやサービスと組み合わせるといいだろう。

内蔵カメラは正面と背面ともに720pの有効120万画素となる(写真=左)。静止画と動画の記録が可能だ。その画質はビデオチャットと簡易記録に何とか耐えられるレベルだ(写真=中央、右。なお、サンプル画像をクリックすると一部をオリジナル画質で表示する)


いったん日本語化すると、ユーザーがどこにいてもロケールが日本に設定されるほか、Webブラウザから行うGoogle検索もすべて日本語検索にリダイレクトする(写真=左)。地図機能も日本語表記になる。なお、Surface RTはGPSを内蔵していないが、無線LANを使った位置探索機能に対応している、概要ながら現在地を表示できる(写真=右)


Surface RTのパフォーマンスとバッテリー駆動時間は?

 Windows 8では、CPUリソースを節約してバッテリー駆動時間を延ばすために、数々のテクニックを用いている。Surface RTが搭載するWindows RTも同じテクニックを利用している。デスクトップアプリケーションを使わないWindows RTで、タスクマネージャーを開いてアプリの挙動をチェックすると、ほとんどのアプリが休眠状態でCPUやメモリを消費していないので、高い水準で省電力運用していることが分かる。

デスクトップでタスクマネージャーを開くと、ほとんどのアプリが休眠状態にあり(写真=左)、CPUリソースもメモリもほとんど消費していない(写真=中央)。この極端なまでのタスク管理がWindows RTにおける省電力動作を実現する。今回は一度も調整しなかったが、Surface RTのデフォルト設定では画面がかなり明るくなる。ただし、バッテリー駆動に移行すると、輝度を落として動作時間を延ばすよう警告を表示する(写真=右)


 Windows RTでバッテリーを消費する大きな要因となるのは主に2つ考えられる。1つが無線LANによるインターネットアクセスで、2つ目が液晶ディスプレイのバックライトだ。この評価作業において、液晶ディスプレイのバックライトはデフォルト設定のままだったが、これでも画面はかなり明るい。通常の利用に耐えられるまで輝度を下げることで、さらに長時間のバッテリー駆動が可能になるはずだ。

 パフォーマンスについては、スタート画面における操作や画面の切り替え、動画再生などでスムーズに動作するものの、標準のWebブラウザで重いコンテンツにアクセスすると、とたんに動作が重くなる。「SunSpider 0.9.1」で計測したところ、スコアはWindows 8スタイル版Internet Explorerで1080前後、デスクトップ版Internet Explorerで1100前後となった。このベンチマークは数字が低いほど速く、iPhone 5が910前後、ここ1~2年で登場したスマートフォンやタブレットの多くが1000~2000台となっている。もっとも、3年半前のMacBook(Core 2 Duoで動作クロックが2.4GHz)のスコアでも340前後と、既存のx86/x64系CPUと比べれば非力なのは否めない。

Windows 8スタイル版Internet Explorer(写真=左)とデスクトップ版Internet Explorer(写真=右)で、「SunSpider 0.9.1」を走らせる。ここ1~2年に登場したモバイルOS搭載デバイスは多くが1000~2000ほどのスコアなので(数字が小さいほど速い)、Surface RTはこの中では高速といえる

 


仕事用デバイスとして使えるか?

 Surface RTと競合するのは、Windowsタブレットではなく、iPadやAndroidタブレットなどのモバイルOSを搭載したデバイスになると思われる。Windows RTを導入するSurface RTで最大のメリットは、Windowsの使い勝手を継承しつつ、モバイルOSを導入するタブレットテバイスのように使える点だ。日本語入力システムやアプリの切り替え、ファイル操作といった基本的な操作を共通しながらも、モバイルOS搭載タブレットデバイスで実現している小型軽量のボディやバッテリー駆動時間を実現している点にある。

 ただ、従来のWindowsアプリケーションがそのまま利用できないため、文書入力やドキュメント作成が中心のユーザーには、これまでのWindows系OSで使えていたテキストエディタなどが利用できないなどの問題がある。この場合、現時点ではSurface RTに標準で付属する(そしてアップデートした)Wordを使うことで対応することになる。秀丸などのテキストエディタでマクロを利用しているユーザーは、使い慣れたエディタ以外への移行で不便を感じるかもしれないが、現状ではこのような環境を移行する手段はない。

 Windows RTを使うメリットとして、ほかのモバイルOSに比べてWindowsの操作手順を維持できる点もある。従来のWindowsでは、テキストを打ちながらWebブラウザで逐次資料を参照する作業において、Webブラウザのウィンドウを複数開き、適時必要に応じて切り替える。ところが、モバイルOSの多くはこうした利用を想定していない。アプリの動作が全画面表示を前提としているのに加えて、Webブラウザとテキストエディタの表示切り替えも面倒で、マルチタスク的な操作に向いていない。Windows RTでは、テキストエディタとしてWordを使い、Internet Explorerも利用できるので、これまでのWindowsとほぼ同じ操作感覚を維持できる。

 さらに、Surface RTとTypeCoverを組み合わせた場合、キー入力も軽快で、原稿執筆のメインとして使ってるMacBookに近い感覚で作業できた。それでいて、重さはMacBook Pro 13インチの3分の1程度に収まっている。この評価作業は、ミラノからパリの移動中や、その途中で滞在したコモの外出先で行っているが、原稿執筆やWebブラウジングはすこぶる快調だ。バッテリー駆動時間も外出して6時間のアイドル状態と原稿執筆や撮影画像の編集、動画閲覧といった作業を2時間以上行った状態で、バッテリー残量はおおよそ80%以上だ。10~11時間程度の連続作業は可能と思われる。これなら、ほかのモバイルOS搭載タブレットデバイスと互角といえるだろう。

 なお、日本語入力ソフトは、現時点でMicrosoft標準しか選べない。普段使っている日本語入力ソフトを使いたいと希望するユーザーも多いと思うが、これについては、それぞれのソフトウェアベンダーによるWindows RT対応を待つしかない。

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