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お粗末すぎてストレスしか感じない…『母になる』、ストーリーが完全破綻の失敗作

サイゾー のロゴ サイゾー 2017/06/01
© Cyzo 提供

 沢尻エリカが主演を務める連続テレビドラマ『母になる』(日本テレビ系)が5月31日に放送され、平均視聴率9.2%(ビデオリサーチ調べ/関東地区、以下同)となった。視聴率が上がったり下がったりを繰り返す安定しない同ドラマだが、前回から1.3ポイントアップとなった。

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 しかし、個人的にはなぜ上がったのか理解に苦しむ。前回、門倉を悪者にしたことで結衣派の視聴者が戻ってきたのか。そうであったとしても、脚本の破綻を盛大に露呈させた今回で、再び視聴者が離れるような気がしてならない。

 3歳のときに誘拐され、9年ぶりに柏崎結衣(沢尻エリカ)と柏崎陽一(藤木直人)の元へ戻った柏崎広(道枝駿佑)は少しずつ柏崎家に馴染み、学業も優秀で、数学コンテストの代表になるほどだった。日々に幸せを感じる結衣の心を搔き乱すように、門倉麻子(小池栄子)から電話がかかってくる。

 自分のことを調べている人間がいて、2年前の殺人未遂事件のことや、広の誘拐事件のことを記事にされるかも知れないと伝える門倉。もし広の耳に自分の殺人未遂の情報が入っても、本当のことではないと嘘をついてほしいと懇願する。門倉の事件のことはいつか公になると覚悟をしていた結衣は、どうすべきか悩む。

 門倉周辺を嗅ぎまわっているジャーナリストの沢登一基(森田甘路)は、上牧愛美(大塚寧々)と手を組んでいた。2人の打ち合わせの現場を偶然目撃した門倉は、そのまま上牧を尾行する。そして上牧が立ち寄った自宅アパートの中に入った門倉は、ゴミまみれの部屋で薄汚れた洋服に身を包んだリュウ(間中斗環)を発見する。門倉はすぐに木野愁平(中島裕翔)に連絡をし、リュウを保護した。

 故障した車を取り来るという上牧を待ち構える木野、結衣、陽一、門倉。やってきた上牧を問い詰めると、記事はもう書かないと開き直り、リュウの生みの親である内縁の夫の前妻をなじり始めた。過去に実子を死なせたことをまったく反省していない上牧を、木野は強い口調で諫める。どれだけカンちゃん(上牧の実子)が母親のことを愛していたかを話し、上牧のネグレクトをもっと早く誰かに伝えていればよかったと涙を流す。そうすればカンちゃんは助かったかもしれないと。そしてリュウを施設で保護すると伝えた。

 帰り道、木野と二人になった上牧は自分がおかしくなっていった過程を話し、ダメな母親だと自分を責める。そんな上牧に「母親はやり直せる」と声をかける木野。リュウくんに会いに行ってあげてくださいと伝えた。

 結衣と陽一は、かつて広が門倉と通っていたお好み焼き屋に足を運ぶ。広をかわいがってくれたという「よしさん」はいなかったが、よしさんの息子夫婦が広との思い出を話してくれた。よしさんにお好み焼きの焼き方や礼儀を教わり、常連さんに数学を教えてもらっていたと。広は決して門倉と2人きりの世界にいたのではなく、たくさんの人と触れ合って今があることを実感する結衣と陽一。

 翌日、結衣と陽一は広に門倉の事件のことを伝えた。広はあっさりと受け入れ、「それだけ?」と言って2人を拍子抜けさせる。広に真実を伝えるという大仕事を終えた結衣は、門倉を呼び出して報告した。そして「もう二度と私たちにかかわらないでほしい」と絶縁状を叩きつける。そこへ広の学校から電話があり、広が来ていないと伝えられる。我先にと広に電話をかける2人。先に折り返しがあったのは門倉で、落胆する結衣だったが、電話の主は広ではなく若い女性だった。

●演じる役者が気の毒

 先週点滅した黄色信号が完全に赤信号になった第8話だった。見ていてストレスしか感じなかった。登場人物のキャラクターは崩壊するわ、ストーリーは破綻するわで、何を伝えたいドラマなのか、さっぱりわからなくなった。メインの登場人物の魅力を、脚本がぶち壊していくドラマを初めて見た気がする。

 結衣は回が進むごとにどことなく嫌味になり、相手の気持ちを考えずに他人を深く傷つける。それなのに良い人のように描かれているところに違和感がある。門倉に関しては、前回では広への思いが彼女のエゴのようの描かれたのに、今週はまた広を愛しているように描かれている。よくわからない。

 そしてずっと素敵だった西原莉莎子(板谷由夏)までも、夫に「母親は僕がやる」と言われた後に、これからは朝まで飲める! と喜んでいた。何か違う……。莉莎子は仕事を大切にしているけど、家族より飲むことを大切にはしないでしょ? と。結衣の違和感は沢尻の演技に原因があると感じていたが、それ以上に脚本がおかしいことを今回はっきりと感じた。演じる役者が気の毒にさえ思えてくる。

●展開に違和感

 物語を転がすため、視聴者の気を引くために、次から次へとあり得ない偶然が重なることにも完全に興ざめしてしまった。しかも色々とお粗末過ぎて、筋が通っていない。ネグレクトを隠したい上牧が車に大量のゴミを放置するか? と思うし、実子が命を落としても変わらない母親が、他人の言葉で一瞬にして真人間になるのも都合が良すぎる。極めつけは、門倉が偶然2人を目撃して上牧を尾行するところ。この展開は誰が見てもおかしい。

 上牧の存在意義って何だったのだろう? 広をそっちのけて描く必要性があったのか?大事なものを描かず、いらないものを描いている印象だ。広と結衣の雪解けも中途半端だし、広の門倉への想いも、いつ、どこで、どうなったのかわからない。誘拐されたときは結衣を忘れ、今は門倉のことを忘れている広も何か変だ。 脚本の水橋文美江は途切れることなく作品を書いている人気脚本家で、『夏子の酒』や『ホタルノヒカリ』など、ファンも多いはず。その人がこんな脚本を書くことが、ただただ信じられない。

(文=西聡子/ライター)

※画像は沢尻エリカ

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