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ここまで削減できるとは――清水建設のファイル共有コストを「10分の1」にしたサービス

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2014/05/23 ITMedia
ここまで削減できるとは――清水建設のファイル共有コストを「10分の1」にしたサービス: 社内外との大容量ファイルのやりとりをスムーズに行える「Smooth File」 © ITMedia 提供 社内外との大容量ファイルのやりとりをスムーズに行える「Smooth File」

 社内のチーム、社外のパートナーと共同で仕事を進めていくうえで、何らかのデジタルデータを共有する機会が増えている。特に、近年では、そうしたデータの中に画像や映像、図面といった大容量のものが増えている。

 少人数で、小さなサイズのファイルをやり取りするなら「メールに添付して送信」すれば済むが、1ファイルあたり数メガから数十メガ、場合によってはギガバイトにもおよぶような大容量データともなると、この方法で効率的に共有するのは難しい。

 こうしたニーズに応えるのが「大容量ファイル転送、共有サービス」だ。市場には、個人向け、企業向け、有料、無料を含むさまざまなサービスがあり、企業の使い方や求められる機能に応じて、目的に合ったものを選択できる状況にある。

 大手総合建設会社の清水建設も、ファイル共有/転送サービスを積極的に活用している1社だ。

 建設業界では、多くのパートナーや関連会社が関わるプロジェクトが複数同時並行で進められ、その中で共有されるデータも、画像や図面を含む大容量のものが多く、分量も膨大になる。もちろん、業務で使うにあたっては、セキュリティ確保の方法や、ユーザーの権限管理機能なども重要な検討要素となる。

 同社は長年、同じファイル共有サービスを使い続けてきたが、社を挙げたコスト削減への取り組みが始まったことから、サービスの移行を決意。コスト削減につながるサービスを探し、プロットが提供するクラウド型サービス「Smooth Fileクラウド」(エンタープライズモデル)の導入を決めた。同社はこのサービスを導入した結果、従来比10分の1というファイル共有コストの削減に成功している。

 今回、清水建設でSmooth Fileの導入に関わった、情報システム部課長の寺平将高氏と、同部システム運営グループの須田佳織氏に、Smooth File導入の背景や、企業が業務で利用する「ファイル転送、共有サービス」に求められる要件などについて話を聞いた。

●採用の決め手は「コスト」と「柔軟性」

 建設会社が進めるプロジェクトには、非常に多くの人が関わることになる。建設会社に加えて、仕事を依頼する顧客、設計者、実際の作業を担当する施工業者、設備業者など多岐にわたる。そこで共有される情報もさまざまだが、その中でも、最も重要かつボリュームが大きくなるのが「図面」のデータである。こうしたデータを、多数の関係者との間で適切に共有したいというニーズは、以前より強かったという。

 そのため、清水建設では8年ほど前から、あるベンダーのファイル共有クラウドサービスを利用していた。今回、その移行を検討するきっかけとなった最大の理由は「コスト削減」だったという。

 「前に使っていたサービスも、業務利用を意識したもので、機能自体は充実したものでした。しかし、市場のその他のサービスと比較したときに、その利用料が割高になっているのではないかという意見が社内で出てきたのです。使っていない高度な機能もあり、それが結果的に無駄なコストになっている可能性も考えられました。本格的に他のサービスへの移行を考え始めたのは、少しでもファイル共有や転送のためのインフラにかかるコストを削減したいというニーズからでした」(寺平氏)

 移行先として、複数のサービスを比較検討するのに合わせて、清水建設ではサービス事業者に対し、同社が求める要件に応じた機能のカスタマイズに応じられるかどうかについても打診をしたという。

 「社内外のユーザーは、以前のサービスを使っていた経験があるため、コストや機能が要件に合っていたとしても、例えば使い勝手が悪くなれば、どうしても不満を持ってしまいます。そうした場合のカスタマイズに対応してもらえるかどうかというのも、選定の基準のひとつになっていました」(寺平氏)

 コスト面やファイル共有の基本機能については他に及第点のサービスもあったが、多くの事業者は、こうしたカスタマイズに難色を示した。その中で、Smooth Fileの開発提供元であるプロットは対応を承諾。それが決め手のひとつとなり、清水建設はSmooth Fileの採用を決定したという。

●複数のサイトとプロジェクトに透過的にアクセス

 清水建設が求めたカスタマイズの内容には、細かなUIの使い勝手なども含まれていたが、最も大きなものは「サービスの契約単位」と「ユーザー管理」に関するものだったという。

 多くのクラウド上のファイル共有サービスでは、契約ごとに1つの共有サイトが作られるのが普通だ。例えば、事業所単位で契約をし、そのサイトの中に事業所内の各担当者がそれぞれのプロジェクトのためのスペースを用意するといった形で運用することになる。

 しかし、清水建設のように全社レベルで多数のプロジェクトが動く組織では、別の事業所が管理する複数のプロジェクトに、社内の同一の担当者が関わるケースも多くなる。また、それぞれの共有サイトの管理についても、本社の情報システム側が一括して行いたいというケースもある。そのため、会社共通のユーザーIDで、複数の組織のサイトやプロジェクトにアクセスでき、なおかつ、同社に関連する全サイトとプロジェクトを、本社の情報システム部が一括で確認、管理できるような仕組みが必要だった。

 プロットは、このニーズに対応。会社単位の契約で複数のサイトを運用し、その中で、サイトをまたいだ複数のプロジェクトに、同一のユーザーIDでアクセスできる仕組みを用意した。全社規模でのサイトの利用状況把握やユーザー管理は、本社の情報システム部で一括して行える。契約の形態は、従来の事業所単位から、会社単位の容量による従量課金へと変わった。

●「コスト削減」の実現に貢献したのは

 清水建設では、Smooth Fileの採用によって、データ共有インフラの運用コストを「従来の10分の1」程度まで削減することを目標に移行を進めてきた。実際の運用開始により、ほぼその目標を達成しているという。

 容量あたりの利用料金が安くなったこと以外にも、コストを大幅に削減できた要因は複数ある。そのひとつは、Smooth Fileの標準機能として「ファイル共有」だけではなく「ファイル転送」の機能も用意されていたことだ。

 「従来は、プロジェクトのためのファイル共有サービスと、外部の関係者にファイルを渡すための暗号化が可能なファイル転送サービスを個別に契約して運用していました。Smooth Fileへの移行によって、これらを同時に利用できるようになっています。これも、コスト削減に大きく寄与しました」(寺平氏)

 さらに、会社単位での契約と全社規模でのユーザー管理が可能になったことで、情報システム部門の運用管理コストも大幅に軽減できたという。これについては、Active Directoryで構築している社内情報システムのユーザー情報と、Smooth Fileとの連携機能を作りこむことで、大幅な省力化を実現した。

●エンドユーザーにとって大切な「使い勝手」

 運用開始後の、使い勝手に対するユーザーの評価も悪くないという。Smooth Fileでは通常のWebブラウザクライアントとは別に、Windowsアプリケーション版のクライアントも用意されている。

 「Windowsアプリケーション版では、通常のWindowsアプリを使うのと同じ、マウスによるドラッグ&ドロップといった操作で、複数のファイルをまとめてアップロードやダウンロードができます。クラウドへのアクセスを意識せずに、セキュアにファイルを扱うことができるようになっています」(須田氏)

 また、サービスへのアクセスも、社内からはSSO(シングルサインオン)を経由して透過的に、社外からの場合は個別にSmooth File用の認証システムを経由してログインするということを可能にしている。例えば出張先や海外などで、必要なデータにアクセスする自由度が以前のシステムよりも増したことで、ユーザーの満足度も上がっているという。

●ユーザーと共に進化していく「Smooth File」

 清水建設の要望でSmooth Fileに実装された機能の一部は、「Smooth Fileエンタープライズ版」として、現在では他の企業ユーザーも利用できる形で提供されている。プロットの企画営業部で部長を務める坂田英彦氏は「エンタープライズ版は、企業がファイル共有インフラを運用していくにあたって必要な機能を、清水建設の経験に基づいた要望に合わせて実装したもの」だと話す。今後も、ユーザーのニーズを柔軟に取り入れつつ、より使いやすいサービスとして機能強化を図っていく計画だという。

 寺平氏に今後の要望について聞くと、全社規模で管理しているドキュメントに検索をかけたり、利用状況、ユーザーなどを管理したりする際のパフォーマンスが高められれば、さらに使いやすいシステムになるだろうという答えが返ってきた。

 また、今後の運用については、新たに「自動同期」の仕組みを作ることを検討しているという。

 「今後は、海外のプロジェクトでSmooth Fileによるデータ共有をするようなケースも増えると思います。海外にはネット回線の速度が遅いところもある。こういう場合に、例えば事業所内のファイルサーバとSmooth Fileの内容を、夜間などに自動で同期するような仕組みができれば、より便利に効率よく使えるのではないかと考えています」(寺平氏)

 こうした機能強化については、今後も清水建設とプロットとの協力の下で、実現を目指して動いていきたいという。もちろん、そこで新たに実現した機能の一部は「Smooth Fileエンタープライズ版」の標準機能として、他のユーザーに対しても還元される可能性が高い。

 「現在では、清水建設が標準で利用するファイル共有、転送サービスはSmooth Fileに完全に移行しており、その上で数百のプロジェクトが動いています。全社単位での容量契約ですので、社内での利用率が上がれば上がるほど、全体でのランニングコストはさらに削減できます。社内のユーザーには、従来のようなプロジェクト単位での容量コストを気にせず、情報共有の効率化のために、気軽にサービスを活用していってほしいと考えています」(寺平氏)

●スマONEグランプリ受賞ソリューション

 プロットのSmooth Fileは、BBソフトサービスが開催したモバイルクラウドソリューション決定戦「スマONEグランプリ」で頂点を極めた製品だ。

 スマONEグランプリは、ノミネートされたソリューションの紹介動画を公開し、「クリック投票ポイント」と「合計視聴時間ポイント」を乗じたポイント数でソリューションへの興味関心度を測定するWebイベント。Smooth Fileは、2位に172万ポイントの大差をつけて見事グランプリに輝いた。

[柴田克己,Business Media 誠]

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