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それは見事なまでの調和――新型MacBook Proを触れて感じた“上手な革新”

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2016/10/28
それは見事なまでの調和――新型MacBook Proを触れて感じた“上手な革新”: 15型の新型MacBook Pro © ITmedia Mobile 提供 15型の新型MacBook Pro

 10月27日(現地時間)、Apple本社に世界各国のジャーナリストやメディア関係者が集まった。同社の「タウンホール」にて、2016年最後となる「Apple Special Event」が開催されるからだ。9月のiPhone 7/7 PlusおよびApple Watch Series 2の発表時と比べて規模は小さいものの会場の熱気はすさまじく、Appleの新製品に対する期待の大きさが感じられた。

 今回、発表されたのは大きく3つ。

 1つは米本国向けの新サービス「TV」。これはApple TV、iPhone、iPad向けの新アプリ「TV」で、テレビ番組や映画をシームレスに検索して視聴できるというもので、とりわけApple TVの価値を大きく向上させるものだ。しかし残念ながら日本をはじめ米国以外では利用できない。

 2つ目はプロフェッショナル向けの映像編集ソフト「Final Cut Pro X」の大規模アップデートだ。これはUIデザインから基本性能まで大きく進化したものであり、映像業界におけるMacの重要性をさらに高めるものとなるだろう。

 そして3つ目がMacBook Proのフルモデルチェンジである。MacBook Proは2012年に行われたRetinaディスプレイ搭載以降、内部的なアップデートは随時行われてきたが、基本設計やデザインは4年以上変わらずに来ていた。しかし今回のフルモデルチェンジで基本設計からデザインまで全て刷新され、MacBookシリーズの基幹にふさわしい先進化が施された。

 新生MacBook Proの魅力はどのようなものなのか。とりわけiPhoneユーザーが買うノートPCとして、どのような価値があるのか。Apple Special Eventの発表を交えながら、ハンズオン会場でのファーストインプレッションをお届けしたい。

●PowerBookから25年 MacBook Pro、大いなる飛躍

 「今年(2016年)は初代PowerBookの登場から、ちょうど25周年目にあたる。そしてこの25年間、AppleはノートPCの分野で先進的な製品を投入し、革新をしてきた」

 冒頭、Apple CEOのティム・クック氏がアピールする通り、MacBookシリーズは常に先進的であり、すばらしいデザインと新しい提案を続けてきた。例えば、ここ最近では、前社長であるスティーブ・ジョブズ氏が封筒からそっと取り出したMacBook Airがそうであるし、そのディスプレイの美しさから世界中のPCユーザーにめまいを起こさせた初代のRetinaディスプレイ搭載MacBook Proなども恒例である。

 そして今回フルモデルチェンジしたMacBook Proも、数多くの新たな機能・提案が盛り込まれており、インパクトの大きさでは過去の名機に勝るとも劣らない。

 なかでも注目の新機能が「Touch Bar」である。これは従来のファンクションキーがあった場所に位置するマルチタッチディスプレイであり、利用シーンやアプリに応じて柔軟に機能が割り振られる。またこのTouch Bar自体もRetinaディスプレイであり、単純に機能ボタンが表示されるだけでなく、写真のサムネイルを表示したり、Safariの履歴をWeb画面のイメージのまま表示するといったことも可能だ。物理的なキーボードと従来のディスプレイを補完するタッチパネルディスプレイという役割分担は、任天堂の「ニンテンドーDS」をイメージすると分かりやすいかもしれない。

 このTouch Barを実際に目にすると、まるで印刷されたかのような高精細な表示にまず驚かされる。そして触れてみると、ディスプレイ部分はさらりとした硬質な質感でとても心地よく、指の動きにダイレクトに反応する。ファンクションキーの代わりとしての「タップ=押す」という動作だけでなく、長押しによるコンビネーションキーや、スワイプによるモード変更・遷移といった操作が可能となっており、その使いやすさは体験して数分もかからずに分かる。

 また何よりもすばらしいのは、Touch Barと各アプリとの連携だ。macOS Sieraの基本部分はもとより、メールやスケジュール、WebブラウザのSafari、メッセンジャー、iTunesなど、主要なアプリはそれぞれ独自にTouch Bar上のメニューを実装。他社製アプリでは、Microsoft製の「マイクロソフト・オフィス」の最新版なども、Touch Bar対応のデモンストレーションを行っていた。Touch Bar上の操作とアプリの動きは遅延なく連携しており、操作性はすこぶるよい。ハードウェアの新機構とOS、そしてアプリが見事に調和するところはAppleならではのこだわりといえる。

 実際、筆者はハンズオン会場でMacBook Proを短時間使っただけで「Touch BarなしのPCには、もう後戻りできない」と実感し、その後すぐに自分用のMacBook Proをオンライン購入してしまった。それほどまでにTouch BarとOS/アプリの連携はすばらしいのだ。

 なお、一部で物理的なファンクションキーに代わってTouch Barとなることに対して、「ESCキーがなくなってしまうのではないか」や「ファンクションキー利用を前提にした従来アプリが使えなくなるのではないか」「日本語入力がしづらくなるのではないか」という不安の声があった。しかし、これらは全て杞憂である。

 まず、ESCキーはTouch Barでも基本操作の1つとしてプリセットされており、必要に応じてすぐに呼び出せる。そしてキーの位置やサイズは物理キーの時よりも使いやすい。

 ファンクションキーを前提にしたアプリの操作については、キーボード上のFnキーを押すことでTouch Bar部分に従来のファンクションキーを表示させることができるので、これもまた問題ない。

 そして日本語入力の部分については、日本語入力ソフト側がTouch Barに必要な機能を割り当てれば済む話なので、これもあまり大きな問題にならないだろう。Touch Bar部分にどのような機能を割り当てるかはアプリ開発者に解放されており、それはサードパーティー製の日本語入力ソフトでも例外ではない。

●iPhone 7/7Plusと同様に画面が美しく

 Touch Barと並んで、一見して分かる変化がディスプレイの美しさだ。むろん、MacBook ProシリーズはRetinaディスプレイの発端であり、以前から画面は美しかった。しかし今回はMacBookシリーズとして初めて広色域に対応し、iPad ProやiPhone 7シリーズ並みに美しい色の表現ができるようになった。これはiPhone 7/7Plusのカメラで撮影した写真を楽しむのに、とても重要な進化といえる。

 さらに今回のMacBook Proでは、ディスプレイの明るさが向上し、視野角も広がった。これはハンズオン会場でもはっきりと分かる違いであり、少し斜めから展示してあるMacBook Proをのぞき込むような形でも、表示されている写真や映像が美しいままだった。これは例えば、グループでのミーティングやブレインストーミング中に、MacBook Proの画面をまわりのメンバーに見せるといった場面でとても重宝しそうな性能強化である。

●薄く軽くパワフルに デザインはシンプルかつ合理的

 デザイン面にも目を向けてみよう。

 まず外観デザインは先代から金属製のユニボディーを踏襲しつつ、より薄く、シンプルなデザインになった。ディスプレイの横のベゼルが縮小したこともあり、全体的にコンパクトになった印象を強く受ける。13型のMacBook ProとMacBook Airを比較すると、底面積ではひとまわりほど小さく、最厚部ではMacBook Proの方が薄い。MacBook Airはくさび形デザインなので手元側はMacBook Proよりも薄くなるが、手に持った時のサイズ感ではMacBook Proの13型の方が小さく感じる。

 一方、15型のMacBook Proはというと、これまでのMacBook Proよりもグッとコンパクトになった。むろん、常時携帯するモバイル用途ではやや大きいが、オフィスや家庭内での持ち歩きや、出張用のカバンに入れるのは苦にならない。

 UIデザイン面では、キーボードが第2世代のバタフライ構造になり、現行MacBookと同じく各キーの面積が広がった。またトラックパッドが従来の最大2倍に巨大化し、横幅はキーボードの3分の2まで達している。この効果は絶大で、通常の操作はもちろん、トラックパッドだと操作に慣れが必要な写真加工などもスムーズにできる。他方で、ここまでトラックパッドが拡大すると、キーボード入力時に掌が触れてしまいそうだが、Appleによると、実際の操作とパームレストとしての接触を誤認識しないように制御しているという。

 そして、もう1つ。今回のMacBook Proで注目されているのが電源や外部周辺機器と接続するインタフェースの刷新だ。これまでのMacBook Proは、ノートPCのハイエンドモデルとして、電源コネクターのMagSafe2やUSB-Aのポートに始まり、Thunderbolt、HDMI、SDカードスロットなど多くの外部インタフェースを備えていた。しかし新型のMacBook Proでは、これらが全て刷新されて、Thunderbolt 3コネクターのみに統一。15型と13型のTouch Bar搭載機は4つ、13型のTouch Bar非搭載機は2つのThunderbolt 3コネクターを搭載。これ以外には3.5mmのステレオミニジャックを備えるのみとなっている。

●先鋭と保守とのちょうどよいバランス

 今回の新型MacBook Proについて、筆者がハンズオン会場で実際に触れて感じた印象は「ノートPCの上手な革新」である。ノートPCとしての基本スタイルを崩すことなく、かといって旧弊は一刀のもとに斬り捨て、新しい価値とユーザー体験を実現している。Touch Barへの移行やThunderbolt 3への統一といったドラスティックなことをしつつ、正統派のクラムシェルフォルムのままデザインを洗練させ、ディスプレイ性能の向上で万人向けのユーザー体験向上を図るといった手堅いこともしている。そして何より、ハードウェアとソフトウェアが協調し、他にはないMacBook Proだけの価値を作りあげたことが何よりもすばらしい。

 MacBook Proは単なる最新鋭の高機能ノートPCではなく、クリエーターからビジネスマンまで、全てのプロフェッショナルが納得する最良のツールだといえるだろう。

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