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どんなことに向いている? 10分で知る「ブロックチェーン」の使い道

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2017/10/03
どんなことに向いている? 10分で知る「ブロックチェーン」の使い道: 筆者に付き合ってくださった電縁の石原玲一取締役(左)とJBAの樋田桂一事務局長(右) © ITmedia NEWS 提供 筆者に付き合ってくださった電縁の石原玲一取締役(左)とJBAの樋田桂一事務局長(右)

 「ビットコイン(Bitcoin)」に「ブロックチェーン」――ニュースなどで耳にする機会が増えた言葉です。技術自体の利便性が高いことから、IT・金融関連を中心にさまざまな業種の企業が利活用を模索しています。しかし、これらの言葉について理解が進んでいない、あるいは曖昧になってしまっているという人も少なくないと思います。

 先日、日本ブロックチェーン協会の樋田桂一事務局長と、電縁の石原玲一取締役(JBA事務局員兼務)の2人からブロックチェーンの基本について話を伺い、その模様をまとめました。

 引き続き、この記事ではお2人からブロックチェーンの活用法についてお話を伺い、その模様をまとめました。

 読者の皆さんにとって、参考になれば幸いです。

●ブロックチェーン利用は4つの軸に大別される

―― ブロックチェーン技術がビットコインを実現するために生まれてきたものだということは良く分かりました。

 漠然としていて恐縮ですが、ブロックチェーンはビットコイン以外にどのような使い道があるのでしょうか。

石原氏 ブロックチェーン技術の応用では、「FinTech(情報技術を使った金融)での利用」か「Fintech以外での利用」かという軸で語られることが多いのですが、実際に見ていくと「仮想通貨としての利用」なのか「プラットフォームとしての利用なのか」という軸も重要です。

 仮想通貨を軸とした場合、仮想通貨決済の導入、あるいは独自の仮想通貨の発行という使い方が主です。おのずとFinTech絡みとなります。

 プラットフォーム性を軸とした場合、FinTech絡みでは決済や契約の自動実行などに使えます。一方、FinTechから離れた使い方としては、情報のトレース(追跡)、メッセージングやコミュニケーションやデータの流通といったものが考えられます。

●契約の自動化をブロックチェーンでやるメリットは?

―― 契約の自動実行は「スマートコントラクト」とも呼ばれていますよね。やろうと思えば既存の技術で実現可能だと思うのですが、あえてブロックチェーンを使うメリットはどこにあるのでしょうか。

石原氏 スマートコントラクトは(契約の)プログラム自体がブロックチェーンに乗ります。

 ブロックチェーンでは、トランザクション(取り引き)の情報が連鎖して、その更新情報も参加者に公開されます。「どういう処理がどのように実行された」という情報も明らかにされます。つまり、不正な処理を後から行うことが非常に難しくなることがメリットの1つです。

 また、複数の「マイナー(※)」のコンピュータでそれぞれに処理を進行するので、特定のサーバが動いていなければいけない、ということもなくなります。ある意味で分散処理ができるのです。

※ Miner:採掘者。ブロックチェーンベースの仮想通貨では、データの取りまとめをすることで「報酬」が発生する仕組みとなっているため、ブロックチェーンへの参加者をこのように呼んでいる

―― センターサーバを設けて集中処理するのと比べると、システムのパフォーマンス的にも有利なのでしょうか。

石原氏 (処理する)ものによります。マイナーがそれぞれに処理を進行するということは、1つのマイナーで全ての処理をしていることになるため、処理速度におけるメリットはほとんどありません。

―― ブロックチェーンの利用は「処理の高速化」というよりも「スマートコントラクトがもたらす信頼性」に重きを置いた結果ということですか。

石原氏 そうですね。あとは、ブロックチェーンを使うことで、システム全体のダウンタイム(処理不能時間)をなくせることも大きいメリットです。

●勝手に履歴が残るので「トレーサビリティ」を実現しやすい

―― 情報のトレースというと、食料品のトレーサビリティを担保するためにブロックチェーンを使おうという試みも海外ではあると聞きます。日本国内でも実証事例はあるのでしょうか。

樋田氏 有名なものとしては、シビラ、電通国際情報サービス(ISID)、宮崎県綾町の3者で実施した野菜のトレーサビリティに関する事例があります。

 この事例ではブロックチェーンでトレースした野菜を実際に販売して、包装に付いたNFCタグかQRコードを読み取ると土壌や作付け時期まで確認できるようにしていました。

石原氏 ビットコインに当てはめると、送金情報を何もない所から作ることはできません。「Aさんが持っている5BTC(ビットコイン)から、Bさんに4BTCを送る」「Bさんはもらった4BTCの中からCさんに2BTCを送る」というように、取り引きは必ず連鎖(チェーン化)します。

 トランザクションを重ねることで勝手に履歴が残っていく上、それを後から改ざんできません。ブロックチェーン技術を応用をすることで、トレーサビリティのシステムを作りやすいのです。

●メッセージサービスにも応用できる

―― 先ほど、FinTechから離れたブロックチェーンの利用法として「メッセージングやコミュニケーション」を挙げていましたが、あまりピンと来ません。どのように使うのですか。

石原氏 実は、弊社(電縁)が開発した「getherd(ギャザード)」というスマートフォンを使った安否確認サービスが、ブロックチェーン技術を応用しています。

 あらかじめ安否確認をしたい「友だち」のリストを作成をしておいて、相手にも登録してもらいます。災害が発生した時に安否情報をトランザクションとして登録すると、その情報がブロックチェーン上に残るので、自分の友だちの最新のトランザクションを検索して安否確認できます。

 ブロックチェーンで仮想通貨のやりとりをする場合、ユーザーには固有のアドレスが割り振られます。この仕組みを応用して、特定の相手にメッセージを送るということもできるのです。

●ブロックチェーンは「公明正大」 しかし「万能」ではない

―― 他にもブロックチェーンを応用できることはたくさんありそうですね。

石原氏 弊社では三井住友海上と共同で損害保険の鑑定業務をブロックチェーン上で稼働するための実証実験を行っています。

 カジュアルな所では、SNSのアカウントとひも付ける形で、約束をブロックチェーンに登録しようという構想もあります。

樋田氏 海外では、音楽の著作権管理をブロックチェーンを使って行おうという試みもあります。絵画や漫画などをブロックチェーン上に登録して、権利関係の裏付けをしっかりできないかという話もあります。

 先ほどテキストメッセージをブロックチェーンで送る、という話もありましたがその応用で結婚証明をブロックチェーン上でやるという構想もあります。

―― これからブロックチェーンは、世の中をどう変えていくと思いますか。漠然としすぎていますが……。

樋田氏 ブロックチェーンは透明性が高く、改ざんも困難です。この特性を生かして、公明正大にいろいろなことができる基盤を築けるのではないかと考えています。例えば、公平に税金を納めるシステムをブロックチェーン上に築く、といった形で。

 一般的な人がブロックチェーンに直接触れることは、ほとんどないと思います。しかし、インターネット上にブロックチェーンのインフラが乗っかり、その上に私たちの生活が成り立つ――そんな世の中になっていくのではないでしょうか。

石原氏 ブロックチェーンじゃないと実現できないことは、実はあまり多くはありません。大変でも、やり方次第でブロックチェーン以外の手法で実現できることが大半です。

 しかし、ブロックチェーンを使うことで、より短時間でより高品質なシステムを構築できることもあります。

樋田氏 これ(ブロックチェーン)を使わなければいけない、ということはありませんが、メリットは間違いなくあります。だからこそ、いろいろな企業や団体がその使い方を模索しているのです。

石原氏 ブロックチェーンにも得意・不得意があります。何でもかんでもブロックチェーンを使って構築するのが正解とはいえません。例えば、(データへの)ランダムアクセスが必要な場合は、従来型のデータベース式のシステムの方が有利です。

 一方で、権利や権限の所在を明確にするなど、ワークフロー的なものにはブロックチェーンは最適です。個人的には、そのような使い方をするとブロックチェーンの未来は明るいと考えています。

 ただ、システムにブロックチェーンを採用する場合、やりとりするもの(トークン)と、それに付帯する情報の定義をしっかり検討しないとかえって使いづらくなってしまうので気を付けないといけません。

 ブロックチェーンは、主に契約や権利・権限を明確にする用途での可能性がある反面、ランダムに情報へのアクセスが生じる場面など、用途的に不向きなこともあります。

 ともあれ、ブロックチェーンが私達の生活のバックボーンを支える技術であることには変わりありません。これからどのような進化を遂げるか、注目です。

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