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もう「これだからWindows 10は……」といわせない? 移行の課題はどこまで解決されたのか

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/07/22
もう「これだからWindows 10は……」といわせない? 移行の課題はどこまで解決されたのか: これまでのWindows 10のアップデート © ITmedia エンタープライズ 提供 これまでのWindows 10のアップデート

 Windows 10が、2015年7月29日に提供が開始されて以来、ちょうど2年が経過しようとしている。

 その間、Microsoftは2015年11月12日のNovember Update、2016年8月2日のAnniversary Update、2017年4月11日のCreators Updateの3回のアップデートを行っており、2017年秋には、Fall Creators Updateとして、最新のアップデートを提供する予定だ。

 日本マイクロソフトによるとWindows 10は、これまでに5億台以上のデバイスで利用されており、ガートナーの調査では、約3分の2の組織が今後1年以内にWindows 10への移行を完了する予定で、2017年末までに85%の大企業がWindows 10への移行展開をスタートする計画であるという。

 さらに、Windows 10は管理の容易さや展開のしやすさから、導入後14カ月で展開コストを回収できることや、強固なセキュリティ機能により、セキュリティに関わる問題解決のための時間を33%削減できたという調査結果も発表している。

 Windows 10への移行については、アプリの互換性が問題視されることも多いが、日本マイクロソフト Windows&デバイス本部Windowsコマーシャルチーム リードの浅田恭子氏は、「95%以上のアプリで互換性を実現している。国内での大規模移行事例においても、約2カ月という短期間で検証を行い、アプリの互換性にはまったく問題がなかった例が報告されている」と話す。

●昭和シェル石油、AEONらがWindows 10移行に踏み切った理由

 こうした背景からWindows 10に移行する企業は増えており、日本国内においても導入事例が幾つか公表されている。

 昭和シェル石油は、Royal Dutch Shellとの資本関係が変わったタイミングで、国内独自のITシステムを導入することを検討。グローバルで採用しているITシステムでは不可能だったクラウドサービスの活用を決めるとともに、Windows 10への移行を決定した。移行に伴い、リプレースの対象外だったPCも含めて、3000台のPCをWindows 10環境に移行したという。

 この事例は、従来システムを踏襲するのではなく、新たな環境に移行する際に先進的なITの活用を実践したケースといえる。同社では、Windows 10の導入によって、生産性向上とエンドポイントにおけるセキュリティ強化を実現できることを評価して導入に踏み切ったという。

 従来のWindows 7環境で稼働していた200種類以上のアプリ互換性についても、新たなOSに移行するのであれば検証項目や工数には差がないと判断。Windows 8.1は選択せずに、Windows 10の導入に踏み切った。

 ちなみに、リプレース対象外のPCを利用していたユーザーからは、Windows 10を導入後、マシンスペックには変更がなかったにもかかわらず、「起動時間が速くなった」「普段の作業がスムーズになった」という声があがったという。

 ソフトバンク・テクノロジーは生産性向上を目的に、2016年1月という早い段階からWindows 10を導入。生産性を高める上で不可欠な“どこでも業務が行える環境”を整備するにあたって、Windows 10のセキュリティ機能に着目した。BitLockerやWindows Information Protection、Credential Guardなどを備えるWindows 10クライアントへの移行を図ったという。

 同社では追加投資の必要なく、モバイルワーク時代に備えるべきセキュリティ機能が実装できる点を評価しているという。

 また、SCCM(Microsoft System Center Configuration Manager)を利用することで、ビルドとバージョンの制御を行い、最適なバージョン管理と資産管理の透明化を実現。IT部門の管理負荷を軽減できたという。Windows 10の標準機能を利用することで、今後、購入を検討するサードパーティー製品の費用削減も可能になるとみており、Windows 10によるコスト削減効果への期待も大きい。

 AEONは、2016年からWindows 10への移行に向けた検討を開始し、同グループで利用している約4万5000台のPCをWindows 10に移行したという。Windows 10への移行を前に、IE11によるアプリの動作検証を完了していたこともあり、検証期間を大幅に短縮することに成功。エンドポイントにおける情報漏えいリスクを最小化できるというメリットがあったという。

 Windows 10ではアップデートのたびにセキュリティが強化され、Windows Defenderでは、「未知のウイルスが登場し、それを最初の人がクリックしたことで感染しても、35秒後には全世界の人がブロックされるようになる」など、いま求められるセキュリティ環境を実現している。

 セキュリティを強化したいと考える企業にとって、Windows 10の選択は大きなメリットになっているようだ。

●移行を阻むポイントは改善されたのか

 現在、Windows10のアップデート時期は、定期化するよう改善が進められている。そして今後は、Office 365 Pro Plusの機能強化の時期とも連動するようになるという。これも企業のWindows 10の導入にはプラスになるはずだ。

 これまでは、Windows 10のアップデートの時期が不定期であり、さらに、Office 365 Pro Plusの機能強化は4カ月ごとに行われていたため、情報システム部門にとっては手間がかかる問題の1つになっていた。

 だが、マイクロソフトでは、今後はWindows 10のアップデートおよびOffice 365 Pro Plusの機能強化は、いずれも3月と9月の年2回にし、リリース時期をあわせるようにした。

 また、Windows 10のサポートサイクルの考え方も変更。Windows 10は常に2つの世代のCBBをサポートして、さらに次のビルドに移行するまでに60日間の猶予を与えていたが、この考え方を変え、リリース日から18カ月のサポート期間とした。この間に新たなビルドへとアップデートするという仕組みだ。この考え方は、Office 365 ProPlusにも適用。これまでは、サポート期間をリリースから12カ月間としていたものを、Windows 10と同様に18カ月とした。

 「Windows 10 1809から実施しているものであり、Pilot(これまでのCB)を投入し、4カ月後にBroad(これまでのCBB)を提供。Pilotをリリースしてから、18カ月というサポート期間を設定した。それぞれのビルドに対して、18カ月というサイクルを明確にしたことで、導入やアップデートの計画が策定しやすくなる」(日本マイクロソフト Windows&デバイス本部Windowsコマーシャルチーム リードの浅田恭子氏)としている。

 また、Windows 10のアップデートサイズが約3.5GBと大きいことに対しても、Windows 10 1703から改善。2017年秋に予定されているFall Creators Updateでは、配布サイズを35%軽減する計画だという。

 さらに、Windows 10では、Windows Analyticsの新機能として、「Upgrade Readiness」を提供。これにより、Windows 7およびWindows 8から、Windows10への移行を支援したり、Windows 10ユーザー向けにも、最新ビルドへとアップデートすることを支援する。

 「マイクロソフトが推奨する方法に基づいたワークフローを使用して、アップグレードのプロジェクトをガイドするもので、アプリの互換性情報やドライバの互換性情報の提供のほか、PCのアップグレード台数などの情報も可視化し、それに基づいて新たなビルドへのアップグレードの可否を判断できる」(浅田氏)

 ほかにも、現在、プレビュー版を公開しているUpdate Complianceでは、更新プログラムの適用状況を把握し、企業内全体のクライアントPCのWindows UpdateやWindows Update for Businessによるアップデート状況を管理できるようになるという。こちらは2017年中にも正式版を提供開始する予定だ。

 デバイスの正常性を把握するDevice Healthも2017年後半にリリースする予定であり、デバイスのクラッシュなどの異常を検知して、アラートとしてあげるほか、クライアントが最高の環境で利用できるように改善。Windows 10ユーザーのヘルプデスク利用やコールを削減し、サポートコストの削減を実現できるという。

 こうした新たな機能は、企業におけるWindows 10の運用管理において、プラス効果になるのは間違いないだろう。

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