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アングル:中国の借り入れ規制強化、「影の銀行」急拡大の皮肉

Reuters のロゴ Reuters 2017/05/09

[北京 9日 ロイター] - 中国当局の銀行借り入れ圧縮とリスク抑制の取り組みが、一定の効果を挙げている。ただ、資金調達が苦しくなった一部の借り手が銀行オフバランスの金融商品に向かい、「影の銀行」が部分的に急拡大する皮肉な事態となっている。

当局の統計によると、銀行の第1・四半期のほかの金融機関への貸し出しは1兆4000億元減って21兆7000億元となり、借り入れも1兆9000億元少ない30兆3000億元だった。影の銀行を代表する「理財商品」は前年比伸び率が19%と、35%ポイント急減速した。

銀行関係者によると、背景には人民銀行(中央銀行)の取り組みがある。中銀は流動性を引き締めて借り入れコストを押し上げ、金融システムの安定確保に向けた銀行のリスク評価の対象に初めて理財商品を含めるなどの手を打った。

負債圧縮の加速に伴って銀行間金利は上昇。トムソン・ロイターのデータによると、指標となる人民元の7日物レポレートは2015年初頭以来の水準を付け、貸し手の金利マージンは縮小した。

中国の指導部は金融リスクの抑制を今年の最優先課題に掲げている。ロイターが3月28日に入手した内部文書によると、中国銀行業監督管理委員会(CBRC)は銀行間取引や理財商品を狙い撃ちし、不動産など規制対象企業や「ゾンビ企業」への信用供与の偽装に利用されていないかどうか目を光らせている。

またこの内部文書によると、CBRCは銀行に対し、自己査定を実施して銀行間借り入れが総負債額の3分の1を超えた場合には報告するよう義務付けた。

当局が第1・四半期に実施した取り調べは485件、銀行に科した罰金は1億9000万元に上り、銀行は大慌てで規制順守に動いた。

資産や利益の拡大を銀行間取引や理財商品に頼りがちな中小銀行は、当局の取り組みの影響が最も大きい。影の銀行への依存度が高い興業銀行(601166.SS)は銀行間の投資を1156億元、銀行間借り入れを1700億元近くそれぞれ圧縮した。

しかし中には歓迎できない変化も見受けられる。例えば中銀のデータによると、影の銀行の一般的な金融商品である「信託融資」、「委託融資」、「銀行引受手形」などは第1・四半期に2兆元以上も増加し、伸び率は前年同期の4倍以上に達した。

アングル:中国の借り入れ規制強化、「影の銀行」急拡大の皮肉 © REUTERS アングル:中国の借り入れ規制強化、「影の銀行」急拡大の皮肉

ムーディーズ・インベスターズ・サービスのアソシエートアナリスト、George Xu氏は「金融システム全体の借り入れを抑制する当局の政策が思わぬ事態を引き起こしており、以前は規制で抑え込まれていた影の銀行の中核的な活動が息を吹き返している」と述べた。

ムーディーズによると、不動産や地方政府の調達機関、生産能力過剰に悩む産業などのセクターでは、借り手は銀行ローンへのアクセスが難しくなり、信託融資に向かっている。

ガベカル・ドラゴノミクスの中国エコノミストのチェン・ロン氏は、規制の見直しにより国内の流動性が今後半年から1年にかけてさらに引き締まり、短期的には国内の株式・債券市場にとってリスクになると予想。影の銀行は非常に大きくなったので、当局としても金融危機を招かないように慎重に対応せざるを得なかったという。「当局は影の銀行を規制できないが、徹底的に叩くこともできない」状態だと説明した。

(Shu Zhang記者、Matthew Miller記者)

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