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アングル:入隊禁止に揺れるトランスジェンダーの米軍人たち

Reuters のロゴ Reuters 2017/07/27

[タンパ(フロリダ州) 26日 ロイター] - トランプ米大統領が26日、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの人々について、米軍への入隊を禁止する方針を発表したのを受け、兵役13年でイラクやアフガニスタンでの駐留経験もあるインディアナ州予備兵のキャメロン・アンドリューさん(37)は打ちのめされている。

兵役中に男性として生きることを決断したという1等軍曹のアンドリューさんは、予定より2年早く軍を追い出されれば、年金と医療給付の多くを失いかねず、再雇用の機会にも悪影響を及ぼす可能性があると話す。

「私を必要としない国に、なぜ仕えるのか。本当に胸が張り裂けそうだ」と、インディアナポリス出身のアンドリューさんは言う。

アングル:入隊禁止に揺れるトランスジェンダーの米軍人たち © REUTERS) アングル:入隊禁止に揺れるトランスジェンダーの米軍人たち

トランプ大統領の措置が自身に与える壊滅的な影響よりも、アンドリューさんは若い兵士について心配している。

「誤った安心感を与えた後ではしごを外せば、彼らをつまずかせ、負のスパイラルに陥らせることになりかねない」

共和党のトランプ大統領がツイッターで発表した同措置は、性的志向やジェンダーアイデンティティーに基づく軍における障壁を排除しようとしてきた長年の努力を覆すものだ。国防総省は昨年、トランスジェンダーを公言する人の入隊禁止を撤回したばかり。

「トランスジェンダーの受け入れに伴う高額の医療費や混乱を引き受けられない」とするトランプ大統領だが、禁止の時期や方法などの詳細は明らかにしていない。すでに存在するトランスジェンダーの軍人に適用されるのか、それとも今後の採用において適用されるのかは定かではない。

大統領による今回の発表に対し、完全に政治的動機に基づいた差別だとして、人権団体や民主・共和両党の一部議員から非難の声が上がっている。一方、保守系の活動家や一部の共和党議員からは称賛されている。

「キャリアが断たれてしまうのではないかと恐れる大勢の兵士がいる」と、トランスジェンダーの兵士と共に活動する支援団体を率いるブレーク・ドレマン少佐は語る。「今はまだ職があるが、その政策によって変わることがないよう今後も尽力する」

国防総省は、トランプ大統領のツイートを受けて方針を詰めているとだけ明らかにした。

<折れた心>

2001年9月11日の米同時多発攻撃後、国に尽くしたいと強く思ってアンドリューさんが入隊したとき、自分がトランスジェンダーとはまだ知らなかったという。ミシガン州の小さな町で恵まれない子ども時代を過ごした後、アンドリューさんは、福祉制度によって着るものや食べるものを与えてくれた国に恩返しがしたいと考えたのだった。

入隊して数年後、アンドリューさんは自身のジェンダーアイデンティティーについて考え始めた。追い出され、仕事を失うのではないかという恐れを伴った不安にさいなまれたという。

「無償の奉仕ということをたたき込まれる。だが数年たって、社会や親しい人たち何人かにカミングアウトしたら気が楽になるけど、それでも本当の自分を隠さなくてはいけない」

アンドリューさんは、男性としての勤務に移行するにあたって、上官や仲間の兵士たちからサポートを受け、ほとんど適応する必要がなかったと話す。アンドリューさんはすでに(男性用)トイレや更衣室といった施設にいても目立たない存在だったし、男性兵士用の必須トレーニングで訓練を受けていた。

とはいえ、今回のようなトランプ氏による政策変更を予想していたアンドリューさんは、昨年の大統領選挙後に常勤の兵士であることをやめたという。非常勤の予備役となった自分の立場も危うくなるのかどうか、アンドリューさんは今、思いを巡らしている。

「タフでいようと努めている」とアンドリューさんは言う。「心が折れるけど」

一方、「現在、兵役に就いているトランスジェンダーの人たちは、指導者に信頼されていないことを分かっている」と語るのは、トランスジェンダーであることを公言している中で最高位となる大佐を務めた、ウィスコンシン州ウィンザー出身のシェリ・スウォコウスキーさん(67)だ。「結論から言えば、とにかく国家に奉仕したいと考える人たちにとって、この措置は大きな害を及ぼす、ということだ」

ネバダ州の陸軍州兵である電気技師のサム・ハント軍曹は、長い間、自分は男性として扱われてきたが、オバマ前大統領がトランスジェンダーを公言する人の入隊禁止を撤廃した後、自分もカミングアウトして勤めることができるのではないかと考えたという。

今月に入り、ハントさんは自分が女性から男性にジェンダーを変えることを国防総省が承認したことを知った。

「やめろと言われない限り、2009年からずっとそうしてきたように、国家とネバダ州にこれからも仕えるつもりだ」と、ハントさんは声明でこう語った。

(Letitia Stein記者 翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)

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