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アングル:米予算教書、補助大幅削減 トランプ支持層に痛みも

Reuters のロゴ Reuters 2017/05/24

[ワシントン 23日 ロイター] - トランプ米政権として初めてとなる予算教書が23日、議会に提出された。盛り込まれた内容は、小さな政府を志向する保守層の要求を反映したものだが、低所得者や病人、地方に対する連邦補助金が大きく削減されており、昨年11月の大統領選でトランプ氏に票を投じたまさにその支持層に痛みを強いる内容だといえそうだ。

予算教書でトランプ政権は、貧しい家族に食料や雑貨などを支援したり、低所得層などが医療を受けられるようにするプログラムに対する支出の大幅なカットを提案。失業した炭鉱労働者への職業訓練もカットされる公算が大きいほか、地方でヘロインなどの薬物中毒患者が激増している中、薬物治療プログラムも減額されそうだ。地方を対象にした航空機運賃補助も半分以下に削減される見通しだ。

トランプ政権は、こうした支出の削減は今後10年間での財政収支の黒字化や、国防関連などの支出増の財源を確保するためだと説明する。

これに対し、共和党議員の一部には賛成の声もあるものの、多くは選挙区に持ち帰るのが厳しい内容だとして、慎重姿勢で臨む構えを示している。

共和党のハル・ロジャース下院議員は「提案された予算削減は厳しいものだ。ただの節約なんてものじゃない。実に大幅な削減だ」と話す。ロジャース議員の選挙区である東部ケンタッキー地区は連邦政府からの補助金に大きく依存する地域の1つだ。

ロジャース氏は地元では依然、トランプ人気が続いているとしたが「(地元の)有権者がこの予算教書にどんな反応を示すか、まだ確かめる機会はない」と口を濁した。

共和党は上下両院で過半数を占めてはいるものの、今年10月からの新会計年度の予算案を通すには民主党の協力も欠かせないとみられ、先行きは不透明だ。

さらに、補助金削減などを盛り込んだ今回の予算教書は、共和党議員の反発を呼ぶ可能性があり、2018年の中間選挙を控え重要な時期を迎える中、議会運営には難しい舵取りが求められそうだ。トランプ氏自身の支持層が失われる可能性もある。

<異なる見方>

オハイオ州選出の共和党下院議員、トム・コール氏は、一部の案件に関して議会はトランプ政権の予算教書とは違う意見だろう、と予想。コール氏は下院歳出委員会で医療や社会保障関連の支出を扱う小委員会の委員長を務めており、コール氏の選挙区にとって重要な医療調査施設は連邦補助金に依存している。

コール氏は記者団に対し「国立衛生研究所(NIH)や疾病対策センター(CDC)(の予算)がカットされる可能性は低い。(それを削減するというのは)浅はかなことだ」との見方を示した。

アングル:米予算、補助を大幅削減 トランプ支持層に痛みも © REUTERS アングル:米予算、補助を大幅削減 トランプ支持層に痛みも

ロジャース議員が最も不安視しているのは、失業した炭鉱労働者の教育訓練や、ケンタッキー州にブロードバンド・テクノロジー・センターを設置することなどを後押しするアパラチア地域委員会関連の1億4600万ドルの予算をトランプ政権が削ろうとしていることだ。

低所得者が日用品を購入するのを補助するフードスタンプ(食料配給券)プログラムも今後10年で2000億ドルの削減が提案されている。しかし、米農務省の統計によると、トランプ氏が大統領選で勝利したテキサスやインディアナ、アラバマ、ジョージアといった共和党支持の州では、多くのフードスタンプ受給者が登録されている。

連邦政府の統計によると、選挙で圧倒的なトランプ支持の結果となった郡で、フードスタンプを受給している白人有権者が多い。ロイターの分析によると、トランプ氏の提案した予算に基づけば、州への連邦補助金は来年度3%減少し、昨年の大統領選でクリントン氏を支持した州では4.8%と削減率はさらに大きくなる。トランプ氏を支持した州でも1.2%の削減となると試算される。

ただ、共和党議員の中には予算教書に賛意を示す向きもある。テキサス州中部を地盤とするジョン・カーター下院議員は「フードスタンプの対象となる人数を増やし過ぎた」と歓迎してみせた。

<「正しいメッセージ」>

今回の予算教書では、来年度の国防関連支出を1割増額することや、メキシコ国境での壁建設費用などが盛り込まれている。

一方で、低所得層向けの公的医療保険「メディケイド」関連は約8000億ドルの削減とされ、医療保険制度改革(オバマケア)により増額されてきた流れを一変させる計画だ。

米シンクタンク「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」を率いるマヤ・マクギニアス氏は「削減される予算の大半は低所得者層向けや公共投資のプログラムを狙い撃ちしたものだ」と批判。

これに対し、大富豪のチャールズ・コーク氏が支援する保守団体「繁栄のための米国人(AFP)」の広報担当者は、10年以内に米財政収支を均衡させ、減税を進め、規制を緩和するとしたトランプ政権の提案を歓迎し、雇用増につながると評価。「ワシントンでもてはやされる予算ではなく、真に米国納税者の利益を重視した予算であり、(この予算教書は)ここ10年超にして初めて、正しいメッセージを発信している」と大喝采している。

(Richard Cowan記者)

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