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エイスースのUltrabookは「ZENBOOK」だけじゃない――大画面Ultrabook「S56CM」を試す

2014/09/19

光学ドライブ内蔵のUltrabook「Sシリーズ」

15.6型ワイド液晶ディスプレイ、そして光学ドライブを搭載するUltrabook「S56CM」

 エイサー、HPに続き、ASUSからも大画面のUltrabookが登場した。

 「S56CM」はASUSTek Computerの15.6型ワイド液晶ディスプレイを搭載するUltrabookだ。ASUSはこれまでUltrabook製品を「ZENBOOK」(UXシリーズ)として展開してきたが、大画面のディスプレイを搭載するモデルはZENBOOKとは異なり「Sシリーズ」となる。

 S56CMは、薄型ボディを目指すUltrabookでは珍しく光学ドライブを搭載することを特徴とする。大手PCメーカー製のUltrabookでは、光学ドライブを内蔵するモデルは少ない。本製品のほかには、デルの「Inspiron 14z」やソニーの「VAIO T」(14型モデルのみ)、エイサーの「M5-481T-H54Q」があるくらいだ。

 ASUSは15.6型以外にも、グローバル向けに14型ワイド液晶ディスプレイを搭載するモデルも販売しているが、日本向けとして投入したのは15.6型のみとなる。これは、15.6型サイズの製品が日本の個人向けPC市場において、最も売れているからだろう。

 また、S56CMは外部グラフィックスも搭載しており、3Dゲームにも対応できるようなパワフルなスペックを備えたことも特徴だ。「ZENBOOK」は美しいデザインと高いコストパフォーマンスで人気のシリーズとなったが、S56CMはどうか。性能、バッテリー駆動時間、使い勝手などを検証する。

「15.6型+光学ドライブ内蔵」でも厚さ21ミリ!

天面はヘアライン加工を施しつつ、光沢を抑えている。若干指紋が目立つところは気になる

 S56CMのボディカラーは、天面と底面が黒、キーボード面やパームレストが銀というツートーンカラーを採用しており、ZENBOOKとは大きく異なる。ボディの素材はアルミ合金で、天面やパームレストにはヘアライン加工を施している。光沢を抑えた質感にはずっしりとした重厚感があるが、ボディが薄いからか、持ってみると想像よりも軽く感じた。

 本体サイズは、380(幅)×265.9(奥行き)×21(厚さ)ミリで、重量は約2.3キロ。厚さが21ミリ以下なので、Ultrabookを名乗る条件に当てはまる(ディスプレイサイズが14型未満の場合は18ミリ以下という基準がある)。

 光学ドライブを内蔵しつつ、本体厚を抑えたのは見事で、堅牢性もしっかりと確保している。液晶ディスプレイの端をつまんで開閉したり、パームレスト部分を持ち上げてもボディがたわむことはない。ディスプレイ部が薄く、ヒンジの抵抗が軽いため、本体を動かすとディスプレイがプラプラと揺れるが、家の中でテーブルなど土台がしっかりとした場所で使う分には問題ない。

底面にあるリチウムイオンバッテリーは、ユーザーによる着脱が可能だ。付属のACアダプタは、実測のサイズが約43(幅)×105(奥行き)×29(高さ)ミリと比較的コンパクト、電源ケーブルも2ピンでかさばりにくい

 底面にあるリチウムイオンバッテリーは4セル式で、ユーザーによる着脱が可能だ。公称のバッテリー動作時間は約4.8時間と、一般的なモバイル用途のUltrabook(11.6型や13.3型)よりも短い傾向だが、外部グラフィックスで、消費電力が上がることを考慮すると仕方がないところか。

 実動作時間の測定は、BBench 1.01(海人氏・作)で行った。「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」で、PCは無線LANに常時接続、電源プラン「バランス」でテストを行ったところ、バッテリー残量5%で休止状態へ移行するまで、3時間35分だった。

 実動作時間は公称値よりも約1時間ほど短いものの、家の中で持ち運んで少し作業をする、Webブラウジングをするといった用途であれば、対応可能だろう。S56CMの重量は約2.3キロと、15.6型サイズのPCとしては軽いので持ち運びやすい。

 インタフェースは、左側面にUSB 3.0を1基、ギガビットLAN、HDMI出力、アナログRGB出力を備え、右側面はUSB 2.0を2基、ヘッドフォン/マイクのコンボジャック、DVDスーパーマルチドライブ、盗難防止ロック用コネクタが並ぶ。メディアカードスロット(SDHC対応SDメモリーカードとMMCが利用可能)は正面左側に配置した。

光学ドライブを備えつつ、厚さを21ミリに抑えたのは見事だ。前面の左側にはメディアカードスロット(SDHC対応SDメモリーカードとMMCが利用可能)や、HDDへのアクセスランプや電源ランプなどを備える(写真=左)。背面の中央部分はバッテリーだ(写真=右)



左側面にUSB 3.0を1基、ギガビットLAN、HDMI出力、アナログRGB出力が(写真=左)、右側面はUSB 2.0を2基、ヘッドフォン/マイクのコンボジャック、DVDスーパーマルチドライブ、盗難防止ロック用コネクタが並ぶ(写真=右)


 液晶ディスプレイの上部には約92万画素のWebカメラとデジタルマイクを内蔵する。無線通信機能は、IEEE802.11b/g/n準拠の無線LANを利用できる。Bluetoothに対応しないところは惜しいが、メインストリーム向けのPCとして一通りの機能をそろえている。音質面では、ZENBOOKシリーズと同様に同社独自のオーディオシステム「ASUS SonicMaster」に対応したステレオスピーカーを搭載する。

テンキー付きキーボードと広いタッチパッドを装備

 S56CMが搭載する15.6型ワイド液晶ディスプレイは、1366×768ドット表示に対応する。輝度は10段階で調節でき、室内で使う分には十分な輝度を備えるものの、パネル表面が光沢仕上げであるため、輝度を落とすと照明や周囲の光景が映り込む。

 キーボードは、テンキー付きのアイソレーションタイプを採用する。本体を薄くしたこともあり、キーストロークは約2ミリだが、キーの戻りが弱く、押下感はあまりない。主要キーのキーピッチは19(横)×19ミリ(縦)だが、テンキーなど一部のキーはキーピッチの横幅が16ミリだったり、BackSpaceの左にある¥キーはキーピッチが14ミリとなるので、慣れないうちはミスタッチをするかもしれない。

1366×768ドット表示の14型ワイド液晶ディスプレイを搭載する。パネル表面に光沢処理が施されている。解像度は一般的なため、アイコンや文字は見やすく表示される(写真=左)。視野角は上下方向に狭いが、ディスプレイが約140度まで開くので、角度の調整は容易だ(写真=中央)。キーボードはテンキー付きであるため、一部のキーの横幅が短くなっているところは注意したい(写真=右)


 S56CMはホームポジションのやや左にタッチパットを配置している。左右のクリックボタンが一体となっており、105(横)×73(縦)ミリとマルチタッチジェスチャーを行うには十分なサイズを確保している。タッチパッドにはELANのドライバを導入しており、2本指での上下/左右スクロール、2本指の開閉による拡大/縮小、回転機能、3本指スワイプによるページ送りなどのマルチタッチジェスチャー機能が利用可能だ。パッド表面のすべりもよく、左右ボタンのクリック感も悪くない。

タッチパッドにはELANのドライバを導入しており、2本指での上下/左右スクロール、3本指スワイプによるページ送りなどのマルチタッチジェスチャー機能を設定できる

GeForce GT 635Mの恩恵は?

S56CMは、Ultrabookに多いユニボディではないものの、その分楽にメモリスロットにアクセスできる。アクセスするには底面にあるネジを2本外すだけでいい

 基本スペックは、CPUがTDP(熱設計電力)17ワットのCore i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz、3次キャッシュ3Mバイト)、メモリが4Gバイト(4Gバイト×1、PC3-12800)、データストレージが750GバイトHDD+キャッシュ用24GバイトSSDを組み合わせたハイブリッド構成、グラフィックスがGeForce GT 635M(グラフィックスメモリ2Gバイト)、プリインストールOSが64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1)となる。

 CPU統合グラフィックスを使うUltrabookが多いなか、S56CMは外部グラフィックスを搭載する。NVIDIAのOptimus Technologyにより外部GPUと内蔵GPUはPC側が自動的に切り替えるため、GPUの存在をあまり意識することはないが、ゲームや画像処理といったシーンでの恩恵は大きい。

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア(写真=左)。CrystalDiskMark 3.0.1の計測結果。SSDキャッシュが有効になる2回目(写真=右)では1回目(写真=中央)と比較してリードのスコアが向上する


デバイスマネージャでS56CMの構成を確認した。ストレージはHDDがHGST製のHTS547575A(750Gバイト、5400rpm)、SSDはサンディスクのi100(24Gバイト、SATA 6Gbps)だ


 ベンチマークテストは、総合ベンチマークテストのPCMark 7、PCMark Vantage(x64)、3D系ベンチマークテストの3DMark06、ストリートファイターIV ベンチマークなどを行った。GeForce GT 635Mの効果を確かめるため、CPUやメモリ容量、データストレージの構成(HDD+SSDというハイブリッド構成)といったスペックが共通するHPの14型Ultrabook「HP ENVY4-1000」とデルの14型Ultrabook「Inspiron 14z」(グラフィックスにIntel HD Graphics 4000を利用するプレミアムモデル)のスコアを併記する。なお、S56CMのスコアはすべて外部GPUを利用した場合のスコアだ。

PCMark 7(グラフ=左)とPCMark Vantage(グラフ=右)のスコア。PCMark 7ではS56CMのスコアが低い

3DMark06(グラフ=左)、3DMark Vantage(グラフ=右)のスコア。GeForce GT 635Mの実力が発揮されている

ゲームタイトルベンチマークのスコア。ストリートファイターIV ベンチマークの設定は、低負荷が解像度1280×720ドット、アンチエイリアス:NONE、垂直同期:OFF、モデル:高、背景:高、ソフトシャドウ:低、モーションブラー:低、パーティクル:中、エクストラタッチ:OFFに設定。高負荷は解像度1366×768ドット、アンチエイリアス:4x、垂直同期:OFF、モデル:高、背景:高、ソフトシャドウ:最高、モーションブラー:高、パーティクル:高、エクストラタッチ:OFFとなる(写真=左)。モンスターハンターフロンティア ベンチマーク【絆】のスコア(写真=右)は、どちらも、やはりS56CMのスコアがInspiron 14zを大きく離した

 PCMark 7では、グラフィックスにIntel HD Graphics 4000を利用するHP ENVY4-1000やInspiron 14zのスコアが高くなった。Intel HD Graphics 4000に搭載されたハードウェアエンコード機能「Intel Quick Sync Video 2.0」の恩恵で、Creativity、Computationといった、ビデオ編集機能やトランスコード性能を測る項目のスコアが高くなったことが主な原因だ。

 一方、PCMark VantageのスコアはS56CMが上で、3D描画の性能を計測する3DMark06や3DMark Vantage、ゲームタイトルベンチマークテストでは、やはりGeForce GT 635Mを搭載するS56CMのスコアが高くなっている。

 S56CMは、ベンチマークテスト実行時など、システムに高い負荷がかかると、左側面にある排気口から温かい排気が吹き出し、キーボード左側や中央部が熱を持つ。PCMark 7を実行している最中の騒音レベルを計測したところ、約45デシベル(環境騒音32デシベル、室温26度、本体手前5センチの位置で計測)となった。起動時やWebブラウズなどの普段使いにおいてもファンが回ることが多いので、総じて騒音は気になると言える。

 温度については、室温約26度の環境下で、PCMark 7実行中に表面温度を測ったところ、「スペース」キーの表面温度が最も高くなり、約39度まで上昇した。しかし、普段使いでは表面温度はほぼ上がらず(室温26度で約31度まで)、パームレストの温度もさほど上がらないので、問題はないだろう。

全部入りの据え置き型Ultrabook

S56CMは、ZENBOOKシリーズに負けないコストパフォーマンスを持ったUltrabookだ。PCの入門機としてもお勧めできる

 S56CMの価格は9万4800円(税込み)。Ultrabookのエントリーモデルとしては、標準的な構成に、外部グラフィックスを加えた仕様でこの価格なら、他の海外メーカーが販売する大画面Ultrabookと同等のコストパフォーマンスと言える。家庭用マシンということで、インタフェースが充実しており使いやすく、デザインや使用感も悪くない。

 さらに、本製品にOffice Home and Business 2010が付属していることを考慮すると、印象は一変する。海外メーカー製のPCはオフィススイートをオプションとして用意する場合が多い。オフィススイートを付属した価格を比較すれば、S56CMの安さがより実感できるはずだ。また、2012年10月11日現在、オンラインショップでの実売価格は8万円台となっており、買い得感はさらに増している。

 今はWindows 8の発売が近く、Windows 8搭載PCが登場するまで、PCを買い控えるという動きもある。ただ、Windows 8搭載PCを安く手に入れたいなら、価格が下がったWindows 7搭載PCを購入し、Windows 8発売後に、優待購入プログラムを利用して、1200円でWindows 8 Proにアップグレードするという方法もアリだ。コストパフォーマンスが高い本機に向く買い方だろう。

 仕事に使いたいし、DVDで映画も見たい。いや、写真や動画の編集もできたら......そんな欲張りなユーザーのニーズを満たす、オールインワンのUltrabookとしてお勧めの1台だ。

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