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オムニチャネル時代のPOSに欠かせない3つの要素

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/08/28
オムニチャネル時代のPOSに欠かせない3つの要素: 写真1 HP ElitePOSの利用イメージ © ITmedia エンタープライズ 提供 写真1 HP ElitePOSの利用イメージ

 まずは写真1をご覧いただきたい。小売店舗カウンターでの商品購入のやりとりを再現した光景だが、注目はカウンター上に設置されたPOS(販売時点情報管理)端末。あたかもタブレットか小型PCといった感じでPOS端末には見えない。これが、日本HPが8月25日に発表したPOSシステム「HP ElitePOS」である。

 HP ElitePOSは、小売業界で使用されている箱型POS端末とは異なるモジュラー型デザインが特長だ。このデザインにより、支払い用途だけでなく、対話型のデジタルサイネージや店舗にない商品の購入も可能にするセルフサービス端末としての利用に適した設計となっている。

 この新製品のさらに詳しい内容については発表資料をご覧いただくとして、ここでは同社がこの新製品を投入した背景に注目したい。というのは、そこに小売業の構造変化が映し出されているのではないかと考えるからだ。以下、それを解き明かしてみよう。

 この新製品の発表に向けて来日した米HPアジアパシフィック&ジャパン モビリティ担当ディレクターのダレン・ウン氏は、発表会見で次のように語った。

 「EC(電子商取引)が消費者の購買行動に影響を与える中で、従来の実店舗を構える小売業者は、データに基づいた顧客の購買行動への理解を深め、優れた顧客体験を提供する必要がある。HP ElitePOSはそのためのデジタルインフラとなるものだ。これによって、HPは小売業の再構築を提案していきたい」

 このウン氏の説明を補足するように、日本HP執行役員パーソナルシステムズ事業 本部長兼サービス・ソリューション事業本部 本部長の九嶋俊一氏が、現在の小売業界で起きている変化として、「既存小売業のオムニチャネル化」「EC専業小売業の店舗展開の推進」「高い要求を持つ顧客への対応」「店舗は購入の場から実体験の場へ」の4つを挙げ、「これらの変化に適応できるPOSを作り上げたいと考えたのが、HP ElitePOSの開発のきっかけだ」と話した。

 ちなみに、オムニチャネルとはネットや実店舗などあらゆる販路を活用することである。九嶋氏は、「HP ElitePOSは端的に言えば、オムニチャネル時代の店舗に向けたものでもある」とも語った。

●POSの存在自体を否定した「Amazon Go」

 会見で説明に立ったウン氏および九嶋氏によると、HP ElitePOSの開発コンセプトは「これからのPOSにふさわしい機能、性能、美観」を兼ね備えていることだ。キーワードは「デザイン」「セキュリティ」「信頼性」の3つである。

 さて、この新製品に小売業の構造変化が映し出されていると言ったのは、まず同社の会見でも幾度も出てきた「オムニチャネル時代の到来」が挙げられる。

 一方、人手不足を背景に業務の効率化を図る狙いで、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどに「無人レジ」あるいは「セルフレジ」と呼ばれるPOSシステムが導入されるケースも出てきた。

 この2つの動きをどう見るか。店舗にとってはオムニチャネル時代への対応が「インテリジェント化」ならば、無人レジおよびセルフレジの導入は「自動化」なのかもしれない。

 ただ、最近ではPOSの存在自体を否定する動きも出てきている。レジがなく、商品を手に取ってそのまま店を出れば自動的にネット上で課金される仕組みの「Amazon Go」がそれだ。この開発を進める米Amazon.comは、このほど買収した高級スーパーチェーン店にこの仕組みを採り入れる計画だという。

 このAmazon Goは、IoT(Internet of Things)の仕組みや人工知能(AI)を駆使した最先端の技術に注目が集まりがちだが、真のイノベーションは小売店舗の在り方が大きく変わることにある。考えようによっては、これが本当のオムニチャネルの実現なのかもしれない。肝心なのは、もともとPOSが目指してきた小売業におけるリアルタイムマネジメントを一層進化させることである。

 では今後、小売業はどのような方向へ進んでいくのか。POSはどうなるのか。Amazon Goが理想的な仕組みだろうが、広がっていくのはやはり時間がかかりそうだ。従ってPOSの役割はまだまだ大きいだろうが、今後はインテリジェント化と自動化のそれぞれ、あるいは両方を融合した形の3方向へ広がっていくのではないか。いずれにしても従来のような箱型POS端末は徐々に姿を消していくだろう。

 筆者には、今回のHPの新製品がこんな小売業の構造変化を映し出しているように感じた。今回はPOSを巡る話だったが、企業にとってはこれが多様なデジタルビジネスにつながっていく非常に重要な動きだと考える。キーワードは先ほども挙げた「リアルタイムマネジメント」。これについては、またあらためて深堀りしたい。

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