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クラウドストレージのメリットとエンタープライズ向けの展望

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/02/24 11:00
クラウドストレージのメリットとエンタープライズ向けの展望: 画像:ITmedia © ITmedia エンタープライズ 提供 画像:ITmedia

 今回はクラウドで実現するストレージについて話します。クラウドストレージとは、クラウドを利用して提供されるオンラインストレージサービスです。

 オンラインストレージサービスを利用してデータを預けるというのは、一昔前まではエンタープライズ領域では相当抵抗感のある利用方法でした。クラウドが普及するにつれて、こうしたサービスを利用する法人企業はかなり増え、最近では積極的に利用する企業も現れるようになってきています。クラウドの普及につれてクラウドストレージの利用は、明らかに加速してきているのです。

●簡単かつ即座に利用できるのが魅力

 ストレージを自社で構築するとなると、サーバ自体の購入コストが掛かるうえに、設定して利用できるまでの時間も大きなものになります。またサーバをどのように保守管理していくかについても考えておく必要があり、IT部門を持つ大手企業以外の中堅以下の会社では、スタートが容易ではないというのが現状です。

 さらにストレージは、企業で利用するとなると、日に日にその蓄積利用容量が大きくなりますから、当初よりその規模を予測しておく必要も生じるため、かなりハードルが高い作業になってしまいます。現実問題として、相当なストレージに関するエキスパートを配する会社であっても、自社のストレージの規模を正確に予測することは難しく、どの企業でもIT担当者を悩ます課題となっています。

 しかし、クラウドストレージを利用すれば、こうしたリスクを抱え込まずに、すぐに利用できる点が大きな魅力であることが理解されるようになってきています。自社でファイルサーバ環境を構築する必要がなく、低コストで必要な分だけのストレージサーバスペースを即座に確保できるというのは実に魅力的なサービスといえます。

 また、契約後も利用状況に応じてサーバのストレージ容量を変更できることから、自在性の高いサービスであることが市場に認められてきたという状況です。自前のサーバを保有していた場合は、そう簡単には拡張性を確保できないことも理解され始めているようです。

●具体的な活用領域は広がりを見せつつある展開

 実際に利用を始めている企業では、ファイルサーバの機器を更新する際にバックアップを実現する目的でクラウドサーバを利用するケースが増えています。

 またデータが膨大に膨れ上がるファイルサーバや仮想サーバをクラウド利用することにより、その規模が大きくなっても十分に耐えられるスケーラビリティを確保するために、クラウドストレージを利用する企業も増えているのです。

 さらに地震や大規模な災害などに見舞われたときにBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)/BPM(Business Continuity Management:事業継続マネジメント)の視点から、コストを掛けないで複数のアベイラビリティゾーンでの冗長構成を実現するためにクラウドストレージを積極利用するケースも増加中です。

●クラウドERPのエンタープライズ市場も拡大

 オンプレミスのサーバを利用したライセンス形式のERPシステムの導入は、日本では2000年ごろから急劇に普及が進みましたが、2013年を境に、そのビジネス規模は縮小傾向に転じてきています。

 それに代わってクラウドERPが大手企業でも利用され始めており、SaaSソリューションが既存のライセンス型のERPビジネスをしのぐのもそれほど長い時間がかからない状況となってきています。

 さらに、IaaSを利用して、ライセンスとして取得しているERPをクラウド上に移行して利用するクラウドイネイブラーもかなり増加しつつあります。多くの企業が、エンタープライズ系でミッションクリティカルと思われていたシステムをクラウド利用し始めていることが明らかになってきています。

 このようなクラウドシフトの動きに合わせて、データを格納するサーバもクラウド上で調達しようという動きも、いよいよ顕在化しようとしています。直近ではクラウドストレージビジネスのマーケットキャップはまだ大きなものではありませんが、IT市場全体がクラウドへと鮮明にシフトしていく中にあって、大手を中心にエンタープライズユーザーの利用は確実に拡大しようとしている状況にあります。

●主力クラウドベンダーが提供するサービスにも注目

 特にクラウドの中心的なベンダーがこうしたクラウドストレージを国内に積極的に推し進めているのも、市場拡大に弾みをけることになっているようです。

 AmazonではAWSのユーザーに対して一定期間無償での利用を提供していますし、他のベンダーも積極的な利用を推進する状況にあり、利用を経験した企業から順番にクラウド上でのデータ格納に関するリスクやアレルギーが解消する傾向が強まっているようです。今後一気に利用が広がる可能性も高まっているといえます。

 また以前よりパブリッククラウドのエンタープライズ利用の環境がそろってきたため、優位性についての市場理解が高まったこともこうした動きを後押ししているものと思われます。

 一方、日本国内のクラウドサービスプロバイダーも、日本独自のIT要求を十分に理解したうえでサービスを提供しており、着実に市場を伸ばしてきています。

●巨大なクラウドストレージをオンプレミスで構築運用する選択肢

 パブリッククラウドは依然として注目されていますが、その一方で、オンプレミスであっても巨大なクラウドストレージを構築して少人数で運用できるストレージ基盤も登場しています。

 米国のTintriは2016年にスケールアウト機能を市場投入しました。この機能で、最大16万台もの仮想マシンを格納できるストレージプールを簡単に構築できます。しかも、日々の運用管理は基本ストレージ側で賄うため、運用管理者は1人で十分で、1企業でAmazon規模のクラウドストレージを実現できるのです。企業のアプリケーションやデータによっては、どうしてもパブリッククラウドに移行できないものが存在します。そんなときに利点となる機能です。

●まとめ

 AWSやMicrosoft Azureをはじめとしたクラウドストレージは、以前より格段に企業向けの対応がなされ、“クラウドファースト”の要件を満たしているといえます。企業の持つIT資産を見直しする時期は、次期システムのかなりの部分をクラウドストレージに移行できる可能性を検討するチャンスです。

 それでもオンプレミスに残したいシステムは残りますので、その際には、いかに“クラウドライク”に構築できるストレージに移行できるか?というのも1つの注目点といえるでしょう。

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