古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

コレ1枚で分かる「シンクライアントと仮想化技術」

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/09/12
コレ1枚で分かる「シンクライアントと仮想化技術」: 画像:ITmedia © ITmedia エンタープライズ 提供 画像:ITmedia

●デスクトップ仮想化とアプリケーション仮想化

 「デスクトップ仮想化(VDI:Virtual Desktop Infrastructure)」は、サーバの仮想化でも使われているハイパーバイザーを使い、サーバ上に、ユーザーが手元に置いて使うPCの代わりとなる「仮想PC」を稼働させます。その画面(デスクトップ画面)は、ネットワークを介して手元のPCのディスプレイに転送し、表示させ、キーボードやマウスなどの入出力装置を利用できるようにする技術です。

 例えば、仮想PCでWindowsを動かし、WordやExcelを使って作成した文書や表は、自分の仮想PCに割り当てられたサーバのストレージに保存します。ユーザーは、手もとにあるPCのディスプレイに向かい、キーボード、マウスを操作しますが、実際に使うプロセッサやストレージはサーバのものです。

 「アプリケーション仮想化(Application virtualization)」は、PCの全機能ではなく、特定のアプリケーションだけをサーバで動かし、ネットワークを介して複数ユーザーで共用する技術です。さらにネットワークが切れているときでも操作を継続できるようにしたソフトウェアも登場しています。

 デスクトップ仮想化とアプリケーション仮装化は、どちらも管理されたデータセンターに設置されたサーバで動かすため、データの持ち出しは困難です。また、盗難や置き忘れで手持ちのPCがなくなってしまっても、管理者が、そのPCから仮想PCへのアクセスを遮断してしまえば使えなくなります。忘れがちなバックアップやセキュリティ対策なども、運用管理者が一括してでできることから、安全安心の担保、運用管理負担の軽減にも役立ちます。

 自宅で仕事をする場合は、自宅のPCからネットワークを介して会社で使っている仮想PCのデスクトップを呼び出せば同じ環境をそのまま使えます。この技術は、災害や事故でPCが破損してしまった場合にも使えることから、事業継続の観点からも注目されています。

●デスクトップとアプリケーションの仮想化でシンクライアントが実現

 デスクトップ仮想化とアプリケーション仮装化ではともに、手もとのPCにOSやアプリケーションを導入する必要はありません。そのため、ネットワークに接続でき、画面表示や入出力操作の機能を動かせるだけの必要最小限のメモリやプロセッサでも十分に機能します。また、プログラムや作成した文書などのデータをPC側に保管する必要がないので、ストレージも不要です。

 そこで、デスクトップ仮想化とアプリケーション仮装化を利用することを前提に、機能を最小限に絞ったクライアントPCが作られました。これを「シンクライアント(Thin Client)」といいます。Thinとは、「痩せた・薄い」という意味です。ちなみに、通常のPCを「ファットクライアント(Fat Client、「太った」クライアント)」と呼ぶことがあります。

 最近では、タブレットやスマートフォンのアプリで、シンクライアントの機能を実現しているものも登場しています。

 シンクライアントは、高い処理能力や大容量のストレージを搭載した一般的なPCに比べると、安価です。また、ユーザー個別の設定やアプリケーション、データは、サーバ側で管理するため、仮にシンクライアント本体が故障しても、復旧作業は必要なく、機器を代替するだけで作業を再開でき、ユーザーの管理負担が少なくて済みます。

 また、シンクライアントにはストレージはなく、データは保管できないため、万が一盗難に遭っても、サーバに接続する手順を知られなければ、データが盗まれる危険はなく、セキュリティの観点からも安心です。

 「シンクライアント」という語は、このような機能を絞り込んだPCの名称として使われていますが、「シンクライアントが利用できる仮想化方式」、つまり「デスクトップ仮想化とアプリケーション仮装化の総称」としても使われる場合もあります。

●著者プロフィール:斎藤昌義

 日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。

ITmedia エンタープライズの関連記事

image beaconimage beaconimage beacon