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コレ1枚で分かる「ブロックチェーン」

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/02/28
コレ1枚で分かる「ブロックチェーン」: もともとはのBitcoin信頼性を担保するための基盤技術 © ITmedia エンタープライズ 提供 もともとはのBitcoin信頼性を担保するための基盤技術

 「ブロックチェーン(block chain)」とは、複数のシステムで取引履歴を分散管理する技術のことです。これには暗号技術とP2Pネットワーク(通信ノード間で中継を介さず直接通信する)技術が使われており、第三者機関による証明がなくても取引の正当性を証明でき、データの改ざんを困難にしています。

 ブロックチェーンは、もともと「政府や中央銀行による規制や管理を受けることなく、誰もが自由に取引でき、改ざんなどの不正ができないインターネット上の通貨」として開発された「ビットコイン(Bitcoin)」の信頼性を担保するための基盤技術として、サトシ・ナカモトと名乗る人物が論文中で初めて原理を示したことが誕生のきっかけとなっています。

 この論文に基づいて有志の協力によりオープンソースソフトウェア(OSS)としてビットコインが開発され、2009年より運用が始まっています。運用が開始されて以降、改ざんなどの被害を受けることなく取引が継続されており、その仕組みの有効性・信頼性については認められつつあります。

 なお、日本にあったビットコインの取引所Mt.Goxのシステムが2014年に不正侵害による窃盗行為によるものとして取引が停止され、大きな社会問題になりましたが、これはビットコインそのものの問題ではなく、ビットコインの取引を仲介するシステムの問題であり、これによってビットコインそのものの信頼性が侵害されたわけではなく、両者は分けて考えなくてはなりません。

 このビットコインの信頼性を担保する基盤となったブロックチェーンは、「複数のシステムで取引(トランザクション)の履歴を分散共有し、監視し合うことで、取引の正当性を担保する仕組み」です。

 一般的な取引では、法律や規制、あるいは実績によって信頼される第三者機関や組織が、取引の正当性を保証し、その取引の履歴を一元的に管理することで信頼性が担保されていました。これに対して、ブロックチェーンの技術を使うと、

・ブロックチェーンのネットワークに参加する全てのノードに取引が通知され、誰もがその取引の内容を知ることができます。

・定められたルール(コンセンサス[合意]するための手順)に従って、特定のノードが取引のまとまりである「ブロック」を分散共有された台帳に登録することが許され、登録します。ここでいう台帳とは、取引のまとまりである「ブロック」を時間軸に沿ってチェーンのようにつないだもので、これが「ブロックチェーン」と呼ばれるゆえんです。

・この台帳に取引記録が追加されると(=ブロックチェーンに新たなブロックが追加されると)、これに参加する全てのノードで新しいブロックチェーンが共有されます。

 この一連の仕組みにより、膨大な複数のノードによる取引の履歴は分散共有され、取引の存在と正当性が特定の第三者に頼らなくても証明されるのです。また改ざんしようとしても、分散共有された膨大な数のブロックチェーンの特定のブロックをほぼ同時に改ざんしなければならず、結果として改ざんが不可能になっています。例えば、ビットコインの場合は、膨大な数のノードが四六時中ブロックチェーンの更新を行っており、この全てのノードの51%以上を同時に改ざんしなければ、改ざんは成立しません。これは、強力なスパーコンピュータを駆使しても改ざんができない規模となっており、現実的には改ざんができないようになっているのです。

 また、ブロックチェーンでは取引者の情報は暗号化されているため、取引の内容は公開されても取引者の具体的な情報にひも付けされていないので、匿名性は担保されています。

 ブロックチェーンは、ビットコインに代表されるパブリックな取引への適用ばかりではありません。改ざんを困難にする仕組みや、コストの安い低性能なシステムを分散ノードとして使用し、無停止で運用可能なことから、銀行取引や契約などの中核となっている元帳管理に適しているとして、プライベートなシステムでの適用にも注目されるようになってきました。銀行の預金や為替、決済などの勘定系業務、証券取引、不動産登記、契約管理などへの適用についての検討や研究が進められています。

 例えば米株式市場のNASDAQは、「ブロックチェーン」を使った未公開株式取引システム「Nasdaq Linq」を発表、また三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、ブロックチェーン技術に強みを持つスタートアップ企業米R3が主催し、英バークレイズ銀行、米シティグループなど世界的大手金融機関22行が参画する「Distributed Ledger Group」に参加、さらにIBMはIoTのスケーラビリティとセキュリティを確保する技術「ADEPT(Autonomous Decentralized Peer-to-Peer Telemetry)」にブロックチェーンの技術を適用するなど、さまざまな取り組みが始まっています。

 また国内では、地銀やインターネット専業銀行などを含む42行が参加する「国内外為替の一元化検討に関するコンソーシアム」が発足。複数の中継銀行を経由する必要があるために送金コストが高く、時間もかかっていた海外送金を、ブロックチェーンを使った仕組みで送金側と着金側の決済基盤を直結させ、低コストでかつ24時間リアルタイムに送金・決済できるインフラ構築を目指す取り組みが始まっています。

 このようにブロックチェーン技術は、実用に向けたさまざまな取り組みが積極的に進められており、今後ますます注目されるようになっていくでしょう。ただ、金銭に関わる取引や契約などは、高度な安全性や信頼性、可用性が求められることから、実用においては慎重になっていることもまた事実です。

●著者プロフィル:斎藤昌義

 日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。

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