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コレ1枚で分かる「人工知能とロボット」

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/01/10
コレ1枚で分かる「人工知能とロボット」: AIやロボットは人の仕事を奪う存在ではありません © ITmedia エンタープライズ 提供 AIやロボットは人の仕事を奪う存在ではありません

 人間の知的能力を機械に置き換えてしまおうという技術が使われ始めています。「人工知能(Artificial Intelligence)」と呼ばれるこの技術は、もはやSF世界の夢物語ではありません。私たちの日常にさまざまな恩恵をもたらしつつあります。

 「人工知能」という言葉にはさまざまな解釈がありますが、おおむね「人間が行う知的な作業をソフトウェアで実現する技術や研究」を意味しています。その範囲は広く、音声をテキストに置き換える音声認識、画像に何が描かれているかを解釈する画像認識、大量のデータの中に隠れた規則性や関係性を見つけ出そうという機械学習などがあり、それを応用した技術や研究も含まれます。

 そんな人工知能を搭載した「ロボット」も登場しています。ロボットは、これまでもさまざまなところで使われてきました。例えば、

・工場のものづくりに使われてきた産業用ロボット

・倉庫で貨物を移送するための搬送ロボット

・宇宙ステーションの船外活動を助けるロボットアーム など

 しかし、それらは人間が作ったプログラム通りに動くものや、人間が遠隔操作するものなど、知的処理の部分は人間が担っていました。しかし、人工知能を搭載すると、自分で周囲の状況を捉え、どう行動すべきかを考え、判断して行動する機械へと進化します。前者を「自動化(Automation)」、後者を「自律化(Autonomy)」と呼び、両者を区別しています。

 ロボットには、機械の身体を持たないソフトウェアだけのものもあり、「bot(ボット)」とも呼ばれています。「ロボット(ROBOT)」から生まれた言葉で、人に代わって作業を行うコンピュータプログラムのことです。botが登場した当初は、次のような単純作業を行うのが一般的でした。

・Webを巡回して情報を収集する

・用意されたメッセージを指定した時間にソーシャルメディアに発信する

・オンラインゲームで一定の動作を自動で繰り返し行う など

 これに人工知能の技術を組み合せ、

・音声を理解して自然な対話で応対する

・曖昧な指示からその人のやりたいことを推察する

・機器やソフトウェアの操作、検索や要約などの知的作業を代替する など

ができるbotも登場しています。

●人工知能やロボットが実現しようとしていること

 人工知能やそれを搭載したロボットは次の2つを実現しようとしています。1つは「人間にしかできなかったこと」を代替えし、人間の作業を効率化すること、そしてもう1つは「人間にはできなかったこと」を実現し、人間の能力を拡張することです。

 前者の例としては、自動運転自動車がトラックやタクシーの運転手の代わりを、産業用ロボットが工場の作業員の代わりを、自律型無人機がパイロットの代わりをしてくれます。また音声を認識し、言葉の意味や文脈を解釈し、検索やプログラム操作を代替してくれます。

 後者の例としては、

・人間には一生かかっても読み尽くせない膨大な学術文献や法律文書を読み、これを分析し、最適な解釈や判断基準を示す

・膨大な物質の組み合せを検証し、遺伝子やタンパク質の合成メカニズムを探り、これまでにない薬や個人に最適化されたカスタムメイドの薬を作り出す

・犯罪の発生場所や犯罪の内容を予測し、指定された地域のパトロールを強化することで検挙率を増やし、犯罪の発生率を減らす

・障害者や高齢者の筋力や認知能力をロボットとともに補完し、日常生活を快適なものにしてくれる

・言葉の異なる人同士がリアルタイムで対話し、意思疎通が図る

 一方で、これまで人間にしかできなかった仕事を奪ってしまうのではないかとの懸念もあり、人間は新たな役割を見つけなければならないのかもしれません。ただ過去にも、1970年代に始まるものづくりの自動化で製造現場での人間の仕事は少なくなり、管理やサービスといった仕事に役割を転じてきました。人間の役割が時代とともに変わっていくのは今も昔も変わりません。

 さらに、機械が人間よりも優れた知能を持つようになり、人間を支配する時代が来るかもしれないといったことも心配されています。ただ、「知能とは何か」がいまだ解明できておらず、それを工学的に実現する方法の見通しもないのが現実です。

 心配するよりも、人間に代わって安全・確実に、効率よく作業ができる、あるいは人間の知的能力を拡張し、これまでできなかったことができるようになるといったメリットを積極的に生かしていくことの方が現実的なかかわり方といえるでしょう。

 特に少子高齢化が進むわが国では、働き手が少なくなっていきます。不足する労働力を補い、経済や生活の質を維持していくためには、人工知能やロボットをうまく使いこなしていく必要があります。

 また、過疎化・高齢化が進む地方の交通手段や輸送手段として、自動運転車は地元の足となり、輸送手段として欠かすことができないものとなっていくでしょう。さらに、「ITや機械の操作は難しくて使いにくい」というこれまでの常識が、人に話しかけるように指示するだけでできるようになれば、高齢者や身体に障がいを持つ人たちにも大きな恩恵を与えることになります。

 人工知能やロボットの実用についての模索は始まったばかりですが、着実に成果を上げつつあり、近い将来、なくてはならいな存在となるでしょう。

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