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シェア急増の楽天モバイル 「スーパーホーダイ」や「iPhone販売」の狙いを聞く

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2017/09/21
シェア急増の楽天モバイル 「スーパーホーダイ」や「iPhone販売」の狙いを聞く: 1年目が月額1980円からの「スーパーホーダイ」 © ITmedia Mobile 提供 1年目が月額1980円からの「スーパーホーダイ」

 2014年にMVNOに本格参入した楽天モバイル。もともと知名度が高かかったことに加え、ポイントなどを含めた楽天経済圏との連携や、端末、店舗の拡充などを積極的に打ち出してきたことで、シェアは急増している。MM総研によると、2017年3月末でのシェアは第3位。1位の「OCN モバイル ONE」や2位の「IIJmio」といった、老舗MVNOに迫る勢いだ。

 その楽天モバイルが、料金プランを一新させ、さらなる勝負に打って出た。新料金プランの名称は「スーパーホーダイ」。3つから選べるシンプルな料金体系で、容量を使い切った後も、1Mbpsと比較的高速なデータ通信が可能なのが最大の特徴だ。最低利用期間を最大3年まで設定でき、それに応じて端末の初期費用を割り引くプランも用意した。

 これに加えて、認定整備済品のiPhoneも取り扱うことになった。もともと、楽天モバイルは端末のラインアップにも特色のあるMVNOだった。Huaweiとタッグを組み、「honor 8」などの端末を独占的に提供するなど、他社に先駆けて端末に注力してきた経緯がある。

 では、なぜ楽天モバイルがこのタイミングでiPhoneを販売するのか。新料金プランを投入する背景と合わせて、その経緯を楽天モバイル事業 事業長の大尾嘉宏人氏とプロダクト&サービス部 プロダクト・料金・サービス課 シニアマネージャーの倉澤赳徳氏に聞いた。

●90%が速度制限でイライラしている

―― 速度制限後も1Mbpsというのは、なかなか画期的な料金プランだったと思います。このプランを投入するに至った背景を教えてください。

大尾嘉氏 データ通信の速度制限は62%の方が受けていますが、そのうち、90%が遅くなってイライラすると答えています。データ通信量を気にしながら使うという方も、65%に上ります。そんなことを気にしなくてもいいようにしたいというのが、スーパーホーダイのテーマです。高速データ通信の容量を使い切っても、いわゆる128kbpsや200kbpsではなく、1Mbpsまで出せるようにしたいという思いがありました。

 ただし、12時から1時と、夜の6時から7時までは、申し訳ないのですが300kbpsに制限しています。すごくいい品質とはいえませんが、ちょっとだけ遅い。そういったところも、しっかりお伝えできればと思っています。

―― 制限後の速度を1Mbpsにした理由はどこにあるのでしょうか。

倉澤氏 体感スピードとして、多くのインターネットサービスをそこそこの速度で使えることを重視しました。過去には他のMVNOで定額3Mbpsというものもありましたが、1Mbpsと3Mbpsではあまり体感は変わりません。であればということで、コストとの兼ね合いもあり、1Mbpsに設定しました。

 1Mbpsあれば、動画もYouTube等であれば、バッファーの圧縮がかなり進んでいるため、快適に見られます。200kbpsだと少しお待ちいただくというところでも、快適に使えると思います。

大尾嘉氏 今の話はパンフレットにも載せ、お客さまにも伝えていることです。ちなみに、高速通信は使い切ったときだけでなく、アプリから手動で低速にしても1Mbpsになります。

倉澤氏 お昼の混んでいるとき(300kbpsに制限される時間帯)だけ、高速通信を使うという方法もあります。

―― お昼は高速通信をオンにしても、あまり速度が出ないことにはならないのでしょうか。

倉澤氏 何十Mbpsというのは難しいですが、ある程度の速度は出ます。ただ、そこはMVNO業界全体の課題ですね。

大尾嘉氏 ピーク時間帯の速度は本当に課題で、昔はご迷惑をおかけしていたことも事実です。ただ、それ以降は毎週、毎週お客さまがこれくらい増えるということを予測、分析して、毎週、毎週、増強なりチューニングなりをしています。その結果として、ほかと比べて安定して使えているというお声もいただいています。

●あえて他社と同じ金額にした

―― 1年目の金額が1980円からだったり、3つから料金プランを選べたりと、Y!mobileなどを意識している印象も受けます。なぜ、あの料金体系だったのでしょうか。

大尾嘉氏 金額は業界標準にならって、1980円からとしています。そこ(他社の同水準の料金プラン)に利便性を加えた格好です。プランは2GB、6GB、14GBを用意しました。他社には1480円という料金プラン(家族で加入した場合など)もあるので、僕らも楽天のダイヤモンド会員限定という形で、1480円にしています。ダイヤモンド会員はすぐになれるわけではありませんが、他社の基準に比べるとそんなに高くもありません。ハードルは意外と低いと思います。

―― 例えば、100円安くするといった細かな差別化はしませんでした。それはなぜでしょうか。

大尾嘉氏 値段を細かく変えるよりも、正しいコミュニケーションをすることを心掛けたからです。

倉澤氏 打ち出す金額と実際にお支払いする金額が懸け離れないようにしないといけません。数十円安くするよりも、比較してもらいやすいよう、同じ金額にして中身を見てもらえるようにしました。

大尾嘉氏 それがMVNOのミッションでもあると思っています。安い料金を提供して業界の風穴を開けるのもそうですが、一方で、悪しき業界の慣習にもチャレンジしなければいけない。3年目の新しいキーメッセージも、スーパーチャレンジですから。

―― 1年目だけ1000円割引というところは、キャッチアップしなくてもよかったのではないでしょうか。

大尾嘉氏 そこは社内でもすごく議論したところで、僕もまだ、正解かどうかは分かっていません。ただ、ずっと1980円からにするのは難しい。一方で、永年2200円、2300円というのであれば、容量別の組み合わせプランを選べばそうなります。ここはY!mobileさんなどが基準を作ってしまったので、素直に合わせることにしました。

倉澤氏 方や1980円で2年目から2980円、方や永年2480円となると、比較した際にどちらがお得なのか分かりづらくなってしまいます。あえてそこをズラすよりも、同じにした方が分かりやすかったというのはありますね。

●端末の“三木谷割”にも期待? コミコミプランは終了

―― 端末の割引もありました。ここは、“三木谷割”の楽天モバイルとして期待されていたところだと思います。

大尾嘉氏 僕らがそう呼んだことは1回もないのですが(苦笑)、確かに端末の割引は2015年ごろからやっていました。MVNOに変える際に、スイッチングコストが高いという声が多かったからです。ただ、(新端末を出した際に)どうせキャンペーンをやるんだろという声があった(結果、買い控えが生じた)のも事実です。ですから、新料金プランでは、最低利用期間を2年、3年といっていただければ、そのぶん端末をディスカウントします。SIMカードのみの場合も、1万ポイント、2万ポイントという形で還元します。

 例えばですが、1万9800円の端末は、2年の最低利用期間なら9800円、3年なら0円にプラスして200ポイントがもらえます。しかも、大手キャリアとは異なり、最低利用期間には自動更新もありません。大手キャリアの場合は、24カ月たった後、自動的にさらに24カ月縛られますが、僕らの場合は1年でも2年でも、最低利用期間後なら好きなときにやめられます。

 (インタビュー時点で開始から)1週間ぐらいたったところですが、割引が最大になる3年にする方が多いですね。

―― 3年といっても、途中で機種変更はできるんですよね。

大尾嘉氏 はい。機種変更の値段まで下げることはできませんが、できることはできます。端末は僕らから買っていただいてもいいですし、量販店で新しい端末を買って、SIMカードだけ差し替えることもできます。

 こうしたお客さまの声を聞いて、それに答えることを高速サイクルで回してきました。それがサービスの向上、改善に生きています。結果として、店舗も170になりました。

―― 端末とセットのコミコミプランはどうなったのでしょうか。

大尾嘉氏 コミコミプランはなくしました。コミコミプランの場合、高い端末は高いプラン、安い端末や低いプランというひも付きがありました。それを今回は切り離したというのが、大きな特徴になります。

 そうはいっても、容量別の組み合わせプランは残しています。中には5分かけ放題がいらないという方もいますし、そもそも通話はいらないからデータSIMでいいという方もいます。そういった方は、組み合わせプランの方が安くなります。

倉澤氏 メインで打ち出しているものは分かりやすさ中心でスーパーホーダイですが、カスタマイズしたい方には柔軟に対応できるようにしています。

●「自動更新なし」が格安SIMの決め手という人が多い

―― お昼の時間帯を300kbpsに制限していますが、このプランの比率が上がると、トラフィック緩和の効果もあったりするのでしょうか。

大尾嘉氏 結果として、ある程度あるかもしれません。ピークは遅くなるので避けようとなると、逆に帯域があることになる可能性もあります。そういったことをお客さまと一緒にやっていくことで、MVNOとして料金を低く抑えられます。

倉澤氏 コスト構造が悪化すると、中長期的にお客さまにご迷惑をおかけしてしまいます。設計は、そうならないようにしています。

大尾嘉氏 ただ、コストありきではなく、お客さまに対する値段ありきで、そこから逆算して、どうやったら実現できるのかをやってきました。

―― 店舗展開をしていますが、そこからの気付きは何かありましたか。

大尾嘉氏 スーパーホーダイの開発には時間がかかりましたが、お店を展開していてよかったと感じました。これがWebだけだったら難しかったと思います。今でこそ新しいカタログでは強く「自動更新なし」とうたっていますが、それがないことが決め手になっていたのも気付かなかったところです。

倉澤氏 うちに来られる方は、ちょうど2年縛りが切れたときに来るので、そこは強く意識しているのかもしれません。

●iPhone 6s/SEの販売を始めた理由

―― 実際に始めてみて、感触はいかがでしたか。

大尾嘉氏 僕らが立てていた9月以降の見込みより、上振れしています。ただ、比率でいうと、スーパーホーダイの比率はピッタリ合っていました。全体の数が予想より上がったということです。これは、発表会後、メディアからの反響が大きかったためでもあります。

倉澤氏 通常、知っていただいてから買っていただくまでに3カ月ぐらいありましたが、発表から1、2週間しかない中では、かなり多い数だと思います。

―― 9月1日からは、iPhoneの取り扱いも始めました。この経緯をお話ください。

大尾嘉氏 昨年(2016年)、iPhoneを持ってきたら3カ月無料というキャンペーンをやっていましたが、反響がすごかった。日本人はやはりiPhoneを使う方が多く、人数も多いのでそこは何とかしたいというのが昔からありました。

倉澤氏 今iPhoneを使っている方は、やはりiPhoneがいいとなりますし、Androidを使っている方の中にもiPhoneを使いたい方がいます。ただ、現状だと選択肢としては、Appleから直接SIMフリーモデルを買うか、キャリアから最新のiPhoneを買うか、サブブランドからiPhone SEを買うかしかありません。少し前のモデルを安く欲しいというニーズを満たす手段がありませんでした。ということで、iPhone 6sとSEの販売を始めています。

―― 認定整備済品とのことですが、これはどこからのものなのでしょうか。

倉澤氏 主にアメリカです。もちろん、認定されているので、そのままApple Storeにお申し込みいただければ修理もできますし、購入後30日以内であればApple Careにも入れます。また、つながる端末保証という独自の後づけサービスも提供しています。

―― 中古との違いをあらためて説明していただけないでしょうか。

大尾嘉氏 中古は一度メーカーから買ったものを再販売したものですが、認定整備済品は初期不良や返品があったときに一度再生作業をして、それを再販売したものです。見た目は、新品と差が分からないようになっています。

―― 発売直後ですが、売れ行きはいかがですか。

大尾嘉氏 想定通りに売れています。そんなにすごくたくさん出ているというわけではありませんが、売れています。

倉澤氏 数でいえば、まだAndroidの方が多いですね。

―― 整備済品以外の最新のiPhoneを取り扱うことはあるのでしょうか。

倉澤氏 Appleさんとのお話に関しては全てノーコメントですが、お客さまのニーズにはお応えしたいと思っています。

―― 他のMVNOが販売したiPhoneには台数の制限がありましたが、これは特に制限はないのでしょうか。

大尾嘉氏 一時的に殺到するようなケースで在庫が切れてしまうことはありますが、安定的に供給できるのを待っていました。今回のタイミングになったのも、そのためです。

倉澤氏 選ばなければいろいろな調達方法が他にあったのは事実ですが、お客さまに安心して使っていただけることにこだわりました。

―― ちなみに、iPhone 7がないのは、まだ在庫が十分集まらないということでしょうか。

倉澤氏 数もそうですし、日本モデルはFeliCaがあったりするので、その違いもあります。

●取材を終えて:Y!mobileやUQ mobileの追撃なるか

 料金プランを改定し、Y!mobileやUQ mobileへの追撃姿勢を強めた楽天モバイル。iPhoneの取り扱いを開始したことからも、その意気込みが伝わってくる。数あるMVNOの中から、頭1つ抜け、サブブランドをターゲットに定めたと見てよさそうだ。一方で、サブブランド2社と比べると、リアル店舗の数がやや不足している。Webに強い楽天ではあるが、サブブランドと肩を並べるためには、さらなる強化が必要になりそうだ。

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