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シリコンバレー見聞録 SAPのビジネスモデル変革を成功させた「3つのP」

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/01/20
シリコンバレー見聞録 SAPのビジネスモデル変革を成功させた「3つのP」: SAP Palo Alto Labs © ITmedia エンタープライズ 提供 SAP Palo Alto Labs

 最近、ICTの世界では、システムをSoR(System of Record)とSoE(System of Engagement)という概念で説明します。これは、『キャズム』の著者で有名なジェフリー・ムーア氏が提唱する概念で、経理や人事など“記録のためのシステム”とデジタルテクノロジーを使った新しい“関係性のためのシステム”と捉えることができます。

 ERPシステムの巨人といわれるSAPは、長らくSoRの象徴として捉えられて来ました。しかし、最近ではビジネスポートフォリオが大きく変化してきているようです。

●NewSAP成長の象徴

 2010年ごろのSAPの売上の大半は、ERPビジネスでしたが、2015年にはNewSAPと呼ばれるSoE、すなわちデジタルビジネスの世界で売上を急伸させています。従来のERPビジネスは、売り上げの4割でしかないという。

 新しいSAPのビジネスは、SAP発祥の地ドイツで生まれたのかというと、実はGoogleやApple、そしてあの電気自動車で有名なTESLAのあるシリコンバレーが起点となっているらしい。

●変革のポイントは、3つのP

 今回のシリコンバレー訪問の目的の1つは、パロアルトにあるSAPの拠点を訪問することで、唯一の日本人として駐在する小松原さんにお会いすることでした。なぜSAPは、NewSAPと呼ばれる新分野を拡大できたのか? 小松原さんは3つのキーワード“People, Place, Proces”を使って説明してくれました。

 Peopleとは多様な人との交わり、Placeとはドイツの城下町ではなく、シリコンバレーに出島を作ったこと、そしてProcesとは共通言語としてERP同様、物事の進め方の標準化をグローバルで進めること。

●デザイン思考との出合い

 SAPの会長だったハッソ・プラットナーは、2003年の「デザイン思考」との出合いに衝撃を受けたそうです。私財(なんと日本円で30億円以上)を投じ、スタンフォード大学にデザイン思考を学部横断で教えるd.schoolを設立しました。近接するSAPのパロアルトラボは、今では全ての仕事がデザイン思考の考え方で進められているそうです。

●人事や経理の打ち合わせにも

 当初、戦略や開発に導入されたデザイン思考は、やがてNewSAPを支える全ての業務やロールに広がります。訪問して驚いたのは、あらゆるスペースがデザイン思考を実践するために設計されていること。研究開発はまだしも、人事や経理の打ち合わせにもデザイン思考が実践されているとは驚きでした。

●“出島”と新しい仕事の進め方

 シリコンバレーは、かねてある意味ICTベンダーの聖地として存在してきました。SAPは、自社ビジネスを大きくドライブさせるために、外資系企業としてはトップのシリコンバレー従業員数を誇ります(シリコンバレー在籍社員ランキングで13位の4000人)。

 しかし、単に拠点を作ればよいというのではなく、“やり方”自身を変える必要があります。

 どうやらデザイン思考は、そのための強力なツールになっているようです。

(著者:柴崎辰彦)

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