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スナック、なぜ秘かにブーム?気軽で低価格、店側の経営努力で若い世代や女性も客に

サイゾー のロゴ サイゾー 2014/04/18 Cyzo

 最近、スナックの人気が秘かに高まっているという。スナックといえば「敷居が低い」「比較的リーズナブル」というイメージの一方、「地味」「中高年の世界」というイメージも強いが、若い人や女性でも客としてスナックを訪れる人が増えているという。

 そこで今回はそんなスナックを取り巻く経済的環境や現状、人気の理由などについて、全国の健全なスナックを案内するサイト「スナックガイド」運営元の株式会社アド・パワー社長であり、これまで数千軒以上のスナックを訪れてきた宇野倫史氏に話を聞いた。

--まず、スナックの定義について教えていただけますでしょうか。

宇野倫史氏(以下、宇野) スナックに厳密な定義はありません。「スナックバー」という言葉がありますが、基本的に、カウンター越しに飲み物と食べ物を提供するだけの店を指します。テーブル席があっても、風営法に基づく営業許可を得ていないスナックでは、女性スタッフがテーブル席についても、客の隣に座ることができません。向い側にしか座れないのです。地域によって違いますが、風営許可を取ると、営業時間が午前1時までというように制約されます。逆に風営法の対象でなければ、喫茶店と同じく営業時間に制約はありません。また、バーを名乗っている店ではカラオケもできるし、ボトルキープもできるというスナック形態の店がありますね。

--最近、スナックを訪れる客が増えているといわれていますが、実際にはどうなのでしょうか?

宇野 増えてますね。今までクラブやキャバクラなどに行っていた人々が、スナックに流れ始めています。

--スナックの客が増え、秘かに人気が高まっている理由はなんでしょうか?

宇野 スナックというと、「年配のママ」がいて「高齢のお客」が行く所というイメージが強かったですが、昨今のネット利用の広がり、無料で活用できるfacebookやブログなどによって、柔軟な発想を持つ若手のママやオーナーさんが店の情報を発信するようになってきました。それをユーザーがキャッチして来店してるという流れです。この流れは、これからもっと強まると思います。

--スナックの客は男性が多いイメージですが、意外に女性客も多いようですね。

宇野 夜のお勤めをしている女性たちが仕事を終えてから、マスターが朝まで営業している店に通うケースが多く、普通のOLが通うスナックには、ニューハーフの方が経営している店が多いですね。

--スナック市場の現状を教えていただけますでしょうか。

宇野 「開業立地アドバイザー」というサイトによると、全国のスナック数は約8万5000店で、傾向としてはなだらかに減っています。潰れる店も多いのですが、新たにオープンする店も多いのです。場所にもよりますが小さなスナックは、居抜き物件を借りて、酒を大量に仕入れなければ、200万円ぐらいの初期費用で開店できます。5~6席の店なら、100万円ほどでも可能です。

--スナック店主には、どのような経歴の人が多いのでしょうか?

宇野 初期費用が低いので、クラブなどで働いていた女性が独立してスナックを開くパターンや、過去にスナックで働いた経験のある人が店を開くパターンもあります。開業する年齢には地域差があって、東京では30代~40代、地方では20~30代が中心ではないでしょうか。

--スナック市場の今後の見通しはいかがですか?

宇野 メインの客層だった団塊の世代が、退職をきっかけとして店に来なくなっています。この年代はお金の使い方もカッコよくて、よく会社の部下たちを店に連れてきました。そして、その次の世代である50代は、部下を店に連れてこようとすると嫌がられるのであまり誘わない。このままだと、スナック文化が徐々に衰退してしまいます。

--お客の世代交代をどう進めるかが、スナックの経営課題ということですね。

宇野 そこで柔軟なセンスのママさんは、若い女性を従業員に雇って、若い客層の開拓に取り組むようになっています。そこに、以前はキャバクラに通っていた20~30代の男性やクラブに通っていた40代~50代の男性が、08年のリーマンショックを境目に接待交際費が出なくなったので、自分のお小遣いでも飲めるスナックに流れ、「スナックにも若い子やかわいい子がいる!」となり、リピーターを獲得するケースも多いです。キャバクラ・クラブの客単価は1~3万円ですが、スナックは都心で約5000円、郊外なら約3000円ほどで済みます。

--スナック経営のポイントは、なんだとお考えでしょうか?

宇野 客は行く店についてネットで事前に隅々までチェックして行くので、料金面も「○○○○円~」と大雑把に表記するのでなく、「チャージ料3000円」「ボトル○○が4000円」と明記し客を安心させる事が大事です。また、店に行きたくなるようなアピールも大事ですね。料金とサービスのバランスも大切です。料金については地元の相場に合致しているかどうか。サービスについては、ママさんがしっかりとしている店は従業員の教育もしっかりしていますし、従業員のだらしない店はママさんもだらしがありません。そうした綻びは、店内の掃除が行き届いていないというような部分にも表れます。客が安心して飲めて期待通りのサービスを提供できていれば、自然とリピーターが増え、安泰な経営状況になると思います。

 また、接客の上手なママさんは、お客さん同士を仲良しにさせてしまいます。そうすると、お客さんはママさんに会いに来るだけでなく、飲み友達にも会いに来るようになるのです。まさに利害関係のない「大人の社交場」と言えるでしょう。

●良い店を見つけるコツ

--良い店を見分ける方法や、見つける方法などはありますか?

宇野 「良い店」といいますか、楽しむスタイルは人それぞれだと思いますので、自分に合った店を見つける方法としては、情報サイトや書き込みのチェックだと思いますよ。「カラオケ好きが集まる店」「会話中心の店」「若い女性スタッフがいる店」「カウンターがある店」など、詳細情報や写真から読み取って見つけるのが良いでしょう。

 飲みたいエリアで情報サイトに店の情報が掲載されていなかったら、あとは1軒1軒扉を開けてください(笑)。扉を開けるたびにドキドキして楽しいものですよ。その際は、扉に「風営許可シール」「飲食組合シール」などを貼っている店を狙っていけば安全な可能性が高いです。

--スナックで楽しむコツを教えてください。

宇野 スナックに入った時点で料金を確認し、希望の予算があるなら交渉するのがよいでしょう。一人で入ったときなら「カウンターの隅でおとなしく飲んでいるから3000円でお願いできませんか?」とか、数人で入ったときには「一人90分4000円でいいですか?」など、店側と譲歩し合って接点を見いだすことが大切です。

 座ってからは、お酒をつくってもらったら「お礼を言う」、ママや女の子が席に着いてくれたら「一杯どうぞ」とご馳走するなど、店側に対したスナックマナーを自然に行う。当たり前の事なのですが、これだけでも好印象を与えます。

 他のお客(常連さん)に対してはカラオケ中に「合いの手を入れる」、歌い終わったら「拍手をする」などをすれば、自分が歌う時には同じことを返してくれます。また、私がよく使う手ですが、自分がカラオケを予約し終えたら、隣の常連さんに「先輩、自分入れましたので是非どうぞ」とリモコンキーを手渡します、すると「おっ、そう? じゃ、歌っちゃおうかな」なんて話ができて、そこから一緒に盛り上がることも多いです。やっぱりスナックはみんなで一緒に楽しむのが一番だと思いますよ。

●スナック紹介サイトを立ち上げ

--「スナックガイド」を立ち上げたきっかけはなんでしょうか?

宇野 2011年の東日本大震災の数カ月前に、仕事の悩みで社員にも家族にも打ち明けられないことがあり、まっすぐ家に帰りたくないと思っていた時がありました。その日の帰宅途中、最寄りの駅から自宅への帰り道で一軒のスナックが目に入り、まったく知らない店でしたが、いきなり飛び込んだのです。

 ママがひとりで営んでいる店で、私の心境を察してくれたのか、適度な距離感を保って話し相手になってくれました。小1時間楽しんで、すっきりとした気分になれたので、その後2~3回通ったのですが、震災の影響を受けて、そのスナックは閉店してしまいました。私が心の拠り所とする場所がなくなってしまい、近所の別のスナックに入ってみたら、ママさんから「経営が厳しいから、店をやめようと思っているのよ」と言われ、こんなに良い店がなくなってしまうのはまずいと思いました。私は広告代理店を経営しているので、最初に入った店に対しても生き延びるアドバイスをできたかもしれません。ところが、何もしてあげられなかったので後悔の念に駆られました。  クラブやキャバクラを紹介するサイトは、たくさんあります。多くのサイトでは店が掲載料として月に3~5万円ほどを支払い、立派な機能がたくさん付いていますが、そうした機能はスナックの紹介には必要ありません。お店の魅力が伝われば、集客に結びつきます。そこで「広告代理店として何かできないだろうか」と考え、制作会社やプログラマーに相談し、サイトを立ち上げることになりました。そして2011年の11月に本オープンしました。当初、東京版を立ち上げたところ全国各地のスナックから掲載の申し込みが入ったため、急いで全国版を追加制作したのです。

--掲載料は、どのぐらいに設定しているのですか?

宇野 一番オーソドックスなプランですと、1年契約で東京版は6万4800円(一月当たり5400円)、地方版は3万8800円(同3240円)です。スナックガイドはサイトに登録するとfacebook、ブログ、Twitter、YouTubeにも掲載しますので、この情報量でこの料金は全国で一番安いと自負しています。やはり長く継続掲載してもらうには、無理のない料金設定が必要不可欠と考えてのことです。その甲斐あり、今では全国の掲載店舗数は約200店になりました。また、スナックは人が売りもの。ママやマスター、スタッフの人柄をお客さんに知ってもらうために、「名物ママがいる店」「名物マスターがいる店」「うちの看板娘」などオプションコンテンツをインタビューやアンケート形式で写真と共に掲載しています。

--紹介されている人は、みなさん随分詳しく紹介されていますね。

宇野 「名物ママがいる店」や「名物マスターがいる店」など、掲載する人は基本的に私がインタビューして、客が自分に合いそうな人かどうかを参考にできるようにしています。ネットの情報を吟味して来店した客は、思ってた通りの店であれば期待通りで満足し再来店します。これが、サイトとしてリピーターを獲得できている“強み”であるといえます。

--掲載するスナックは、どのような方法で獲得してきたのですか?

宇野 最初は東京都内で一番スナックの数が多い上野・湯島エリアと新宿や錦糸町の繁華街のスナックに対して、片っ端から扉を開けて「無料で載せてみませんか?」と案内して歩きました。各エリアで100軒以上は回りましたが、無料でも断わる店がほとんどでした。

 スナックは常連客を大事にするので、新しい客が入ってきて空気を変えられてしまうことを嫌がります。特に「ネットを見て入ってくる客は、ガヤガヤと騒ぐ嫌な客」というイメージがすごく強いのです。年配のママさんだけの店だと、ネットというだけで「うちはいいです」と断ってくるケースが多い一方、30~40代のママさんになると「この先の営業も考えなければいけないわね」と話を聞いてくれるようになります。

--話を聞いてくれる割合は、どのくらいですか?

宇野 100軒回って3軒ぐらいですね。昨年の秋に、京都の祇園のスナックを回った時には、200軒回って1軒も掲載できませんでした。どの店も「一見さん、お断り」を貫き通していて「客が入らなくて店が潰れたら、それは自分の力量だから仕方がない」と言われました。なんかカッコイイですよね。本当はそんなお店を紹介したいのですけど(笑)。逆に、今は東京の銀座のほうが営業しやすいです。まだまだ行けてないエリアも全国にたくさんありますので、今後は各エリアのスナック愛好家の方々とも協力し合い、精力的に活動を続けてスナック文化の普及に貢献していきたいと考えています。

--ありがとうございました。(構成=編集部)

※画像は宇野倫史氏

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