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ソフトバンクのロボットをつくった男 孫正義社長と会い、ビジョンを共有した

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2014/06/13 東洋経済オンライン
インタビュー中、ブルーノCEOを見つめるロボットのペッパー © -C-東洋経済オンライン インタビュー中、ブルーノCEOを見つめるロボットのペッパー

 「鉄腕アトムを見ていた頃からの夢だ」――。

 ソフトバンクが6月5日にヒト型ロボット「Pepper(ペッパー)」を発表した時、孫正義社長は壇上で熱っぽく語っていた。コミュニケーションに特化し、人の感情を理解し、感じることができるロボットは世界初だという。

 数多くの高度な機能を搭載するが、よしもとロボット研究所が開発協力をしており、思わず笑ってしまうような見事な会話の切り返しも特徴のひとつ。ペッパーはすでに、銀座や表参道のソフトバンクショップで”接客”を始めており、来年2月には19万8000円で一般向けに発売される。

 このペッパーを開発したのはソフトバンク子会社でロボット開発を手掛ける仏アルデバラン・ロボティクス社。すでに世界70ヵ国以上でヒト型ロボットを販売している先進的な企業だ。

 創業者であるブル-ノ・メゾニエCEO(最高経営責任者)は孫社長の1歳年下の55歳。ハイテク企業や金融機関を経てこの会社を立ち上げた異色の経歴を持つ。彼が孫社長と会ったのは3年前。そして、孫社長がすぐに出資を決めた。追加出資を経て、現在、ソフトバンクはアルデバラン社の株式78・5%を保有している。

 二人のトップはいかにして出会い、そして、意気投合したのか。今後のロボット開発の方向性やソフトバンクとの連携について、ブルーノCEOに聞いた。

 ――ソフトバンクとの提携に至る経緯は?

 これまで、われわれは「nao(ナオ)」というヒト型のロボットを開発し、発売してきた。さらに市場を伸ばすためにはどうすべきかと考える中、興味を持っていたのが通信分野だった。そのため、アジア地域では通信関係の見本市などにも出展していた。
 
 一方の孫社長は、だいぶん前から自分の「夢」を実現したいという思いがあったようだ。そのために、ソフトバンクでは特別調査チームを作り、世界中のロボット会社を調査していたところだった。

 当初、孫社長はマイノリティ出資を検討していたと思う。だが実際に会ってみると、お互いのビジョンがマッチするだけでなく、個人的にも意気投合した。

 アポイントは1時間半の予定だったが、結局は8時間もかけて話し合い、その日のうちに投資が決まった。孫社長には明確なビジョンがあり、本当にそれを実現できる会社かどうか心配していたようだ。

 結局、われわれのビジョンや実際に作っているロボットが、孫社長が持っていたビジョンに近かったので、うまくいったのだと思う。実際、ソフトバンクとはビジネス展開の仕方も似ていると感じる。

 ペッパーの開発では、ソフトバンクのプロダクト部門のメンバーも開発に加わってもらい、品質向上のための支援も受けている。孫社長とは主にビジネスについての議論をしてきた。開発面では、感情認識の部分について補完するような場面もあったと思う。

――すでに販売しているナオは各国でどのように利用されていますか。


 すでに世界70カ国で5000台以上の販売実績がある。研究所での利用から、プログラミングや情報学などの教育の場面、実験的だが外国語教育でも利用されている。また、自閉症の子供を教育している方の補助などにも役立っている。やはり、コミュニケーション、気持ちのやり取りといったところがキーワードだ。

 ヒト型以外の形は考えていなかった。アプローチとして犬型や猫型ロボットなどもあるだろう。しかし、形がかわいいのはもちろん、ボディランゲージから感情を読み取ることができるというのも、コミュニケ―ションをしていく上では必要だと思っている。

 今回のペッパーには200ほどの要素技術が盛り込まれている。高度な音声認識機能やモーター、各種センサー、笑顔を検知する映像処理技術、感情を認識する技術もそうだ。こうしたすべての技術をうまく統合し、稼働させることは本当に難しかった。一方で、すべてを統合した技術が参入障壁になっているのも確かだ。

 ―一般向けロボットは今後、どれほどのスピードで普及すると考えているのか。

 普及に関しては、非常に速い段階で実現されていくだろう。ロボット分野でアプリケーションなどの開発を希望する技術者は多い。

 ところが、これまではプラットフォームとなるロボットがないため、開発したくてもできなかった。つまり、音声認識や笑顔を検知する技術、音楽の演奏機能など、それぞれ、自分の専門分野しか知らなかった。

 完璧でなくても、プラットフォームさえあれば、それぞれの部分で改善が進み、ロボットの完成度も高まっていく。今後はそうした開発が爆発的、ネズミ算式に増えていくだろう。来年2月にペッパーを発売すれば、さらに色々な人に使ってもらうようになり、開発プロセスは加速していく。

 それこそ、1年後には君もペッパーと一緒に暮らしているんじゃないかな。

 (撮影:今井康一)

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