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ソフトバンクSIMの提供は? Y!mobileとUQは脅威? mineo×IIJmioトークセッション

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2017/04/11
ソフトバンクSIMの提供は? Y!mobileとUQは脅威? mineo×IIJmioトークセッション: トークセッションの様子(写真提供:インターネットイニシアティブ) © ITmedia Mobile 提供 トークセッションの様子(写真提供:インターネットイニシアティブ)

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は、4月8日に大阪でファンミーティング「IIJmio meeting 15」を開催した。IIJmio meetingは毎回、大阪と東京で開催しており、東京では4月15日に開催する予定(詳細はてくろぐでの告知を参照)。今回実施した「SIMロックを解除してau、ソフトバンクのスマホを使うとどうなるのか?」「IIJの目指すフルMVNOサービス」というテーマのセッションは、東京会場でも行う。

 大阪会場だけの特別セッションとして、「mineo × IIJmio スペシャルトーク」を行った。今回、このトークセッションのモデレーターとしてITmedia Mobile編集長の田中聡が参加したので、そのときの模様をお伝えしたい。参加者はmineo(ケイ・オプティコム)側がグループマネージャーの上田晃穂氏とマネージャーの杉野浩司氏、IIJmio(IIJ)側がエンジニアの佐々木太志氏と堂前清隆氏。

●ソフトバンクSIMを提供する予定は?

田中 3月22日から、日本通信やU-NEXTなどが、ソフトバンク回線を使ったSIMカードの提供を開始しました。ケイ・オプティコムとIIJさんは、マルチキャリアとしてドコモ回線とau回線のSIMカードを扱っていますが、ソフトバンクSIMを扱う予定はありますか?

上田氏 個人的には興味があります。ドコモもauもやって、「ソフトバンクもやりました!」となれば、ニュースになるだろうなと。ただ、本当にやるとしたら、先行投資もいるでしょうし、今はSIMロックを解除したら、iPhone 6s以上の方はiPhone(で格安SIM)を使えます。それ以前(iPhone 6以前)のユーザーさんがどれだけいて、どれだけmineoに入っていただけるかは、見極めないといけないと思っています。

田中 日本通信は、ソフトバンクSIMで100万契約を狙うと言っているようですが。

上田氏 他社さんの数字についてコメントする立場にはありませんが、iPhoneを使われているソフトバンクのユーザーは多いだろうなと。そういう意味では、ソフトバンクに参入することで、そのユーザーさんに一定数来ていただける可能性はあると思っています。でも、現状の(ソフトバンクSIMの)メニューは高いですよね。キャリアの回線接続料も、ドコモが一番安くてソフトバンクが一番高いので、そういうコスト的なこともあり、今は情報収集しているところです。

田中 確かに1GBで月880円は、auやドコモ回線のSIMだと3GB程度の価格なので、ユーザーにとって、メリットがあるのかな? という疑問はあります。IIJさんはいかがでしょう。

佐々木氏 もちろん興味がないということは全然なくて、日本通信さんらしい取り組みで、そういうところに切り込んでいくのは非常に重要だと思っています。反面、SIMロックの掛かったiPhoneのお客さまがターゲットになると、マーケットは縮小しています。SIMロック解除のガイドラインが改正され、キャリアのスマートフォン(iPhoneは6s以降)はSIMロックを解除できることが前提に作られています。そこに対して、投資をかけてサービスを作っていくかというのは、決断としては非常に難しいのかなと。

 例えば、auさんのときにもこの問題はありました。「mineoさんのSIMカードだとちょっと古い端末でも使えるけど、IIJは何で使えないんですか?」という質問に対して、VoLTEに対応していないauさんの端末が減っている中で、投資をかけてやるのは難しいと、過去のIIJmio meetingで話したことがあります。それと同じ問題かなと思っています。

田中 au回線の話が出ましたが、au回線はMVNOとの相性が悪いのかな? と思うところがあります。例えば、iPhoneでテザリングができないとか、SIMロック解除が必要とか……。mineoさんはau回線の契約数が多いですが、どのように感じていますか?

上田氏 基本的には、いろいろと調整しながらやらせていただいています。われわれからお願いすることも多々あります。例えば、「テザリングができるようにしてほしい」とか。SIMロックについては、以前はSIMロック解除をしなくても使えていたのに、ある時からSIMロック解除しないと使えないようになってしまったので、「元に戻してほしい」とか。KDDIさんとは、日々発生する諸問題について、適宜相談しています。

田中 IIJさんも、2016年10月から「タイプA」を提供していますが、どのような手応えを感じていますか?

佐々木氏 タイプAについては、IIJmio meetingの14回目で大内が説明させていただきましたが、タイプDの方が非常に使いやすいなと。お客さんの比率を見ても、タイプAとDではまだDの方が大きいという状況です。当然、いろいろな選択肢があるのはいいことなので、われわれとしては、KDDIさんにもっと使いやすい状況になるよう頑張っていただきたいのと、タイプA(au回線)対応のSIMフリースマホがどんどん拡充して、お客さんの選択肢が広がるといいなと思います。

●キャリアのサブブランドは歓迎? 脅威?

田中 MVNOが盛り上がっている中で、特にキャリアのサブブランドの勢力が拡大していると感じています。具体的にはソフトバンクのY!mobile、auのUQ mobileです。先日も発表がありましたが、iPhone SEを、Y!mobileとUQ mobileは取り扱っています。このサブブランドの伸びは、歓迎すべきことなのか、脅威に感じているのか、どちらでしょう?

上田氏 正直言うと、脅威半分、歓迎半分です。UQ mobileやY!mobileさんは「格安SIMだ、格安スマホだ」と言って、CMもたくさん打っています。大手キャリアのユーザーさんが「こういうものもあるんだ」と興味を持たれて、その検討の中で「あ、mineoがある、IIJmioがある」と広がる意味では歓迎しています。

 一方でUQ mobileさんもUQ mobileさんも契約を多く獲得されているので、そういう意味では脅威に感じています。

田中 au回線が多いmineoさんにとっては、UQ mobileは看過できない存在ですよね。一方でiPhoneの対応で、UQが優遇されていると感じることが多々あります。例えば6sまでのモデルは、プロファイルを入れなくても通信ができて、テザリングも使えます。またiPhoneをUQ mobileとY!mobile以外で扱っているMVNOもほぼ見られません。こうした状況を打開するのはなかなか難しいとは思いますが、何か対策はありますか?

上田氏 正直、iPhoneを扱いたいという思いはあります。MMD研究所さんのデータで、「今iPhoneを使っている人のシェアが高い格安SIM」でmineoを挙げている方が一番多かったので、iPhoneをお使いの方がmineoを使う可能性は高いと思っています。

田中 IIJさんは、個人向けのSIMのシェアは現在1位ですが、サブブランドが盛り上がることで、背中を追ってくるプレーヤーが増えることになります。Y!mobileは純粋なMVNOではありませんが、どうご覧になっていますか?

佐々木氏 上田さんがおっしゃった通り、チャンス半分、脅威半分だと思っています。2015年のタスクフォースで過剰なキャッシュバックが禁じられ、そのお金がY!mobileとUQ mobileに吹き出しているということだと思っています。機種変更やMNPをするとキャッシュバックをもらえる、という中で囲い込まれるくらいなら、サブブランドであれ何であれ、われわれに近い土壌に来てくれるのは、決して悪いことではないと思っています。

 1回SIMを乗り換えると、お客さんの抵抗感は下がります。例えばY!mobileに変えたけど、実はもっと安い選択肢があることに気付いた、とか。これまでの何十万円のキャッシュバックなどよりも、はるかに分かりやすい競争になったと思います。

田中 サブブランドはかなりCMを投下しています。IIJさんは、CMまでは打たない感じですかね。

佐々木氏 ケイ・オプティコムさんはたくさんCMを打っていいなぁと。うちの娘がmineoさんのCMの歌を口ずむたびに、「ごめん、それはやめて」と言うこともあります(笑)。CM予算を取れるように頑張ります。

田中 ケイ・オプティコムさんがmineoのCMで起用している葵わかなさんは、朝ドラの出演も決まりましたね。

上田氏 葵わかなさんは、2017年度下期のNHKの朝ドラのヒロインに選ばれました。「さすが」「先見の明がある」と、皆さんに言っていただいているんですけど、それも1つの運だと考えると、うまく活用しない手はないかなと思っています。

●通信品質はどこまで突き詰めるべき?

田中 普段記事を書いていて、読者の方が気になるのは、「料金」のほかに「速度」だと感じています。ITmedia Mobileでも毎月1回、約20社のサービスの速度を比較する連載をやっています。毎月、午前、お昼、夕方の時間帯に測るのですが、やはりお昼は数字がガクンと落ちて、各社軒並み1Mbps台か、それ未満になります。通信速度の品質に対して、どこまで突き詰めるべきとお考えですか?

杉野氏 われわれも日々、スピード測定をするなど、ネットワークの品質を測っていて、ITmediaさんの記事も、ドキドキしながら見ています(笑)。当然、もっと快適にしたいし、使いやすくしたいと思っています。他社さんが速いとなると、われわれもそれに付いていかないといけないので、今も無理して増速していて、ここまでお金を使って大丈夫か? というぐらいやっているのは事実です。

田中 IIJさんは、IIJmio meetingで増強についてコメントされることもありますが、情報公開も含め、どのような取り組みをされていますか。

堂前氏 IIJは、ケイ・オプティコムさんと違って「いつやります」とかは公開していないんですね。ただ、決して増強の手を抜いていることはなく、真面目に取り組んでいます。ITmediaさんの記事をはじめ、数字が出ると、ドキドキするなぁ〜というのは、杉野さんがおっしゃった通りだと思っています。

 その中で以前から感じているのが、スピードテストの数字って、分かりやすすぎると思うんですね。確かに数字は比較しやすいのですが、そこに至るドラマが重要なんじゃないかと!

(会場で笑いが起きる) 

 ちゃかしているつもりではなく、真面目にそう思うんですね。スピードテストのアプリなんかを使っていて、皆さん感じているとは思うんですけど、どんな経緯で出てきた数字なのか、誌面だと文章や表にされているので、どうしても、ドラマチックなところが出ないのかなと。

 通信設備の増強は、ある程度、需要予測を立てて、それに対して先に打っていくという感じでやらざるを得ない。お客さんが思ったより増えると、「しまった、足りなかった」となって速度が落ちることがあるんですね。逆に、お客さんの増加が下ブレしたときに、たまたま速度が出ることもあります。結局、MVNOの通信速度って、その瞬間のスナップショットなんです。1回の結果を見るだけではなく、過去と比較して上り調子なのか、下がり調子なのか、そういう変化を見ていただくと、より有意義な見方になるんじゃないかと思います。

田中 ドラマについては、ぜひ今後、取材できればと思います(笑)。とはいえ、お昼の12時台は、いつ測っても軒並み速度が出ない傾向が何年か続いています。例えば「お昼は最低○Mbpsは出す」といった線引きはされているのでしょうか。

上田氏 mineoでは、平日昼間は目安として1Mbpsは出せるよう回線増強をしています。もちろん状況によって出たり出なかったりしますが。スピードテストの数値は、結果としてパチッと出てしまっているので、目安(1Mbps)を超えたのかどうかは、公開しています。

佐々木氏 内部では当然数字は持っているんですが、IIJの運用の人間は、私を含めシャイな者が多いので(笑)、「何Mbpsやりますー」というアピールはあまりしていません。そういうキャラの人たちなんだな、と思っていただけると助かります。

●スピードテストの結果と実際の速度には差がある?

 このセッションが終わった後、一般参加者から「ITmediaで実施している、アプリで測ったスピードテストの結果と、画像のダウンロード速度が大きく違う事業者さんがある」との質問が出ました。

 そこで、田中は「スピードテストは1回だけだとあまり意味がなく、定点観測として毎月行うことで各社の傾向が見えてきます。速度の定点観測は、格安SIMを選ぶ目安の1つになるよう展開していますが、記事のテスト結果がMVNOの実力を測る全てではありません。一方で、スピードテストの結果と、ブラウザや動画ストリーミングの速度がかけ離れている(場合がある)との指摘は承知しているので、他の測定方法を検討しています」と回答しました。

 今後の企画にご期待ください。

●カウントフリーはやる? やらない?

田中 最近は、特定サービスの通信をカウントしない「カウントフリー」がはやってきています。LINEモバイルさん、FREETELさん、ビッグローブさんなどが提供しています。このあたりのトレンドはどう考えていますか? 自社サービスに落とし込む予定はありますか?

杉野氏 mineoでも、マイページの閲覧やLaLaCallの通話、200kbpsの通信は非課金です。これらは別として、最近はやっているカウントフリーは、まだ様子を見ていて、具体的にどこかのコンテンツプロバイダーと組んでやることは考えていません。もちろん興味はありますが、そのためのシステム構築も必要ですし、通信の秘密の侵害をどう対策するか、ネットワークの中立性の問題も、きちんと議論していく必要があるので、そのあたりは時間がかかると思っています。

佐々木氏 IIJは、「ネットワークは良い土管であるべきだ」という社是というか、エンジニアの世界で染みついている考え方を持っているので、これは今後も大切にしていきたいと思っています。じゃあ、10年前〜30年前のネットワークサービスから一歩も踏み出さないのかというと、そんなことはなくて、われわれのサービスも、この20年間かけてゆっくりと変わってきたところもあるので、未来永劫やらないつもりもありません。古きものをばっさり切り捨てて、何でも新しいはやりに飛びついていくわけではなくて、われわれがこれまで培ってきた正しいと信じる考えを踏まえながら、何をお客さまに対して提供するのがベストなのかを考えていきたいです。

 われわれがSNSをカウントフリーにすると、一部のお客さまには喜んでいただけるのかもしれませんが、それをみんながやったら、結局横並びになるだけなので、何ら差別化にもなりません。

 その分の設備増強の原資をどこかから持っていかないといけないので、みんなが苦しくなってしまう。MVNOがやっているから、ドコモさんが「dなんとか」を無料にしますと言ったときに、彼らの設備は定額だからいいとして、われわれのように従量で設備を買っているところは苦しくなるだけなので、ビジネス的に見ても、カウントフリーが得策なのかは、僕は非常に疑問に思っています。

●“横並び”にならないためにすべきこと

田中 今、横並びという話が出ましたけれど、MVNOを取材していても、膨大なサービスがあり、違いが見えにくくなっています。確かにカウントフリーも他の事業者がやると、差別化が難しくなります。今後、どう差別化を図っていきたいとお考えですか?

上田氏 今、一番意識しているキーワードは「共創」と「安心」です。

 共創については、「マイネ王」というコミュニティーサイトで、ユーザーさんと一緒に新たな価値を作っています。そこを磨いていくことが、mineoがさらに大きくなるキーワードになると考えています。

 安心については、「格安SIMを使わない理由」をアンケートで聞くと、一番に来るのが「大手キャリアの方が何となく安心だから」なんですね。それは「何となく」の話なので、「mineoに来ていただければ、○○はできないかもしれないですけど、安心して来てください」と、安心感を訴求していくのが大事かと。

 こうした共創や安心を意識しながら、オンリーワン、ナンバーワンを目指していきたいと思っています。

佐々木氏 いろいろな国を見ていても、MVNOのシェアは、15〜20%ぐらいが天井だということが分かります。日本の格安SIMの比率は5%台で、まだまだ伸びる余地があるにしても、MVNOが5割〜7割を超えていくというのは難しい。

 今あるマーケットを取るのに加え、これまでの延長線でないところで競争をしていかないといけない。僕らのイノベーションが問われてくるところだと思っています。

 これはMVNOだけの問題ではなく、キャリアさんですら「スマートフォンの次を探さないといけない」と言って、いろいろな取り組みをされています。スマートフォンは、これから生活必需品としてコモディティ化していく。じゃあ、次の競争軸は何なのか? 世界を変えるためのサービス、プロダクトを考えないといけないと意識しています。

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